ケアプラン文例【認知症・服薬拒否】|薬を飲みたがらない場合の第1表・第2表の記入例

認知症のある利用者では、服薬を勧めても「薬なんていらない」「もう飲んだ」「病気ではない」と話し、薬を飲みたがらないことがあります。服薬拒否の背景には、薬の必要性を理解しにくいことだけでなく、味や大きさへの苦手意識、過去の服薬経験、自分で決めたいという思いなどが関係している場合もあります。

ここでは、認知症により服薬の必要性を理解しにくくなり、家族が薬を勧めると拒否することがある利用者を例に、本人の思いを尊重しながら安全な服薬につなげる第1表・第2表のケアプラン文例を紹介します。

この記事が参考になるケース

  • 薬を勧めても「いらない」と拒否する
  • 「もう飲んだ」と話すが服薬できていないことがある
  • 家族が繰り返し勧めると怒ることがある
  • 薬の必要性を本人が感じていない
  • 錠剤の大きさや数を嫌がる
  • 服薬の時間帯によって受け入れに差がある
  • 家族が毎回薬を飲ませることに疲れている

担当ケースに近い部分を選び、本人が薬を嫌がる理由、服薬状況、持病、生活リズム、家族の支援状況などに合わせて調整してください。

※服薬方法や薬の内容を介護側の判断だけで変更せず、飲みにくさや拒否が続く場合は、医師・薬剤師等と相談しながら対応してください。

利用者像の例

  • 80歳・男性・要介護2
  • 妻と二人暮らし
  • アルツハイマー型認知症
  • 高血圧症、脂質異常症あり
  • 食事、更衣、排泄、屋内移動は概ね自立
  • 服薬は妻が準備している
  • 朝食後に薬を勧めると「薬は飲まなくていい」と拒否することがある
  • 妻が何度も勧めると「しつこい」と怒ることがある
  • 本人は以前から薬を多く飲むことを嫌っていた
  • 食事後すぐより、少し時間を置いて声をかけると受け入れやすい
  • 通所介護週3回利用

本人・家族の意向の文例

本人の意向

おすすめ文例|薬を必要と思っていない場合

自分では具合が悪いとは感じていないので、必要のない薬をたくさん飲みたくない。飲む必要があるなら分かるように説明してほしい。

別の表現①|自己決定を重視する場合

薬を飲むことを一方的に決められるのではなく、自分にも分かるように話してから勧めてほしい。

別の表現②|飲みにくさがある場合

薬の数が多いと飲むのが嫌になる。できるだけ負担なく飲めるようにしてほしい。

家族の意向

おすすめ文例|本人と争わず服薬してほしい場合

必要な薬は飲んで体調を保ってほしいが、毎回無理に勧めて本人と口論になるのは避けたい。本人が受け入れやすい方法を一緒に考えたい。

別の表現|家族の負担が強い場合

薬を飲ませることが毎日の負担になっている。飲んだかどうかも分からなくなることがあるため、家族だけで管理を抱え込まずに済む方法を考えてほしい。

第1表の文例

利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果

おすすめ文例

本人は基本的な生活動作を概ね自立して行っており、妻と住み慣れた自宅で生活を続けたいと希望している。高血圧症等により服薬を継続しているが、本人には自覚症状が乏しく、薬を飲む必要性を十分に理解できないことから「薬はいらない」と拒否することがある。また、以前から薬を多く飲むことを好まず、妻が繰り返し服薬を勧めることで不快感や怒りにつながる場面もみられている。一方、食後すぐではなく少し時間を置いて穏やかに声をかけることで受け入れられる場合がある。服薬拒否を単に本人の問題として捉えず、薬に対する本人の考えや生活リズムを踏まえ、本人が受け入れやすい服薬方法を家族・医療職・介護関係者で共有し、必要な健康管理につなげる必要がある。

別の表現|家族負担も重視する場合

本人は服薬の必要性を認識しにくく、「もう飲んだ」「薬はいらない」と拒否することがある。妻は服薬できたかを毎日確認し、拒否時には何度も勧めているため精神的な負担を感じている。本人が服薬を受け入れやすい時間帯や声かけを整理するとともに、飲みにくさや服薬内容について医師・薬剤師等へ相談し、本人にとって負担の少ない方法を検討する必要がある。家族だけに服薬管理を任せず、通所介護等も含めて必要な情報を共有しながら健康管理を支援する必要がある。

総合的な援助の方針

おすすめ文例

本人ができる限り健康な状態を保ちながら自宅生活を継続できるよう、服薬の必要性について本人の理解力に合わせて簡潔に説明する。服薬を拒否した場合には無理に飲ませようとせず、時間を置くなど本人が受け入れやすい方法を活用する。服薬状況、拒否が生じる場面、飲みにくさ等を家族・介護サービス・医療職で共有し、必要に応じて医師・薬剤師等へ相談する。妻の服薬管理に伴う負担にも配慮し、本人と家族が無理なく健康管理を継続できるよう支援する。

別の表現|短めにまとめたい場合

本人の薬に対する考えや生活リズムを尊重し、本人が受け入れやすい声かけや時間帯で必要な服薬につなげる。服薬状況を家族・介護サービス・医療職で共有し、拒否や飲みにくさが続く場合には医師・薬剤師等と相談しながら支援方法を見直す。

第2表の文例

服薬拒否がある場合も、「薬を必ず飲むこと」だけを目標にするのではなく、本人が必要な健康管理を受けながら希望する生活を続けられることを目標として考えます。

課題① 体調を保ちながら今の生活を続けたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

体調を大きく崩さず、妻と一緒に住み慣れた自宅でこれまで通り暮らしたい。

ニーズの別表現|自立した生活を重視する場合

病気で生活が制限されることなく、自分でできることを続けながら暮らしたい。

長期目標

必要な健康管理を受けながら体調を安定させ、現在の生活機能を保って在宅生活を継続できる。

短期目標

日々の体調や服薬状況を確認してもらい、体調変化がみられた際に必要な支援につながることができる。

サービス内容

服薬状況、食事、活動量、血圧等の体調変化を確認し、普段と異なる状況がみられた場合には家族・関係職種で共有する。必要に応じて医療職へ相談する。

課題② 自分が納得できる方法で薬を飲みたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

一方的に薬を勧められるのではなく、必要なことを分かるように説明してもらい、自分が納得して薬を飲みたい。

長期目標

本人が安心できる方法で必要な服薬につながり、持病の管理を継続できる。

短期目標

本人が受け入れやすい時間帯や声かけで薬を勧められ、服薬について本人の意思を確認することができる。

サービス内容

服薬時には必要な内容を簡潔に説明し、本人の反応を確認する。拒否が強い場合には説得を続けず、一度時間を置くなど本人が受け入れやすいタイミングを検討する。

課題③ 薬のことで不快な思いをせず安心して過ごしたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

薬のことで何度も言われたり怒られたりせず、落ち着いた気持ちで毎日を過ごしたい。

長期目標

服薬をめぐる不安や口論が少なく、本人が安心できる関わりの中で生活できる。

短期目標

服薬を拒否した場合にも、無理に勧められることなく本人の気持ちを確認してもらうことができる。

サービス内容

本人が服薬を拒否した際には理由や体調を確認し、強い説得や叱責を避ける。本人が受け入れられた対応方法を家族・介護サービス等で共有する。

課題④ 家族も服薬管理を一人で抱え込まず支えたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

毎日薬を飲ませることに悩み続けず、家族も無理をしすぎず本人の健康を支えたい。

長期目標

家族が服薬管理の負担を一人で抱え込まず、関係者と協力しながら本人の健康管理を継続できる。

短期目標

本人が服薬を受け入れやすかった方法や拒否の状況を、家族・介護サービス・医療職等で共有することができる。

サービス内容

服薬状況や拒否がみられた場面を必要な範囲で記録し、家族・介護サービス・医療職等で共有する。家族の負担が大きい場合には、服薬管理方法について医師・薬剤師等へ相談し、支援体制を見直す。

第2表の完成イメージ

上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。

※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容
体調を大きく崩さず、妻と住み慣れた自宅で暮らしたい。 必要な健康管理を受けながら体調を安定させ、在宅生活を継続できる。 体調や服薬状況を確認してもらい、変化時に必要な支援につながる。 服薬・食事・活動等を確認し、体調変化を関係者で共有する。
必要なことを分かるように説明してもらい、納得して薬を飲みたい。 本人が安心できる方法で必要な服薬につながり、持病を管理できる。 受け入れやすい時間や声かけで服薬について意思確認できる。 簡潔に説明し、拒否時は無理に説得せず時間を置いて対応する。
薬のことで何度も言われたり怒られたりせず、安心して過ごしたい。 服薬をめぐる口論が少なく、安心できる関わりの中で生活できる。 拒否時にも本人の気持ちを確認してもらうことができる。 拒否理由を確認し、受け入れやすかった対応方法を関係者で共有する。
家族も服薬管理を一人で抱え込まず、無理なく健康を支えたい。 家族が関係者と協力しながら本人の健康管理を継続できる。 受け入れやすい方法や拒否状況を関係者で共有できる。 服薬状況を共有し、必要時は医療職等へ相談して管理方法を見直す。

認知症・服薬拒否のケアプランで意識したいポイント

「薬嫌い」で終わらせない

本人が薬を拒否する理由はさまざまです。必要性を感じていない、薬の数が多い、飲みにくい、薬を飲むこと自体に抵抗感があるなど、本人が何を嫌がっているのかを具体的に確認します。

服薬を生活目標にしない

ケアプラン上の目的は「薬を飲ませること」ではなく、本人が健康状態を保ちながら希望する生活を続けることです。服薬はそのための手段の一つとして位置付けます。

拒否したときに説得を繰り返しすぎない

一度拒否した本人に何度も服薬を勧めることで、不安や怒りが強くなることがあります。緊急性や医療上の必要性を踏まえつつ、時間を置く、声をかける人を変えるなど、本人が受け入れやすい条件を探します。

「飲めたとき」の条件を見る

朝食直後は嫌がるが少し時間を置けば飲める、妻より別の人から勧められると受け入れるなど、服薬できた場面にも重要な情報があります。拒否した記録だけでなく、受け入れられた条件も共有します。

飲みにくさそのものも確認する

錠剤の大きさや数、口腔状態、嚥下状態などが服薬拒否につながっている場合もあります。本人の様子から飲みにくさが疑われる場合は、医師・薬剤師等へ相談します。

薬の変更を介護側だけで判断しない

薬を砕く、飲む時間を変更する、服薬を中止するなどの対応を介護職や家族だけで判断するのではなく、必要に応じて医師・薬剤師等へ確認しながら安全な方法を検討します。

家族の服薬管理負担も評価する

毎日決まった時間に薬を準備し、本人を説得し、飲んだことまで確認する生活は家族にとって負担になる場合があります。本人の健康だけでなく、家族が無理なく続けられる管理方法かどうかも確認します。

文例を使うときのポイント

  • 本人が薬を嫌がる理由を具体的に確認する
  • 服薬を生活目標そのものにしない
  • 本人が受け入れやすい時間帯や声かけを把握する
  • 拒否時に強い説得を繰り返さない
  • 服薬できた場面の条件も記録する
  • 薬の大きさや数など飲みにくさも確認する
  • 薬の変更は医師・薬剤師等と相談する
  • 家族の服薬管理負担にも目を向ける

まとめ

認知症のある利用者が薬を飲みたがらない場合、「どうすれば飲ませられるか」だけで考えるのではなく、本人がなぜ服薬を嫌がっているのかを理解することが重要です。

本人が受け入れやすい時間帯や声かけを活用し、無理な説得を避けながら必要な健康管理につなげます。飲みにくさや拒否が続く場合には医師・薬剤師等とも相談し、家族だけが服薬管理を抱え込まない体制を整えることで、本人の自己決定と健康を両立したケアプランにつながります。

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