ケアプラン文例【認知症・異食】|食べ物ではない物を口にする場合の第1表・第2表の記入例

認知症のある利用者では、ティッシュ、紙類、小さな物など、食べ物ではない物を口に入れたり、食べようとしたりすることがあります。周囲から見ると危険な行動ですが、本人はそれを食べ物だと思っている場合や、目の前にある物を無意識に口へ運んでいる場合など、背景はさまざまです。

ここでは、認知症により食べ物ではない物を口にすることがあり、家族が誤飲や窒息を心配している利用者を例に、本人の生活を過度に制限せず、安全な環境につなげる第1表・第2表のケアプラン文例を紹介します。

この記事が参考になるケース

  • ティッシュや紙を口に入れることがある
  • 食べ物と食べ物ではない物を間違えることがある
  • テーブルに置かれた小物を口へ運ぶことがある
  • 家族が誤飲や窒息を心配している
  • 一日中監視することは難しい
  • 「ダメ」と強く止めると怒ることがある
  • 安全を確保しながら本人の自由な生活も守りたい

担当ケースに近い部分を選び、本人が口にする物、時間帯、場所、食事状況、認知機能、生活環境などに合わせて調整してください。

※薬剤、洗剤、電池、鋭利な物など危険性の高い物を口にした、実際に飲み込んだ、呼吸状態の変化や窒息が疑われるなどの場合は、通常の認知症ケアとは分けて考え、速やかに医療機関等へ相談する必要があります。

利用者像の例

  • 85歳・女性・要介護3
  • 長女夫婦と同居
  • 認知症あり
  • 屋内歩行は見守りで可能
  • 食事は自力摂取できる
  • 食欲は概ね保たれている
  • 最近、テーブル上のティッシュや紙片を口に運ぶことがある
  • 食後よりも、手持ち無沙汰で一人で座っている時間にみられやすい
  • 家族が慌てて取り上げると怒ることがある
  • 本人の前から紙類をさりげなく片付け、好きな飲み物や作業へ誘うと気持ちが切り替わることがある
  • 洗濯物を畳むなど簡単な作業には集中できる
  • 家族は常に見守らなければならないのではないかと不安を感じている
  • 通所介護週3回利用

本人・家族の意向の文例

本人の意向

おすすめ文例|安心して過ごしたい場合

家族と一緒に今の家で安心して暮らしたい。自分の好きなことをしながら、ゆっくり過ごしたい。

別の表現①|役割を続けたい場合

洗濯物を畳むなど、自分にできる家のことをしながら過ごしたい。

別の表現②|制止されることへの抵抗がある場合

何をするにも「ダメ」と言われず、落ち着いて自分のペースで生活したい。

家族の意向

おすすめ文例|誤飲を心配している場合

食べ物ではない物を口に入れることがあり、飲み込んでしまわないか心配している。本人をずっと監視するのではなく、安全に過ごせる環境を整えたい。

別の表現|対応に困っている場合

慌てて取り上げると本人が怒ることがあり、どう対応すればよいか迷っている。本人を不安にさせない方法を家族だけでなく支援者とも共有したい。

第1表の文例

利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果

おすすめ文例

本人は家族と住み慣れた自宅で生活を続けることを希望しており、食事は自力摂取でき、洗濯物を畳むなど現在も行える生活動作が残されている。一方、認知症による認識・判断力の低下等から、テーブル上のティッシュや紙片を口に運ぶことがみられている。特に一人で座り手持ち無沙汰になっている時間帯にみられやすく、家族が慌てて取り上げると不安や怒りにつながる場合がある。一方、本人の周囲から対象物をさりげなく片付け、好きな飲み物や家事作業等へ誘うことで行動が切り替わることもある。本人の行動を一律に制止するのではなく、何を、いつ、どのような状況で口にしているのかを把握し、誤飲・窒息につながる物を生活環境から減らすとともに、本人が落ち着いて取り組める活動や役割を持てるよう支援する必要がある。

別の表現|安全管理をより重視する場合

本人には食べ物以外の物を口へ運ぶ行動がみられており、誤飲や窒息等の事故予防が必要となっている。常時制止や監視を行うことは本人・家族双方の負担につながるため、本人が口へ運びやすい物や場所、時間帯を具体的に確認し、危険性の高い物を本人の生活空間に置かない環境調整が必要である。また、食事や水分摂取、生活リズム、活動状況等も確認し、本人が安心して過ごせる時間を増やしながら在宅生活を支援する必要がある。

総合的な援助の方針

おすすめ文例

本人が安心して自宅生活を継続できるよう、食べ物ではない物を口にする状況や時間帯を把握し、誤飲や窒息につながる危険な物を生活環境から減らす。本人が物を口にしようとした場合には強く叱ったり取り上げたりすることを避け、安全を確保しながら別の活動や飲み物等へ自然に注意を向けられるよう支援する。本人が行える家事や馴染みの活動を生活に取り入れ、落ち着いて過ごせる時間を確保する。異食の状況、食事・水分摂取、体調等の変化を家族・介護サービス等で共有し、急な行動変化や実際の誤飲が疑われる場合には必要に応じて医療職へ相談する。

別の表現|短めにまとめたい場合

本人が物を口にする状況を把握し、危険物を生活空間から減らして誤飲・窒息を予防する。強い制止を避け、本人が安心できる活動へ自然に切り替えられるよう支援する。異食や体調の変化を関係者で共有し、必要時は医療職へ相談する。

第2表の文例

異食がみられる場合も、「何も口に入れないようにすること」だけを目標にするのではなく、本人が必要以上に行動を制限されず、安全で落ち着いた生活を続けられることを目標として考えます。

課題① 危険な物を誤って口にせず安全に暮らしたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

危険な物を誤って口にすることなく、家の中で安心して生活したい。

ニーズの別表現|生活の自由を重視する場合

いつも行動を止められることなく、安全な環境の中で自分のペースで過ごしたい。

長期目標

誤飲・窒息につながる危険物が適切に管理された環境で、安全に在宅生活を継続できる。

短期目標

本人が過ごす場所に口へ入りやすい危険な物を置かない環境を家族・支援者で整えることができる。

サービス内容

本人が過ごす場所や手の届く範囲を確認し、小物、薬剤、洗剤等の危険性がある物を適切に管理する。生活を必要以上に制限せず、安全上必要な場所から優先して環境を整える。

課題② 物を口にしたくなるときも穏やかに過ごしたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

何かを口にしようとしたときにも強く怒られず、安心して穏やかに過ごしたい。

長期目標

本人の行動が一方的に否定されず、安全を確保した関わりの中で落ち着いて生活できる。

短期目標

物を口へ運ぼうとした際に、穏やかな声かけや別の活動への誘導を受け、気持ちを切り替えることができる。

サービス内容

安全に配慮しながら強い叱責や急な取り上げを避け、本人の注意を好きな飲み物、会話、馴染みの活動等へ自然に移す。本人が落ち着いた対応を関係者で共有する。

課題③ 自分にできることをしながら落ち着いて過ごしたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

一日中何もせずに過ごすのではなく、自分にできる家事や好きなことをしながら過ごしたい。

長期目標

本人が馴染みの活動や役割を持ち、生活の中に安心して過ごせる時間を持つことができる。

短期目標

洗濯物を畳むなど本人が行える活動に取り組み、落ち着いて過ごす時間を持つことができる。

サービス内容

本人の生活歴や興味を確認し、洗濯物を畳む、タオルを整理するなど安全に行える馴染みの活動を生活の中に取り入れる。

課題④ 家族も常に見張り続けず安心して支えたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

家族も本人から目を離せない状態にならず、安全を確保しながら無理なく生活を支えたい。

長期目標

安全な生活環境と対応方法が整い、家族が過度な緊張や負担を抱えず本人を支えることができる。

短期目標

本人が物を口にしやすい状況や有効な対応方法を家族・関係職種で共有できる。

サービス内容

異食がみられた物、場所、時間帯、その前後の状況、本人が落ち着いた対応等を必要な範囲で記録・共有する。家族の見守り負担についても定期的に確認する。

第2表の完成イメージ

上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。

※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容
危険な物を誤って口にすることなく、家の中で安心して生活したい。 危険物が適切に管理された環境で、安全に在宅生活を継続できる。 本人の生活空間から口へ入りやすい危険物を減らすことができる。 本人の手が届く場所を確認し、危険性の高い物から優先して環境を整える。
物を口にしようとしたときも強く怒られず、穏やかに過ごしたい。 本人の行動を一方的に否定されず、安全な関わりの中で生活できる。 穏やかな声かけ等によって気持ちを切り替えることができる。 強い制止を避け、安全を確保しながら別の活動等へ注意を向ける。
自分にできる家事や好きなことをしながら過ごしたい。 馴染みの活動や役割を持ち、落ち着いて過ごす時間を確保できる。 本人が行える活動に取り組むことができる。 生活歴や興味に合わせて、安全に行える活動を取り入れる。
家族も常に見張り続けず、無理なく本人を支えたい。 環境と対応方法が整い、家族が過度な負担なく支援できる。 異食が起こりやすい状況と対応方法を関係者で共有できる。 異食の状況や有効だった対応を記録・共有し、家族負担も確認する。

認知症・異食のケアプランで意識したいポイント

「何でも食べてしまう」で終わらせない

異食がみられた場合には、何を口にしたのか、実際に飲み込んだのか、どこで起きたのかを具体的に確認します。ティッシュだけを口にする人と、目についた小物を何でも口にする人では必要な対応が異なります。

起こる時間帯や前後の行動を見る

食事前、一人で座っている時間、手持ち無沙汰なときなど、一定の状況で異食がみられる場合があります。行動だけでなく、その前後の生活状況を確認することが支援の手がかりになります。

本人を叱って理解させようとしない

本人が対象物を食べ物ではないと十分に認識できていない場合、「何度言えば分かるの」と注意しても再発予防にはつながりにくいことがあります。本人への注意だけではなく、環境側を整える視点が重要です。

危険物から優先して環境を整える

家の中からすべての物をなくす必要はありません。薬剤、洗剤、小さな電池、鋭利な物など、飲み込んだ場合に大きな危険につながる物から優先して管理します。

食事や水分の状態も確認する

異食だけに注目せず、食事量、水分摂取、食事間隔、体重変化等も確認します。普段の食生活や身体状態に変化がある場合には、その情報も関係者で共有します。

役割や活動を生活の中に作る

手持ち無沙汰な時間に異食が増える場合には、本人が集中できる馴染みの活動を取り入れることも一つの支援方法です。ただし、単に本人を忙しくさせるのではなく、本人の生活歴や好みに合った活動を選びます。

急に始まった場合は状態変化も確認する

これまでみられなかった行動が急に出現した場合や頻度が急激に増えた場合には、認知症の症状だけと決めつけず、体調や服薬、生活環境等の変化についても確認します。

文例を使うときのポイント

  • 本人が何を口にしているのか具体的に確認する
  • 口に入れるだけか、実際に飲み込んでいるかを確認する
  • 異食が起きる時間帯・場所・前後の状況を把握する
  • 本人への注意だけで解決しようとしない
  • 危険性の高い物から優先して環境を整える
  • 食事量や水分摂取等の変化も確認する
  • 本人が安心して行える活動や役割を取り入れる
  • 家族が常に監視する状態にならないよう支援する

まとめ

認知症のある利用者に異食がみられる場合、「食べないよう注意すること」だけでは十分な支援にならないことがあります。本人が何を、どのような場面で口にしているのかを具体的に把握することが重要です。

危険性の高い物を生活環境から減らし、本人が物を口にしようとした際には強い制止を避けながら、安全な活動へ自然に気持ちを切り替えられるよう支援します。本人の生活を必要以上に制限せず、安全と家族の負担軽減を両立することが、継続できるケアプランにつながります。

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