パーキンソン病のある利用者では、座っているうちに身体が前方へ傾り、食事や趣味活動を続けにくくなることがあります。
姿勢の崩れだけでなく、どの条件なら安定するか、自分で座り直せるか、何を続けたいかを具体的に確認することが重要です。
ここでは、前傾姿勢がみられるものの、椅子の位置や休憩を工夫し、自分で食事を行いながら趣味の写経を続けたい利用者を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 食卓椅子では時間の経過と疲労により上体が前へ傾く
- 午前中は比較的姿勢が安定している
- 声かけにより肘掛けを使って自分で座り直せる
- 足底が床につき肘を支えられる椅子では安定しやすい
- 食事は箸を使用して自力摂取している
- 写経は一度に15分程度なら集中できる
- 本人は介助される前に自分で姿勢を直したい
- 妻は食事と写経を安全に続けられるよう支えたい
姿勢の崩れ方、座り直す力、椅子・テーブル・足台の条件、疲労、痛み、本人が続けたい活動に合わせて調整してください。
※急に姿勢が保てなくなった場合、強い痛み、息苦しさ、食事中のむせなどを伴う場合には、本人の意向を確認して主治医等へ相談してください。
利用者像の例
- 79歳・男性・要介護2
- 妻と二人暮らし
- 元公務員で退職後から毎朝写経を続けている
- 食卓椅子では時間の経過と疲労により上体が前へ傾く
- 午前中は比較的姿勢が安定している
- 声かけにより肘掛けを使って自分で座り直せる
- 足底が床につき肘を支えられる椅子では安定しやすい
- 食事は箸を使用して自力摂取している
- 写経は一度に15分程度なら集中できる
- 本人は介助される前に自分で姿勢を直したい
- 妻は食事と写経を安全に続けられるよう支えたい
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
前に傾くことはあるが、声をかけてもらえば自分で座り直せるので、食事も写経もできるだけ自分で続けたい。
家族の意向
おすすめ文例
すぐに身体を起こす介助をするのではなく、本人が自分で座り直せるよう声をかけ、難しいときだけ手伝いたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は妻と自宅で生活し、自分で食事を行うことと、長年の習慣である朝の写経を今後も続けたいと希望している。
食卓椅子では時間の経過と疲労により上体が前方へ傾きやすいが、午前中は比較的安定し、声かけにより肘掛けを使って自分で座り直すことができる。
足底が床につき、肘を支えられる条件では姿勢が安定しやすく、食事は箸を使用して自力摂取できている。
姿勢を他者が常に修正するのではなく、本人が崩れに気づき、自分で座り直す力を活かせる環境と声かけ方法を整える必要がある。
椅子・テーブル・足台の条件、活動時間、疲労、痛み等を確認し、休憩を取り入れながら食事と写経を継続できるよう支援する必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が自分で姿勢を整える力を活かし、食事と写経を継続できるよう、座面の高さ、足底の接地、肘の支持等を確認する。
姿勢が崩れた際は、まず本人が理解しやすい言葉で声をかけ、自力での座り直しを待ったうえで必要な部分のみ支援する。
食事後半や疲労時の状態を継続して確認し、活動時間と休憩を本人と相談しながら調整する。
第2表の文例
前傾姿勢そのものの改善だけを目標にせず、本人が姿勢を整えながら食事や趣味を続けられる生活場面を目標として考えます。
課題① 身体が前に傾きすぎないよう姿勢を整え、自分で食事を続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
身体が前に傾きすぎないよう姿勢を整え、自分で食事を続けたい。
長期目標
本人に合った座位環境で、自力摂取を継続できる。
短期目標
足底と肘を支持した姿勢で食事を開始し、必要時に自分で座り直せる。
サービス内容
椅子・テーブル・足台の位置を本人と確認し、姿勢が崩れた際は声かけ後に本人の座り直しを待つ。
課題② 姿勢と疲れに気をつけながら、毎朝の写経を続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
姿勢と疲れに気をつけながら、毎朝の写経を続けたい。
長期目標
本人に合った机上環境と活動時間で、写経の習慣を継続できる。
短期目標
午前中に15分を目安として写経を行い、疲労時に休憩できる。
サービス内容
肘を支持できる机と椅子を整え、作業前後の姿勢・疲労・痛みを本人と確認して時間を調整する。
課題③ すぐに介助されず、自分でできる座り直しを続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
すぐに介助されず、自分でできる座り直しを続けたい。
長期目標
本人が姿勢の崩れに気づき、必要な方法で座り直せる。
短期目標
決めた声かけを受け、肘掛けを使って自分で姿勢を整えられる。
サービス内容
本人と分かりやすい声かけ方法を決め、自力動作を待ち、難しい場合のみ必要な部分を支援する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 身体が前に傾きすぎないよう姿勢を整え、自分で食事を続けたい。 | 本人に合った座位環境で、自力摂取を継続できる。 | 足底と肘を支持した姿勢で食事を開始し、必要時に自分で座り直せる。 | 椅子・テーブル・足台の位置を本人と確認し、姿勢が崩れた際は声かけ後に本人の座り直しを待つ。 |
| 姿勢と疲れに気をつけながら、毎朝の写経を続けたい。 | 本人に合った机上環境と活動時間で、写経の習慣を継続できる。 | 午前中に15分を目安として写経を行い、疲労時に休憩できる。 | 肘を支持できる机と椅子を整え、作業前後の姿勢・疲労・痛みを本人と確認して時間を調整する。 |
| すぐに介助されず、自分でできる座り直しを続けたい。 | 本人が姿勢の崩れに気づき、必要な方法で座り直せる。 | 決めた声かけを受け、肘掛けを使って自分で姿勢を整えられる。 | 本人と分かりやすい声かけ方法を決め、自力動作を待ち、難しい場合のみ必要な部分を支援する。 |
パーキンソン病・前傾姿勢のケアプランで意識したいポイント
姿勢が安定する条件を確認する
椅子の高さ、足底の接地、肘の支持、テーブルとの距離、時間帯によって姿勢が変わるため、実際の生活場面で確認します。
自分で座り直す力を残す
介助者がすぐに身体を起こすのではなく、本人が理解できる声かけを行い、自力動作を待ちます。
姿勢の先にある生活目的を捉える
姿勢を整えること自体ではなく、自分で食べる、写経を続けるなど本人が大切にする生活につなげます。
文例を使うときのポイント
- 姿勢が崩れる方向と時間帯を確認する
- 本人が自分で座り直せる方法を確認する
- 足底・肘・背部の支持条件を確認する
- 食事後半や活動終了時の疲労を見る
- 本人が続けたい食事・趣味・役割を目標に反映する
まとめ
前傾姿勢がみられる場合には、本人が安定して座れる条件と自分で座り直す力を具体的に評価します。
環境調整、声かけ、活動時間と休憩を組み合わせ、本人が自分で食事を行い、長年の写経を続けられる計画につなげることが大切です。
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