階段昇降に不安がある利用者では、下肢筋力、立位バランス、足の踏み替え、持久力などの低下により、自宅内の移動や外出が制限されることがあります。個別機能訓練計画書では、単に階段を上り下りできることを目標にするのではなく、本人が階段を利用してどのような生活を続けたいのかを具体的に把握することが重要です。この記事では、階段昇降に課題がある利用者を想定した長期目標・短期目標・訓練内容・評価の文例を紹介します。
階段昇降以外の歩行・移乗・生活動作に応じた文例は、個別機能訓練計画書の文例一覧から確認できます。
階段昇降の個別機能訓練計画書を作成するポイント
階段昇降では、下肢筋力だけでなく、手すりの使用状況、片脚で身体を支える能力、足の踏み替え、段差の高さ、疲労などを確認します。また、自宅の階段なのか玄関の段差なのかによって必要な動作も異なります。本人が実際に利用している環境を把握し、安全に生活動作へつなげられる目標と訓練内容を設定することが大切です。
利用者像の例
- ・要介護1
- ・妻と二人暮らし
- ・自宅は2階建て
- ・屋内歩行は杖を使用している
- ・階段には手すりが設置されている
- ・階段昇降時に下肢の疲労と不安がみられる
- ・現在は2階へ上がる機会が減っている
- ・本人は2階にある自室を今後も利用したいと希望している
本人の希望・生活上の課題
できればこれからも2階の自分の部屋を使いたいので、手すりを使って安全に階段を上り下りしたい。
下肢筋力と立位バランスの低下により階段昇降時の安定性が低下し、自宅内の生活範囲が狭くなっている。
長期目標の文例
手すりを使用して安全に階段を昇降し、自宅2階の自室を継続して利用できる。
階段昇降に必要な下肢機能とバランス能力を維持し、自宅内の生活範囲を保つことができる。
段差や階段を安全に移動し、外出や日常生活を継続できる。
短期目標の文例
手すりを使用し、安定して一段ずつ段差を昇降できる。
立位で足を踏み替えながら、バランスを崩さずに動作できる。
休憩を取りながら下肢運動や段差練習を継続し、階段昇降に必要な体力を維持できる。
個別機能訓練の内容
椅子からの立ち上がりや下肢運動を行い、階段昇降に必要な下肢筋力の維持・向上を図る。
支持物を使用した立位での重心移動や足の踏み替え練習を行い、階段昇降に必要なバランス能力の維持を図る。
低い段差から昇降練習を行い、足の運び方や手すりの使用方法を確認しながら安全な動作につなげる。
本人の体力や動作能力に合わせて段差練習の回数や高さを調整し、自宅での階段利用につながる動作能力の維持を図る。
訓練実施時の留意点
膝痛、ふらつき、足の引っかかり、疲労などを確認し、手すりや介助者を活用して転倒防止に十分配慮する。
自宅の階段や段差の状況を踏まえ、本人の能力を超えた高さや回数での反復を避けて訓練を実施する。
評価・モニタリングの文例
手すりを使用した段差昇降は安定しており、足の踏み替えも円滑になっている。自宅での階段利用を想定し、現在の訓練を継続する。
昇段動作は安定しているが、降段時には不安がみられる。安全性に配慮しながら立位バランスと降段動作の練習を継続する。
階段昇降能力に大きな変化はないが、手すりを使用することで現在の生活範囲を維持できている。能力低下を予防するため、下肢筋力と段差昇降訓練を継続する。
階段昇降の個別機能訓練で意識したいこと
階段昇降の個別機能訓練では、施設内の段差を上り下りできることだけでなく、自宅の階段や玄関など実際の生活環境を意識することが重要です。段差の高さ、手すりの位置、階段の幅などによって動作の難易度は変わります。本人が階段を使って何をしたいのかを明確にし、自室の利用や外出などの生活目標につなげます。また、安全性が十分に確保できない場合は、環境調整や生活動線の見直しも含めて関係職種と検討することが大切です。
まとめ
階段昇降に課題がある利用者の個別機能訓練計画書では、下肢筋力だけでなく、立位バランス、足の踏み替え、持久力、自宅環境などを含めて評価することが重要です。本人が階段を利用して続けたい生活から目標を設定し、立ち上がり、バランス、段差昇降など必要な訓練につなげることで、実生活に活かせる個別機能訓練計画書になります。


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