パーキンソン病のある利用者では、表情の変化が少なくなったり、自分から話したり行動したりする機会が減ったように見えることがあります。
周囲から「楽しそうではない」「やる気がない」と受け取られることで、本人への誘いや交流の機会そのものが少なくなってしまう場合もあります。
ここでは、表情や反応が乏しくなり人との交流が減っているものの、好きな活動や人との関わりを今後も続けたい利用者を例に、第1表・第2表のケアプラン文例を紹介します。
この記事が参考になるケース
- 以前より表情の変化が少なくなった
- 家族から「何を考えているのか分からない」と言われる
- 自分から人に話しかける機会が減っている
- 趣味や外出への誘いが少なくなっている
- 周囲から意欲が低下したように見られている
- 好きな活動では反応や発言がみられる
- 本人らしい楽しみや人との交流を続けたい
担当ケースに近い部分を選び、本人の生活歴、趣味、以前の交流状況、現在の反応、本人が楽しめる活動、家族の受け止め方などに合わせて調整してください。
※急に反応が乏しくなった、強い気分の落ち込みが続く、食欲や睡眠などにも大きな変化がみられる場合には、パーキンソン病による表情の変化だけと考えず、必要に応じて医療職等へ相談してください。
利用者像の例
- 75歳・女性・要介護2
- 夫と二人暮らし
- パーキンソン病
- 食事・排泄・更衣は概ね自立
- 屋内は杖等を使用して移動している
- 以前より表情の変化が少なくなっている
- 家族との会話でも反応が小さく見えることがある
- 夫は「何をしても楽しそうではない」と感じている
- 以前は園芸や花を見ることが好きだった
- 近所の知人とお茶を飲むことも楽しみにしていた
- 最近は夫が「疲れるだろう」と外出に誘うことが減っている
- 花や昔の友人の話題では笑顔や発言がみられる
- 本人は「花はまだ見に行きたいし、人と話すのも嫌ではない」と話している
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例|楽しみを続けたい場合
表情には出にくくなったが、花を見たり人と話したりすることは今も楽しみなので続けたい。
別の表現①|周囲に理解してほしい場合
楽しんでいても顔に出にくいことがあるので、何もしたくないと思わず声をかけてほしい。
別の表現②|交流を続けたい場合
以前のようにたくさん話せなくても、知っている人と会ったり一緒に過ごしたりしたい。
家族の意向
おすすめ文例|本人の気持ちを理解したい場合
表情が少ないので楽しんでいないと思っていたが、本人が好きなことはできるだけ続けてもらいたい。
別の表現|外出や交流を増やしたい場合
疲れるだろうと思い外出に誘わなくなっていたので、本人の希望を聞きながら人と関われる機会を作りたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は夫と住み慣れた自宅で生活し、好きな花を見たり知人と交流したりする楽しみを今後も続けたいと希望している。
パーキンソン病の進行に伴い以前より表情の変化や自発的な発言が少なく見えるようになり、夫は本人が活動を楽しめなくなったと感じている。
そのため外出や知人との交流に誘う機会が減り、本人も自宅で過ごす時間が増えている。
一方、花や昔の友人について話す際には発言や笑顔がみられ、本人自身も人との交流や外出を続けたいという意向を持っている。
表情や発言量だけで本人の意欲を判断せず、本人の言葉や反応を確認しながら、生活歴や興味を活かした活動と交流機会を継続できるよう支援する必要がある。
別の表現|社会参加を重視する場合
本人は表情や反応が小さくなっているものの、好きな活動や人との交流への関心は保たれている。
周囲が本人の反応の少なさを意欲低下と決めつけて活動機会を減らすことなく、本人自身に希望を確認し、興味や生活歴を活かした社会参加を継続する必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人の表情や反応の大きさだけで意欲を判断せず、本人自身の言葉や行動から希望や楽しみを確認する。
園芸、花、知人との交流等、本人がこれまで大切にしてきた活動を生活の中に取り入れ、自ら参加できる機会を継続する。
本人の体調や疲労に配慮しながら無理のない外出や交流機会を確保し、自宅内だけに生活範囲が限定されないよう支援する。
家族にも本人の反応の特徴や興味のある活動を共有し、本人の意思を確認しながら声をかけられるよう支援する。
別の表現|短めにまとめたい場合
表情の乏しさだけで本人の意欲を判断せず、本人の希望を確認しながら好きな活動や人との交流を継続できるよう支援する。
本人の生活歴と興味を活かし、無理のない範囲で外出・交流・役割を持つ機会を確保する。
第2表の文例
表情や反応が乏しく見える場合には、「もっと笑顔を増やすこと」を目標にするのではなく、本人が興味のある活動や人との関わりを続け、自分らしい生活を送れることを目標として考えます。
課題① 自分の気持ちや楽しみを周囲に分かってもらいたい
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
表情には出にくくても、自分が好きなことや楽しいと感じていることを周囲に分かってもらいたい。
ニーズの別表現|本人の意思を重視する場合
表情だけで判断されず、自分の希望を聞いてもらいながら生活したい。
長期目標
本人の意思や楽しみが周囲に理解され、本人の希望が日常生活に反映される。
短期目標
表情だけでなく本人の言葉や反応を確認し、本人が好きなことや希望を伝える機会を持つことができる。
サービス内容
本人の表情だけで判断せず、言葉、視線、行動等を確認しながら本人自身に活動や生活についての希望を確認する。
課題② 好きな花や園芸をこれからも楽しみたい
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
好きな花を見たり園芸に触れたりする楽しみをこれからも続けたい。
長期目標
本人が好きな活動を生活の中で継続し、楽しみを持って過ごすことができる。
短期目標
体調に合わせて花を見る、植物に触れるなど本人が楽しめる活動を行うことができる。
サービス内容
本人の生活歴や趣味を確認し、園芸や花等の本人が興味を持てる活動を無理のない形で生活に取り入れる。
課題③ 人とのつながりを失わず交流を続けたい
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
自宅だけで過ごす生活にならず、知っている人と会ったり話したりする機会を続けたい。
長期目標
本人が負担を感じない範囲で人との交流を継続し、社会とのつながりを保つことができる。
短期目標
本人が希望する人との会話や外出の機会を持つことができる。
サービス内容
本人が会いたい人や参加したい活動を確認し、体調や疲労に配慮しながら交流機会を確保する。
課題④ 夫も表情だけで判断せず本人の希望を確認したい
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
夫も本人が楽しんでいないと決めつけず、本人の気持ちを確認しながら活動や外出を支えたい。
長期目標
家族が本人の反応の特徴を理解し、本人の意思を尊重しながら生活を支えることができる。
短期目標
夫が本人の表情だけで判断せず、本人自身に外出や活動への希望を確認できる。
サービス内容
本人が楽しんでいる際の言葉や反応の特徴を家族と共有し、本人の希望を確認してから活動や外出を決められるよう支援する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 表情だけで判断されず、自分の気持ちや楽しみを分かってもらいたい。 | 本人の意思や楽しみが理解され、希望が生活に反映される。 | 本人が好きなことや希望を伝える機会を持つことができる。 | 表情だけでなく言葉・視線・行動等から本人の意思を確認する。 |
| 好きな花や園芸をこれからも楽しみたい。 | 好きな活動を生活の中で継続し、楽しみを持って過ごせる。 | 花を見る、植物に触れる等の活動を行うことができる。 | 本人の生活歴・趣味を活かした活動を生活に取り入れる。 |
| 知っている人と会い、人とのつながりを続けたい。 | 無理のない範囲で交流し、社会とのつながりを維持できる。 | 本人が希望する会話や外出の機会を持つことができる。 | 本人の希望と体調を確認しながら交流機会を確保する。 |
| 夫も表情だけで判断せず、本人の希望を確認しながら支えたい。 | 家族が本人の反応を理解し、本人の意思を尊重して支援できる。 | 本人自身に活動・外出の希望を確認できる。 | 本人の反応の特徴を家族と共有し、本人の意思確認を支援する。 |
パーキンソン病・表情が乏しい場合のケアプランで意識したいポイント
「表情がない=楽しくない」と決めつけない
表情の変化が小さくても、本人が楽しさや興味を感じている場合があります。本人自身の言葉や活動中の反応を確認します。
「意欲がない」と簡単に評価しない
自分から活動を始めることが減っていても、誘われれば参加したいと思っている場合があります。本人への確認を省かないことが重要です。
本人が反応する場面を探す
趣味、仕事、家族、音楽、園芸など、本人が以前から大切にしてきたことに触れた際の言葉や反応を確認します。
家族の思い込みで活動を減らさない
「疲れるだろう」「楽しめないだろう」と家族が先回りして判断すると、本人の生活範囲が狭くなることがあります。本人自身の希望を確認します。
楽しみを具体的な活動にする
「楽しみを持つ」だけではなく、「庭の花を見る」「昔の知人とお茶を飲む」など、その人にとって具体的な活動として計画します。
疲労とのバランスを確認する
交流を増やすことだけを優先せず、本人の疲労や体調を確認しながら無理のない回数や時間を考えます。
本人の役割も残す
単に活動へ参加するだけでなく、花に水をやる、人に昔のことを教えるなど、本人が誰かの役に立つ場面を残すことも生活の充実につながります。
文例を使うときのポイント
- 表情だけで本人の気持ちを判断しない
- 本人自身に活動への希望を確認する
- 以前楽しんでいたことを把握する
- 現在も反応がみられる活動を確認する
- 家族が先回りして活動を制限していないか確認する
- 人との交流機会を具体的に把握する
- 本人の体調や疲労に合わせて活動量を調整する
- 本人が役割を持てる場面も検討する
まとめ
パーキンソン病のある利用者の表情や反応が乏しくなった場合には、それだけで「本人は何もしたくない」と判断しないことが重要です。
本人が以前から大切にしてきた趣味や人間関係を確認し、本人自身の言葉や反応から現在の希望を把握します。
好きな活動や人との交流、家庭や地域での役割を無理のない形で残すことで、本人らしい生活と社会とのつながりを支えるケアプランにつながります。
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