ケアプラン文例【認知症・受診拒否】|病院に行きたがらない場合の第1表・第2表の記入例

認知症のある利用者では、家族が病院受診を勧めても「どこも悪くない」「病院には行かない」と拒むことがあります。本人が受診の必要性を理解しにくい場合だけでなく、病院への不安、長い待ち時間、過去の嫌な経験、自分で生活を決めたいという思いなどが背景にあることもあります。

ここでは、持病の定期受診が必要であるものの、「病院には行かない」と話し、家族が対応に困っている認知症の利用者を例に、本人の気持ちを尊重しながら必要な健康管理につなげる第1表・第2表のケアプラン文例を紹介します。

この記事が参考になるケース

  • 家族が病院受診を勧めても拒否する
  • 「自分はどこも悪くない」と話す
  • 予約日になっても外出しようとしない
  • 受診の説明を繰り返すと怒ることがある
  • 病院の待ち時間や環境を嫌がる
  • 持病の定期的な健康管理が必要である
  • 家族が本人を病院へ連れて行くことに疲れている

担当ケースに近い部分を選び、本人が受診を嫌がる理由、持病、体調、医療機関との関係、家族状況などに合わせて調整してください。

※急な体調悪化や強い症状がみられる場合は、通常の定期受診への拒否とは分けて考え、必要に応じて医療職等へ相談してください。

利用者像の例

  • 83歳・男性・要介護1
  • 妻と二人暮らし
  • アルツハイマー型認知症
  • 高血圧症があり定期通院している
  • 屋内歩行、食事、排泄、更衣は概ね自立
  • 服薬は妻が準備している
  • 本人は体調不良の自覚が乏しく「病院に行く必要はない」と話す
  • 受診日を前日から何度も説明すると不機嫌になることがある
  • 以前から病院で長く待つことを嫌っていた
  • 午前中の早い時間帯は比較的外出を受け入れやすい
  • 長年通っているかかりつけ医には馴染みがある
  • 妻は受診のたびに本人を説得することに疲れを感じている
  • 通所介護週2回利用

本人・家族の意向の文例

本人の意向

おすすめ文例|受診の必要性を感じていない場合

自分では特に具合が悪いとは感じていない。病院で長く待つのは嫌なので、必要なときだけ受診したい。

別の表現①|自分で決めたい場合

病院へ行くかどうかも、自分に分かるように説明してから決めたい。何も聞かずに連れて行かれるのは嫌だ。

別の表現②|健康への思いを引き出す場合

できるだけ元気に家で暮らしたいので、必要な健康確認なら分かるように説明してほしい。

家族の意向

おすすめ文例|健康管理を続けたい場合

本人は病院を嫌がるが、体調を崩してからでは心配なので必要な診察は続けてほしい。無理に説得して怒らせるのではなく、本人が受け入れやすい方法を考えたい。

別の表現|家族負担が強い場合

受診のたびに何度も説明したり説得したりすることに疲れている。家族だけで抱え込まず、本人が受診しやすい方法を関係者と共有したい。

第1表の文例

利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果

おすすめ文例

本人は基本的な生活動作を概ね自立して行い、自宅で妻とこれまで通り生活したいと希望している。高血圧症のため定期的に医療機関を受診しているが、本人には体調不良の自覚が乏しく、「どこも悪くないから病院へ行く必要はない」と受診を拒むことがある。また、以前から病院で長時間待つことを好まず、何度も受診について説明されることで不機嫌になる場面がみられる。一方、長年通っている医療機関や医師には馴染みがあり、午前中の早い時間帯では比較的外出を受け入れやすい。本人の受診拒否を一方的な問題行動として捉えず、病院に対する負担感や本人の自己決定を大切にしながら、受診しやすい時間や説明方法を調整し、必要な健康管理を継続する支援が必要である。

別の表現|家族負担も重視する場合

本人は定期受診の必要性を十分に理解することが難しく、妻が受診を勧めると「行かない」と強く拒むことがある。妻は受診のたびに本人を説得しなければならないことに精神的負担を感じている。本人が受診しやすかった時間帯や声かけ、馴染みの医療機関との関係を活かし、本人の不安や負担を少なくして健康管理につながる方法を検討する必要がある。また、受診状況や体調変化を介護サービスと共有し、妻だけが健康管理を抱え込まない支援体制を整える必要がある。

総合的な援助の方針

おすすめ文例

本人が自宅で元気に生活を続けたいという思いを大切にし、必要な健康管理について本人に分かりやすく説明する。受診を拒否した場合には無理に説得を続けず、本人が落ち着いている時間帯や受け入れやすい声かけを確認する。馴染みのある医療機関との関係を活かし、可能な範囲で本人の負担が少ない受診方法を検討する。日頃の血圧、食事、服薬、体調等の変化を家族・介護サービス・医療職で必要に応じて共有し、本人が必要な医療につながりながら安心して在宅生活を継続できるよう支援する。

別の表現|短めにまとめたい場合

本人の受診に対する思いや負担感を確認し、無理な説得を避けながら本人が受け入れやすい時間や方法で必要な健康管理につなげる。家族・介護サービス・医療職で体調や受診状況を共有し、本人と家族双方の負担に配慮する。

第2表の文例

受診拒否がある場合も、「病院へ行くこと」自体を生活目標にするのではなく、本人が健康状態を保ち、住み慣れた自宅で生活を続けるために必要な健康管理を受けられることを目標として考えます。

課題① 元気な状態を保ちながら自宅で暮らしたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

体調を大きく崩すことなく、妻と一緒に今の家で元気に暮らしたい。

ニーズの別表現|本人の希望を強くする場合

できるだけ病気で生活が制限されず、これまで通り自分のことを自分で行って暮らしたい。

長期目標

必要な健康管理を受けながら体調を安定させ、現在の生活機能を保って在宅生活を継続できる。

短期目標

日頃の体調や生活状況を確認してもらい、体調の変化があった際に必要な支援につながることができる。

サービス内容

日常の体調、食事、活動、服薬状況等を確認し、普段と異なる変化がみられた場合には家族・関係職種で情報を共有する。必要に応じて医療職への相談につなげる。

課題② 納得できる方法で必要な健康確認を受けたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

何のために病院へ行くのか分かるように説明してもらい、納得したうえで必要な健康確認を受けたい。

長期目標

本人の負担が少ない方法で必要な受診や健康確認につながり、持病の管理を継続できる。

短期目標

本人が受け入れやすい時間帯や声かけを活用し、必要な受診について本人の意思を確認することができる。

サービス内容

本人が落ち着いている時間帯に、受診の目的を短く分かりやすく説明する。拒否が強い際には説得を繰り返さず、時間を置くなど本人の反応に合わせて対応する。

課題③ 病院での負担を少なくして安心して受診したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

長く待ったり不安になったりせず、馴染みのある病院で安心して診てもらいたい。

長期目標

本人が安心できる環境や支援のもとで、必要な医療機関との関係を継続できる。

短期目標

馴染みのある医療機関や付き添い者とともに、本人の負担を抑えて受診することができる。

サービス内容

本人が受診しやすい曜日や時間帯、付き添い者等を確認する。受診時の負担が大きい場合には、本人・家族・医療機関等で受診方法について相談する。

課題④ 家族も受診のことで本人と争わず健康を支えたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

受診のたびに本人と口論になることなく、家族も無理をしすぎず健康管理を支えたい。

長期目標

家族が受診や健康管理を一人で抱え込まず、本人との関係を保ちながら在宅生活を支えることができる。

短期目標

本人が受診しやすかった対応方法や体調状況を家族・介護サービス・医療職等で共有できる。

サービス内容

本人の受診拒否が強くなる状況や、受診につながった声かけ・時間帯等を関係者で共有する。家族の精神的負担についても確認し、家族だけに説得や受診調整を任せないよう支援する。

第2表の完成イメージ

上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。

※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容
体調を大きく崩さず、妻と今の家で元気に暮らしたい。 必要な健康管理を受けながら体調を安定させ、在宅生活を継続できる。 日頃の体調を確認し、変化時に必要な支援につながることができる。 生活・体調・服薬状況を確認し、変化時は関係者で情報共有する。
何のためか分かるように説明してもらい、納得して健康確認を受けたい。 本人の負担が少ない方法で必要な受診や健康確認につながる。 受け入れやすい声かけや時間帯で、受診について意思確認できる。 受診の目的を簡潔に説明し、拒否時は無理に説得を続けない。
長く待たず、馴染みの病院で安心して診てもらいたい。 安心できる環境で必要な医療機関との関係を継続できる。 馴染みの医療機関や付き添い者と負担を抑えて受診できる。 本人が受診しやすい時間・付き添い等を確認し受診方法を調整する。
受診のことで本人と争わず、家族も無理なく健康を支えたい。 家族が健康管理を抱え込まず、本人との関係を保って支援できる。 本人が受診しやすい方法を家族・関係者で共有できる。 有効だった対応や体調状況を共有し、家族負担についても確認する。

認知症・受診拒否のケアプランで意識したいポイント

「病院嫌い」で終わらせない

本人が病院へ行きたくない理由は一つとは限りません。自分では体調が悪いと思っていない、待ち時間が嫌、何をされるか不安、病気と言われたくないなど、本人が負担に感じていることを具体的に確認します。

受診そのものを目標にしない

ケアプラン上の目的は「病院へ連れて行くこと」ではなく、本人が健康状態を保ちながら希望する生活を続けることです。受診はそのための手段として位置付けます。

長い説明を繰り返しすぎない

認知症によって説明内容を保持しにくい場合、何日も前から繰り返し説明することで、本人に不安だけが残ることがあります。本人の理解しやすさに合わせ、必要な情報を短く分かりやすく伝えます。

受診できたときの条件を見る

朝なら受け入れられる、馴染みの家族が付き添うと安心する、いつもの医師なら落ち着くなど、受診につながった条件を確認します。「拒否した記録」だけでなく「受診できた理由」を支援に活かします。

体調の観察も健康管理の一部として考える

受診日だけで健康状態を見るのではなく、食欲、活動量、睡眠、排泄、服薬状況など日常生活の変化を家族や介護サービスで確認し、必要な情報を医療職へ伝えられるようにします。

家族だけに「連れて行く役割」を背負わせない

本人を毎回説得する家族は大きな精神的負担を感じることがあります。本人が受診しやすい方法や日頃の状態を関係者で共有し、家族だけが健康管理を抱え込まないようにします。

急な変化は「いつもの受診拒否」と決めつけない

普段とは異なる強い体調変化がある場合には、「本人が病院を嫌がるから」と様子を見続けるのではなく、状態に応じて医療職等へ相談することが必要です。

文例を使うときのポイント

  • 本人が受診を嫌がる理由を具体的に確認する
  • 本人が健康についてどう考えているか確認する
  • 病院へ行くこと自体をケアプランの目的にしない
  • 本人が受診できた時間帯や声かけを把握する
  • 馴染みの医療機関や付き添い者を活かす
  • 日常生活から体調変化を把握する
  • 拒否時に長時間の説得を繰り返さない
  • 家族だけに受診対応を任せない

まとめ

認知症のある利用者が病院受診を拒む場合、「どうすれば病院へ連れて行けるか」だけで考えるのではなく、本人がなぜ受診を負担に感じているのかを理解することが重要です。

本人が受け入れやすい時間帯や説明方法、馴染みの医療機関との関係などを活かし、無理な説得を避けながら必要な健康管理につなげます。日頃の体調変化も家族・介護サービス・医療職で共有し、本人の自己決定と健康、安全、家族の負担のバランスを取りながら支援することが、在宅生活を続けるケアプランにつながります。

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