デイサービス、デイケア、介護施設、ご自宅で使える高齢者向け脳トレプリント5種類を無料で掲載しています。
今回の資料11〜15は、机上の問題だけでなく、買い物、予定管理、時間、お金、昔の暮らしといった実生活に近い場面を取り入れています。答えを当てることだけを目的にせず、考える・選ぶ・思い出す・説明する・会話する過程を大切にした内容です。
課題を通して、注意の切り替え、ワーキングメモリ、視覚探索、予定管理、時間処理、生活判断、優先順位、意思決定、遠隔記憶、語想起、自己表現、社会的交流などを意識できます。ただし、正解数だけで利用者さんの力を評価するための資料ではありません。どの方法なら参加しやすいか、どのような話題に関心が向くかを見るきっかけとしてご活用ください。
※本資料は認知症の治療や改善・予防効果を保証するものではありません。日中活動、認知刺激、会話、意思表出、参加機会をつくるための資料として使用することを想定しています。
考える・選ぶ・思い出す脳トレの考え方
日常生活では、記憶や計算だけでなく、状況に応じて注意を切り替え、必要な情報を一時的に覚え、予定や予算を見ながら判断する力を組み合わせています。また、昔の経験を思い出して話すことは、本人らしさや生活歴を周囲と共有する機会にもなります。
今回のプリントでは、同じ「脳トレ」でも課題の目的に合わせて紙面の作り方を変えています。文字や数字に注意を向けたい課題ではイラストを控え、物品を認識しやすくしたい課題では小さなイラストを補助として使い、回想や会話を促したい課題ではイラストを積極的な手がかりとして使っています。
見た目を華やかにするためではなく、課題への参加や理解を助けるために、必要な場所へ必要な量のイラストを置くことを大切にしています。
今回掲載する高齢者向け無料プリント5種類
11.ルールを切り替えて考える
数字や言葉について、途中でルールを変更しながら取り組む課題です。最初の問題で使った考え方をいったん止め、新しいルールを確認してから次の問題へ進みます。
主に意識する認知機能:注意の切り替え、選択性注意、ルール保持
生活の中でも、「電話が鳴ったので作業を中断する」「予定変更に合わせて行動を変える」「説明を聞き、今必要な手順に戻る」といった場面があります。この課題は、速さを競うのではなく、「今はどのルールなのか」を確認しながら考えることを重視しています。
イラストを控えている理由:数字や文字そのものへ注意を向け、途中でルールが変わったことに気づきやすくするため、紙面にイラストを増やしていません。余分な情報を減らし、確認すべきルールを見つけやすくしています。
職員さんへのポイント:前のルールで答え続けた場合も、すぐに「間違い」と伝えるだけではなく、「ここからルールが変わりました。今は何を探しますか」と一緒に確認してください。切り替えられるまでの時間や、どの声かけが分かりやすかったかも見ていきます。
難しい場合:一段ずつ提示する、ルールをその都度読み上げる、職員と一緒に指差して確認する方法があります。ルール文を見える位置に残し、答える前に読み直しても構いません。
12.買い物メモを覚えて探す
最初に「牛乳・バナナ・せっけん」の買い物メモを覚え、その後、売り場の中から商品を探します。続いて、商品の合計金額や支払った後のおつりを考える課題です。
主に意識する認知機能:ワーキングメモリ、視覚探索、遅延再生、生活計算
買い物では、必要な物を覚え、売り場から目的の商品を探し、金額を確認して支払うという複数の工程があります。このプリントも、単に単語を覚える課題や計算ドリルで終わらず、一連の買い物場面として取り組めるようにしています。
イラストを使った理由:覚える段階は文字だけで提示し、記銘する情報を明確にしています。一方、探す段階では小さな商品イラストを手がかりとして使います。イラストは答えを示すためではなく、商品を理解しやすくし、売り場を探す活動へ参加しやすくするための視覚的な補助です。
職員さんへのポイント:思い出せない場合は、「飲み物が一つありました」「果物がありました」などカテゴリーのヒントを段階的に出してください。自力で三つすべて思い出せたかだけでなく、どの程度の手がかりがあれば商品を探せたかも大切です。
難しい場合:覚える品物を二つに減らす、買い物メモを途中でもう一度見られるようにする、探す範囲を小さくする方法があります。計算では暗算にこだわらず、数字を書き出したり筆算を使ったりして構いません。
13.1日の予定を整理する
1日の予定表を見ながら、次の予定、空き時間、終了時刻、予定変更などを考える課題です。時刻を読み取り、予定の順序や時間の間隔を確認します。
主に意識する認知機能:予定管理、時間処理、順序立て、判断
実生活でも、「何時に家を出るか」「次の予定まで何分あるか」「二つの予定が重ならないか」を考える場面があります。予定表の情報を生活行動へつなげる視点を意識した課題です。
イラストを使った理由:予定表には小さなイラストを添え、通院や食事など予定の内容を理解しやすくしています。ただし、時刻や順番そのものを考える部分は文字と数字が中心です。イラストだけを見て答えるのではなく、予定表を読むための補助として使います。
職員さんへのポイント:正解を急がせず、予定表のどこを見ているかを確認してください。「今の予定の次はどれですか」「開始時刻と終了時刻に印をつけてみましょう」と、情報の見つけ方を一緒に整理します。
難しい場合:午前と午後を分けて提示する、確認する予定を一つに絞る、時計の模型や実際の時計を一緒に見る方法があります。予定変更の問題は、変更前と変更後を色や線で区別すると分かりやすくなります。
14.予算の中で買い物を考える
予算1,000円の中で、主菜、野菜、その他の商品を選び、合計金額や残金を考える課題です。何を買うか、何を優先するか、残ったお金をどう使うかまで考えます。
主に意識する認知機能:生活判断、計算、優先順位、意思決定
これは、決められた式を解くだけの計算問題ではありません。限られた予算の中で商品を選び、自分なりの理由を説明する生活場面型の課題です。「正しい献立を当てる」ことを目的としていません。
イラストを使った理由:商品イラストは、商品名や価格の情報を理解しやすくする補助として使っています。見た目で答えを決めるためではなく、品物を認識し、選択肢を比較しやすくすることが目的です。
職員さんへのポイント:本人の選び方が職員の考える献立と違っていても、すぐに修正せず、「なぜそれを選びましたか」「普段は何をよく買いますか」と理由を聞いてください。好み、生活経験、家族構成、食習慣、価値観を尊重します。
難しい場合:商品数を減らす、最初に主菜だけを選ぶ、価格を一つずつ書き出す、電卓を使う方法があります。計算が難しい場合でも、食べたい物を指差して選ぶ、二つの商品を比較するなど参加方法を調整できます。
15.昔の暮らしを思い出して話す
ちゃぶ台、ラジオ、井戸、洗濯板、こたつ、黒電話など、昔の生活道具を手がかりに、過去の経験や暮らしについて話す課題です。
主に意識する認知機能:遠隔記憶、語想起、自己表現、社会的交流
この課題は、物の名前を正確に答えられるか、昔の出来事を思い出せるかをテストするものではありません。道具をきっかけに、昔よく使った物、季節の思い出、誰と過ごしたか、音や匂い、今も続いている習慣へ会話を広げます。
イラストを使った理由:昔の生活道具を視覚的に示すことで、回想や会話の手がかりとして積極的に使えるようにしています。イラストは正解を教えるためではなく、本人が話しやすい記憶や感情へ近づくきっかけです。
職員さんへのポイント:「これは何ですか」と名称だけを尋ね続けず、「どんな場面で使いましたか」「誰と一緒にいましたか」「どんな音がしましたか」など、答えを限定しない聞き方をします。本人が話したくない内容や、つらい記憶を無理に聞き出さないことも重要です。
難しい場合:一度に見せるイラストを一つにする、二つの選択肢から知っている物を選んでもらう、職員が自分の経験を少し話してきっかけをつくる方法があります。言葉が出にくい場合は、指差し、表情、うなずきも大切な反応として受け止めます。
無料PDF
用途に合わせて、利用者用、職員向け解説・答え、両方をまとめた完全版を用意しています。いずれもA4で印刷して使えるPDFです。
利用者用プリント11〜15
A4・印刷用PDF。ルール切り替え、買い物メモ、予定管理、予算内の買い物、昔の暮らしの5種類を収録しています。
職員向け解説・答え
A4・印刷用PDF。各課題の見方、答え、声かけ、難易度調整の考え方を職員向けにまとめています。
利用者用+職員向け完全版
A4・印刷用PDF。利用者用プリント11〜15と職員向け解説・答えを一つにまとめています。
イラストは課題の目的に合わせて使っています
脳トレだからといって、すべての紙面にイラストを増やせば取り組みやすくなるとは限りません。情報が多いことで、確認すべき文字や数字へ注意を向けにくくなる場合もあります。
- 文字や数字に注意を向けたい課題では、イラストを控える
- 物品を認識しやすくしたい課題では、小さなイラストを補助として使う
- 回想や会話を促したい課題では、イラストを積極的な手がかりとして使う
介護文例ナビでは、見た目を華やかにするためではなく、課題への参加や理解を助ける目的でイラストを使用しています。
難しすぎるときの調整方法
課題が難しいときは、できないと判断する前に、提示方法や支援量を調整します。
- 問題数を減らす
- 1問ずつ提示する
- 一度に見る範囲を小さくする
- 選択肢を減らす
- 職員が読み上げる
- イラストを手がかりとして使う
- 最初の1問を一緒に行う
- カテゴリーのヒントを出す
- 指差しで回答できるようにする
- 疲れたら休憩する
同じ方でも、体調、時間帯、周囲の音、座る位置によって取り組みやすさは変わります。難易度を下げることは能力を低く見ることではありません。「できる問題を探す」のではなく「できる方法を探す」という視点を大切にしてください。
生活場面に近い脳トレを取り入れる理由
今回の課題には、買い物、予定管理、時間、お金、昔の暮らし、会話など、実生活と関連する内容が含まれています。本人が経験してきた生活や、現在も行っている活動と結びつけることで、「問題を解く時間」だけではなく、自分の考えや好みを表す参加の機会にできます。
例えば買い物課題では、合計金額だけでなく、いつも何を買うか、何を優先するかという話へ広げられます。予定表では、通院や外出の準備方法を考えられます。回想課題では、昔の暮らしから本人の役割や大切にしてきたことを知るきっかけになります。
ただし、プリントの結果だけで日常生活能力を判断したり、認知症の改善や予防と結びつけたりすることはできません。本人の体調、生活状況、興味・関心を踏まえ、日中活動や会話の一つとしてご利用ください。
介護文例ナビの脳トレ資料について
介護文例ナビでは、高齢者を子ども扱いせず、子ども向け教材のように見えない落ち着いた資料を目指しています。文字は大きく太くして読みやすくし、色は課題の邪魔をしない程度に使用します。イラストも、課題上の目的がある場合にだけ取り入れます。
学歴や計算能力だけに依存せず、軽度から重度まで参加方法を調整できること、職員にも課題の目的が分かること、単なる暇つぶしプリントにしないことを大切にしています。介護・リハビリテーションの視点から、本人の力、生活経験、意思表出を活動へつなげます。
利用者用プリントには認知症の病名を直接表示しません。診断名を前面に出すのではなく、一つの活動として自然に参加できることを優先しています。
関連ページ
- 高齢者向け脳トレ無料プリント5選|注意・記憶・ワーキングメモリを意識した介護現場向け課題
- 生活場面で考える高齢者向け脳トレ|外出準備・図形・ことば・生活計算の無料プリント
- 介護現場で使える資料集
- 脳トレ・レクの記事一覧
※本記事と掲載資料は、医師による診断・治療や、所属事業所で定められた評価方法を置き換えるものではありません。利用者さんの体調や生活状況に合わせてご活用ください。


コメント