脳梗塞後遺症のある利用者では、歩行が難しくなると、車椅子も常に介助者が押すものになり、本人が移動先を選ぶ機会が減ることがあります。
上肢・下肢の使い方、ブレーキ、足台、方向転換、動線、本人が行きたい場所を確認し、自走できる場面を評価することが重要です。
ここでは、左手と左足で車椅子をこぎ、居間から窓辺の植物まで自分で移動して水やりを続けたい利用者を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 窓辺の観葉植物を二十年以上育てている
- 左手でハンドリムを操作できる
- 左足で床を蹴ると直線を五メートル自走できる
- 右方向へ曲がる際は一度止まると向きを変えられる
- ブレーキレバーへ大きなカバーがあると操作できる
- 足台を上げる操作には介助を要する
- 本人は植物まで自分で行きたい
- 長女は足台と狭い場所だけ支援したい
自走に使える手足、ブレーキ、足台、方向転換、床面、家具間隔、本人が移動したい場所を確認してください。
※車椅子の適合や安全な操作方法は、必要に応じて福祉用具・リハビリテーション等の専門職へ相談してください。
利用者像の例
- 79歳・女性・要介護3
- 長女と二人暮らし
- 脳梗塞後遺症による右片麻痺がある
- 窓辺の観葉植物を二十年以上育てている
- 左手でハンドリムを操作できる
- 左足で床を蹴ると直線を五メートル自走できる
- 右方向へ曲がる際は一度止まると向きを変えられる
- ブレーキレバーへ大きなカバーがあると操作できる
- 足台を上げる操作には介助を要する
- 本人は植物まで自分で行きたい
- 長女は足台と狭い場所だけ支援したい
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
左手と左足で窓辺まで行けるので、いつも押してもらわず、自分で植物の様子を見に行きたい。
家族の意向
おすすめ文例
足台を上げて動線を空け、本人がこぐのを待ち、狭い所だけ手伝いたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は長女と暮らし、二十年以上育ててきた観葉植物の様子を自分で見て水やりを続けたいと希望している。
右片麻痺があるが、左手でハンドリムを操作し、左足で床を蹴ることで居間から窓辺まで五メートル程度自走できる。
右方向は一度止まると向きを変え、大きなカバー付きブレーキを操作できるが、足台を上げる工程には介助を要する。
長女は足台と狭い場所のみ支援し、本人が移動先と速度を選んで自走する機会を確保する必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が左手・左足・ブレーキを使う力を活かし、自宅内で行きたい場所へ自走できるよう支援する。居間から窓辺まで家具間隔と床面を整え、右方向へ曲がる際は一度停止する手順を共有する。長女は出発前の足台と狭い箇所のみ支援し、本人が目的地を決めてこぐ時間を待つ。
別の表現|短めにまとめたい場合
本人が車椅子を操作し、自宅内で行きたい場所へ移動できるよう動線を整える。操作能力を活かし、危険な場所だけを見守って自立した移動を支援する。
第2表の文例
介助者が早く移動させることではなく、本人が車椅子を操作し、自分で行きたい場所を選べることを目標にします。
課題① 左手と左足を使い、居間から窓辺まで自走したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
左手と左足を使い、居間から窓辺まで自走したい。
長期目標
自宅内の決めた動線を自分で移動できる。
短期目標
直線五メートルを左手と左足でこぎ、窓辺で停止できる。
サービス内容
家具と敷物を整理し、長女は後方から見守り、本人の速度を待つ。
課題② 停止と方向転換を自分で確認したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
停止と方向転換を自分で確認したい。
長期目標
本人がブレーキと停止手順を使い、安全に向きを変えられる。
短期目標
右へ曲がる前に停止し、ブレーキをかけ直して向きを変えられる。
サービス内容
大きなブレーキカバーと床の目印を用い、止まる、確認、曲がる手順を共有する。
課題③ 窓辺の植物を自分で見に行き、水やりを続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
窓辺の植物を自分で見に行き、水やりを続けたい。
長期目標
植物の世話という本人の役割を継続できる。
短期目標
週二回、窓辺まで移動し、小さなボトルで水を与えられる。
サービス内容
軽い水やりボトルを左手側へ置き、本人が植物を選んで世話できるようにする。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 左手と左足を使い、居間から窓辺まで自走したい。 | 自宅内の決めた動線を自分で移動できる。 | 直線五メートルを左手と左足でこぎ、窓辺で停止できる。 | 家具と敷物を整理し、長女は後方から見守り、本人の速度を待つ。 |
| 停止と方向転換を自分で確認したい。 | 本人がブレーキと停止手順を使い、安全に向きを変えられる。 | 右へ曲がる前に停止し、ブレーキをかけ直して向きを変えられる。 | 大きなブレーキカバーと床の目印を用い、止まる、確認、曲がる手順を共有する。 |
| 窓辺の植物を自分で見に行き、水やりを続けたい。 | 植物の世話という本人の役割を継続できる。 | 週二回、窓辺まで移動し、小さなボトルで水を与えられる。 | 軽い水やりボトルを左手側へ置き、本人が植物を選んで世話できるようにする。 |
脳梗塞後遺症・車椅子自走のケアプランで意識したいポイント
使える手足の組み合わせを見る
片手だけでなく、非麻痺側の足で床を蹴る方法も含めて操作能力を確認します。
ブレーキと足台を別に評価する
自走できても準備操作に支援が必要な場合は、その工程だけ補います。
本人が目的地を選ぶ
移動効率ではなく、植物など本人が行きたい場所へ自分で向かうことを目標にします。
文例を使うときのポイント
- 車椅子の適合を確認する
- 使える手足を確認する
- ブレーキと足台を分けて見る
- 家具間隔と床面を整える
- 本人の行きたい場所を目標にする
まとめ
車椅子自走では、使える手足、ブレーキ、方向転換、足台、動線を工程ごとに評価します。
必要な準備だけ長女が補い、本人が窓辺まで自走することで、移動の選択と植物の世話を続けられます。
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