パーキンソン病のある利用者では、手指の動かしにくさから、以前のように演奏できないことを理由に楽器へ触れなくなることがあります。
演奏の完成度ではなく、動かしやすい指、姿勢、曲の長さ、本人が音楽に感じる意味を評価することが重要です。
ここでは、右手で主旋律を弾き、左手は和音一つを添える方法で、孫の誕生日に一曲演奏したい利用者を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 午前中は右手の人差し指と中指が動かしやすい
- 左手は指を個別に動かしにくいが和音一つなら押さえられる
- 背もたれと足台がある椅子で十五分座位を保てる
- 小型キーボードは机上で位置を調整できる
- ゆっくりした童謡なら片手で一節を弾ける
- 本人は孫の誕生日に一曲届けたい
- 夫は機器の準備と録画を手伝いたい
手指の動き、座位、疲労、楽器の位置、曲の難易度、本人が演奏したい目的を具体的に確認してください。
※痛みや疲労が増える場合は演奏を中止し、無理な反復を避け、必要に応じてリハビリテーション等の専門職へ相談してください。
利用者像の例
- 73歳・女性・要介護1
- 夫と二人暮らし
- 小学校教員として音楽を担当し、退職後も家庭でピアノを弾いてきた
- 午前中は右手の人差し指と中指が動かしやすい
- 左手は指を個別に動かしにくいが和音一つなら押さえられる
- 背もたれと足台がある椅子で十五分座位を保てる
- 小型キーボードは机上で位置を調整できる
- ゆっくりした童謡なら片手で一節を弾ける
- 本人は孫の誕生日に一曲届けたい
- 夫は機器の準備と録画を手伝いたい
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
以前のようには弾けなくても、右手でメロディーを弾けるので、孫の誕生日に一曲届けたい。
家族の意向
おすすめ文例
両手で弾くことを求めず、本人が選んだ曲を楽しめるようキーボードと椅子を準備したい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は夫と暮らし、元音楽担当教員として続けてきた演奏を通じ、孫の誕生日に一曲届けたいと希望している。
午前中は右手の人差し指と中指が動かしやすく、左手は和音一つなら押さえることができる。
背もたれと足台を整えると十五分座位を保ち、ゆっくりした童謡の一節を片手で弾ける。
両手で以前と同じように演奏することを求めず、短い曲と本人が使える指に合わせて楽器と練習時間を調整する必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が動かしやすい指と音楽経験を活かし、演奏する楽しみと孫へ曲を届ける役割を継続できるよう支援する。
午前中に背もたれ、足台、キーボードの高さを整え、一回十五分以内で本人が選んだ曲を演奏する。
夫は機器準備と録画を担い、演奏の誤りを訂正するのではなく本人の表現と休憩の希望を尊重する。
第2表の文例
以前と同じ演奏を目標にせず、使える指と短い曲で本人が音楽を表現し、孫へ届けられることを目標にします。
課題① 動かしやすい指を使い、自分の好きな曲を弾きたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
動かしやすい指を使い、自分の好きな曲を弾きたい。
長期目標
本人に合う方法でキーボード演奏を継続できる。
短期目標
右手二本の指で童謡の一節をゆっくり弾ける。
サービス内容
鍵盤へ目印を付け、本人が選んだ速さで演奏し、夫は誤りを急いで直さず見守る。
課題② 安定した姿勢で、疲れる前に休みながら演奏したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
安定した姿勢で、疲れる前に休みながら演奏したい。
長期目標
痛みや過度な疲労なく趣味を楽しめる。
短期目標
背もたれと足台を使い、十五分以内で休憩を選べる。
サービス内容
椅子、足台、鍵盤の高さを本人と調整し、開始前後に手の動きと疲れを確認する。
課題③ 孫の誕生日に、自分の演奏を一曲届けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
孫の誕生日に、自分の演奏を一曲届けたい。
長期目標
音楽を通じて家族との役割と交流を実感できる。
短期目標
本人が選んだ一曲を夫が録画し、孫へ送ることができる。
サービス内容
本人と撮影日と曲を決め、負担が少ない一節ずつの録画や休憩を取り入れる。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 動かしやすい指を使い、自分の好きな曲を弾きたい。 | 本人に合う方法でキーボード演奏を継続できる。 | 右手二本の指で童謡の一節をゆっくり弾ける。 | 鍵盤へ目印を付け、本人が選んだ速さで演奏し、夫は誤りを急いで直さず見守る。 |
| 安定した姿勢で、疲れる前に休みながら演奏したい。 | 痛みや過度な疲労なく趣味を楽しめる。 | 背もたれと足台を使い、十五分以内で休憩を選べる。 | 椅子、足台、鍵盤の高さを本人と調整し、開始前後に手の動きと疲れを確認する。 |
| 孫の誕生日に、自分の演奏を一曲届けたい。 | 音楽を通じて家族との役割と交流を実感できる。 | 本人が選んだ一曲を夫が録画し、孫へ送ることができる。 | 本人と撮影日と曲を決め、負担が少ない一節ずつの録画や休憩を取り入れる。 |
パーキンソン病・楽器演奏のケアプランで意識したいポイント
完成度ではなく表現を支える
以前の演奏と比較せず、使える指で音を出し本人が楽しめることを評価します。
姿勢と時間を整える
鍵盤の高さ、足底支持、背もたれ、活動時間を調整して疲労を減らします。
届けたい相手を目標にする
演奏練習だけでなく、孫へ曲を届けるという本人らしい目的を計画にします。
文例を使うときのポイント
- 動かしやすい指と時間帯を確認する
- 鍵盤と椅子の高さを調整する
- 短い曲や一節を選ぶ
- 疲労と痛みを確認する
- 家族へ届ける方法を本人と決める
まとめ
楽器演奏では、使える指、姿勢、曲の長さ、疲労を調整し、本人の音楽経験を活かします。
以前の完成度を求めず、本人が選んだ曲を孫へ届けることで、趣味と家族内の役割を継続できる計画になります。
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