大腿骨頸部骨折後の訪問リハビリでは、訓練そのものを目的にせず、本人が自宅で再開したい生活動作へ結びつけることが重要です。
本記事では、縁側まで歩いて庭を眺めたい本人が、専門職と動作を確認し、日常の中で無理なく自主運動を続ける事例を紹介します。
ここでは、運動内容や回数は一律に示さず、医師・リハビリテーション専門職の評価に基づき個別に設定します。を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 妻は熱心に運動を勧めるが、本人は指示され続けると意欲が下がると話している。
自主運動の実施回数だけでなく、本人が目指す生活動作、理解度、痛みへの不安、実施しやすい時間と場所を確認する。
運動の種類、負荷、回数、中止基準は医師・リハビリ職が身体状況を評価して設定し、介護職や家族が独自に増減しない。
利用者像の例
- 80歳男性。大腿骨頸部骨折の手術後、自宅内は歩行器で移動している。
- 退院時に運動を教わったが、回数に自信がなく、痛みが出るのが怖くて行わない日がある。
- 以前は毎朝、縁側から庭木を確認することが日課で、再び自分で縁側まで行きたいと希望している。
- 妻は熱心に運動を勧めるが、本人は指示され続けると意欲が下がると話している。
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
また朝に縁側まで行って庭を見たい。そのための運動なら、やり方を確かめて自分のペースで続けたい。
家族の意向
おすすめ文例
無理に勧めるのではなく、本人が続けやすい声のかけ方を知りたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は訪問時の説明を理解し、歩行器で室内を移動でき、庭を見るという具体的な目標を持っている。
痛みへの不安と運動量への迷いから自主運動が定着せず、妻の声かけを負担に感じることがある。
専門職が生活動作と結びつけて運動を設定し、本人が実施・休止を選び、妻は記録や環境準備を支える必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が望む縁側への移動を目標に、訪問リハビリで実際の動線と動作を評価する。本人が理解できる簡潔な方法で自主運動を共有し、痛みや疲労時は中止して相談できるようにする。妻は実施を強制せず、本人が選んだ時に安全な環境を整える。
別の表現|短めにまとめたい場合
本人が望む生活動作を目標に訪問リハビリを行い、理解しやすい自主運動と中止基準を共有して、家族が強制せず継続を支える。
第2表の文例
訪問リハビリを本人の日課へつなげ、無理なく自主運動と移動練習を継続する。
課題① 縁側まで自分で移動し、庭を眺める日課を再開したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
縁側まで自分で移動し、庭を眺める日課を再開したい。
長期目標
歩行器を使い、安全に縁側まで移動できる。
短期目標
訪問リハビリ時に休憩を入れながら縁側まで往復できる。
サービス内容
理学療法士等が動線、段差、方向転換、疲労を評価し、本人に合う移動方法を練習する。
課題② 目的を理解した自主運動を自分のペースで続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
目的を理解した自主運動を自分のペースで続けたい。
長期目標
体調に応じて自主運動を実施・中止し、継続できる。
短期目標
専門職が設定した運動から本人が行う時間を選び、実施後の状態を伝えられる。
サービス内容
訪問リハビリ職は運動の目的、方法、回数、中止時の相談先を本人が確認できる形で示す。
課題③ 家族に急かされず、必要な支援を選びたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
家族に急かされず、必要な支援を選びたい。
長期目標
本人の意思を尊重した声かけと見守りで運動に取り組める。
短期目標
妻が「今日はどうする」と確認し、本人の返答を待てる。
サービス内容
ケアマネジャーとリハビリ職は妻へ見守り方法を伝え、本人と妻双方の負担感を確認する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 縁側まで自分で移動し、庭を眺める日課を再開したい。 | 歩行器を使い、安全に縁側まで移動できる。 | 訪問リハビリ時に休憩を入れながら縁側まで往復できる。 | 理学療法士等が動線、段差、方向転換、疲労を評価し、本人に合う移動方法を練習する。 |
| 目的を理解した自主運動を自分のペースで続けたい。 | 体調に応じて自主運動を実施・中止し、継続できる。 | 専門職が設定した運動から本人が行う時間を選び、実施後の状態を伝えられる。 | 訪問リハビリ職は運動の目的、方法、回数、中止時の相談先を本人が確認できる形で示す。 |
| 家族に急かされず、必要な支援を選びたい。 | 本人の意思を尊重した声かけと見守りで運動に取り組める。 | 妻が「今日はどうする」と確認し、本人の返答を待てる。 | ケアマネジャーとリハビリ職は妻へ見守り方法を伝え、本人と妻双方の負担感を確認する。 |
訪問リハビリ・自主運動のケアプラン作成ポイント
生活目標と結ぶ
訓練回数ではなく、本人が再開したい具体的な日課を目標にする。
本人が選べる計画にする
体調に応じて実施や休止を選び、変化を専門職へ伝えられるようにする。
家族の役割を整理する
家族を訓練指導者にせず、環境準備と本人の意思確認を中心にする。
文例を使うときのポイント
- 訪問リハビリ職の評価内容と自主運動をサービス間で共有する。
- 生活動作の変化と、運動後の痛み・疲労を併せて確認する。
- 本人の目標達成に応じて運動内容は専門職と見直す。
まとめ
自主運動は、本人が望む生活と結びつくことで続ける意味が明確になります。
専門職の評価と本人の選択を基盤にし、家族は強制ではなく環境面から支えます。
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