排泄・トイレの介護記録は、毎日のように記入する項目です。
そのため、「排尿あり」「排便あり」「トイレ誘導」「失禁あり」「パッド交換」といった短い記録だけになりやすくなります。
もちろん、排泄の有無や回数を記録することは重要です。
しかし排泄場面には、本人の尿意・便意、移動能力、立位、衣類操作、清拭、介助量、皮膚状態、普段との違いなど、その後の支援につながる情報が数多くあります。
良い介護記録に必要なのは、文章力より観察力です。
この記事では、介護現場で起こりやすい排泄・トイレ場面を40ケースに分け、実際に使いやすい記録文例と観察のポイントを紹介します。
- 排泄の介護記録は「排泄あり」だけで終わらせない
- 排泄・トイレの介護記録文例40選
- 1.声かけでトイレへ行き排尿できた
- 2.トイレの声かけを断られた
- 3.尿失禁が見られた
- 4.便失禁が見られた
- 5.排尿回数が普段より多かった
- 6.排尿量が少ない・排尿が確認できない
- 7.排便があった
- 8.数日間排便が確認できていない
- 9.軟便が見られた
- 10.トイレまで間に合わず尿失禁した
- 11.衣類の上げ下げに介助が必要だった
- 12.立位保持が不安定だった
- 13.パッド交換を行った
- 14.陰部・臀部に発赤が見られた
- 15.排泄後の清拭に介助が必要だった
- 16.本人から尿意・便意の訴えがあった
- 17.行動の変化からトイレを提案した
- 18.排泄後もトイレ希望を繰り返した
- 19.便座に座ったが排泄がなかった
- 20.普段より排泄介助量が増えた
- 21.普段より排泄動作がスムーズだった
- 22.普段の排泄時間に合わせて声をかけた
- 23.「まだ大丈夫」とトイレを断られた
- 24.排泄後に手洗いを行わず退出しようとした
- 25.硬めの便で排便に時間を要した
- 26.少量の便が何度か続いた
- 27.水様便が繰り返し見られた
- 28.排便後に腹部の不快感を訴えた
- 29.排便時に出血が見られた
- 30.排尿時に痛みを訴えた
- 31.ポータブルトイレを使用した
- 32.尿器を使用した
- 33.パッド中心だった人がトイレで排泄できた
- 34.普段はトイレ排泄だがパッド内排泄となった
- 35.普段どおり安定して排泄できた
- 36.排泄後に「すっきりした」と話された
- 37.排便後も「まだ残っている感じがする」と話された
- 38.一日の排泄時間や回数に変化があった
- 39.一日の排泄状況が安定していた
- 40.本人の意思・残存能力・普段との比較をまとめて残した
- 排泄の介護記録で避けたい書き方
- 初心者は「6つの順番」で考えると書きやすい
- 「できなかったこと」だけでなく「できたこと」を残す
- 排泄記録では「普段との比較」が重要
- 排泄記録では「事実」と「解釈」を分ける
- 良い排泄記録は次の支援につながる
- 介護記録を短時間でまとめたい方へ
- 関連する介護記録の書き方・文例
排泄の介護記録は「排泄あり」だけで終わらせない
排泄記録の基本は、次の流れです。
本人の意思 → 排泄までの動作 → 必要な支援 → 排泄結果 → 排泄後の状態
状態に変化があったときは、さらに「普段との比較」と「職員間・看護職等への共有」を加えます。
例えば、
ここまで書くと、「排尿した」という結果だけでなく、本人がどこまで自分でできたのかも分かります。
排泄・トイレの介護記録文例40選
1.声かけでトイレへ行き排尿できた
見るポイント:排尿した事実だけでなく、本人の意思や自分で行えた動作も残します。
2.トイレの声かけを断られた
見るポイント:「誘導拒否」で終わらず、本人の言葉、その場での対応、再度の声かけ、その結果まで記録します。
3.尿失禁が見られた
見るポイント:「漏らした」「失敗した」など本人を責める表現は避け、確認した事実と行った支援を書きます。
4.便失禁が見られた
見るポイント:便性状、清潔保持、皮膚状態まで必要に応じて確認します。
5.排尿回数が普段より多かった
見るポイント:「頻尿」と決めつけず、時間、回数、普段との違いを具体的に残します。
6.排尿量が少ない・排尿が確認できない
見るポイント:「尿が出ない」と診断的に書かず、いつから・どの程度確認できていないのかを残します。
7.排便があった
見るポイント:排便の有無だけでなく、便性状や本人の感覚も必要に応じて残します。
8.数日間排便が確認できていない
見るポイント:「便秘」と決めつける前に、最終排便日と普段の排便間隔を確認します。
9.軟便が見られた
見るポイント:軟便・水様便など、実際に確認した便性状を記録します。
10.トイレまで間に合わず尿失禁した
見るポイント:本人が尿意を伝えられていたことや、どの時点で間に合わなかったのかも重要な情報です。
11.衣類の上げ下げに介助が必要だった
見るポイント:「衣類操作介助」だけでなく、どこまで自分でできたのかを書きます。
12.立位保持が不安定だった
見るポイント:「ふらつきあり」ではなく、どの動作で不安定だったのかを具体的にします。
13.パッド交換を行った
見るポイント:パッド交換は皮膚状態や排泄状況を確認できる機会でもあります。
14.陰部・臀部に発赤が見られた
見るポイント:「かぶれ」「褥瘡」などと断定せず、見たままの皮膚状態を記録します。
15.排泄後の清拭に介助が必要だった
見るポイント:できる部分は本人に行ってもらい、必要な部分だけ介助したことを残します。
16.本人から尿意・便意の訴えがあった
見るポイント:尿意を感じ、それを自分から伝えられたことも本人の能力として記録できます。
17.行動の変化からトイレを提案した
見るポイント:「不穏」「徘徊」と決めつけず、実際に見えた行動と支援後の変化を書きます。
18.排泄後もトイレ希望を繰り返した
見るポイント:「頻回」とだけ書かず、時間と回数を残すと客観性が上がります。
19.便座に座ったが排泄がなかった
見るポイント:排泄がなかった場合も、本人の訴えがあったのか、定時誘導だったのかで意味が変わります。
20.普段より排泄介助量が増えた
見るポイント:職員が介助したことより、本人の動作が普段とどう変わったのかを残します。
21.普段より排泄動作がスムーズだった
見るポイント:低下だけでなく、介助量が減ったなどの良い変化も記録します。
22.普段の排泄時間に合わせて声をかけた
見るポイント:定時誘導ではなく、その人の排泄リズムに合わせた支援として記録します。
23.「まだ大丈夫」とトイレを断られた
見るポイント:本人の自己判断を尊重し、その後どう再確認したかまで残します。
24.排泄後に手洗いを行わず退出しようとした
見るポイント:「忘れた」と推測せず、どこで一連の動作が止まり、声かけ後どうなったのかを書きます。
25.硬めの便で排便に時間を要した
見るポイント:「便秘気味」とまとめず、便性状、時間、本人の訴えを具体的に残します。
26.少量の便が何度か続いた
見るポイント:複数回の排泄は、時間軸でまとめると変化が分かりやすくなります。
27.水様便が繰り返し見られた
見るポイント:原因を決めつけず、便性状・回数・全身状態・水分状況を確認します。
28.排便後に腹部の不快感を訴えた
見るポイント:便が出たから終わりではなく、排便後の本人の感覚も確認します。
29.排便時に出血が見られた
見るポイント:「痔」と原因を決めつけず、血液がどこに、どの程度、どのように見られたのかを書きます。
30.排尿時に痛みを訴えた
見るポイント:痛みの原因を診断せず、いつ・どこが・どのように痛いのかを本人の言葉で残します。
31.ポータブルトイレを使用した
見るポイント:ポータブルトイレ使用時も、移乗・衣類操作・排泄などを分けて見ます。
32.尿器を使用した
見るポイント:道具を使ったことではなく、本人がその道具をどこまで自分で使えたかを書きます。
33.パッド中心だった人がトイレで排泄できた
見るポイント:できなかったことだけでなく、新しくできたことも残すと自立支援につながります。
34.普段はトイレ排泄だがパッド内排泄となった
見るポイント:結果だけでなく、「普段との違い」を記録することが重要です。
35.普段どおり安定して排泄できた
見るポイント:「特変なし」ではなく、何が普段どおりだったのかを具体的にします。
36.排泄後に「すっきりした」と話された
見るポイント:本人が実際に話した言葉は、排泄後の状態を判断する大切な情報になります。
37.排便後も「まだ残っている感じがする」と話された
見るポイント:排便量と本人の感覚が一致するとは限りません。本人の主観も記録します。
38.一日の排泄時間や回数に変化があった
見るポイント:「多い・少ない」は、普段の回数と比較して初めて意味を持ちます。
39.一日の排泄状況が安定していた
見るポイント:安定している日の記録が、その人の「普段」を知る基準になります。
40.本人の意思・残存能力・普段との比較をまとめて残した
見るポイント:本人の意思、残存能力、支援内容、排泄結果、普段との比較まで入ると、モニタリングにも活用しやすい記録になります。
排泄の介護記録で避けたい書き方
「排泄あり」「特変なし」だけで終わらせる
結果だけでは、本人の能力や必要な介助が分かりません。
「拒否あり」とだけ書く
本人が「今は必要ない」と意思表示している場合もあります。
「失敗した」「漏らした」と書く
排泄の記録では、本人の尊厳に配慮した表現を使います。
原因を勝手に決めつける
「認知症だから」「膀胱炎だと思われる」「便秘が原因」など、観察だけでは確認できない原因を断定しないことが大切です。
「全介助」「一部介助」だけで終わらせる
何を本人ができて、どこだけ介助したのかを書くと、残存能力が分かります。
初心者は「6つの順番」で考えると書きやすい
排泄記録で何を書けばよいか迷ったら、次の順番で確認します。
① 本人はどうしたいと伝えたか
② トイレまでどう移動したか
③ 排泄動作はどこまで自分でできたか
④ どんな介助をしたか
⑤ 排尿・排便はどうだったか
⑥ 排泄後はどうだったか
例えば、
これだけでも、本人の意思・能力・支援・結果が分かります。
「できなかったこと」だけでなく「できたこと」を残す
排泄記録では、失禁や介助が必要だった場面に目が向きやすくなります。
しかし、
「今日は自分からトイレを希望できた」
「衣類操作を自分でできた」
「普段より介助量が少なかった」
「声かけだけで一連の動作を行えた」
といった良い変化も重要です。
できることを記録することで、必要以上の介助を防ぎ、自立支援につなげることができます。
排泄記録では「普段との比較」が重要
「排尿3回」「3日排便なし」「立ち上がりに介助が必要だった」という情報だけでは、それがその人にとって普段どおりなのか変化なのか判断できません。
そこで重要になるのが、
普段はどうなのか
という視点です。
こうした比較があると、小さな状態変化をチームで共有しやすくなります。
排泄記録では「事実」と「解釈」を分ける
介護記録では、職員の推測を事実のように書かないことも重要です。
例えば、
×「不穏で何度も立ち上がった」
ではなく、
と記録します。
また、
×「認知症だからトイレを何度も訴える」
ではなく、
と書けば、他の職員も同じ事実をもとに支援方法を考えることができます。
良い排泄記録は次の支援につながる
介護記録は、長い文章を書くことが目的ではありません。
次に関わる職員が読んだときに、
「本人は何を伝えていたのか」
「どこまで自分でできたのか」
「何に介助が必要だったのか」
「普段と何が違ったのか」
「次に何を確認すればよいのか」
が分かることが大切です。
排泄あり、で終わらせない。
本人の意思、できたこと、必要だった支援、結果を一つ加えるだけでも、記録の質は大きく変わります。
介護記録を短時間でまとめたい方へ
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文例をそのまま写すだけでなく、実際の利用者の状態に合わせた記録を作りたいときに活用してください。
介護記録全体の書き方や、食事・排泄・入浴・日中の様子をまとめて確認したい方は、介護記録の書き方と文例200選も参考にしてください。


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