ケアプラン文例【認知症・金銭管理・買い物】|支払い・重複購入が心配な場合の第1表・第2表の記入例

認知症のある利用者では、同じ物を何度も購入したり、支払いをしたことを忘れたり、財布や通帳を置いた場所が分からなくなったりすることがあります。一方で、長年自分で家計を管理してきた利用者にとって、お金を扱うことは生活上の役割や自尊心にも関わります。

ここでは、認知症により金銭管理や買い物に不安がみられるものの、本人はできる限り自分で買い物や支払いを続けたいと希望しているケースを例に、第1表・第2表までつながるケアプラン文例を紹介します。

この記事が参考になるケース

  • 認知症があり、同じ商品を何度も購入することがある
  • 支払いを済ませたことを忘れることがある
  • 財布や通帳を探すことが増えている
  • 本人は自分で買い物を続けたいと希望している
  • 家族が金銭管理を心配している
  • 家族がすべて管理しようとすると本人が強く嫌がる
  • 本人の自己決定と金銭面の安全の両方を大切にしたい

担当ケースに近い部分を選び、本人の認知機能、これまでの家計管理方法、家族関係、買い物環境などに合わせて調整してください。

※文例はそのまま使用するのではなく、本人の判断能力、金銭管理状況、家族の支援状況、本人の意思などに合わせて調整してください。

利用者像の例

  • 79歳・女性・要介護1
  • 一人暮らし
  • 長女は近隣在住で週2回程度訪問
  • アルツハイマー型認知症
  • 屋内外歩行、食事、更衣、排泄は自立
  • 近所のスーパーへ買い物に行くことを楽しみにしている
  • 同じ食品を複数購入することが増えている
  • 公共料金等の支払いをしたか分からなくなることがある
  • 財布を置いた場所が分からず「誰かに取られた」と話すことがある
  • 長年、家計は本人自身が管理してきた
  • 本人は「自分のお金は自分で管理したい」と話している

本人・家族の意向の文例

本人の意向

おすすめ文例|自分で管理したい気持ちが強い場合

今までずっと自分で買い物やお金の管理をしてきたので、何でも家族に任せるのではなく、自分でできることはこれからも続けたい。

別の表現①|買い物を楽しみにしている場合

近所のお店に行って自分で好きな物を選ぶことが楽しみなので、これからも買い物には行きたい。

別の表現②|少し不安を感じている場合

最近、お金をどこに置いたか分からなくなることがあるので少し心配だが、全部人に任せるのではなく、必要なところだけ手伝ってほしい。

家族の意向

おすすめ文例|本人の役割を残したい場合

本人にとって買い物やお金の管理が大切なことは分かっているので、すべて取り上げたくはない。ただ、支払いや大きな金額の管理には不安があるため、安全に続けられる方法を考えてほしい。

別の表現|トラブルへの不安が強い場合

同じ物を何度も買ったり、支払いを忘れたりすることが増えているため心配している。本人の気持ちは尊重しながら、生活に困らないよう家族も確認できるようにしたい。

第1表の文例

利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果

おすすめ文例

本人は長年、自身で家計管理や買い物を行ってきており、「自分のお金は自分で管理したい」という思いが強い。近所のスーパーへ出かけ、自分で商品を選ぶことも生活の楽しみとなっている。一方、認知症による記憶力の低下から、同じ食品を繰り返し購入することや、支払いを済ませたか分からなくなること、財布の保管場所を忘れることが増えている。家族がすべて管理しようとすると本人が強く抵抗することもあり、本人の自尊心や自己決定への配慮が必要である。日常的な少額の買い物など本人が安全に継続できる部分は残しながら、支払いや重要な金銭管理については家族等が本人の意向を確認しつつ支援し、生活上の不利益やトラブルを防ぐ必要がある。

別の表現|独居生活の継続を重視する場合

本人は現在も一人で買い物に出かけ、身の回りの多くのことを自ら行えており、今後も自宅で自分らしい生活を続けたいと希望している。一方、金銭管理では重複購入や支払いの失念等がみられ、生活費や重要な支払いを本人だけで管理することには不安が生じている。本人の生活能力を過小評価せず、本人が選ぶ楽しみや金銭を扱う機会をできるだけ残しながら、困難となっている部分のみ支援することで、本人の自立と生活上の安全を両立する必要がある。

総合的な援助の方針

おすすめ文例

本人が長年行ってきた買い物や金銭管理の役割を尊重し、本人が安全に行える範囲については継続できるよう支援する。日常の買い物では購入内容や金額を分かりやすく確認できる方法を取り入れ、重要な支払いや大きな金額の管理については、本人の意思を確認しながら家族等が必要な支援を行う。金銭面での困りごとや生活への影響を定期的に確認し、本人の判断能力や生活状況に変化がみられた場合には、関係者で支援方法を再検討する。本人の自尊心を守りながら、安心して在宅生活を継続できるよう支援する。

別の表現|短めにまとめたい場合

本人の買い物や金銭管理を続けたいという思いを尊重し、安全に行える部分は本人自身で継続する。困難となっている支払いや重要な金銭管理は本人の意向を確認しながら家族等が支援し、金銭トラブルを防ぎながら自立した生活を支える。

第2表の文例

金銭管理に不安がある場合も、「本人にお金を持たせない」ことを目標にするのではなく、本人が自分で選び、決める生活を続けながら、安全にお金を扱えることを目標として考えます。

課題① 自分で買い物をする楽しみを続けたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

自分で必要な物や好きな物を選び、これからも買い物を楽しみたい。

ニーズの別表現|役割を重視する場合

自分でできる買い物は続け、生活に必要なことを自分で行っている実感を持ちたい。

長期目標

必要な支援を受けながら、自分で商品を選び買い物をする機会を継続できる。

短期目標

買う物を事前に確認しながら、無理のない範囲で買い物や支払いを行うことができる。

サービス内容

本人の希望する買い物機会を大切にし、必要に応じて買い物内容の確認や同行を行う。本人自身が商品を選び、可能な範囲で支払いを行えるよう見守る。

課題② 生活に必要なお金を安心して管理したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

生活に必要なお金を無くしたり困ったりせず、安心して暮らしたい。

長期目標

本人の意思が尊重されながら必要な金銭管理が行われ、生活費や支払いに困ることなく生活できる。

短期目標

日常的に使用する金銭と重要な支払いを整理し、本人と家族が分かりやすい方法で確認できる。

サービス内容

本人の意向を確認しながら、日常生活で使用する金銭と重要な支払いを整理する。支払い忘れや重複購入等の状況を家族・ケアマネジャー等で共有し、本人にとって分かりやすく負担の少ない管理方法を検討する。

課題③ 財布や大切な物を安心して管理したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

財布や大切な物をどこに置いたか分からなくなって不安にならず、安心して過ごしたい。

長期目標

本人が大切な物の保管場所を確認しやすく、不安や探し物が少ない状態で生活できる。

短期目標

財布や日常的に使用する物の置き場所をできるだけ一定にし、必要時に確認することができる。

サービス内容

本人と相談しながら財布や日用品の置き場所を分かりやすく整える。物が見つからない際は否定や責める対応を避け、本人と一緒に確認し、不安を軽減できるよう支援する。

課題④ 家族と穏やかな関係を保ちながらお金のことを相談したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

自分のお金について一方的に決められるのではなく、家族と相談しながら安心して生活したい。

長期目標

本人の意思が尊重され、家族と必要なことを相談しながら金銭面の安心を保つことができる。

短期目標

本人と家族が、本人自身で行うことと支援を受けることについて話し合い、役割を共有できる。

サービス内容

本人の希望を確認せずに金銭管理方法を変更することを避け、本人・家族の意向を確認しながら支援方法を検討する。家族だけで判断が難しい場合は、ケアマネジャー等も含めて本人の生活と権利を尊重した支援方法を検討する。

第2表の完成イメージ

上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。

※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容
自分で必要な物や好きな物を選び、これからも買い物を楽しみたい。 必要な支援を受けながら、自分で商品を選び買い物をする機会を継続できる。 買う物を確認しながら、無理のない範囲で買い物や支払いを行える。 必要に応じて同行・確認を行い、本人自身が商品を選ぶ機会を大切にする。
生活に必要なお金を無くしたり困ったりせず、安心して暮らしたい。 本人の意思が尊重されながら必要な金銭管理が行われ、生活に困ることなく過ごせる。 日常使用する金銭と重要な支払いを整理し、本人と家族が確認できる。 本人の意向を確認しながら、分かりやすい金銭管理方法を検討する。
財布や大切な物を見失って不安にならず、安心して過ごしたい。 保管場所を確認しやすく、探し物による不安が少ない状態で生活できる。 財布等の置き場所をできるだけ一定にすることができる。 本人と相談しながら保管場所を整え、見つからない際には一緒に確認する。
自分のお金について一方的に決められず、家族と相談しながら生活したい。 本人の意思が尊重され、家族と相談しながら金銭面の安心を保つことができる。 本人自身で行うことと支援を受けることについて役割を共有できる。 本人・家族の意向を確認しながら、必要な支援方法を検討する。

認知症・金銭管理・買い物のケアプランで意識したいポイント

「できないから取り上げる」ではなく、できる部分を確認する

公共料金等の管理は難しくなっていても、少額の買い物や商品の選択は問題なく行える場合があります。金銭管理を一つの能力として判断せず、本人ができることと支援が必要なことを分けて考えます。

買い物には生活上の意味がある

本人にとって買い物は、単に物を購入する行為ではなく、外出、運動、地域とのつながり、自分で選ぶ楽しみ、家庭での役割など複数の意味を持っていることがあります。そのため、重複購入だけを理由に買い物機会をなくすのではなく、安全に継続する方法を考えます。

本人の自尊心と自己決定を大切にする

長年自分で家計を管理してきた利用者にとって、突然家族がすべてのお金を管理することは大きな喪失感につながる場合があります。本人が理解できる形で説明し、本人自身が選択できる部分をできるだけ残します。

「盗られた」という訴えの背景も考える

本人が財布の保管場所を忘れ、「誰かに盗られた」と感じることがあります。その場で強く否定するのではなく、本人が不安になっていることを受け止め、一緒に確認するなど安心につながる対応を考えます。

金銭面のリスクが大きくなった場合は支援体制を見直す

生活費が不足する、大きな金額を繰り返し支払う、契約内容を十分理解できないなど生活への影響が大きくなってきた場合は、本人の意思を尊重しながら、家族やケアマネジャー、関係機関等で今後の支援方法を検討することが重要です。

文例を使うときのポイント

  • 本人がこれまでどのように家計管理をしてきたか確認する
  • できる金銭管理と難しくなった金銭管理を分けて考える
  • 買い物が本人にとって持つ意味を確認する
  • 本人の自己決定や自尊心をケアプランに反映する
  • 重複購入・支払い忘れ等の具体的な状況を把握する
  • 家族が一方的に管理する形にならないよう本人の意向を確認する
  • 生活上の不利益が大きい場合は関係者で支援方法を再検討する

まとめ

認知症によって金銭管理が難しくなった場合でも、すべての管理能力が失われているとは限りません。本人が現在も行える買い物や支払いを把握し、できることを生活の中に残すことが重要です。

本人が大切にしてきた役割や自己決定を尊重しながら、難しくなった部分だけを家族や支援者が補うことで、金銭面の安全と本人らしい生活を両立するケアプランにつながります。

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