パーキンソン病のある利用者では、餌やりや散歩が難しくなることで、長年大切にしてきたペットとの関係まで失われたと感じることがあります。
世話を全てできるかではなく、本人が安全に担える工程、ペットの反応、家族と分担する方法を具体的に確認することが重要です。
ここでは、椅子に座って餌を計量し、庭先で愛犬へ声をかけられる力を活かし、毎朝の世話を続けたい利用者を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 椅子に座れば計量カップでドライフードをすくえる
- 低い食器台へ前かがみで置く動作は不安定
- 食器台を腰の高さに置くと両手で餌入れを移せる
- 庭先のベンチまで杖で歩き、犬へ名前を呼んで合図できる
- リードを持って屋外を歩くことは難しい
- 本人は餌やりと庭で触れ合う時間を続けたい
- 妻は散歩と排泄物処理を担当したい
本人の動作だけでなく、ペットの大きさや飛びつき、床の滑り、餌の保管、家族の役割を含めて確認してください。
※転倒やペットの飛びつき等の危険がある場合は、本人と相談して環境や役割を調整し、動物の安全にも配慮してください。
利用者像の例
- 76歳・男性・要介護2
- 妻と二人暮らし
- 退職後に迎えた小型犬と十年間暮らし、朝の餌やりを担当してきた
- 椅子に座れば計量カップでドライフードをすくえる
- 低い食器台へ前かがみで置く動作は不安定
- 食器台を腰の高さに置くと両手で餌入れを移せる
- 庭先のベンチまで杖で歩き、犬へ名前を呼んで合図できる
- リードを持って屋外を歩くことは難しい
- 本人は餌やりと庭で触れ合う時間を続けたい
- 妻は散歩と排泄物処理を担当したい
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
散歩は妻に頼むが、餌を量って名前を呼ぶことはできるので、朝の世話と触れ合いは続けたい。
家族の意向
おすすめ文例
散歩と片付けは私が行い、本人が餌を準備して犬に声をかける時間を大切にしたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は妻と暮らし、退職後から十年間共に過ごす愛犬への朝の餌やりと触れ合いを続けたいと希望している。
椅子座位で計量カップを使って餌をすくい、食器台を腰の高さにすると両手で餌入れを移せる。
杖で庭先のベンチまで歩き、犬の名前を呼んで待つ合図を出せるが、リードを持つ屋外歩行は難しい。
餌の準備と声かけは本人、散歩と排泄物処理は妻と役割を分け、飛びつきや床の滑りを防ぐ環境が必要である。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が座位で餌を準備し、愛犬へ合図する力を活かして朝の役割を続けられるよう支援する。
餌と食器台を腰の高さへ整え、犬が待つ位置を決めて本人の足元へ近づきすぎないようにする。
妻は散歩と排泄物処理を担い、本人と愛犬が安全に触れ合う時間を見守る。
第2表の文例
散歩を一人で行うことではなく、本人が安全に担える世話と触れ合いを残し、愛犬との暮らしを続けられることを目標にします。
課題① 椅子に座って愛犬の餌を準備し、朝の役割を続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
椅子に座って愛犬の餌を準備し、朝の役割を続けたい。
長期目標
本人が安全な方法で毎朝の餌やりに参加できる。
短期目標
計量カップで一食分をすくい、腰の高さの食器台へ餌入れを置ける。
サービス内容
餌、カップ、食器台を本人の手の届く高さへ置き、妻は犬を待機させて本人の動作を見守る。
課題② 庭先で愛犬に声をかけ、落ち着いて触れ合いたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
庭先で愛犬に声をかけ、落ち着いて触れ合いたい。
長期目標
本人と愛犬が安全に触れ合う時間を継続できる。
短期目標
杖でベンチまで移動し、犬へ待ての合図をして座位で触れ合える。
サービス内容
庭の動線とベンチを確認し、妻が犬を誘導して飛びつきを防ぎ、本人の合図を優先する。
課題③ 妻と世話を分担し、無理なく愛犬との生活を続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
妻と世話を分担し、無理なく愛犬との生活を続けたい。
長期目標
夫婦が役割を共有し、ペットの世話を継続できる。
短期目標
本人は餌やり、妻は散歩と排泄物処理を担当し、困りごとを伝え合える。
サービス内容
本人・妻の負担と犬の状態を定期的に確認し、役割が難しい日は互いに交代できるようにする。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 椅子に座って愛犬の餌を準備し、朝の役割を続けたい。 | 本人が安全な方法で毎朝の餌やりに参加できる。 | 計量カップで一食分をすくい、腰の高さの食器台へ餌入れを置ける。 | 餌、カップ、食器台を本人の手の届く高さへ置き、妻は犬を待機させて本人の動作を見守る。 |
| 庭先で愛犬に声をかけ、落ち着いて触れ合いたい。 | 本人と愛犬が安全に触れ合う時間を継続できる。 | 杖でベンチまで移動し、犬へ待ての合図をして座位で触れ合える。 | 庭の動線とベンチを確認し、妻が犬を誘導して飛びつきを防ぎ、本人の合図を優先する。 |
| 妻と世話を分担し、無理なく愛犬との生活を続けたい。 | 夫婦が役割を共有し、ペットの世話を継続できる。 | 本人は餌やり、妻は散歩と排泄物処理を担当し、困りごとを伝え合える。 | 本人・妻の負担と犬の状態を定期的に確認し、役割が難しい日は互いに交代できるようにする。 |
パーキンソン病・ペットの世話のケアプランで意識したいポイント
世話を工程に分ける
餌の計量、食器の設置、声かけ、散歩、片付けに分けて本人が担える部分を探します。
ペットの動きも環境要因として見る
飛びつき、足元への接近、リードの引きなど、動物側の動きも安全評価に含めます。
関係性を生活目標にする
介助動作だけでなく、名前を呼び触れ合う時間が本人に与える役割と楽しみを計画にします。
文例を使うときのポイント
- 座位でできる世話を確認する
- 餌と食器の高さを調整する
- ペットの飛びつきと床の滑りを確認する
- 散歩と片付けの分担を決める
- 本人とペットの触れ合いを残す
まとめ
ペットの世話では、本人が安全に担える工程と、家族が補う工程を具体的に分けます。
餌やりと声かけという本人の役割を残すことで、愛犬との関係と日々の楽しみを継続できる計画になります。
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