入院や長期間の活動量低下などによって廃用症候群がみられる利用者では、筋力や持久力の低下により、立ち上がり、歩行、入浴、家事などの日常生活動作が以前より難しくなることがあります。個別機能訓練計画書では、単に体力をつけることを目的にせず、本人が再び行いたい生活や役割を確認し、それに必要な身体機能や動作能力を段階的に取り戻す視点が重要です。この記事では、廃用症候群・体力低下がみられる利用者を想定した長期目標・短期目標・訓練内容・評価の文例を紹介します。
廃用症候群・体力低下の個別機能訓練計画書を作成するポイント
廃用症候群では、筋力低下だけでなく、持久力低下、立位時間の短縮、歩行量の減少などが生活全体に影響することがあります。計画書では、入院前や活動量が低下する前の生活と現在の状態を比較し、本人がどの生活動作を再び行いたいのかを確認します。急に訓練量を増やすのではなく、疲労や体調を確認しながら段階的に活動量を増やし、実際の在宅生活につなげることが大切です。
利用者像の例
- ・要介護2
- ・夫と二人暮らし
- ・肺炎による入院後に体力が低下している
- ・入院前は屋内歩行自立
- ・現在は杖を使用し、長距離では見守りが必要
- ・椅子からの立ち上がりに時間がかかる
- ・少し動くと疲れやすく、日中に座って過ごす時間が増えている
- ・本人は再び自宅の洗濯や簡単な家事を行いたいと希望している
本人の希望・生活上の課題
入院してから疲れやすくなったが、少しずつ体力を戻して、また洗濯や身の回りのことを自分で行いたい。
入院後の活動量低下により下肢筋力と持久力が低下し、立ち上がりや歩行、家事を長時間続けることが難しくなっている。
長期目標の文例
体力と移動能力を回復・維持し、自宅で必要な日常生活動作を自分で行うことができる。
活動と休息を調整しながら、洗濯や簡単な家事など家庭内での役割を再開できる。
日中の活動量を維持し、外出や在宅生活を安定して継続できる。
短期目標の文例
椅子から安定して立ち上がり、必要な場所まで安全に移動できる。
休憩を取りながら歩行や運動を継続し、日常生活に必要な体力を維持できる。
日中に立位や歩行などの活動機会を確保し、座って過ごす時間を減らすことができる。
個別機能訓練の内容
椅子からの立ち上がり動作を反復し、日常生活に必要な下肢筋力と動作能力の維持・向上を図る。
立位保持や重心移動練習を行い、歩行や家事に必要なバランス能力の維持を図る。
本人の体力に合わせて歩行練習を行い、徐々に活動時間や移動量を増やして持久力の維持・向上を図る。
物品運搬や立位での簡単な作業など生活場面を想定した活動を取り入れ、家事動作の再獲得につなげる。
訓練実施時の留意点
疲労、息切れ、疼痛、ふらつきなどを確認し、本人の体調に合わせて訓練量と休憩時間を調整する。
体力低下がある時期に過度な負荷をかけないよう、本人の反応を確認しながら段階的に活動量を増やす。
評価・モニタリングの文例
立ち上がり動作が円滑となり、杖を使用した歩行も安定している。日中の活動時間も増えているため、疲労状態を確認しながら歩行と生活動作訓練を継続する。
休憩を取りながら継続して活動できる時間が延びており、自宅でも簡単な家事を再開している。生活場面での活動量を維持できるよう訓練を継続する。
体力に大きな変化はみられないが、自宅内歩行と身の回りの動作は維持できている。再度の活動量低下を予防するため、現在の訓練内容を継続する。
廃用症候群・体力低下の個別機能訓練で意識したいこと
廃用症候群に対する個別機能訓練では、筋力や体力の数値だけを改善することを目的にするのではなく、本人の生活を再び組み立てる視点が重要です。洗濯をする、食事の準備をする、近所へ出かけるなど本人が再開したい活動を確認し、それに必要な立ち上がり、歩行、立位保持、持久力などを訓練内容につなげます。また、疲労が強い状態で無理に活動量を増やすことを避け、本人の回復状況に合わせて段階的に進めることが大切です。
まとめ
廃用症候群・体力低下がみられる利用者の個別機能訓練計画書では、筋力や持久力だけでなく、本人が入院前や活動量低下前に行っていた生活を把握することが重要です。本人が再び行いたい家事や外出から目標を設定し、立ち上がり、バランス、歩行、持久力など必要な訓練につなげることで、在宅生活の再構築を支える個別機能訓練計画書になります。


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