骨折後の夜間排泄では、暗さ、眠気、焦り、補助具の置き場所が重なり、日中より転倒リスクが高くなることがあります。
本記事では、本人のトイレで排泄したい希望を尊重し、照明、動線、見守り方法を整える事例を紹介します。
ここでは、家族の判断だけでおむつやポータブルトイレへ変更せず、本人の意思と実際の動作能力を確認します。を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 妻は転倒を心配して眠りが浅くなっているが、本人は可能な限りトイレで排泄したいと希望している。
夜間排泄を回数だけで評価せず、覚醒状態、尿意から移動までの余裕、照明、履物、歩行器位置、衣服操作を確認する。
排尿状態の急な変化、痛み、発熱、強い眠気等がある場合は、本人の状態を記録して医療職へ相談する。
利用者像の例
- 83歳男性。大腿骨頸部骨折後、日中は歩行器でトイレまで移動できる。
- 夜間は2回程度排尿があり、目覚めると急いで立ち上がるため歩行器を使わないことがある。
- 尿意を感じて家族へ声をかけることはでき、衣服操作も手すりがあれば自分で行える。
- 妻は転倒を心配して眠りが浅くなっているが、本人は可能な限りトイレで排泄したいと希望している。
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
夜もできるだけトイレで済ませたい。慌てず歩行器を使えるようにしたい。
家族の意向
おすすめ文例
転倒が心配で夜中に何度も目が覚める。安全な見守り方を決めて、私も休めるようにしたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は尿意を認識して妻へ伝え、歩行器と手すりを使えばトイレ動作の多くを行える。
夜間は焦りから歩行器を使わず立つことがあり、転倒リスクと妻の睡眠不足が生じている。
足元照明、歩行器の定位置、呼び出し方法、衣服の工夫を本人と相談し、必要な見守り範囲を明確にする必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人のトイレで排泄したい希望と残存能力を生かす。福祉用具専門相談員等と寝室からトイレまでの動線、照明、支持物を確認する。本人が妻へ合図してから立つ手順を共有し、妻の負担も定期的に確認する。
別の表現|短めにまとめたい場合
本人のトイレ排泄の力を活かし、夜間動線と照明を整えて、合図後に家族が必要な見守りを行えるよう支援する。
第2表の文例
本人の排泄動作を生かし、夜間特有の環境と焦りへ具体的に対応する。
課題① 夜間もできる範囲でトイレへ行き、自分で排泄したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
夜間もできる範囲でトイレへ行き、自分で排泄したい。
長期目標
安全な手順で夜間のトイレ動作を継続できる。
短期目標
尿意を感じたら妻へ合図し、足元灯を確認してから歩行器で移動できる。
サービス内容
支援者は本人の覚醒状態、立ち上がり、歩行、衣服操作を確認し、本人が行える工程を共有する。
課題② 暗い中でも歩行器を確実に使いたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
暗い中でも歩行器を確実に使いたい。
長期目標
寝室からトイレまでの動線が整い、補助具を使って移動できる。
短期目標
歩行器をベッド横の決めた位置に置き、床上に物がない状態を保てる。
サービス内容
福祉用具専門相談員等が照明、歩行器位置、手すり、履物を確認し、本人と家族の使いやすさを調整する。
課題③ 妻も休息を確保しながら必要な見守りを行いたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
妻も休息を確保しながら必要な見守りを行いたい。
長期目標
必要な介助範囲が明確になり、妻の睡眠負担が軽減する。
短期目標
身体を抱えず、本人の合図を待って決めた位置から見守れる。
サービス内容
理学療法士等が見守り位置と介助が必要な場面を共有し、ケアマネジャーが妻の睡眠状況を確認する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 夜間もできる範囲でトイレへ行き、自分で排泄したい。 | 安全な手順で夜間のトイレ動作を継続できる。 | 尿意を感じたら妻へ合図し、足元灯を確認してから歩行器で移動できる。 | 支援者は本人の覚醒状態、立ち上がり、歩行、衣服操作を確認し、本人が行える工程を共有する。 |
| 暗い中でも歩行器を確実に使いたい。 | 寝室からトイレまでの動線が整い、補助具を使って移動できる。 | 歩行器をベッド横の決めた位置に置き、床上に物がない状態を保てる。 | 福祉用具専門相談員等が照明、歩行器位置、手すり、履物を確認し、本人と家族の使いやすさを調整する。 |
| 妻も休息を確保しながら必要な見守りを行いたい。 | 必要な介助範囲が明確になり、妻の睡眠負担が軽減する。 | 身体を抱えず、本人の合図を待って決めた位置から見守れる。 | 理学療法士等が見守り位置と介助が必要な場面を共有し、ケアマネジャーが妻の睡眠状況を確認する。 |
夜間排泄のケアプラン作成ポイント
夜間の条件を分けてみる
日中の能力をそのまま当てはめず、眠気、暗さ、焦りを含めて評価する。
本人の排泄方法を尊重する
安全だけを理由に代替手段を決めず、本人が選べる情報と方法を整える。
家族の睡眠も評価する
夜間の見守り頻度と介助量を明確にし、家族の休息状況もモニタリングする。
文例を使うときのポイント
- 実際の夜間照明に近い状態で動線を確認する。
- 排泄記録は本人の負担にならない範囲で時間帯と動作を把握する。
- 状態変化に応じてトイレ、尿器等の選択肢を本人と再検討する。
まとめ
夜間排泄では、本人の能力に加えて暗さや焦りなど時間帯特有の条件を確認します。
本人の意思、環境整備、見守り手順、家族の休息を一体的に計画することが重要です。
関連するケアプラン文例
- 大腿骨頸部骨折後・排泄動作
- 大腿骨頸部骨折後・独居・見守り
- 大腿骨頸部骨折後・家族介護負担


コメント