ケアプラン文例【認知症・怒りっぽい・介護抵抗】|易怒性がある場合の第1表・第2表の記入例

認知症のある利用者では、声をかけた際に突然怒ったり、介助を拒んだり、「触らないで」「自分でできる」と強い口調になることがあります。このような場面を「怒りっぽい」「介護抵抗がある」とだけ捉えると、本人がなぜそのように反応しているのかが見えにくくなります。

ここでは、認知症により介助場面で怒りや拒否がみられるものの、普段は比較的穏やかに過ごしている利用者を例に、本人の不安や自尊心、生活歴を踏まえた第1表・第2表のケアプラン文例を紹介します。

認知症の症状や生活上の困りごとに応じたほかの文例は、ケアプラン文例一覧から確認できます。

この記事が参考になるケース

  • 認知症があり、介助を勧めると怒ることがある
  • 「自分でできる」「触るな」と強く拒否することがある
  • 入浴、更衣、服薬等で介護抵抗がみられる
  • 急かされたときに怒りやすい
  • 本人の理解が追いつかないまま介助されると不安が強くなる
  • 家族が本人の怒りにどう対応すればよいか悩んでいる
  • 職員によって本人の反応に差がある

担当ケースに近い部分を選び、怒りがみられる時間帯、場面、声かけ、本人の生活歴などに合わせて調整してください。

※文例はそのまま使用するのではなく、本人の認知機能、体調、痛み、不安、生活歴、介助方法、家族状況などに合わせて調整してください。

利用者像の例

  • 81歳・男性・要介護2
  • 妻と二人暮らし
  • アルツハイマー型認知症
  • 屋内歩行、食事、排泄は概ね自立
  • 更衣や入浴は一部声かけが必要
  • 以前は会社員として長年管理職を務めていた
  • 自分で決めることを大切にしてきた
  • 入浴や更衣を急に勧められると「自分でできる」と怒ることがある
  • 身体に突然触れられると手を振り払うことがある
  • 時間を置いて説明すると受け入れられることもある
  • 妻は本人を怒らせないよう常に気を遣っている
  • 通所介護週3回利用

本人・家族の意向の文例

本人の意向

おすすめ文例|自分で決めたい気持ちが強い場合

自分でできることまで何でも手を出されたくない。自分のことは自分で決めたいし、必要なときだけ手伝ってほしい。

別の表現①|突然介助されることが不安な場合

急に身体を触られるとびっくりする。何をするのか分かるように話してから手伝ってほしい。

別の表現②|急かされることが苦手な場合

急いでやれと言われると腹が立つ。自分のペースでできるように待ってほしい。

家族の意向

おすすめ文例|対応方法を知りたい場合

本人が怒るとどう声をかければよいか分からず、家族も緊張してしまう。本人が安心できる関わり方を教えてもらい、できるだけ穏やかに生活したい。

別の表現|家族が疲れている場合

本人を怒らせないよう一日中気を遣っていることに疲れを感じる。家族だけで抱え込まず、サービスの職員とも対応方法を共有したい。

第1表の文例

利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果

おすすめ文例

本人は身の回りのことをできる限り自分で行いたいという思いが強く、長年仕事や家庭の中で自ら判断して生活してきた。現在も基本的な生活動作は概ね自分で行えている一方、認知症により状況を十分に理解できないまま介助を受けると、不安や混乱から「触るな」「自分でできる」と強く拒否することがある。特に、急な声かけや身体への接触、急かされる場面で怒りが強くなる傾向がみられる。一方、本人の前から声をかけ、何をするのかを説明し、本人が納得する時間を持つことで受け入れられる場面もある。本人の怒りを性格や問題行動として捉えるのではなく、自分で決めたい思いや不安、状況理解の難しさを踏まえ、本人のペースや自尊心に配慮した関わりを行う必要がある。

別の表現|家族負担も重視する場合

本人は介助を必要とする場面が増えているものの、自分で行いたいという意識が強く、家族が手を出すことで怒りや拒否につながることがある。妻は本人を刺激しないよう言葉や行動に常に気を遣っており、精神的な疲労がみられている。本人の怒りが生じる前の状況や関わり方を整理し、本人が受け入れやすい声かけや介助方法を家族・介護サービスで共有することで、本人の安心と家族の負担軽減の両方につなげる必要がある。

総合的な援助の方針

おすすめ文例

本人が自分で決めたい、できることは自分で行いたいという思いを尊重し、できる動作については見守りを基本とする。介助が必要な場合には本人の正面から穏やかに声をかけ、何をするのかを分かりやすく説明し、本人の反応を確認してから支援する。拒否がみられた際には無理に介助を続けず、時間や職員、声かけ方法を変えるなど本人が受け入れやすい方法を検討する。本人が怒りやすい場面と落ち着いて対応できた方法を家族・関係職種で共有し、家族が本人への対応を一人で抱え込まないよう支援する。

別の表現|短めにまとめたい場合

本人の自尊心と自己決定を尊重し、できることは本人自身で行えるよう支援する。介助時は分かりやすい説明と本人のペースを大切にし、拒否時には無理に進めず対応方法を工夫する。本人が安心できる関わり方を家族・関係職種で共有し、穏やかな在宅生活につなげる。

第2表の文例

易怒性や介護抵抗がある場合も、「怒らないこと」「介助を拒否しないこと」を目標にするのではなく、本人が安心し、自分の意思を尊重されながら必要な支援を受けられることを目標として考えます。

課題① 自分の気持ちや考えを大切にしてもらいたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

自分のことを一方的に決められず、できることは自分で行いながら生活したい。

ニーズの別表現|自尊心を重視する場合

何でも手伝われるのではなく、自分でできることを認めてもらい、自分らしく生活したい。

長期目標

本人の意思や自尊心が尊重され、自分でできる生活動作を続けながら穏やかに生活できる。

短期目標

自分でできる動作は見守りの中で行い、必要なときに支援を受けることができる。

サービス内容

本人が自分で行える動作を確認し、急いで介助せず見守る。必要な場面では本人に意向を確認し、本人が納得したうえで必要な部分のみ支援する。

課題② 何をされるのか分かり、安心して介助を受けたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

急に身体を触られたりせず、何をするのか分かったうえで安心して手伝ってもらいたい。

長期目標

本人が安心できる関わりの中で、必要な生活支援や介助を受けることができる。

短期目標

介助前に分かりやすい説明を受け、本人が納得してから支援を受けることができる。

サービス内容

本人の正面から名前を呼び、何を行うのかを一つずつ分かりやすく説明する。身体に触れる前には本人の反応を確認し、拒否がある場合は一度中止して時間を置く。

課題③ 自分のペースで落ち着いて生活したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

急かされたり強く言われたりせず、自分のペースで落ち着いて毎日を過ごしたい。

長期目標

本人が安心できる生活リズムの中で、強い不安や混乱を感じる場面が少なく穏やかに過ごせる。

短期目標

急かされずに行動できる時間が確保され、本人のペースで生活動作や活動に取り組むことができる。

サービス内容

本人が動作や判断を行うまで待つ時間を確保し、複数の指示を同時に出さない。表情や声の変化から不安や苛立ちの兆候を確認し、強い拒否になる前に関わり方や環境を調整する。

課題④ 家族も本人との関わりに不安を抱えすぎず生活したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

本人を怒らせないように気を遣い続けるのではなく、家族も安心して本人と関わりながら生活したい。

長期目標

家族が本人の反応を理解し、過度な不安や精神的負担を抱えずに在宅介護を継続できる。

短期目標

本人が怒りやすい場面や受け入れやすい対応方法を家族・介護サービスで共有できる。

サービス内容

本人が怒りやすい状況と落ち着きやすかった関わりを記録し、家族・関係職種で共有する。家族に対しても無理に説得や介助を続けない対応方法を伝え、精神的負担について定期的に確認する。

第2表の完成イメージ

上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。

※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容
自分のことを一方的に決められず、できることは自分で行いながら生活したい。 本人の意思や自尊心が尊重され、自分でできる生活動作を続けながら穏やかに生活できる。 できる動作は自分で行い、必要時に支援を受けることができる。 本人の能力を確認し、必要な部分のみ本人の意向を確認しながら支援する。
何をするのか分かったうえで、安心して手伝ってもらいたい。 安心できる関わりの中で必要な介助を受けることができる。 介助前に説明を受け、納得してから支援を受けることができる。 正面から分かりやすく説明し、本人の反応を確認してから介助する。
急かされず、自分のペースで落ち着いて毎日を過ごしたい。 強い不安や混乱を感じる場面が少なく、穏やかに生活できる。 本人のペースで生活動作や活動に取り組むことができる。 待つ時間を確保し、複数の指示や急な介助を避ける。
家族も本人を怒らせることを心配し続けず、安心して一緒に生活したい。 家族が過度な精神的負担を抱えず、在宅介護を継続できる。 本人が受け入れやすい対応方法を家族・関係者で共有できる。 怒りが起こる状況と有効だった対応を共有し、家族への支援も行う。

認知症・怒りっぽい・介護抵抗のケアプランで意識したいポイント

「怒った」場面の直前を見る

怒りだけを見るのではなく、その直前に誰が何を言ったのか、身体に触れたのか、急かしたのか、本人が何をしていたのかを確認します。怒りが生じる前の状況に支援のヒントがあることがあります。

本人にとっては介助が突然始まっていることがある

支援者には日常的な更衣介助や入浴介助でも、本人が状況を理解できていない場合には「突然服を脱がされた」「急に身体を触られた」と感じる可能性があります。介助の前に本人が理解できる形で伝えることが重要です。

「できない」と決めつけない

本人が時間をかければできる動作まで先回りして介助すると、自尊心を傷つけ、拒否につながる場合があります。できること、時間をかければできること、支援が必要なことを分けて考えます。

拒否されたら一度引くことも支援

その場で必要な介助だからと繰り返し説得すると、本人の不安や怒りがさらに強くなることがあります。緊急性がない場合には時間を置く、別の職員が関わる、話題を変えるなど、本人が落ち着いてから再度支援する方法も検討します。

痛みや体調不良が隠れていないか確認する

身体に触れたときだけ強く怒る、急に介護抵抗が増えたなどの場合には、認知症だけで判断せず、痛みや不快感、体調変化等がないかも確認します。

うまくいった関わりを共有する

「この職員なら受け入れやすい」「先に説明すると大丈夫」「朝より午後のほうが落ち着いている」など、本人が安心できた条件を具体的に共有します。怒りが起きた記録だけでなく、穏やかに支援できた場面を残すことも重要です。

文例を使うときのポイント

  • 怒りが起こる直前の状況を確認する
  • 介助の必要性だけでなく本人の理解や納得を確認する
  • 本人が自分でできる動作を残す
  • 急な接触や複数の指示を避ける
  • 本人のペースで行動できる時間を確保する
  • 拒否時に無理に介助を続けない
  • 急な変化がある場合は痛みや体調も確認する
  • 本人が落ち着いた対応方法を家族・関係職種で共有する
  • 家族の精神的負担にも目を向ける

まとめ

認知症のある利用者に怒りや介護抵抗がみられる場合、「怒らないようにすること」を目標にするのではなく、本人がなぜ不安や不快感を感じているのかを理解することが大切です。

本人が自分でできることや自分で決めたいという思いを尊重し、介助の前に分かりやすく説明し、本人のペースに合わせて支援することで、安心して必要な介助を受けられる場面が増える可能性があります。本人が落ち着けた関わり方を家族や関係職種で共有し、本人と家族双方が穏やかに生活できる支援につなげることが重要です。

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