ケアプラン文例【認知症・弄便】|便を触る・汚してしまう場合の第1表・第2表の記入例

認知症のある利用者では、排泄後に便を手で触ったり、衣類や寝具を汚してしまったりすることがあります。こうした行動は「困った行動」として捉えられやすい一方、本人が便による不快感を取り除こうとしている、排泄後の処理方法が分からない、便秘や残便感があるなど、本人なりの理由が隠れていることがあります。

ここでは、認知症により排泄後に便へ手を触れることがあり、家族が衛生面や介護負担に悩んでいる利用者を例に、本人の尊厳を守りながら排泄環境を整える第1表・第2表のケアプラン文例を紹介します。

弄便以外の認知症症状や生活上の困りごとに応じた文例は、ケアプラン文例一覧から確認できます。

この記事が参考になるケース

  • 排泄後に便を手で触ることがある
  • 便の付いた衣類を自分で処理しようとする
  • トイレ以外の場所を汚してしまうことがある
  • 排泄後の拭き取りが難しくなっている
  • 便秘や排便リズムの乱れがある
  • 家族が衛生管理や後片付けに疲れている
  • 本人の尊厳を守りながら排泄支援を考えたい

担当ケースに近い部分を選び、排便状況、トイレ動作、便秘の有無、弄便が起こる時間帯や前後の状況などに合わせて調整してください。

※弄便が急に始まった場合や、便秘、下痢、腹痛、血便、排便時の苦痛などがみられる場合には、認知症による行動だけと考えず、身体状態も確認し、必要に応じて医療職へ相談してください。

利用者像の例

  • 87歳・男性・要介護3
  • 長男夫婦と同居
  • 認知症あり
  • 屋内歩行は見守りで可能
  • 食事は自力摂取できる
  • トイレまでの移動は可能だが、排泄後の処理に支援が必要
  • 便秘傾向があり、排便間隔にばらつきがある
  • 夜間や早朝に排便した際、便を手で触ることがある
  • 本人は便が付いていることを不快に感じ、自分で取り除こうとしている様子がある
  • 家族が発見した際に強く注意すると本人が怒ることがある
  • 排便しやすい時間帯にトイレへ誘導すると落ち着いて排泄できることがある
  • 家族は寝具や室内の清掃が続くことに負担を感じている
  • 通所介護週3回利用

本人・家族の意向の文例

本人の意向

おすすめ文例|不快感を減らしたい場合

排泄した後も気持ちよく過ごしたい。汚れたままにならず、必要なところは手伝ってほしい。

別の表現①|自分でトイレに行きたい場合

できるうちは自分でトイレへ行き、自分でできることは続けたい。

別の表現②|羞恥心に配慮する場合

排泄のことを人前で言われたり怒られたりせず、恥ずかしい思いをしないように手伝ってほしい。

家族の意向

おすすめ文例|原因を知りたい場合

便を触ることだけを止めるのではなく、なぜそうしているのかを確認し、本人が気持ちよく排泄できる方法を考えたい。

別の表現|介護負担が強い場合

夜間に寝具や室内の清掃が必要になることがあり負担を感じている。本人を責めずに対応できる方法を家族だけでなく支援者とも共有したい。

第1表の文例

利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果

おすすめ文例

本人は歩行見守りによりトイレまで移動することができ、自分で排泄する力が残されている。一方、認知症による理解力や一連の動作遂行能力の低下から、排泄後の拭き取りや衣類を整えることが難しくなっている。特に夜間や早朝の排便時には、便による不快感から自ら便を取り除こうとして手で触れることがあり、結果として衣類や寝具等が汚れることがある。また便秘傾向があり、排便間隔にもばらつきがみられている。弄便という行動だけを制止するのではなく、排便リズム、便性状、排泄後の処理能力、本人の不快感等を確認し、排便しやすい時間帯のトイレ誘導や必要な後始末の支援により、本人が清潔で気持ちよく排泄できるよう支援する必要がある。

別の表現|家族負担を重視する場合

本人は排泄動作の一部を自ら行えているが、排泄後の処理が難しく、便を手で触ることで室内や寝具が汚れることがある。家族は夜間の清掃や衣類交換が続くことで身体的・精神的な負担を感じている。本人が意図的に汚していると捉えず、排便時の不快感や処理方法の分かりにくさ等を背景として考え、排泄パターンを把握したうえで適切なタイミングで支援する必要がある。また、家族だけに排泄支援を任せず、介護サービスと対応方法を共有し、継続可能な支援体制を整える必要がある。

総合的な援助の方針

おすすめ文例

本人が自分でトイレへ行き排泄できる能力を活かしながら、排便後の拭き取りや衣類調整等、難しくなっている部分を支援する。排便時間、便性状、便秘の状況、弄便が起こる時間帯等を把握し、本人が排便しやすい時間帯には適切にトイレへ誘導する。便を触った場合には強い叱責を避け、本人の羞恥心や不快感に配慮しながら清潔保持を行う。排泄状況や有効だった支援方法を家族・介護サービス等で共有し、便秘や急な排泄状態の変化については必要に応じて医療職へ相談する。

別の表現|短めにまとめたい場合

本人が行える排泄動作を活かし、排泄後の処理など困難な部分を支援する。排便リズムや弄便がみられる状況を把握し、適切な時間のトイレ誘導と清潔保持を行う。本人を責めず尊厳に配慮し、家族・関係職種で対応方法を共有する。

第2表の文例

弄便がみられる場合も、「便を触らないこと」そのものを目標にするのではなく、本人が排泄後の不快感を少なくし、清潔で安心して排泄できることを目標として考えます。

課題① 自分でトイレへ行き気持ちよく排泄したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

自分でトイレへ行き、排泄した後も気持ちよく過ごしたい。

ニーズの別表現|自立を重視する場合

できる排泄動作は自分で続け、難しいところだけ手伝ってほしい。

長期目標

本人が現在行える排泄動作を続けながら、清潔で快適に排泄できる。

短期目標

見守りや必要な支援を受けながらトイレで排泄し、排泄後に清潔な状態へ整えることができる。

サービス内容

本人が自分で行える移動や衣類操作等は見守り、拭き取りや衣類調整など困難な工程のみ必要な支援を行う。

課題② 便による不快感を少なくして過ごしたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

排泄後に便が残った不快な状態にならず、清潔にして気持ちよく過ごしたい。

長期目標

排泄後の不快感が少なく、皮膚や衣類の清潔を保って快適に生活できる。

短期目標

排泄後に必要な清拭や衣類交換の支援を受け、清潔な状態を保つことができる。

サービス内容

排泄後の拭き取り状態や衣類の汚れを確認し、本人の羞恥心に配慮しながら必要な清潔ケアを行う。皮膚状態についても確認する。

課題③ 排便のリズムを整え落ち着いて排泄したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

便が出なくて苦しくなったり急に排便したりせず、できるだけ落ち着いて排泄したい。

長期目標

本人に合った排便リズムが整い、身体的な負担を少なくして排泄できる。

短期目標

排便回数、便性状、排便しやすい時間帯を把握し、適切なタイミングでトイレへ行くことができる。

サービス内容

排便日、便性状、食事・水分摂取、活動状況等を確認し、本人の排便パターンを把握する。排便しやすい時間帯を活用してトイレへの声かけを行う。

課題④ 家族も排泄介護を一人で抱え込まず生活したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

家族も排泄後の清掃や対応に追われすぎず、本人と穏やかに生活したい。

長期目標

家族が排泄介護の負担を一人で抱え込まず、本人との関係を保ちながら在宅生活を継続できる。

短期目標

弄便が起こりやすい状況や本人に合った排泄支援方法を、家族・関係職種で共有することができる。

サービス内容

弄便がみられた時間、排便状況、その前後の行動、有効だった対応等を必要な範囲で共有する。家族の睡眠状況や介護負担についても確認し、支援方法を検討する。

第2表の完成イメージ

上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。

※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容
自分でトイレへ行き、排泄した後も気持ちよく過ごしたい。 現在行える排泄動作を続けながら、清潔で快適に排泄できる。 必要な支援を受けながらトイレで排泄し、清潔な状態へ整えられる。 本人が行える工程を見守り、困難な部分のみ支援する。
排泄後に便が残った不快な状態にならず、気持ちよく過ごしたい。 排泄後の不快感が少なく、皮膚や衣類の清潔を保てる。 必要な清拭や衣類交換を受け、清潔な状態を保てる。 排泄後の状態を確認し、羞恥心に配慮して清潔ケアを行う。
便秘や急な排便で困らず、落ち着いて排泄したい。 本人に合った排便リズムが整い、負担を少なくして排泄できる。 排便状況と排便しやすい時間帯を把握できる。 排便記録等からパターンを確認し、適切な時間にトイレへ誘導する。
家族も排泄介護に追われすぎず、本人と穏やかに生活したい。 家族が排泄介護を抱え込まず、在宅生活を継続できる。 本人に合った排泄支援方法を関係者で共有できる。 弄便の状況や有効だった対応を共有し、家族の負担も確認する。

認知症・弄便のケアプランで意識したいポイント

「便を触る行動」だけを見ない

本人は便を触りたいのではなく、便が皮膚や衣類に付いた不快感を自分で取り除こうとしている場合があります。その行動の目的を考えることが支援の出発点になります。

排泄動作を工程ごとに確認する

トイレへ行く、衣類を下げる、排泄する、拭く、衣類を上げる、手を洗うなど、排泄には複数の工程があります。本人がどこまで自分ででき、どの工程で混乱しているのかを確認します。

排便パターンを把握する

朝食後、夜間など一定の時間に排便が多い場合には、その少し前にトイレへ誘導することで支援しやすくなることがあります。弄便が起きた時間だけでなく、普段の排便リズムを確認します。

便秘や便性状にも目を向ける

便秘、硬便、少量ずつの排便、下痢などが排泄後の不快感につながる場合があります。排便回数だけでなく、便の状態や本人の表情、腹部症状等も確認します。

本人を叱らない

本人が自分の行動を十分に理解できていない場合、強く叱っても再発防止につながりにくく、羞恥心や不安だけを強めることがあります。まず清潔と安全を確保し、原因を考えます。

「オムツにすれば解決」と考えない

本人にトイレで排泄する能力が残っている場合には、その力を活かすことが重要です。弄便があるという理由だけで排泄方法を大きく制限するのではなく、本人が困難になっている工程を支援します。

家族の負担にも具体的に目を向ける

夜間の寝具交換、衣類の洗濯、室内清掃が繰り返されると、家族の睡眠や精神状態にも影響します。本人への支援だけでなく、家族がどの部分に最も負担を感じているのかも確認します。

文例を使うときのポイント

  • 弄便が起こる前後の排泄状況を確認する
  • 排泄動作のどの工程に支援が必要か整理する
  • 便秘や便性状を確認する
  • 排便しやすい時間帯を把握する
  • 本人が感じている不快感を考える
  • 本人を叱ったり羞恥心を傷つけたりしない
  • 残存しているトイレ動作を活かす
  • 家族の夜間対応や清掃負担にも目を向ける

まとめ

認知症のある利用者に弄便がみられる場合、「便を触らないようにすること」だけに目を向けるのではなく、排泄後の不快感や排泄動作の難しさ、便秘、排便リズムなどを具体的に確認することが重要です。

本人が現在行えるトイレ動作を活かしながら、拭き取りや衣類調整など難しくなった部分だけを補い、本人に合った排便タイミングで支援します。本人の尊厳を守りながら家族の介護負担にも目を向けることで、在宅生活を継続しやすいケアプランにつながります。

関連するケアプラン文例

  • ケアプラン文例【認知症・排泄・トイレ失敗】
  • ケアプラン文例【認知症・異食】
  • ケアプラン文例【認知症・家族介護負担・ショートステイ】

認知症のケアプラン文例一覧へ戻る

コメント

タイトルとURLをコピーしました