通所介護(デイサービス)には、機能訓練、入浴、認知症・中重度者対応、栄養・口腔、LIFE、職員体制などを評価する複数の加算があります。ただし、加算名と単位数を見ただけでは、自事業所で算定できるかは判断できません。対象利用者、人員配置、計画書・評価・日々の記録、LIFEへの情報提出、指定権者への届出まで確認して、初めて継続的な運用が可能になります。このページでは、2026年10月時点の公式資料をもとに主な加算を整理し、管理者が「どの加算を確認し、次にどの書類・文例・ツールへ進むか」を判断できる実務の順番で案内します。
最初に確認:2026年度の扱い
2026年度(令和8年度)は期中改定として介護職員等処遇改善加算が拡充され、通所介護では2026年6月から新しい区分・加算率が適用されています。その他の主な通所介護加算は、令和6年度改定後の現行告示・通知を基準に確認します。算定開始前には、必ず指定権者の最新様式と期限も照合してください。
通所介護の主な加算一覧
下表は、加算を選ぶための判断表です。単位数は通所介護の代表的な区分を記載しています。詳細な対象者、人員、併算定、算定期間は省略せず公式告示・留意事項通知で最終確認してください。スマートフォンでは表を横に動かして確認できます。
| 加算名 | 単位 | 主な対象・目的 | 人員・体制の要点 | LIFE | 主な必要書類・記録 | 届出 | 詳細・次の行動 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロ/(Ⅱ) | Ⅰイ:56単位/日 Ⅰロ:76単位/日 Ⅱ:20単位/月 | 生活機能の維持・向上を目的に個別機能訓練を行う利用者 | 機能訓練指導員の配置、居宅訪問を含む生活機能の把握、多職種での計画・実施・評価 | (Ⅱ)は必要 | 個別機能訓練計画書、居宅訪問記録、実施記録、評価、説明・同意記録 | 原則必要 | 計画書・文例を確認 計画書作成ツール |
| 入浴介助加算(Ⅰ)・(Ⅱ) | Ⅰ:40単位/日 Ⅱ:55単位/日 | 入浴介助が必要な利用者。Ⅱは居宅での入浴自立を見据えた評価・支援 | 入浴介助を行える職員体制。Ⅱは居宅の浴室環境・動作評価と個別の入浴計画 | 不要 | 入浴計画、居宅状況の評価、入浴実施記録、状態・介助量の記録 | 原則必要 | 入浴支援の目標・記録例 |
| ADL維持等加算(Ⅰ)・(Ⅱ) | Ⅰ:30単位/月 Ⅱ:60単位/月 | 一定期間のADL維持・改善をアウトカムとして評価 | 評価対象利用者数、Barthel Index測定、ADL利得など所定要件を満たす体制 | 必要 | BI評価、評価対象者一覧、測定日・評価者の記録、LIFE提出記録 | 必要 | 評価メモシート |
| 中重度者ケア体制加算 | 45単位/日 | 要介護度の高い利用者を積極的に受け入れる体制を評価 | 利用実績要件、基準を上回る介護・看護職員配置、専従看護職員などを確認 | 不要 | 勤務形態一覧、利用実績集計、対象者・提供体制の記録 | 必要 | 前年実績と当月の配置を先に試算 |
| 認知症加算 | 60単位/日 | 日常生活自立度が一定以上の認知症利用者への専門的ケア | 対象者割合、基準を上回る職員配置、認知症介護研修修了者の配置など | 不要 | 対象者判定、研修修了証、勤務表、認知症ケアの計画・記録 | 必要 | 対象者数と研修修了者の配置を確認 |
| 若年性認知症利用者受入加算 | 60単位/日 | 若年性認知症利用者の特性に応じた個別支援 | 担当者を定め、本人の状態・希望に沿ったサービスを提供 | 不要 | 担当者、個別ニーズ、活動・支援内容、実施経過の記録 | 指定権者確認 | 対象者と個別支援内容を明確化 |
| 生活機能向上連携加算(Ⅰ)・(Ⅱ) | Ⅰ:100単位/月(3月に1回限度) Ⅱ:200単位/月 ※個別機能訓練加算算定時は100単位/月 | 外部のリハビリテーション専門職等と連携して生活機能を評価・改善 | 連携先との契約・協力体制、共同評価、助言を計画へ反映 | 不要 | 連携記録、評価・助言内容、計画書、会議・情報共有記録 | 原則必要 | 連携費用と対象人数も含めて判断 |
| 栄養アセスメント加算 | 50単位/月 | 利用者全員の栄養状態を把握し、低栄養リスクを早期発見 | 管理栄養士を中心とした多職種でのアセスメントと情報共有 | 必要 | 栄養アセスメント、ケアマネへの情報提供、LIFE提出記録 | 原則必要 | 全利用者を継続評価できる運用か確認 |
| 栄養改善加算 | 200単位/回(原則月2回限度) | 低栄養状態またはそのおそれがある利用者への栄養改善 | 管理栄養士の関与、多職種による栄養ケア計画と定期評価 | 必須とはされない | 栄養ケア計画、説明・同意、実施記録、定期評価、居宅での支援内容 | 原則必要 | 対象者抽出と管理栄養士の確保を確認 |
| 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)・(Ⅱ) | Ⅰ:20単位/回 Ⅱ:5単位/回 (6月に1回限度) | 口腔・栄養状態を定期確認し、ケアマネへ情報提供 | 従業者が所定項目を確認。ほかの栄養・口腔加算との併算定条件に注意 | 不要 | スクリーニング結果、実施日、ケアマネへの情報提供記録 | 指定権者確認 | 併算定状況を利用者ごとに確認 |
| 口腔機能向上加算(Ⅰ)・(Ⅱ) | Ⅰ:150単位/回 Ⅱイ:155単位/回 Ⅱロ:160単位/回 (原則月2回限度) | 口腔機能低下またはそのおそれがある利用者への改善支援 | 歯科衛生士、言語聴覚士、看護職員等の関与と多職種での口腔機能改善管理 | (Ⅱ)は必要 | 口腔機能改善管理計画、説明・同意、実施記録、評価、LIFE提出記録 | 原則必要 | 専門職配置と対象者抽出を確認 |
| 科学的介護推進体制加算 | 40単位/月 | 利用者の基本情報・状態をLIFEへ提出し、フィードバックをケア改善に活用 | 事業所全体で評価・提出・フィードバック活用を続ける体制 | 必要 | 所定評価情報、提出履歴、フィードバックを踏まえた見直し記録 | 原則必要 | 厚労省LIFE情報を確認 |
| サービス提供体制強化加算(Ⅰ)・(Ⅱ)・(Ⅲ) | Ⅰ:22単位/回 Ⅱ:18単位/回 Ⅲ:6単位/回 | 介護福祉士割合や勤続年数など、職員体制の質を評価 | 区分ごとの職員割合・勤続年数要件を満たし、毎年度実績を確認 | 不要 | 職員名簿、資格証、常勤換算・割合計算、勤続年数、勤務表 | 必要 | 前年実績と年度途中の変動を管理 |
| 介護職員等処遇改善加算(2026年6月以降) | Ⅰイ:11.1%/Ⅰロ:12.0% Ⅱイ:10.9%/Ⅱロ:11.8% Ⅲ:9.9%/Ⅳ:8.3% | 介護従事者の賃金改善と職場環境改善。Ⅰ・Ⅱには生産性向上等の上乗せ区分 | キャリアパス・職場環境等要件、配分、計画・実績報告。ロは令和8年度特例要件を確認 | 不要 | 処遇改善計画書、賃金台帳、配分根拠、実績報告、特例要件の根拠 | 必要 | 令和8年度改定資料を確認 |
減算も先に確認:人員基準欠如、定員超過、高齢者虐待防止措置未実施、業務継続計画未策定、同一建物からの利用、事業所が送迎を行わない場合などは報酬へ影響します。加算の売上だけでなく、現在の運営に該当する減算がないかを体制届・勤務表・運営状況と照合してください。
自分の事業所に合う加算を目的から探す
機能訓練を強化したい
- 個別機能訓練加算
- ADL維持等加算
- 生活機能向上連携加算
こんな事業所なら確認:機能訓練指導員を配置し、訓練を利用者の居宅生活へつなげたい事業所です。まず対象者数と職員の配置時間を確認し、計画作成・居宅訪問・評価・LIFE提出まで継続できるかを判断します。
個別機能訓練計画書の書き方・文例を見る / 通所介護計画書の機能訓練目標・サービス内容を見る
入浴支援を評価したい
- 入浴介助加算(Ⅰ)・(Ⅱ)
こんな事業所なら確認:単に入浴を実施するだけでなく、本人の動作、介助量、居宅浴室の環境を評価して支援へ反映できる事業所です。(Ⅱ)は居宅での入浴自立という目的と評価の流れを先に整えます。
認知症・中重度者への対応を評価したい
- 認知症加算
- 中重度者ケア体制加算
- 若年性認知症利用者受入加算
こんな事業所なら確認:要介護度の高い利用者や認知症利用者の受入実績があり、看護職員や研修修了者を含む体制を安定して組める事業所です。対象者割合と勤務配置は別々に確認します。
口腔・栄養を強化したい
- 栄養アセスメント加算・栄養改善加算
- 口腔・栄養スクリーニング加算
- 口腔機能向上加算
こんな事業所なら確認:体重減少、食事摂取量低下、むせ、口腔機能低下を早期に把握し、管理栄養士・歯科衛生士・言語聴覚士・看護職員等と連携できる事業所です。専門職の確保だけでなく、ケアマネへの情報提供と定期評価の方法も決めます。
LIFEを活用したい
- 科学的介護推進体制加算
- 個別機能訓練加算(Ⅱ)
- ADL維持等加算
- 栄養アセスメント加算
- 口腔機能向上加算(Ⅱ)
こんな事業所なら確認:評価データを期限内に提出する担当者を決め、返ってきたフィードバックを会議や計画見直しに使える事業所です。「提出すること」だけを目的にせず、現場へ戻す手順まで設計します。
職員体制を評価につなげたい
- サービス提供体制強化加算
- 介護職員等処遇改善加算
こんな事業所なら確認:介護福祉士割合や勤続年数を毎年度集計でき、賃金改善と職場環境改善を計画的に実施できる事業所です。人員の入退職で区分が変わる可能性もあるため、年度末だけでなく定期的に確認します。
加算を算定する前に確認したい5項目
1.対象利用者がいるか
直近の利用者台帳から、要介護度、認知症の日常生活自立度、BI、栄養・口腔状態、入浴状況などを確認します。対象になりそうな人数だけでなく、月の利用回数まで把握すると、売上効果を現実的に試算できます。
2.必要な人員・資格・勤務体制を満たせるか
資格者が在籍しているだけでは足りません。配置する曜日・時間、専従・兼務、常勤換算、基準に上乗せする人数を勤務形態一覧表と実際のシフトで確認します。休職・退職時にも継続できるかまで見ます。
3.計画書・評価・日々の記録を継続できるか
開始時の書類だけでなく、実施記録、定期評価、説明・同意、ケアマネへの情報提供、計画更新まで担当者と期限を決めます。書類が作れても日々の実施と評価がつながらない加算は、運用負担と返還リスクが高くなります。
4.LIFEへの提出が必要か
対象加算、提出項目、提出頻度、提出期限、エラー時の修正担当を確認します。提出履歴を残し、フィードバックを個別支援や事業所全体の改善にどう使ったか記録できる体制にします。
5.算定開始前の届出が必要か
介護給付費算定に係る体制等状況一覧表、体制届、添付書類、算定開始可能月を指定権者の案内で確認します。国の要件が同じでも、提出先、様式、締切、電子申請の方法は指定権者により異なる場合があります。
加算で必要な計画書・記録を確認する
加算は「一度書類を作れば取れるもの」ではありません。次の書類が、対象者の選定、支援実施、評価、見直しまで連続しているかを確認します。
- 個別機能訓練計画書:生活上の目標、訓練内容、担当職種、実施頻度、評価方法
- 評価記録:開始時と定期評価の結果、前回との比較、見直し判断
- 実施記録:実施内容、本人の反応、介助量、結果、次回確認事項
- 入浴関連記録:居宅環境、入浴動作、介助範囲、皮膚状態、本人の反応
- 栄養・口腔関連記録:評価項目、計画、実施内容、専門職の助言、ケアマネへの情報提供
- 説明・同意記録:説明日、説明内容、本人・家族の意向
- LIFE提出記録:対象情報、提出日、エラー修正、フィードバック活用
判断の中心は「算定できるか」だけでなく、欠勤や利用者増減があっても記録と評価を継続できるかです。
個別機能訓練計画書の作成・見直し確認シート / 通所介護計画書の文例・書き方 / 通所介護計画書作成ツール
加算算定に必要な届出を確認する
加算の多くは、算定開始前に「介護給付費算定に係る体制等に関する届出書」と「体制等状況一覧表」、加算ごとの添付書類の提出が必要です。人員配置表、資格証、連携契約書、割合計算表、計画書様式など、必要書類は加算により異なります。
- 算定したい加算と開始月を決める
- 告示・留意事項通知で要件を確認する
- 指定権者の最新様式・添付書類・締切を確認する
- 勤務表や資格証など根拠資料と実際の体制を照合する
- 提出後も受理状況と請求設定を確認する
注意:提出方法や締切は指定権者により異なる場合があります。全国共通の期限と決めつけず、最終的には都道府県・市区町村等の最新案内を確認してください。
LIFEと関係する加算をまとめて確認する
LIFE(科学的介護情報システム)は、利用者の状態やケアに関する情報を提出し、フィードバックを支援の改善に活用する仕組みです。通所介護では、科学的介護推進体制加算のほか、個別機能訓練加算(Ⅱ)、ADL維持等加算、栄養アセスメント加算、口腔機能向上加算(Ⅱ)などと関係します。
加算ごとに提出項目と頻度が異なるため、利用者情報の収集、評価、入力、提出、エラー修正、フィードバック確認を一人に集中させない運用が必要です。なお、2026年にはLIFEの運用主体が厚生労働省から国民健康保険中央会へ移管されました。初回利用登録や操作方法を含む最新の様式・案内は、厚生労働省「科学的介護」で確認してください。
どの加算から取るべきか
単位数が高い順ではなく、対象者数、現有人員、運用負担、LIFE・届出、実際の売上効果を同じ表で比較します。
| 判断軸 | 確認すること |
|---|---|
| 対象利用者 | 実際に何人が対象となり、月に何回算定できるか |
| 現有人員 | 現在の資格者・勤務時間・シフトで継続できるか |
| 運用負担 | 計画・説明・実施記録・定期評価を無理なく続けられるか |
| LIFE・届出 | 新たな入力、提出、体制届、根拠資料の管理がどの程度必要か |
| 売上効果 | 対象人数と算定回数を含めた増収から、人件費・外部連携費・管理時間を差し引いて効果があるか |
結論:「単位数が高い加算」ではなく、「今の体制で継続運用しやすく、対象利用者が多く、実際の収益効果が見込める加算」から検討します。たとえば機能訓練指導員が安定配置でき、対象者も多いなら個別機能訓練加算を先に検討できます。一方、外部連携費や記録負担が増える加算は、対象者数を確認してから判断します。
加算を取ると売上はいくら変わる?
基本の考え方は、加算単位数 × 対象利用者数 × 算定回数 × 地域区分による1単位単価です。
例として1日単位の加算なら、対象者が月に何回利用するかまで含めて試算します。月単位の加算は、対象利用者数と算定できない月の条件を確認します。処遇改善加算は、対象となる加減算後の総報酬単位数に加算率を乗じます。
ただし増収額だけで決めず、追加配置する職員の人件費、外部専門職との連携費、計画・評価・LIFE入力に要する時間、管理者の確認コストも見積もります。加算収入が増えても、残業や記録不備が増える運用は持続しません。
加算算定で確認漏れを防ぐために
- 対象利用者の根拠が記録されているか
- 届出上の職員配置と実際の勤務体制が一致しているか
- 計画書の作成日・説明日・同意日・開始日の順序に問題がないか
- 実施記録と定期評価が計画内容につながっているか
- LIFEの提出期限、エラー、未提出者が管理されているか
- 人員や対象者割合が変わったときの算定可否を再確認しているか
- 届出内容と現場運用が変わった場合、変更届や算定区分変更が必要か確認しているか
月末の請求前だけでなく、毎月の勤務表確定時、利用開始時、計画更新時、職員の入退職時に確認する仕組みを作ると、算定要件と実態のずれを見つけやすくなります。
次に使う文例・計画書・無料ツール
公式資料と更新履歴
最終制度確認日:2026年10月22日
- 厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」
- 厚生労働省「介護報酬の算定構造」(2026年度対応版)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の改正」
- 厚生労働省「介護給付費算定に係る体制等に関する届出」
- 厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)」
更新履歴:2026年10月22日、2026年度の介護職員等処遇改善加算の拡充とLIFE運用主体の移管を反映し、通所介護の主要加算、必要書類、届出、取得優先度の判断手順を確認しました。
本ページは実務上の確認順を整理したもので、個別事業所の算定可否を保証するものではありません。算定時は最新の告示・通知・Q&Aと指定権者の案内を確認してください。


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