ADLや家事動作が低下している利用者では、立ち上がり、移動、更衣、調理、洗濯、掃除など、これまで自分で行っていた生活動作が徐々に難しくなることがあります。個別機能訓練計画書では、筋力や関節可動域だけでなく、本人が生活の中でどのような役割を続けたいのかを把握することが重要です。この記事では、ADL・家事動作の低下がみられる利用者を想定した長期目標・短期目標・訓練内容・評価の文例を紹介します。
ADL・家事動作低下の個別機能訓練計画書を作成するポイント
ADLや家事動作では、身体機能だけでなく、立位保持、移動、物品操作、手順、持久力など複数の能力が必要になります。計画書では、「家事ができない」とまとめるのではなく、調理、洗濯、更衣などのどの工程に支援が必要なのかを整理します。本人が現在行えている動作を活かし、実際の生活場面に近い活動を訓練へ取り入れることが大切です。
利用者像の例
- ・要介護1
- ・夫と二人暮らし
- ・屋内歩行は自立している
- ・長時間の立位で疲れやすい
- ・床から物を拾う動作に不安がある
- ・調理や洗濯を家族に任せる機会が増えている
- ・更衣や整容は自立している
- ・本人は朝食の準備と洗濯物たたみを今後も続けたいと希望している
本人の希望・生活上の課題
できる家事まで夫に任せたくないので、朝食の準備や洗濯物たたみはこれからも自分で続けたい。
立位保持能力と持久力の低下により、調理や洗濯など長時間の家事動作を継続することが難しくなっている。
長期目標の文例
現在の身体機能を維持し、朝食の準備など本人が希望する家事を継続できる。
自分で行えるADLを維持し、家庭内での役割を持ちながら生活できる。
活動と休息を調整しながら、日常生活に必要な家事や身の回りの動作を継続できる。
短期目標の文例
安定した立位姿勢を保ちながら、簡単な物品操作を行うことができる。
立ち上がりや方向転換を安全に行い、家事に必要な移動動作を継続できる。
休憩を取りながら一定時間の立位活動を行い、家事に必要な活動耐久性を維持できる。
個別機能訓練の内容
椅子からの立ち上がりや立位保持を行い、家事動作に必要な下肢筋力と姿勢保持能力の維持を図る。
立位での重心移動や方向転換を行い、台所や室内での安全な移動能力の維持を図る。
タオルたたみや物品の運搬など実際の家事に近い活動を取り入れ、生活動作の維持につなげる。
本人の体力に合わせて立位活動と休憩を組み合わせ、家事を継続するために必要な持久力の維持を図る。
訓練実施時の留意点
立位時のふらつきや疲労、疼痛を確認し、安全を確保しながら生活動作に近い訓練を実施する。
本人が普段行っている家事方法や自宅環境を確認し、実生活とかけ離れた訓練にならないよう配慮する。
評価・モニタリングの文例
立位での物品操作が安定し、休憩を取りながら簡単な家事活動を継続できている。家庭での調理動作につなげるため、立位活動と移動練習を継続する。
立位活動時間が延び、自宅でも洗濯物たたみや簡単な朝食準備を行えている。現在の役割を継続できるよう生活動作訓練を継続する。
ADLや家事動作に大きな変化はみられないが、自分で行える活動は維持できている。介助量の増加を予防するため、現在の訓練内容を継続する。
ADL・家事動作の個別機能訓練で意識したいこと
ADLや家事動作に対する個別機能訓練では、筋力訓練だけで終わらせず、その能力を実際の生活の中でどのように使うのかを考えることが重要です。調理であれば立位保持や物品操作、洗濯であれば移動や物を運ぶ動作など、活動を細かく分けることで必要な能力が明確になります。また、本人にとって家事が生活上の役割や生きがいとなっている場合もあるため、本人の生活歴や希望を踏まえて目標を設定することが大切です。
まとめ
ADL・家事動作が低下している利用者の個別機能訓練計画書では、身体機能だけでなく、本人が家庭内で続けたい役割や生活動作を把握することが重要です。実際の生活場面から必要な立位、移動、物品操作、持久力などを整理し、訓練内容につなげることで、本人の生活に活かせる個別機能訓練計画書になります。


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