介護記録の書き方と文例200選|食事・排泄・入浴・日中の様子・移動を場面別に解説

介護記録を書こうとして、毎日似たような文章になっていませんか?

「穏やかに過ごされた」
「食事8割摂取」
「排泄あり」
「入浴実施」
「レクリエーションに参加された」
「特に変化なし」

これらの表現が間違っているわけではありません。

ただ、それだけでは、次に記録を読む職員に本人が実際にどのような状態だったのか、どんな支援を行ったのか、普段と何が違ったのかが伝わりにくいことがあります。

介護記録で大切なのは、難しい文章を書くことではありません。

文章力より、観察力。

見たこと、本人が話したこと、行った支援、その後どうなったかを整理すれば、短い文章でも次の支援につながる記録になります。

このページでは、介護記録の基本的な書き方を解説するとともに、記録する機会の多い「食事・水分」「排泄・トイレ」「入浴」「日中の様子」「移動・歩行・転倒」の5場面をまとめています。

各場面には40ケースずつ、合計200の具体的な介護記録文例を用意しています。

  1. 介護記録は何を書けばいい?
  2. 介護記録で押さえたい5つの基本
    1. 1.職員の印象ではなく、見た事実を書く
    2. 2.本人が実際に話した言葉を残す
    3. 3.できなかったことだけでなく、できたことを書く
    4. 4.普段との違いを書く
    5. 5.支援した後にどうなったかまで残す
  3. 「特変なし」を具体的な介護記録に変える
    1. 食事の場合
    2. 排泄の場合
    3. 入浴の場合
    4. 日中の様子の場合
  4. 場面別|介護記録の書き方と文例200選
  5. 食事・水分の介護記録
    1. 食事量だけで終わらせない文例
    2. むせ込みが見られた文例
  6. 排泄・トイレの介護記録
    1. 本人からトイレ希望があった文例
    2. 一度トイレ誘導を希望しなかった文例
  7. 入浴の介護記録
    1. 普段どおり入浴できた文例
    2. 入浴を希望しなかった文例
  8. 日中の様子の介護記録
    1. 落ち着いて過ごした日の文例
    2. 自分から活動を始めた文例
  9. 移動・歩行・転倒の介護記録
    1. 立ち上がり時にふらつきが見られた文例
    2. 方向転換時に不安定さが見られた文例
  10. 「拒否」「不穏」「意欲低下」だけで終わらせない
    1. 「不穏あり」ではなく
    2. 「レク拒否」ではなく
    3. 「意欲低下」ではなく
  11. 原因を推測して書かない
  12. 本人の尊厳に配慮した表現を使う
  13. 介護記録は「できるための条件」を残す
  14. 良い変化も介護記録に残す
  15. 短い介護記録でも質を上げる方法
  16. 良い介護記録は、次の職員が読んで動ける
  17. 場面別の介護記録文例を探す
  18. 介護記録を短時間でまとめたい方へ
  19. まとめ|介護記録は「その人の変化」が伝わるように書く

介護記録は何を書けばいい?

何を書けばよいか迷ったときは、まず次の4つで考えると整理しやすくなります。


① 何があったか
② 本人はどう反応したか
③ どんな支援・対応をしたか
④ その後どうなったか

例えば、

「食事をあまり食べなかった」

だけでは、その場面が十分に伝わりません。

昼食は主食5割、副食3割を摂取された。途中で箸が止まり、「今日はあまり食欲がない」と話された。無理に摂取を勧めず、水分を提供すると約150mL飲まれた。その後、気分不良の訴えはなかった。

これなら、食事量だけでなく、本人の反応、職員の対応、その後の状態まで分かります。

すべての記録を長く書く必要はありません。

「次に関わる職員へ何を伝えたいか」を考えて、その日の特徴を選ぶことが大切です。

介護記録で押さえたい5つの基本

1.職員の印象ではなく、見た事実を書く

例えば、

× 元気がなかった。

だけでは、何を見てそう判断したのか分かりません。

午前中は自席で目を閉じている時間が多く、職員が声をかけると開眼して返答された。

このように書けば、読んだ人も同じ状態をイメージできます。

2.本人が実際に話した言葉を残す

本人の言葉は、状態や意思を知る大切な情報です。

入浴を案内すると「今日は少し疲れているから入りたくない」と話された。

これを単に、

「入浴拒否あり」

とまとめるより、本人の意思が伝わります。

3.できなかったことだけでなく、できたことを書く

介護記録では、介助した内容ばかりを書いてしまいがちです。

胸部・腹部・両上肢は自ら洗身された。手の届きにくい背部のみ、本人へ確認したうえで介助した。

これなら、本人の残存能力と必要な介助の両方が分かります。

4.普段との違いを書く

その日の状態だけでなく、普段との比較も重要です。

普段は見守りで行えている立ち上がりに時間を要し、本日は体幹を支える介助が必要だった。

反対に、良い変化も残します。

普段は活動開始時に職員からの声かけを要することが多いが、本日は自ら塗り絵を手に取って開始された。

5.支援した後にどうなったかまで残す

午後2時頃から「迎えはまだ?」と繰り返し尋ねられた。帰宅予定を一緒に確認すると「まだ時間あるのね」と話され、その後は質問の回数が減って自席で過ごされた。

何をしたかだけでなく、その支援によって本人がどう変化したか。

そこまで残すと、次の職員が支援方法を活用できます。

「特変なし」を具体的な介護記録に変える

介護現場では「特変なし」という表現もよく使われます。

ただ、それだけでは何を確認して変化がないと判断したのかが分かりません。

食事の場合

昼食は普段と同程度の量を自力で摂取された。食事中にむせ込みや体調変化はなく、食後も普段どおり過ごされた。

排泄の場合

昼食後に自らトイレ希望を伝えられ、見守りで移動された。排尿あり。衣類操作も普段と同程度で行われ、排泄後の体調変化はなかった。

入浴の場合

更衣・洗身・浴槽への出入りは普段と同程度の介助で行われた。入浴中にふらつきや気分不良の訴えはなく、入浴後も安定して過ごされた。

日中の様子の場合

午前中は自席で新聞を読み、職員からの声かけには笑顔で返答された。昼食後は他利用者との会話も見られ、普段と比べて表情や活動量に大きな変化なく過ごされた。

「何が普段どおりだったのか」を一つ加える。

それだけでも、「特変なし」だけの記録より情報量が増えます。

場面別|介護記録の書き方と文例200選

介護記録は、場面によって見るポイントが変わります。

ここからは、よく記録する5つの場面に分けて紹介します。

食事・水分の介護記録

食事の記録は、「全量」「8割」など摂取量だけになりやすい場面です。

しかし実際には、

・食事を始めるまでの様子
・姿勢
・食事動作
・食欲
・むせ込み
・本人の発言
・必要だった介助
・水分摂取
・普段との違い

なども重要な情報です。

食事量だけで終わらせない文例

昼食は主食8割、副食7割を自力で摂取された。食事後半になると手が止まる時間が増え、「もうお腹いっぱい」と話されたため、無理に摂取を勧めず終了した。食後の体調変化はなかった。

むせ込みが見られた文例

昼食時、水分摂取後に咳込みが見られたため、いったん摂取を中断した。呼吸が落ち着いたことを確認し、その後は本人の様子を見ながら少量ずつ摂取された。

摂取量だけでなく、その人がどのように食べていたかを見ることがポイントです。

→ 食事・水分の介護記録|書き方と文例40選を見る

排泄・トイレの介護記録

排泄記録も、「排尿あり」「排便あり」「失禁あり」だけになりやすい項目です。

排泄場面では、

・尿意や便意を伝えられたか
・トイレまでの移動
・立ち座り
・衣類操作
・排泄後の清潔保持
・皮膚状態
・本人の訴え
・普段との違い

なども確認できます。

本人からトイレ希望があった文例

本人より「トイレに行きたい」と話され、見守りでトイレまで移動された。排尿あり。衣類の上げ下げは自ら行われ、排泄後もふらつきなく自席へ戻られた。

一度トイレ誘導を希望しなかった文例

午後2時頃にトイレを案内したが、「まだ大丈夫」と話されたため無理に誘導しなかった。約30分後に本人より「トイレに行こうかな」と希望があり、見守りで移動された。

排泄の有無だけでなく、本人の意思や排泄動作も記録すると状態が伝わりやすくなります。

→ 排泄・トイレの介護記録|書き方と文例40選を見る

入浴の介護記録

入浴は「入浴実施」「洗身一部介助」と短くなりやすい一方、多くの状態を確認できる場面です。

・本人の入浴希望
・更衣
・洗身、洗髪
・浴槽への出入り
・立位や移乗
・皮膚状態
・疲労や体調変化
・入浴後の様子

などを見ることができます。

普段どおり入浴できた文例

本人の希望を確認して入浴した。更衣は自力で行われ、洗身は手の届きにくい背部のみ一部介助した。浴槽への出入りは手すりを使用して見守りで行われ、入浴後も体調変化なく過ごされた。

入浴を希望しなかった文例

入浴を案内すると「今日は少し疲れているから入りたくない」と話された。その場では無理に勧めず休息してもらい、時間を空けて再度確認したが希望はなかったため、本人と相談して清拭を行った。

「入浴できたか」だけでなく、自分でできたこと、安全面、皮膚状態まで見ると記録の価値が上がります。

→ 入浴の介護記録|書き方と文例40選を見る

日中の様子の介護記録

日中の様子は、「穏やかに過ごされた」「レクリエーション参加」といった文章が続きやすい項目です。

日中は、

・表情
・会話
・覚醒状態
・本人の選択
・自発的な行動
・他利用者との交流
・活動への参加
・不安や疲労
・普段との違い

などを見ることができます。

落ち着いて過ごした日の文例

午前中は自席で新聞を読み、職員からの声かけには笑顔で返答された。昼食後は他利用者との会話も見られ、午後はテレビを見ながら過ごされた。普段と比べて表情や活動量に大きな変化はなかった。

自分から活動を始めた文例

午前10時頃、自席に置かれていた塗り絵を自ら手に取り、「これやろうかな」と話して開始された。約20分間取り組み、終了後は「今日はここまで」と話して自ら道具を片付けられた。

「何をしたか」だけでなく、本人がどう選び、どう関わったかを見ることがポイントです。

→ 日中の様子の介護記録|書き方と文例40選を見る

移動・歩行・転倒の介護記録

移動・歩行の記録は、「杖歩行・見守り」「ふらつきあり」「転倒注意」と短くなりやすい場面です。

しかし実際には、

・立ち上がり
・歩き始め
・歩幅や歩行速度
・杖や歩行器の使い方
・方向転換
・移乗
・着座
・車椅子操作
・転倒やヒヤリ場面
・普段との介助量の違い

などを見ることができます。

立ち上がり時にふらつきが見られた文例

椅子から立ち上がった直後に身体が右側へ傾いたため、職員が体幹を支えた。数秒静止すると姿勢が安定し、その後は杖を使用して見守りで歩行された。

方向転換時に不安定さが見られた文例

直線歩行は安定していたが、トイレ入口で右方向へ向きを変えた際に歩幅が小さくなり、身体が左側へ傾いた。職員が体幹を支えて足位置を整えると、その後は安定して移動された。

「歩けたか」だけでなく、どの動作で支援が必要だったかを見ることがポイントです。

→ 移動・歩行・転倒の介護記録|書き方と文例40選を見る

「拒否」「不穏」「意欲低下」だけで終わらせない

介護記録では、短い評価語だけで状態をまとめてしまうことがあります。

「不穏あり」ではなく

自席から複数回立ち上がり、周囲を見渡す様子が見られた。声をかけると「何かすることある?」と話された。タオルたたみを提案すると着席して取り組まれ、その後は離席が減少した。

「レク拒否」ではなく

集団レクリエーションを案内すると「今日は見てるよ」と話された。本人の希望を尊重して見学できる位置で過ごしてもらうと、他利用者の発言に笑顔やうなずきが見られた。

「意欲低下」ではなく

普段より自発的な発言が少なく、職員からの声かけには返答されるものの、会話は短く終わることが多かった。食事や移動は普段どおり行われた。

評価語をまったく使ってはいけないという意味ではありません。

評価の根拠になる事実を先に残すことが大切です。

原因を推測して書かない

介護記録では、観察した事実と職員の推測を分ける必要があります。

× 血圧が下がったため、入浴後にふらついた。

実際に血圧低下を確認していないのであれば、

入浴後、椅子から立ち上がった際にふらつきが見られ、本人より「少しふわっとした」と話された。

と記録します。

また、

× 認知症のため洗身できなかった。

ではなく、

両上肢を繰り返し洗う一方で、胸部・腹部には手が伸びていなかった。洗う部位を一つずつ声かけすると、自ら洗身を再開された。

とすれば、見えた状態と有効だった支援が分かります。

本人の尊厳に配慮した表現を使う

介護記録は職員間の情報共有であると同時に、本人について残す正式な記録です。

例えば、

× 汚い・臭い・不潔

ではなく、

陰部周囲に汚れの付着が見られ、普段より臭気が強く感じられた。皮膚状態を確認し、丁寧に洗浄して清潔を保った。

また、

× しつこく同じ質問をする

ではなく、

「今日はこのあと何するの?」と同じ内容を数回尋ねられた。予定表を一緒に確認すると、その後は質問の回数が減少した。

と書きます。

本人を評価する言葉より、実際に見えた状態や行動を記録する。

これを基本にすると、記録の表現も自然に変わります。

介護記録は「できるための条件」を残す

介護記録で特に大切にしたいのが、本人ができなかったことだけでなく、どうすればできたかを残すことです。

眼鏡ケースを手にしたまま置き場所を迷う様子が見られた。普段の保管場所を指し示すと「ここだったね」と話され、自ら収納された。
洗身時に同じ部位を繰り返し洗っていた。洗う部位を一つずつ声かけすると、自ら洗身を再開された。
活動中に周囲の会話へ注意が向いて手が止まった。用紙を指しながら声をかけると再開し、その後は約10分間継続された。

この情報があれば、次の職員も同じ支援方法を試すことができます。

「できなかった」ではなく、「どうすればできたか」まで残す。

良い変化も介護記録に残す

介護記録は、体調不良や問題があった日だけ詳しく書くものではありません。

普段はシャワーチェアからの立ち上がり時に体幹を支えることがあるが、本日は手すりを使用し、声かけのみで立位となった。
普段は職員からの問いかけに返答することが多いが、本日は本人から隣席の利用者へ話しかける場面が複数回見られた。

自分から始めた
自分で選んだ
介助量が減った
会話が増えた
できる動作が増えた

こうした良い変化も、モニタリングや支援方法の見直しにつながる大切な情報です。

短い介護記録でも質を上げる方法

忙しい介護現場で、毎回長文を書くことは現実的ではありません。

そんなときは、いつもの文章に「本人の反応」「普段との比較」「支援後の結果」のどれか一つを加えてみてください。

昼食8割摂取。「おいしかった」と話され、食後の体調変化なく過ごされた。
排尿あり。排泄後に「すっきりした」と話され、自席へ戻られた。
入浴実施。浴槽内で「気持ちいいね」と話され、入浴後も気分不良なく過ごされた。
午後は塗り絵に参加。「今日はここまで」と自ら終了を決められた。

一文増やすだけでも、その人の姿が見える記録になります。

良い介護記録は、次の職員が読んで動ける

介護記録を書く目的は、文章をきれいに残すことではありません。

次に関わる職員が読んだときに、

・本人はどんな状態だったか
・何を自分でできたか
・どこに介助が必要だったか
・本人は何を希望したか
・どんな声かけが有効だったか
・休息するとどう変わったか
・普段と何が違ったか

が分かることが大切です。

「何があったか」だけでなく、「次はどう関わればよいか」が見える記録。

それが、現場で役に立つ介護記録です。

場面別の介護記録文例を探す

食事・水分
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排泄・トイレ
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入浴
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日中の様子
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移動・歩行・転倒
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介護記録を短時間でまとめたい方へ

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文例をそのままコピーするだけではなく、実際の利用者の状態に合わせた記録を作りたいときに活用してください。

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まとめ|介護記録は「その人の変化」が伝わるように書く

介護記録を難しく考える必要はありません。

迷ったら、


何があったか
↓
本人はどう反応したか
↓
どんな支援をしたか
↓
その後どうなったか

の順番で考えます。

さらに、

自分でできたこと
普段との違い
本人が実際に話した言葉

を一つ加えると、その人らしさや変化がさらに伝わりやすくなります。

「穏やかに過ごされた」「特変なし」で終わらせない。

その人が、その日どのように過ごし、どんな支援が必要だったのかを残す。

毎日の介護記録を、次の支援につながる情報として活用していきましょう。

毎日の介護記録を短時間で整理したい方は、介護記録かんたん作成ツールも利用できます。

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