大腿骨頸部骨折後の入浴では、洗身ができても浴槽またぎと浴槽内での立ち座りに不安が残ることがあります。
本記事では、福祉用具と見守りを取り入れ、本人が好きな自宅の湯船へ段階的に入る事例を紹介します。
ここでは、入浴方法を家族だけで決めず、本人の希望と専門職による実地評価を基に計画します。を例に紹介します。
入浴以外の移動・排泄・家事など、大腿骨頸部骨折後の生活課題に応じた文例も、ケアプラン文例一覧から探せます。
この記事が参考になるケース
- 夫は入浴を手伝いたいが、自身も腰痛があり抱え上げる介助は難しい。
入浴をできる・できないで判断せず、脱衣、浴室移動、洗身、またぎ、浴槽内姿勢、立ち上がりを工程別に確認する。
浴槽への出入りは転倒や術後の動作制限に関わるため、医療・リハビリ職の情報を確認し、自宅浴室で安全性を評価する。
利用者像の例
- 75歳女性。大腿骨頸部骨折後、シャワーチェアで洗身は自立している。
- 浴槽縁が高く、またぐ際に片脚立ちとなることと、浴槽内から立つことに不安がある。
- 温かい湯船にゆっくりつかることが長年の楽しみで、シャワーだけでは身体が休まらないと話す。
- 夫は入浴を手伝いたいが、自身も腰痛があり抱え上げる介助は難しい。
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
家の湯船にまた入りたい。最初は見てもらいながら、安全な道具を使いたい。
家族の意向
おすすめ文例
抱えて入れるのは難しいので、本人が自分の力を使える方法を教えてほしい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は脱衣、浴室移動、座位での洗身ができ、入浴手順と危険を理解している。
浴槽縁の高さと浴槽内立ち上がりに不安があり、夫の腰痛から人的介助だけでは継続が難しい。
浴槽台、バスボード、手すり等の適合を専門職が評価し、本人の動作を生かした見守り方法を整える必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人の湯船につかりたい希望を尊重し、工程ごとの能力を確認する。作業療法士や福祉用具専門相談員等が浴室環境と福祉用具を評価する。夫が抱え上げずに見守れる方法を共有し、体調に応じてシャワー浴も本人が選べるようにする。
別の表現|短めにまとめたい場合
本人の入浴希望を尊重して浴室環境と動作を評価し、家族が抱え上げない方法を共有して、体調に応じた入浴方法を本人が選べるよう支援する。
第2表の文例
浴槽またぎを実地で評価し、福祉用具と本人の残存能力を組み合わせて入浴を支える。
課題① 自宅の湯船につかり、入浴の楽しみを取り戻したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
自宅の湯船につかり、入浴の楽しみを取り戻したい。
長期目標
福祉用具と見守りを活用し、安全に浴槽へ出入りできる。
短期目標
専門職の評価下で、バスボード等を使った浴槽またぎを一連で行える。
サービス内容
作業療法士等が浴槽高、手すり位置、座位バランス、足の運びを評価し、本人に合う方法を練習する。
課題② できる洗身動作は自分で続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
できる洗身動作は自分で続けたい。
長期目標
シャワーチェアを使い、自分のペースで洗身できる。
短期目標
手の届く範囲を自分で洗い、難しい部分のみ夫へ依頼できる。
サービス内容
家族は本人が行う工程を待ち、本人の依頼があった部分だけを支援する。
課題③ 夫の腰へ負担をかけずに入浴したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
夫の腰へ負担をかけずに入浴したい。
長期目標
抱え上げない見守り方法で、夫婦とも無理なく入浴を続けられる。
短期目標
夫が確認した立ち位置で見守り、緊急時の連絡方法を共有できる。
サービス内容
専門職は夫へ見守り位置と介助が必要な場面を実地で説明し、腰痛と負担感を確認する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 自宅の湯船につかり、入浴の楽しみを取り戻したい。 | 福祉用具と見守りを活用し、安全に浴槽へ出入りできる。 | 専門職の評価下で、バスボード等を使った浴槽またぎを一連で行える。 | 作業療法士等が浴槽高、手すり位置、座位バランス、足の運びを評価し、本人に合う方法を練習する。 |
| できる洗身動作は自分で続けたい。 | シャワーチェアを使い、自分のペースで洗身できる。 | 手の届く範囲を自分で洗い、難しい部分のみ夫へ依頼できる。 | 家族は本人が行う工程を待ち、本人の依頼があった部分だけを支援する。 |
| 夫の腰へ負担をかけずに入浴したい。 | 抱え上げない見守り方法で、夫婦とも無理なく入浴を続けられる。 | 夫が確認した立ち位置で見守り、緊急時の連絡方法を共有できる。 | 専門職は夫へ見守り位置と介助が必要な場面を実地で説明し、腰痛と負担感を確認する。 |
浴槽またぎのケアプラン作成ポイント
浴室で評価する
模擬環境だけでなく、浴槽高や狭さが異なる自宅で動作を確認する。
福祉用具を適合させる
用具を置くだけでなく、本人の体格、動作、浴室寸法に合わせて選ぶ。
代替方法も本人が選ぶ
体調に応じて湯船、シャワー、通所入浴等を選べる計画にする。
文例を使うときのポイント
- 住宅改修や福祉用具導入前に実地評価を行う。
- 入浴後の痛み、疲労、安心感を確認して頻度を調整する。
- 本人の満足感と夫の身体負担を両方モニタリングする。
まとめ
浴槽またぎは本人の身体機能だけでなく、浴室環境と福祉用具の適合が重要です。
本人ができる工程を生かし、家族が抱え上げない方法で入浴の楽しみを支えます。
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