大腿骨頸部骨折後は、転倒と痛みへの不安から、日中もポータブルトイレやおむつ中心になりやすいことがあります。
尿意、移動、方向転換、下衣操作、着座、立ち上がりを工程ごとに確認し、本人ができる動作を残すことが重要です。
ここでは、尿意を伝え、歩行器と手すりを使って日中はトイレで排泄したい利用者を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 尿意を感じて呼び鈴で伝えられる
- 歩行器で寝室からトイレまで六メートル移動できる
- L字手すりで便座へ方向転換できる
- 前開き下衣を膝まで下ろせる
- 排泄後に腰まで上げる操作へ一部介助を要する
- 痛みと疲労を伝えられる
- 本人は日中トイレを使いたい
- 長女は合図後に必要部分だけ支援したい
尿意、移動距離、手すり、下衣操作、便座高さ、痛み、夜間との違い、本人の希望を確認してください。
※荷重や移動方法は医療・リハビリ専門職の指示に従い、痛みや腫れの増強時は中止して相談してください。
利用者像の例
- 84歳・女性・要介護3
- 長女家族と同居
- 右大腿骨頸部骨折後
- 尿意を感じて呼び鈴で伝えられる
- 歩行器で寝室からトイレまで六メートル移動できる
- L字手すりで便座へ方向転換できる
- 前開き下衣を膝まで下ろせる
- 排泄後に腰まで上げる操作へ一部介助を要する
- 痛みと疲労を伝えられる
- 本人は日中トイレを使いたい
- 長女は合図後に必要部分だけ支援したい
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
尿意は分かり、歩行器でトイレまで行けるので、日中はできる動作を続けたい。
家族の意向
おすすめ文例
呼ばれたらそばへ行き、本人が歩いて下衣を下ろすのを待ち、上げる時だけ手伝いたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は長女家族と暮らし、尿意を伝え、日中は歩行器でトイレへ移動して排泄したいと希望している。
歩行器で六メートル移動し、L字手すりで方向転換して便座へ座れる。
下衣は膝まで下ろせるが、排泄後に腰まで上げる工程へ一部介助を要する。
本人の訴え後に十分な時間を確保し、長女は移動を見守り、必要な下衣操作のみ支援する必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が尿意を伝え、歩行器と手すりを使って日中のトイレ排泄を継続できるよう支援する。呼び鈴、動線、便座高さ、L字手すりを整え、本人の速度に合わせる。家族は本人の合図後に見守り、下衣を腰まで上げる等の必要部分のみ支援する。
別の表現|短めにまとめたい場合
尿意と自分でできる排泄動作を活かし、トイレ環境を整えたうえで、家族が本人の合図に合わせて必要な部分のみ介助する。
第2表の文例
介助時間を短縮することではなく、本人が尿意を伝え、できる排泄動作を行い、必要な部分だけ支援を受けることを目標にします。
課題① 尿意を感じたら早めに伝えたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
尿意を感じたら早めに伝えたい。
長期目標
本人の訴えに応じて日中のトイレ排泄を続けられる。
短期目標
尿意時に呼び鈴を押し、トイレへ行きたいと伝えられる。
サービス内容
呼び鈴を手元へ置き、家族は合図後に急かさず移動準備を行う。
課題② 歩行器と手すりで安全に便座へ座りたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
歩行器と手すりで安全に便座へ座りたい。
長期目標
転倒なくトイレ移動と着座を行える。
短期目標
歩行器で六メートル移動し、L字手すりで方向転換できる。
サービス内容
動線と床を整え、家族は後方から見守り、痛みを確認する。
課題③ できる下衣操作を自分で続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
できる下衣操作を自分で続けたい。
長期目標
本人の自立動作と尊厳が保たれる。
短期目標
下衣を膝まで下ろし、上げる介助を家族へ依頼できる。
サービス内容
扱いやすい下衣を本人と選び、本人の動作終了後に必要部分だけ補助する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 尿意を感じたら早めに伝えたい。 | 本人の訴えに応じて日中のトイレ排泄を続けられる。 | 尿意時に呼び鈴を押し、トイレへ行きたいと伝えられる。 | 呼び鈴を手元へ置き、家族は合図後に急かさず移動準備を行う。 |
| 歩行器と手すりで安全に便座へ座りたい。 | 転倒なくトイレ移動と着座を行える。 | 歩行器で六メートル移動し、L字手すりで方向転換できる。 | 動線と床を整え、家族は後方から見守り、痛みを確認する。 |
| できる下衣操作を自分で続けたい。 | 本人の自立動作と尊厳が保たれる。 | 下衣を膝まで下ろし、上げる介助を家族へ依頼できる。 | 扱いやすい下衣を本人と選び、本人の動作終了後に必要部分だけ補助する。 |
大腿骨頸部骨折後・排泄のケアプランで意識したいポイント
排泄を工程ごとに評価する
移動だけでなく、尿意、下衣、着座、立位、援助要請を確認します。
日中と夜間を分けて考える
体調や覚醒、照明が異なるため、同じ方法を一律に求めません。
本人の速度を待つ
急かして動作が崩れないよう、尿意後に必要な時間を確保します。
文例を使うときのポイント
- 尿意と援助要請を確認する
- 動線と便座高さを確認する
- 手すり位置を整える
- 下衣操作を工程で見る
- 夜間の方法は別に検討する
まとめ
骨折後の排泄では、尿意、移動、方向転換、下衣、着座を工程ごとに評価します。
家族が必要な部分だけ支えることで、日中のトイレ排泄と本人の尊厳を保てます。
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