介護記録を書こうとして、毎日似たような文章になっていませんか?
「穏やかに過ごされた」
「食事8割摂取」
「排泄あり」
「入浴実施」
「レクリエーションに参加された」
「特に変化なし」
これらの表現が間違っているわけではありません。
ただ、それだけでは、次に記録を読む職員に本人が実際にどのような状態だったのか、どんな支援を行ったのか、普段と何が違ったのかが伝わりにくいことがあります。
介護記録で大切なのは、難しい文章を書くことではありません。
文章力より、観察力。
見たこと、本人が話したこと、行った支援、その後どうなったかを整理すれば、短い文章でも次の支援につながる記録になります。
このページでは、介護記録の基本的な書き方を解説するとともに、記録する機会の多い「食事・水分」「排泄・トイレ」「入浴」「日中の様子」「移動・歩行・転倒」の5場面をまとめています。
各場面には40ケースずつ、合計200の具体的な介護記録文例を用意しています。
介護記録は何を書けばいい?
何を書けばよいか迷ったときは、まず次の4つで考えると整理しやすくなります。
① 何があったか
② 本人はどう反応したか
③ どんな支援・対応をしたか
④ その後どうなったか
例えば、
「食事をあまり食べなかった」
だけでは、その場面が十分に伝わりません。
これなら、食事量だけでなく、本人の反応、職員の対応、その後の状態まで分かります。
すべての記録を長く書く必要はありません。
「次に関わる職員へ何を伝えたいか」を考えて、その日の特徴を選ぶことが大切です。
介護記録で押さえたい5つの基本
1.職員の印象ではなく、見た事実を書く
例えば、
× 元気がなかった。
だけでは、何を見てそう判断したのか分かりません。
このように書けば、読んだ人も同じ状態をイメージできます。
2.本人が実際に話した言葉を残す
本人の言葉は、状態や意思を知る大切な情報です。
これを単に、
「入浴拒否あり」
とまとめるより、本人の意思が伝わります。
3.できなかったことだけでなく、できたことを書く
介護記録では、介助した内容ばかりを書いてしまいがちです。
これなら、本人の残存能力と必要な介助の両方が分かります。
4.普段との違いを書く
その日の状態だけでなく、普段との比較も重要です。
反対に、良い変化も残します。
5.支援した後にどうなったかまで残す
何をしたかだけでなく、その支援によって本人がどう変化したか。
そこまで残すと、次の職員が支援方法を活用できます。
「特変なし」を具体的な介護記録に変える
介護現場では「特変なし」という表現もよく使われます。
ただ、それだけでは何を確認して変化がないと判断したのかが分かりません。
食事の場合
排泄の場合
入浴の場合
日中の様子の場合
「何が普段どおりだったのか」を一つ加える。
それだけでも、「特変なし」だけの記録より情報量が増えます。
場面別|介護記録の書き方と文例200選
介護記録は、場面によって見るポイントが変わります。
ここからは、よく記録する5つの場面に分けて紹介します。
食事・水分の介護記録
食事の記録は、「全量」「8割」など摂取量だけになりやすい場面です。
しかし実際には、
・食事を始めるまでの様子
・姿勢
・食事動作
・食欲
・むせ込み
・本人の発言
・必要だった介助
・水分摂取
・普段との違い
なども重要な情報です。
食事量だけで終わらせない文例
むせ込みが見られた文例
摂取量だけでなく、その人がどのように食べていたかを見ることがポイントです。
排泄・トイレの介護記録
排泄記録も、「排尿あり」「排便あり」「失禁あり」だけになりやすい項目です。
排泄場面では、
・尿意や便意を伝えられたか
・トイレまでの移動
・立ち座り
・衣類操作
・排泄後の清潔保持
・皮膚状態
・本人の訴え
・普段との違い
なども確認できます。
本人からトイレ希望があった文例
一度トイレ誘導を希望しなかった文例
排泄の有無だけでなく、本人の意思や排泄動作も記録すると状態が伝わりやすくなります。
入浴の介護記録
入浴は「入浴実施」「洗身一部介助」と短くなりやすい一方、多くの状態を確認できる場面です。
・本人の入浴希望
・更衣
・洗身、洗髪
・浴槽への出入り
・立位や移乗
・皮膚状態
・疲労や体調変化
・入浴後の様子
などを見ることができます。
普段どおり入浴できた文例
入浴を希望しなかった文例
「入浴できたか」だけでなく、自分でできたこと、安全面、皮膚状態まで見ると記録の価値が上がります。
日中の様子の介護記録
日中の様子は、「穏やかに過ごされた」「レクリエーション参加」といった文章が続きやすい項目です。
日中は、
・表情
・会話
・覚醒状態
・本人の選択
・自発的な行動
・他利用者との交流
・活動への参加
・不安や疲労
・普段との違い
などを見ることができます。
落ち着いて過ごした日の文例
自分から活動を始めた文例
「何をしたか」だけでなく、本人がどう選び、どう関わったかを見ることがポイントです。
移動・歩行・転倒の介護記録
移動・歩行の記録は、「杖歩行・見守り」「ふらつきあり」「転倒注意」と短くなりやすい場面です。
しかし実際には、
・立ち上がり
・歩き始め
・歩幅や歩行速度
・杖や歩行器の使い方
・方向転換
・移乗
・着座
・車椅子操作
・転倒やヒヤリ場面
・普段との介助量の違い
などを見ることができます。
立ち上がり時にふらつきが見られた文例
方向転換時に不安定さが見られた文例
「歩けたか」だけでなく、どの動作で支援が必要だったかを見ることがポイントです。
「拒否」「不穏」「意欲低下」だけで終わらせない
介護記録では、短い評価語だけで状態をまとめてしまうことがあります。
「不穏あり」ではなく
「レク拒否」ではなく
「意欲低下」ではなく
評価語をまったく使ってはいけないという意味ではありません。
評価の根拠になる事実を先に残すことが大切です。
原因を推測して書かない
介護記録では、観察した事実と職員の推測を分ける必要があります。
× 血圧が下がったため、入浴後にふらついた。
実際に血圧低下を確認していないのであれば、
と記録します。
また、
× 認知症のため洗身できなかった。
ではなく、
とすれば、見えた状態と有効だった支援が分かります。
本人の尊厳に配慮した表現を使う
介護記録は職員間の情報共有であると同時に、本人について残す正式な記録です。
例えば、
× 汚い・臭い・不潔
ではなく、
また、
× しつこく同じ質問をする
ではなく、
と書きます。
本人を評価する言葉より、実際に見えた状態や行動を記録する。
これを基本にすると、記録の表現も自然に変わります。
介護記録は「できるための条件」を残す
介護記録で特に大切にしたいのが、本人ができなかったことだけでなく、どうすればできたかを残すことです。
この情報があれば、次の職員も同じ支援方法を試すことができます。
「できなかった」ではなく、「どうすればできたか」まで残す。
良い変化も介護記録に残す
介護記録は、体調不良や問題があった日だけ詳しく書くものではありません。
自分から始めた
自分で選んだ
介助量が減った
会話が増えた
できる動作が増えた
こうした良い変化も、モニタリングや支援方法の見直しにつながる大切な情報です。
短い介護記録でも質を上げる方法
忙しい介護現場で、毎回長文を書くことは現実的ではありません。
そんなときは、いつもの文章に「本人の反応」「普段との比較」「支援後の結果」のどれか一つを加えてみてください。
一文増やすだけでも、その人の姿が見える記録になります。
良い介護記録は、次の職員が読んで動ける
介護記録を書く目的は、文章をきれいに残すことではありません。
次に関わる職員が読んだときに、
・本人はどんな状態だったか
・何を自分でできたか
・どこに介助が必要だったか
・本人は何を希望したか
・どんな声かけが有効だったか
・休息するとどう変わったか
・普段と何が違ったか
が分かることが大切です。
「何があったか」だけでなく、「次はどう関わればよいか」が見える記録。
それが、現場で役に立つ介護記録です。
場面別の介護記録文例を探す
食事・水分
食事・水分の介護記録文例40選を見る
排泄・トイレ
排泄・トイレの介護記録文例40選を見る
日中の様子
日中の様子の介護記録文例40選を見る
移動・歩行・転倒
移動・歩行・転倒の介護記録文例40選を見る
介護記録を短時間でまとめたい方へ
介護文例ナビでは、日中の様子、レクリエーション、入浴、食事、水分、排泄、送迎など、その日の状態を選びながら文章を整理できる無料ツールも用意しています。
文例をそのままコピーするだけではなく、実際の利用者の状態に合わせた記録を作りたいときに活用してください。
まとめ|介護記録は「その人の変化」が伝わるように書く
介護記録を難しく考える必要はありません。
迷ったら、
何があったか
↓
本人はどう反応したか
↓
どんな支援をしたか
↓
その後どうなったか
の順番で考えます。
さらに、
自分でできたこと
普段との違い
本人が実際に話した言葉
を一つ加えると、その人らしさや変化がさらに伝わりやすくなります。
「穏やかに過ごされた」「特変なし」で終わらせない。
その人が、その日どのように過ごし、どんな支援が必要だったのかを残す。
毎日の介護記録を、次の支援につながる情報として活用していきましょう。
毎日の介護記録を短時間で整理したい方は、介護記録かんたん作成ツールも利用できます。


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