脳梗塞後遺症による嚥下障害がある利用者では、安全を優先するあまり、本人の好みや食事を選ぶ機会が少なくなることがあります。
食形態は医療・専門職の評価を踏まえつつ、姿勢、食具、一口量、疲労、本人が楽しみにする味や食卓をケアプランへ反映することが重要です。
ここでは、専門職から示された食形態と姿勢を守り、自分で一口量を調整しながら、昼食に好物の煮魚を楽しみたい利用者を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 港町で育ち、昼食の煮魚を楽しみにしてきた
- 言語聴覚士等から食形態と姿勢の留意点が共有されている
- 背もたれと足台を整えると座位を保てる
- 小さめのスプーンで一口量を自分で調整できる
- 食事開始時はむせなくゆっくり食べられる
- 二十分を超えると疲労し飲み込みに時間がかかる
- 本人は好みの味を選び自分で食べたい
- 妻は急かさず状態を確認したい
食形態や姿勢は医療・専門職の評価内容を確認し、一口量、速度、疲労、本人の好み、食事中と食後の変化を観察してください。
※むせの増加、湿った声、発熱、呼吸状態の変化等がある場合は食事を中止し、速やかに医療職へ相談してください。食形態を独自に変更しないでください。
利用者像の例
- 77歳・男性・要介護3
- 妻と二人暮らし
- 脳梗塞後遺症による嚥下障害がある
- 港町で育ち、昼食の煮魚を楽しみにしてきた
- 言語聴覚士等から食形態と姿勢の留意点が共有されている
- 背もたれと足台を整えると座位を保てる
- 小さめのスプーンで一口量を自分で調整できる
- 食事開始時はむせなくゆっくり食べられる
- 二十分を超えると疲労し飲み込みに時間がかかる
- 本人は好みの味を選び自分で食べたい
- 妻は急かさず状態を確認したい
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
決められた形なら自分でゆっくり食べられるので、煮魚の味を選び、妻と昼食を楽しみたい。
家族の意向
おすすめ文例
急いで口へ運ばず、本人が飲み込んで次の一口を取るのを待ち、疲れたら休めるようにしたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は妻と暮らし、港町で育った生活歴から煮魚を好み、妻と昼食を楽しみながら自分で食べたいと希望している。
専門職から共有された食形態と姿勢を守り、背もたれと足台を整えると座位を保ち、小さめのスプーンで一口量を調整できる。
食事開始時はゆっくり食べられるが、二十分を超えると疲労し、飲み込みに時間を要する。
本人の選択と自力摂取を活かしつつ、食事中・食後の状態を観察し、変化時は医療・専門職へ共有する必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
専門職から示された食形態と姿勢を守り、本人が一口量と食べる速度を調整して食事できるよう支援する。好みの味を選べるよう二つ程度の候補を示し、妻と同じ食卓で落ち着いて食べる環境を整える。二十分を目安に疲労と飲み込みを確認し、本人が休憩・継続・終了を選べるようにする。
別の表現|短めにまとめたい場合
本人の食べる力を活かし、姿勢や食形態、食事の速さに配慮して安全な食事を支援する。むせや体調の変化を関係職種で共有し、医療職の指示に沿って対応する。
第2表の文例
摂取量だけを目標にせず、専門職の評価に沿った安全な条件で、本人が味とペースを選び食事を楽しめることを目標にします。
課題① 自分に合う姿勢と食具で、ゆっくり自分で食べたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
自分に合う姿勢と食具で、ゆっくり自分で食べたい。
長期目標
専門職から示された条件で安全に自力摂取を継続できる。
短期目標
背もたれと足台を使い、小さめのスプーンで一口ずつ食べられる。
サービス内容
共有された食形態と姿勢を整え、本人が飲み込んでから次の一口を取る時間を待つ。
課題② 好みの味を選び、昼食を楽しみたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
好みの味を選び、昼食を楽しみたい。
長期目標
本人の嗜好が食事内容へ反映される。
短期目標
食形態の範囲内で二つの味から煮魚を選べる。
サービス内容
食事提供者と専門職の共有内容を確認し、可能な選択肢を本人へ示して返答を待つ。
課題③ 疲れたときは休み、無理せず食事を終えたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
疲れたときは休み、無理せず食事を終えたい。
長期目標
疲労や飲み込みの変化に応じて休憩・終了を選べる。
短期目標
二十分後に状態を確認し、休む、続ける、終えるの希望を示せる。
サービス内容
むせ、声、呼吸、疲労を確認し、変化時は中止して医療職へ共有する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 自分に合う姿勢と食具で、ゆっくり自分で食べたい。 | 専門職から示された条件で安全に自力摂取を継続できる。 | 背もたれと足台を使い、小さめのスプーンで一口ずつ食べられる。 | 共有された食形態と姿勢を整え、本人が飲み込んでから次の一口を取る時間を待つ。 |
| 好みの味を選び、昼食を楽しみたい。 | 本人の嗜好が食事内容へ反映される。 | 食形態の範囲内で二つの味から煮魚を選べる。 | 食事提供者と専門職の共有内容を確認し、可能な選択肢を本人へ示して返答を待つ。 |
| 疲れたときは休み、無理せず食事を終えたい。 | 疲労や飲み込みの変化に応じて休憩・終了を選べる。 | 二十分後に状態を確認し、休む、続ける、終えるの希望を示せる。 | むせ、声、呼吸、疲労を確認し、変化時は中止して医療職へ共有する。 |
脳梗塞後遺症・嚥下障害のケアプランで意識したいポイント
専門職の評価を共通条件にする
ケアマネジャーや家族が独自に食形態を変えず、共有された内容をサービス間で統一します。
本人の選択を残す
安全な範囲内でも味、料理、食べる順番、終了時点を本人が選べるようにします。
食事後半と食後まで見る
開始時だけでなく、疲労時の飲み込み、声、呼吸、食後の状態を確認します。
文例を使うときのポイント
- 最新の食形態と姿勢を確認する
- 本人が扱える食具を選ぶ
- 一口量と速度を本人に合わせる
- 食事後半の疲労を確認する
- 変化を医療・専門職へ共有する
まとめ
嚥下障害がある場合は、専門職の評価に沿った食形態と姿勢を共通条件とし、本人の自力摂取と選択を活かします。
一口量、疲労、食後の変化を確認しながら、妻と好物を楽しめる生活目標へつなげることが大切です。
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