大腿骨転子部骨折後は、歩行器で歩けるようになっても、距離や疲労に応じて車いすを併用することで生活範囲を保てる場合があります。
本記事では、室内は歩行器、通院や長距離外出は車いすとし、本人が移動手段を選ぶ事例を紹介します。
ここでは、歩行器を使うことだけを回復の指標にせず、安全と参加を両立する移動手段を検討します。を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 娘は外出時の転倒を心配し、車いす中心にしたいと考えている。
移動手段を一つに固定せず、距離、時間帯、疲労、路面、目的地での活動を踏まえて本人と使い分けを検討する。
歩行量や車いす使用範囲は身体状況を専門職が評価し、廃用への不安だけで無理な歩行を続けない。
利用者像の例
- 88歳男性。大腿骨転子部骨折後、歩行器で居室から食堂まで移動できる。
- 長距離では疲労により足が上がりにくくなるが、本人は車いすを使うと歩けなくなるのではと抵抗感がある。
- 月1回の通院と孫との外食を続けたい希望があり、車いすのブレーキ操作と足台の確認は理解できる。
- 娘は外出時の転倒を心配し、車いす中心にしたいと考えている。
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
家の中は歩きたい。通院や外食では疲れる前に車いすを使う方法なら試したい。
家族の意向
おすすめ文例
本人の歩く力を残しながら、外出先では安全な方法を選びたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は短距離の歩行器移動と車いすの基本操作が可能で、外出継続への意欲がある。
長距離歩行では疲労から安定性が低下する一方、車いす使用を能力低下と感じて抵抗がある。
移動目的と距離ごとに歩行器と車いすを使い分ける意味を共有し、本人が選択できるよう支援する必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
理学療法士等が距離別の歩行状態と疲労を評価する。本人へ車いす併用の目的を説明し、移動方法を自分で選べるようにする。家族は安全を理由に常時車いすとせず、本人の歩行機会と外出参加を支える。
別の表現|短めにまとめたい場合
距離と疲労に応じた歩行器・車いすの使い分けを本人が選べるよう評価し、安全を保ちながら歩行機会と外出参加を支える。
第2表の文例
歩行器と車いすを目的・距離に応じて使い分け、移動能力と社会参加を保つ。
課題① 自宅内は歩行器で移動し、歩く力を使い続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
自宅内は歩行器で移動し、歩く力を使い続けたい。
長期目標
歩行器を使い、居室と食堂間を安全に移動できる。
短期目標
疲れる前に休息しながら、一日数回食堂まで移動できる。
サービス内容
理学療法士等が歩行距離、速度、疲労を評価し、安全な休息の目安を本人と確認する。
課題② 長距離では車いすを使い、無理なく外出したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
長距離では車いすを使い、無理なく外出したい。
長期目標
目的地と体調に合わせて車いすを選択し、外出を継続できる。
短期目標
通院時に本人が車いす利用を選び、ブレーキと足台を確認できる。
サービス内容
支援者は乗車前の操作確認と姿勢調整を行い、本人ができる操作を待って必要部分のみ支援する。
課題③ 家族と相談しながら移動方法を決めたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
家族と相談しながら移動方法を決めたい。
長期目標
本人と家族が評価結果を共有し、移動手段について合意できる。
短期目標
外出前に距離と体調を確認し、本人が歩行器か車いすを選べる。
サービス内容
ケアマネジャーは本人の希望を先に確認し、家族の不安と専門職の評価を調整する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 自宅内は歩行器で移動し、歩く力を使い続けたい。 | 歩行器を使い、居室と食堂間を安全に移動できる。 | 疲れる前に休息しながら、一日数回食堂まで移動できる。 | 理学療法士等が歩行距離、速度、疲労を評価し、安全な休息の目安を本人と確認する。 |
| 長距離では車いすを使い、無理なく外出したい。 | 目的地と体調に合わせて車いすを選択し、外出を継続できる。 | 通院時に本人が車いす利用を選び、ブレーキと足台を確認できる。 | 支援者は乗車前の操作確認と姿勢調整を行い、本人ができる操作を待って必要部分のみ支援する。 |
| 家族と相談しながら移動方法を決めたい。 | 本人と家族が評価結果を共有し、移動手段について合意できる。 | 外出前に距離と体調を確認し、本人が歩行器か車いすを選べる。 | ケアマネジャーは本人の希望を先に確認し、家族の不安と専門職の評価を調整する。 |
車いすと歩行器を併用するポイント
目的別に使い分ける
移動距離と目的を整理し、一つの補助具へ固定しない。
車いすを後退と捉えない
疲労を減らして外出や交流を続けるための手段として位置づける。
本人の選択を支える
家族が安全だけで決めず、本人が体調を基に選ぶ機会を作る。
文例を使うときのポイント
- 自宅内の幅や段差、外出先の環境を確認する。
- 車いす座位の痛みと疲労、歩行機会の両方をモニタリングする。
- 本人の外出回数や満足感も評価する。
まとめ
歩行器と車いすの併用は、移動能力を奪うのではなく活動範囲を保つ方法です。
距離と体調に応じた選択を本人と共有し、歩行機会と社会参加を両立します。
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