大腿骨頸部骨折後の住宅改修では、手すりを多く設置するのではなく、本人がどこで何をする時に支えが必要かを確認することが重要です。
本記事では、トイレと玄関の動作を実地評価し、本人が使いやすい位置へ手すりを設置する事例を紹介します。
ここでは、本人不在で工事内容を決めず、試用や動作確認を通じて合意します。を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 妻は廊下全体への手すり設置を希望している。
設置場所を家族の希望だけで決めず、本人の利き手、動線、足の運び、家具配置、夜間利用を実地で確認する。
住宅改修は制度上の手続きと事前申請等を確認し、工事前にケアマネジャー、施工者、専門職で必要性と位置を調整する。
利用者像の例
- 81歳男性。屋内は杖歩行で、トイレの立ち座りと玄関段差で壁へ手をつくことがある。
- 右手で支持する習慣があり、左側だけの手すりは使いにくいと話している。
- 本人は家の見た目を大きく変えたくないが、安全にトイレと外出を続けたい。
- 妻は廊下全体への手すり設置を希望している。
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
必要な場所には付けたいが、家中を変えたくはない。実際に握って位置を決めたい。
家族の意向
おすすめ文例
安全を優先したい。本人が使いやすい場所を専門職に見てもらいたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は杖歩行が可能で、支持が必要な場面と使いやすい手を具体的に伝えられる。
トイレと玄関で不安定になる一方、家の外観を保ちたい本人と広範囲な設置を望む妻に意見差がある。
動作が不安定な場面を絞り、仮設手すり等で位置を試し、本人が納得する改修内容を決める必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人の生活動線と希望を中心に、必要な場所を実地評価する。福祉用具専門相談員、リハビリ職、施工者等が高さと位置を確認する。制度手続きを確認し、工事前後に本人が実際に使用して調整する。
別の表現|短めにまとめたい場合
本人の生活動線と希望を中心に多職種で手すりの位置と高さを実地評価し、工事前後に本人の使用状況を確認して調整する。
第2表の文例
本人の動作と住まいへの思いを踏まえ、必要な場所へ適切な手すりを整える。
課題① トイレで自分の力を使って立ち座りしたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
トイレで自分の力を使って立ち座りしたい。
長期目標
使いやすい手すりを活用し、安全に排泄動作を行える。
短期目標
仮設手すりで位置を試し、右手で支持して立ち上がれる。
サービス内容
専門職が便座高、手の位置、立ち上がりを評価し、本人と設置位置を決める。
課題② 玄関の段差を安全に越えて外出したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
玄関の段差を安全に越えて外出したい。
長期目標
玄関手すり等を使い、必要な見守りで出入りできる。
短期目標
実地で確認した手順で玄関段差を昇降できる。
サービス内容
専門職と施工者は段差、足元空間、扉、手すり位置を確認する。
課題③ 住み慣れた家の雰囲気も大切にしたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
住み慣れた家の雰囲気も大切にしたい。
長期目標
本人が納得した範囲とデザインで住宅改修を行える。
短期目標
複数案を見て本人が希望する手すりを選べる。
サービス内容
家族と支援者は本人へ直接説明し、返答を待って工事内容を合意する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| トイレで自分の力を使って立ち座りしたい。 | 使いやすい手すりを活用し、安全に排泄動作を行える。 | 仮設手すりで位置を試し、右手で支持して立ち上がれる。 | 専門職が便座高、手の位置、立ち上がりを評価し、本人と設置位置を決める。 |
| 玄関の段差を安全に越えて外出したい。 | 玄関手すり等を使い、必要な見守りで出入りできる。 | 実地で確認した手順で玄関段差を昇降できる。 | 専門職と施工者は段差、足元空間、扉、手すり位置を確認する。 |
| 住み慣れた家の雰囲気も大切にしたい。 | 本人が納得した範囲とデザインで住宅改修を行える。 | 複数案を見て本人が希望する手すりを選べる。 | 家族と支援者は本人へ直接説明し、返答を待って工事内容を合意する。 |
住宅改修・手すりのポイント
動作から位置を決める
一般的な高さで決めず、本人の手と足の位置を確認する。
仮設で試す
可能な範囲で試用品を使い、工事前に使用感を確かめる。
本人の住まいへの思いを尊重する
安全と見た目の希望を両方聞き、必要範囲を合意する。
文例を使うときのポイント
- 制度の事前申請と必要書類を保険者へ確認する。
- 施工前後の動作を同じ条件で確認する。
- 状態変化時には手すりが妨げになっていないか見直す。
まとめ
住宅改修は設備を増やすことではなく、本人の生活動作を支えるために行います。
実地評価と本人の試用を重ね、使える位置と納得できる範囲を決めます。
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