糖尿病の訪問看護では、血糖値だけでなく食事、活動、服薬、自己注射、足の状態を生活の流れに沿って確認します。本人が理解して選べる自己管理方法を整えます。
本記事では、自己注射の手順は理解しているものの、視力低下で注射単位と足の状態の確認に不安がある独居の方を想定します。理解と実際の操作を分けて評価し、安全な自己管理と必要な看護支援を第1表・第2表に示します。
この記事が参考になるケース
- 70代女性。2型糖尿病でインスリン自己注射を行っている。一人暮らしで、手順は理解しているが視力低下により単位確認と足の観察に不安がある。
- 本人は「自分でできることを続けながら、血糖を安定させて暮らしたい。」と希望している。
- 家族は「低血糖や注射の間違いを防ぎ、必要な時に支援を受けてほしい。」と考えている。
医療的支援は主治医の指示に基づき、状態に応じて訪問看護事業所・関係職種と確認します。
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
自分でできることを続けながら、血糖を安定させて暮らしたい。
家族の意向
おすすめ文例
低血糖や注射の間違いを防ぎ、必要な時に支援を受けてほしい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
70代女性。2型糖尿病でインスリン自己注射を行っている。一人暮らしで、手順は理解しているが視力低下により単位確認と足の観察に不安がある。
本人は自己注射の手順を理解しているが、視力低下により単位を正確に確認できるかは実際の操作で評価する必要がある。本人が行える準備・記録等の役割を残しつつ、確認できない工程の支援体制を主治医・看護師・薬剤師と整える必要がある。
訪問看護師が主治医の指示に基づき血糖測定・自己注射の手技、保管、針の処理を確認し、誤りや困難があれば医師へ相談する。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が習得している血糖測定と自己注射の力を生かしつつ安全に療養を続けられるよう、訪問看護が手技・食事・活動・足の状態を確認し、主治医や薬剤師と連携して無理のない自己管理を支援します。
別の表現|短めにまとめたい場合
本人の自己管理を生かし、見やすい環境で手順と注射単位を確認します。主治医と連携し、安全に療養を続けられるよう支援します。
第2表の文例
サービスを利用すること自体ではなく、本人が望む生活を続けられることを目標にします。
課題① 安全に血糖測定と自己注射を続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
安全に血糖測定と自己注射を続けたい。
長期目標
必要な治療を継続し、血糖の大きな変動を予防できる。
短期目標
看護師と実際の操作を確認し、自分で行える工程と支援を要する工程を共有できる。
サービス内容
訪問看護師が主治医の指示に基づき血糖測定・自己注射の手技、保管、針の処理を確認し、誤りや困難があれば医師へ相談する。
課題② 低血糖や高血糖の兆候に気づきたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
低血糖や高血糖の兆候に気づきたい。
長期目標
体調変化に早く対応し、重症化を防げる。
短期目標
自分に起こりやすい症状と連絡先を説明できる。
サービス内容
本人・家族へ主治医から示された症状と対応方法を確認し、発生状況を記録して医療職間で共有する。
課題③ 足の傷を防ぎ、自分の足で歩き続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
足の傷を防ぎ、自分の足で歩き続けたい。
長期目標
足病変を予防し、安全に移動できる。
短期目標
毎日確認できる範囲で足を観察し、異常を相談できる。
サービス内容
皮膚、爪、靴、感覚、歩行状態を確認し、必要時は主治医・皮膚科・フットケア・リハビリ職へつなぐ。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 安全に血糖測定と自己注射を続けたい。 | 必要な治療を継続し、血糖の大きな変動を予防できる。 | 看護師と実際の操作を確認し、自分で行える工程と支援を要する工程を共有できる。 | 訪問看護師が主治医の指示に基づき血糖測定・自己注射の手技、保管、針の処理を確認し、誤りや困難があれば医師へ相談する。 |
| 低血糖や高血糖の兆候に気づきたい。 | 体調変化に早く対応し、重症化を防げる。 | 自分に起こりやすい症状と連絡先を説明できる。 | 本人・家族へ主治医から示された症状と対応方法を確認し、発生状況を記録して医療職間で共有する。 |
| 足の傷を防ぎ、自分の足で歩き続けたい。 | 足病変を予防し、安全に移動できる。 | 毎日確認できる範囲で足を観察し、異常を相談できる。 | 皮膚、爪、靴、感覚、歩行状態を確認し、必要時は主治医・皮膚科・フットケア・リハビリ職へつなぐ。 |
訪問看護のケアプラン作成ポイント
本人の生活目標から位置づける
看護の実施自体を目標にせず、本人が自宅で続けたい暮らしや役割を確認します。
医療と生活をつなぐ
「手順を知っている」だけで自己注射の継続が可能と判断せず、本人が使う器具と環境で操作を確認します。単位の確認が難しい時は曖昧なまま本人へ任せず、主治医等と支援方法を調整します。訪問のない時間に誰がどこを補えるかも確認します。
操作の確実性と支援がない時間の対応を評価する
血糖、自己注射手技、低血糖・高血糖症状、食事、活動、服薬、足の状態、視力、本人の負担感を確認します。
文例を使うときのポイント
- 血糖目標やインスリン量は主治医の指示を確認し、訪問看護独自の変更にならないようにします。
- 本人と家族の意向を分けて確認します。
- 病状・生活・サービス提供状況の変化に応じて見直します。
まとめ
自己注射の理解と実際に見て操作できることを分けて確認します。本人が担える工程を残し、視力低下で難しい確認と足の観察を支えます。
自己注射の継続に不安がある場合は、日本糖尿病協会「インスリンQ&A シニア版」も参考に、医療機関で個別の支援方法を確認してください。


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