歩行時のふらつきや下肢筋力の低下がある方では、自宅だけでなく、環境の異なるショートステイ利用時にも転倒への配慮が必要です。しかし、転倒を心配するあまり移動や活動を過度に制限すると、身体機能や生活への意欲が低下し、かえって転倒リスクが高くなることもあります。
ショートステイを利用する際には、本人が普段どのように移動しているのか、どの場面で見守りや介助が必要なのかを具体的に共有し、安全確保と自立支援を両立させることが重要です。ここでは、転倒リスクがありながらも自分で歩く生活を続けたい方を想定し、ショートステイを活用した居宅サービス計画書第1表・第2表の文例を紹介します。
この文例が参考になるケース
- 歩行時にふらつきがみられる
- 杖や歩行器、手すり等を使用している
- 立ち上がりや方向転換時に不安定になることがある
- 過去に転倒した経験がある
- 本人はできるだけ自分で歩きたいと希望している
- 家族が転倒を心配している
- 環境が変わると移動が不安定になりやすい
- ショートステイ利用時にも現在の移動能力を維持したい
- 福祉用具やリハビリテーションとの連携が必要
※文例はそのまま使用するのではなく、本人の歩行能力、転倒歴、ADL、使用している福祉用具、住宅環境、認知機能、本人・家族の意向などに合わせて調整してください。
想定する利用者像
自宅では杖や手すりを使用して屋内を移動している。平坦な場所であれば自分で歩くことができるが、立ち上がり直後や方向転換時にはふらつきがみられ、疲労時には足が上がりにくくなることがある。過去に自宅内で転倒した経験があり、家族は再転倒を心配している。
本人は「歩けるうちは自分で歩きたい」と希望しており、必要以上に介助されることには抵抗感がある。家族も本人の気持ちを尊重したいと考えているが、ショートステイでは自宅と環境が異なるため安全面を心配している。本人の移動能力を維持しながら安全に利用できるよう、介助方法や福祉用具の使用状況を事業所と共有することを検討している。
利用者及び家族の生活に対する意向
本人の意向
おすすめ文例
転ばないよう気を付けながら、できるだけ自分の足で歩きたい。時間がかかっても、自分でできることはこれからも続けたい。
別の表現
歩く力をできるだけ保ち、家でもショートステイでも自分で移動できる生活を続けたい。危ないときには必要な手助けをしてほしい。
家族の意向
おすすめ文例
本人の自分で歩きたいという気持ちは大切にしたいが、転倒して骨折することが心配である。本人の歩く力を生かしながら、安全に移動できるよう支援してほしい。
別の表現
歩く機会をなくしてほしくないが、環境が変わると転倒しないか心配である。自宅での歩き方や介助方法を共有し、安全にショートステイを利用できるようにしてほしい。
居宅サービス計画書 第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
以上の利用者及び家族の意向を踏まえ、本人には現在の歩行能力を維持し、自分で移動する生活を続けたいという強い希望がある。杖や手すりを使用することで屋内移動は概ね行えている一方、立ち上がり、方向転換、疲労時等にはふらつきがみられ、過去に転倒した経験もあることから、安全面への配慮が必要である。転倒予防のために活動を過度に制限することは、下肢筋力やバランス能力、活動量の低下につながる可能性があるため、本人が有している移動能力を生かしながら、安全に移動できる環境や見守り方法を整える必要がある。ショートステイ利用時には、自宅で使用している福祉用具、介助方法、ふらつきが生じやすい場面等を共有し、本人の能力に応じた支援を行いながら、転倒予防と生活機能の維持を両立していくことが課題である。
別の表現
以上の利用者及び家族の意向を踏まえ、本人は杖や手すり等を活用しながら、自分自身で移動する生活を続けたいと考えている。一方、下肢筋力やバランス能力の低下がみられ、特に立ち上がり直後や方向転換時には転倒の危険性が高まっている。家族は転倒を心配しているが、本人の活動を制限しすぎることで身体機能が低下することも避ける必要がある。本人が安全に歩行できる環境を整え、必要な場面では適切な見守りや介助を行うとともに、福祉用具やリハビリテーション等も活用しながら現在の移動能力を維持する必要がある。ショートステイにおいても自宅での支援方法を共有し、本人の能力を生かした一貫した支援を行うことが求められる。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人の「できるだけ自分で歩きたい」という希望を支援の中心に置き、転倒を予防しながら現在の移動能力を維持できるよう支援する。本人が自ら行える立ち上がりや歩行については必要以上に介助せず、本人の身体状況や疲労の程度を確認しながら見守りや必要最小限の介助を行う。自宅で使用している杖、歩行器、手すり等の福祉用具について使用方法や適合状況を確認し、ショートステイ利用時にも可能な限り同様の移動方法を継続できるよう情報共有する。立ち上がり直後、方向転換、夜間の移動、排泄時等、転倒しやすい場面を具体的に把握し、居室内の動線、床面、照明、履物、ベッド周囲等の環境を整える。日中は本人の体調に合わせて歩行や立位、活動参加の機会を確保し、過度な安静による筋力や活動性の低下を防ぐ。転倒やヒヤリハットが生じた場合には状況を分析し、身体機能、環境、福祉用具、介助方法等を再評価する。必要に応じてリハビリ職や福祉用具専門相談員等とも連携し、本人の状態に応じた支援方法を検討しながら、安全性と自立性を両立した生活を継続できるよう支援する。
別の表現
本人が転倒への不安だけで活動を控えることなく、自分で移動できる生活を続けられるよう支援する。転倒リスクについては本人の歩行能力のみで判断せず、疲労、服薬、排泄状況、認知機能、履物、福祉用具、周囲の環境等を含めて総合的に確認する。ショートステイ利用時には、自宅での歩行方法や普段必要としている見守りの程度、本人が安心して移動できる声かけ等を共有する。本人が行える動作については時間を確保して見守り、安全確保を理由に必要以上の介助を行わないよう配慮する。一方、体調不良時やふらつきが強い場合には無理をせず適切な介助を行う。利用中の歩行状態や転倒リスクの変化について家族や関係職種と共有し、必要に応じて福祉用具や訓練内容、生活環境を見直すことで、本人が安心して活動を続けられる環境を整える。
居宅サービス計画書 第2表の文例
ニーズ1
ニーズ
転ばないよう気を付けながら、これからも自分で歩く生活を続けたい。
長期目標
安全に配慮しながら現在の歩行能力を維持し、必要な場所へ自分で移動できる。
短期目標
杖や手すり等を使用し、必要な見守りを受けながら安全に移動できる。
サービス内容
本人の歩行状態や疲労の程度を確認し、杖や手すり等を活用しながら移動できるよう支援する。必要な場面では見守りや介助を行う。
ニーズ2
ニーズ
歩く力や立ち上がる力をできるだけ維持したい。
長期目標
下肢筋力やバランス能力を維持し、日常生活で必要な移動動作を継続できる。
短期目標
ショートステイ利用中も、体調に合わせて立ち上がりや歩行等の活動を継続できる。
サービス内容
本人の体調や身体能力に合わせて、日常生活の中で立位や歩行、移動の機会を確保する。過度な安静を避け、活動性の維持につなげる。
ニーズ3
ニーズ
ショートステイでも転倒を心配しすぎず、安心して移動したい。
長期目標
環境が変わっても安全な移動方法を確保し、安心してショートステイを利用できる。
短期目標
居室やトイレ等の移動経路を把握し、安全に移動できる環境で過ごすことができる。
サービス内容
利用開始時に居室、トイレ、食堂等の動線を確認し、床面や照明、手すり等の環境を整える。本人が分かりやすい方法で移動場所を案内する。
ニーズ4
ニーズ
自分に合った杖や福祉用具を使い、安全に生活したい。
長期目標
身体状況に合った福祉用具を使用し、安全かつ負担の少ない移動を継続できる。
短期目標
現在使用している杖や歩行補助具を正しく使用し、安全に移動できる。
サービス内容
福祉用具の使用状況や身体への適合を確認し、自宅とショートステイで安全な使用方法を共有する。身体状況の変化がみられた場合には、福祉用具専門相談員やリハビリ職等と連携して見直す。
第2表の完成イメージ
| ニーズ | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 転ばないよう気を付けながら、これからも自分で歩く生活を続けたい。 | 安全に配慮しながら現在の歩行能力を維持し、必要な場所へ自分で移動できる。 | 杖や手すり等を使用し、必要な見守りを受けながら安全に移動できる。 | 歩行状態や疲労の程度を確認し、杖や手すり等を活用しながら移動できるよう支援する。 |
| 歩く力や立ち上がる力をできるだけ維持したい。 | 下肢筋力やバランス能力を維持し、日常生活で必要な移動動作を継続できる。 | ショートステイ利用中も、体調に合わせて立ち上がりや歩行等の活動を継続できる。 | 日常生活の中で立位や歩行、移動の機会を確保し、過度な安静を避ける。 |
| ショートステイでも転倒を心配しすぎず、安心して移動したい。 | 環境が変わっても安全な移動方法を確保し、安心してショートステイを利用できる。 | 居室やトイレ等の移動経路を把握し、安全に移動できる環境で過ごすことができる。 | 居室、トイレ、食堂等の動線を確認し、床面、照明、手すり等の環境を整える。 |
| 自分に合った杖や福祉用具を使い、安全に生活したい。 | 身体状況に合った福祉用具を使用し、安全かつ負担の少ない移動を継続できる。 | 現在使用している杖や歩行補助具を正しく使用し、安全に移動できる。 | 福祉用具の適合や使用状況を確認し、必要に応じて福祉用具専門相談員やリハビリ職等と連携して見直す。 |
ケアプラン作成時のポイント
転倒リスクがある方のケアプランでは、「転倒しないこと」だけを目標にすると、本人の活動を必要以上に制限する計画になりやすいため注意が必要です。本人が現在どの程度歩けるのか、どの場面で不安定になるのかを具体的に把握し、安全性と自立支援の両方を計画に反映します。
ショートステイでは自宅と環境が異なるため、普段は問題なく歩いている方でも転倒リスクが高まることがあります。自宅での移動方法や使用している福祉用具、見守りが必要な場面を具体的に共有することが重要です。
文例を使うときのポイント
「ふらつきがある」という情報だけでは十分ではありません。立ち上がり時、方向転換、夜間、トイレ移動、疲労時など、どのような条件で不安定になるのかを確認して文例を調整します。
転倒が生じた場合も、本人の身体機能だけを原因とせず、環境、履物、福祉用具、薬剤、排泄、認知機能などを含めて評価します。本人のできることを維持しながら危険を減らすという視点が重要です。
まとめ
転倒リスクがある方のショートステイ利用では、安全確保を理由に本人の活動を制限するのではなく、本人が有している歩行能力を生かしながら転倒につながる要因を減らしていくことが重要です。
自宅での移動方法、福祉用具、介助方法をショートステイと共有し、本人の身体状態や環境の変化に応じて支援内容を調整することで、安全性と自立性の両立した生活につなげます。


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