ケアプラン文例【認知症・帰宅願望】|「家に帰りたい」が強い場合の第1表・第2表の記入例

認知症のある利用者では、デイサービスやショートステイ、施設などで「家に帰りたい」「もう帰る時間だ」と繰り返し訴えることがあります。実際の自宅に帰りたいという場合だけでなく、昔住んでいた家、両親がいると思っている家、仕事や家族の役割に戻りたいという思いが背景にあることもあります。

ここでは、デイサービス利用中に「家に帰りたい」と繰り返し訴え、落ち着かなくなることがある認知症の利用者を例に、本人の思いを否定せず、安心して過ごせる環境につなげる第1表・第2表のケアプラン文例を紹介します。

帰宅願望以外の認知症症状や生活上の困りごとに応じた文例は、ケアプラン文例一覧から確認できます。

この記事が参考になるケース

  • デイサービス利用中に「家に帰りたい」と話すことが多い
  • 午後や夕方になると帰宅願望が強くなる
  • 玄関へ向かったり、荷物をまとめたりすることがある
  • 「子どもが帰ってくる」「夕飯を作らなければ」などと話す
  • 帰れないと説明すると不安や怒りが強くなる
  • 馴染みの職員や活動によって落ち着くことがある
  • 家族はサービス利用を継続してほしいと考えている

担当ケースに近い部分を選び、本人が「帰りたい」と話す時間帯、言葉、生活歴、役割、環境などに合わせて調整してください。

※文例はそのまま使用するのではなく、本人の生活歴、家族関係、認知機能、帰宅願望が強くなる状況、サービス利用時の様子などに合わせて調整してください。

利用者像の例

  • 83歳・女性・要介護2
  • 長男夫婦と同居
  • アルツハイマー型認知症
  • 屋内歩行、食事、排泄は概ね自立
  • 更衣や予定の確認には声かけが必要
  • 以前は長年、家族の食事作りや家事を担ってきた
  • 通所介護週3回利用
  • 午後3時頃になると「夕飯を作らなければ」「子どもが帰ってくる」と話すことがある
  • 玄関付近へ向かい「家に帰る」と訴えることがある
  • 「まだ帰れません」と説明されると不安が強くなることがある
  • 職員とお茶の準備や洗濯物たたみをすると落ち着く日もある

本人・家族の意向の文例

本人の意向

おすすめ文例|家族のことを気にしている場合

家で家族が待っていると思うと気になる。夕飯の支度もしなければならないので、できれば早く家に帰りたい。

別の表現①|自宅が安心できる場所の場合

家にいると一番落ち着くので、知らない場所に長くいるより自分の家で過ごしたい。

別の表現②|役割への思いが強い場合

家のことをしなければ落ち着かない。昔から家族の食事や家事をしてきたので、何もしないでいるのは嫌だ。

家族の意向

おすすめ文例|サービス利用を続けたい場合

本人が不安な気持ちで過ごすことは避けたいが、自宅だけでは外出や交流の機会が少なくなるため、できればデイサービスは続けてほしい。本人が安心して過ごせる方法を考えてほしい。

別の表現|家族負担も大きい場合

本人には穏やかに過ごしてほしいが、毎日自宅だけで見守ることは家族にも負担が大きい。本人が安心して通い、家族も休息できる状態を作りたい。

第1表の文例

利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果

おすすめ文例

本人は通所介護利用中、午後になると「夕飯を作らなければ」「子どもが帰ってくる」と話し、帰宅を希望することがある。認知症による時間や場所の見当識の低下がみられる一方、長年家族の食事作りや家事を担ってきた生活歴があり、本人にとって「家へ帰る」という言葉には、単に自宅へ移動したいというだけでなく、家族のために役割を果たしたいという思いが含まれている可能性がある。「まだ帰れない」と繰り返し説明すると不安が強くなることがあるが、洗濯物たたみやお茶の準備など馴染みのある役割を行うことで落ち着く場面もみられている。本人の帰宅願望を否定したり行動を制止したりするだけではなく、その背景にある不安や役割への思いを理解し、本人が安心できる関係や役割、過ごし方を整える必要がある。

別の表現|家族負担も重視する場合

本人は通所介護で午後になると帰宅を強く希望し、玄関へ向かうことがあるが、馴染みの職員との会話や本人が得意としてきた家事活動を行うことで気持ちが落ち着くこともある。帰宅願望には認知症による見当識の低下だけでなく、家族を気にかける思いや長年の生活習慣が影響していると考えられる。本人が不安を感じずサービスを利用できる関係や環境を整えることで、本人の外出・交流・活動機会を確保するとともに、家族が介護から離れて休息できる時間を維持する必要がある。

総合的な援助の方針

おすすめ文例

本人が「家に帰りたい」と訴えた際には、すぐに否定や説得をするのではなく、家族や家事を気にかけている本人の思いを受け止める。本人が安心できる馴染みの職員との関わりを大切にし、洗濯物たたみやお茶の準備など、これまでの生活歴を活かした役割や活動を取り入れる。帰宅願望が強くなる時間帯やその前後の状況を家族・通所介護・ケアマネジャー等で共有し、不安を軽減できる対応方法を検討する。本人が安心してサービスを利用し、家族も必要な休息時間を確保できるよう支援する。

別の表現|短めにまとめたい場合

本人の帰宅願望の背景にある不安や生活歴、家族への思いを理解し、本人の訴えを否定せず安心につながる関わりを行う。本人が馴染みのある役割や活動を持ち、安心してサービスを利用できる環境を整えながら、家族の介護負担軽減にもつなげる。

第2表の文例

帰宅願望がある場合も、「帰りたいと言わなくなること」を目標にするのではなく、本人が安心できる場所や人との関係を持ち、自分らしく過ごせることを目標として考えます。

課題① 不安になったときも安心して過ごしたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

家や家族のことが気になったときにも、自分の気持ちを分かってもらい、安心して過ごしたい。

ニーズの別表現|安心できる居場所を重視する場合

家以外でも安心できる人や場所を持ち、落ち着いた気持ちで過ごしたい。

長期目標

本人が安心できる人や環境の中で、自分の思いを受け止めてもらいながら穏やかに過ごすことができる。

短期目標

帰宅したい気持ちが強くなった際に、馴染みの職員から声をかけてもらい、不安な気持ちを表すことができる。

サービス内容

本人が「帰りたい」と話した際には否定や説得を急がず、本人が何を気にしているのかを確認する。馴染みの職員が穏やかに対応し、本人が安心できる場所や活動へ自然につながるよう支援する。

課題② これまで大切にしてきた役割を感じながら過ごしたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

何もせず過ごすのではなく、家事など自分にできることを行い、人の役に立ちながら過ごしたい。

長期目標

これまでの生活経験を活かした役割や活動を持ち、自分らしさや生活の張りを感じながら過ごすことができる。

短期目標

洗濯物たたみやお茶の準備など、本人が馴染みのある活動に無理なく参加することができる。

サービス内容

本人の生活歴や得意としてきた家事を確認し、本人が自然に取り組める役割を提供する。活動を一方的に指示するのではなく、本人にお願いする形で声をかけ、自尊心や役割意識に配慮する。

課題③ 安心できる人と関わりながら外出や交流を続けたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

安心できる人と一緒に過ごし、家の外でも人と話したり活動したりする時間を持ちたい。

長期目標

馴染みの人や場所との関係を持ち、安心して外出や他者交流の機会を継続できる。

短期目標

通所介護で馴染みの職員や利用者と関わり、自分に合った過ごし方を見つけることができる。

サービス内容

できるだけ馴染みの職員が関わり、本人の好みや生活歴に合わせた活動や交流機会を提供する。帰宅願望が強い際には集団活動への参加を無理に求めず、落ち着ける環境で個別に対応する。

課題④ 家族も安心してサービスを利用してもらいたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

本人が嫌な思いをせずにサービスを利用し、家族も安心して自分の時間を持ちたい。

長期目標

本人が安心してサービスを利用し、家族も介護から離れて休息や生活時間を確保できる。

短期目標

帰宅願望が強くなった時間帯や対応方法について家族と事業所で共有し、本人が落ち着きやすい関わり方を統一できる。

サービス内容

利用中の本人の様子や落ち着いた対応方法を家族と共有する。家族からも自宅で安心する言葉や本人の生活歴等を確認し、本人への関わりに活かす。家族の介護負担についても定期的に確認する。

第2表の完成イメージ

上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。

※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容
家や家族のことが気になったときにも、気持ちを分かってもらい安心して過ごしたい。 安心できる人や環境の中で、自分の思いを受け止めてもらいながら穏やかに過ごせる。 帰宅したい気持ちが強くなった際に、馴染みの職員へ思いを表すことができる。 帰宅願望を否定せず、本人が気にしていることを確認し安心につながる対応を行う。
家事など自分にできることを行い、人の役に立ちながら過ごしたい。 これまでの生活経験を活かした役割を持ち、自分らしさを感じながら過ごせる。 馴染みのある家事活動等に無理なく参加できる。 本人の生活歴を活かした役割や活動を提供する。
安心できる人と一緒に過ごし、家の外でも交流や活動を続けたい。 馴染みの人や場所との関係を持ち、安心して外出や交流を継続できる。 通所介護で馴染みの職員や利用者と関わることができる。 馴染みの職員を中心に本人に合った活動や過ごし方を提供する。
本人が嫌な思いをせずサービスを利用し、家族も安心して自分の時間を持ちたい。 本人が安心してサービスを利用し、家族も休息時間を確保できる。 本人が落ち着きやすい対応方法を家族・事業所で共有できる。 帰宅願望が強くなる状況や効果的な対応方法を関係者で共有する。

認知症・帰宅願望のケアプランで意識したいポイント

「どの家に帰りたいのか」を考える

本人が言う「家」が現在の自宅とは限りません。幼少期に暮らした家や、子育てをしていた頃の家を思い浮かべていることもあります。「ここがあなたの家です」と事実だけを説明するより、その言葉の背景にある安心感や役割への思いを考えます。

帰宅願望が強くなる時間帯を見る

午後や夕方など決まった時間に帰宅願望が強くなる場合があります。本人が以前その時間に何をしていたのか、疲労や空腹、不安などがないかを確認すると、本人の行動を理解する手がかりになります。

「帰れない」と説得し続けない

認知症によって時間や場所の認識が異なっている場合、説明を繰り返しても本人が納得できるとは限りません。本人の気持ちを否定せず、「ご家族のことが気になるんですね」など思いを受け止めたうえで、安心できる活動や場所へつなげます。

生活歴の中に落ち着くヒントがある

長年家事をしてきた人であれば、洗濯物をたたむ、食卓を整えるなどの活動によって「自分の仕事ができた」と感じ、不安が和らぐ場合があります。過去の役割を単なる昔話にせず、現在の支援に活かします。

帰宅願望そのものをゼロにすることを目指さない

本人が家を大切に思っている以上、「帰りたい」という気持ちがなくならないこともあります。重要なのは、その気持ちが生じた際に本人が強い不安や苦痛を感じず、周囲が本人の思いに合わせた支援を行えることです。

うまくいった対応をチームで共有する

「○時頃に帰宅願望が強くなる」「洗濯物たたみをお願いすると落ち着く」「この職員との会話では安心しやすい」など、本人が落ち着けた場面を具体的に共有します。職員ごとに対応が大きく異ならないようにすることも重要です。

文例を使うときのポイント

  • 本人が「家に帰りたい」と話す時間帯を確認する
  • そのとき本人が何を心配しているのか聞き取る
  • 本人の生活歴や家庭内での役割を把握する
  • 「帰れない」と事実だけを繰り返し説明しない
  • 本人が安心できる職員・場所・活動を確認する
  • 帰宅願望が落ち着いた場面と対応を記録する
  • 本人の気持ちと家族の介護負担の両方をケアプランに反映する

まとめ

認知症のある利用者が「家に帰りたい」と繰り返す場合、その言葉を単なる帰宅願望として扱うのではなく、本人が何を心配し、どのような生活や役割に戻りたいと感じているのかを考えることが重要です。

本人の生活歴や家族への思いを理解し、馴染みの職員との関係や役割のある活動などを取り入れることで、安心して過ごせる時間につながることがあります。「帰りたいと言わせない」のではなく、帰りたいと感じたときにも本人の気持ちが尊重される支援を組み立てることが、本人らしい生活を支えるケアプランにつながります。

関連するケアプラン文例

  • ケアプラン文例【認知症・デイサービス拒否】
  • ケアプラン文例【認知症・家族介護負担・ショートステイ】
  • ケアプラン文例【認知症・昼夜逆転・夜間不眠】
  • ケアプラン文例【認知症・外出・道迷い】
  • ケアプラン文例【認知症・夫婦二人暮らし】

認知症のケアプラン文例一覧へ戻る

コメント

タイトルとURLをコピーしました