認知症の服薬支援では、飲み忘れを指摘するだけでなく、本人の理解、生活習慣、拒否の理由を確認します。本人が受け入れやすい時間と方法を多職種で整えます。
本記事では、服薬を拒む日がある一方、朝食後に自分で薬箱を開ける習慣が残る認知症の方を想定します。飲み忘れと拒否を分けて確認し、本人の役割と娘の負担に配慮する訪問看護の第1表・第2表の文例です。
この記事が参考になるケース
- 80代女性。軽度認知症があり娘と同居。薬の必要性を忘れて拒否する日があるが、朝食後に自分で薬箱を開ける習慣は残っている。
- 本人は「自分のやり方を大切にしながら、薬を飲んで元気に過ごしたい。」と希望している。
- 家族は「言い争いにならず、必要な薬を安全に続けてほしい。」と考えている。
医療的支援は主治医の指示に基づき、状態に応じて訪問看護事業所・関係職種と確認します。
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
自分のやり方を大切にしながら、薬を飲んで元気に過ごしたい。
家族の意向
おすすめ文例
言い争いにならず、必要な薬を安全に続けてほしい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
80代女性。軽度認知症があり娘と同居。薬の必要性を忘れて拒否する日があるが、朝食後に自分で薬箱を開ける習慣は残っている。
本人には朝食後に薬箱を開ける習慣が残っており、全てを家族が代行する必要があるとは限らない。一方、薬箱を開けたことと服薬したことは分けて確認し、拒む理由と受け入れられた説明を整理して、本人・娘が続けられる管理方法を整える必要がある。
訪問看護師が認知機能、生活習慣、残薬、効果・副作用、拒否時の様子を確認し、本人が理解しやすい説明と環境を整える。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人の理解と朝食後の習慣を生かして服薬への拒否感を減らせるよう、訪問看護が体調・残薬・服薬時の反応を確認し、主治医・薬剤師・家族と本人が受け入れやすい支援方法を整えます。
別の表現|短めにまとめたい場合
朝食後に薬箱を開ける習慣を生かし、服薬時の反応を確認します。主治医・薬剤師・家族と受け入れやすい方法を整えます。
第2表の文例
サービスを利用すること自体ではなく、本人が望む生活を続けられることを目標にします。
課題① 自分で確認できる方法で薬を続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
自分で確認できる方法で薬を続けたい。
長期目標
本人の尊厳を保ちながら必要な治療を継続できる。
短期目標
朝食後に薬箱を見て、声かけを受けながら服薬できる。
サービス内容
訪問看護師が認知機能、生活習慣、残薬、効果・副作用、拒否時の様子を確認し、本人が理解しやすい説明と環境を整える。
課題② 薬を嫌がる理由を分かってもらいたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
薬を嫌がる理由を分かってもらいたい。
長期目標
不安や不快感が軽減し、穏やかに支援を受けられる。
短期目標
本人の言葉や表情から拒否のきっかけを確認できる。
サービス内容
無理強いを避け、時間、剤形、声かけ、体調との関係を記録し、主治医・薬剤師へ相談する。
課題③ 家族と支援者が同じ方法で関わってほしい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
家族と支援者が同じ方法で関わってほしい。
長期目標
家族が一人で服薬管理を抱えず、安定して介護を続けられる。
短期目標
拒否時の対応と連絡先を家族・関係職種で共有できる。
サービス内容
服薬できた条件と難しかった状況を共有し、家族・訪問介護・薬剤師・ケアマネジャーの役割を調整する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 自分で確認できる方法で薬を続けたい。 | 本人の尊厳を保ちながら必要な治療を継続できる。 | 朝食後に薬箱を見て、声かけを受けながら服薬できる。 | 訪問看護師が認知機能、生活習慣、残薬、効果・副作用、拒否時の様子を確認し、本人が理解しやすい説明と環境を整える。 |
| 薬を嫌がる理由を分かってもらいたい。 | 不安や不快感が軽減し、穏やかに支援を受けられる。 | 本人の言葉や表情から拒否のきっかけを確認できる。 | 無理強いを避け、時間、剤形、声かけ、体調との関係を記録し、主治医・薬剤師へ相談する。 |
| 家族と支援者が同じ方法で関わってほしい。 | 家族が一人で服薬管理を抱えず、安定して介護を続けられる。 | 拒否時の対応と連絡先を家族・関係職種で共有できる。 | 服薬できた条件と難しかった状況を共有し、家族・訪問介護・薬剤師・ケアマネジャーの役割を調整する。 |
訪問看護のケアプラン作成ポイント
本人の生活目標から位置づける
看護の実施自体を目標にせず、本人が自宅で続けたい暮らしや役割を確認します。
医療と生活をつなぐ
薬箱を開ける、薬を確認する、服用する、服用済みを記録する工程ごとに、本人に任せる部分と支援者が確認する部分を決めます。拒否と飲み忘れ、飲みにくさを分けて記録し、飲めなかった時や服用済みか不明な時の対応は主治医・薬剤師へ確認して共有します。
服用の確認と拒否時の対応を評価する
残薬や服用できた回数だけでなく、本人が納得した説明、拒否のきっかけ、娘との言い争いや負担が減ったかを確認します。飲めたことだけを成功とせず、本人の反応と安全な確認方法が継続できているかを評価します。
文例を使うときのポイント
- 本人の拒否を単なる問題行動とせず、体調、理解、薬の形状、関わり方、生活習慣から理由を検討します。
- 本人と家族の意向を分けて確認します。
- 病状・生活・サービス提供状況の変化に応じて見直します。
まとめ
飲み忘れと拒否を分け、朝食後に薬箱を開ける習慣を生かします。服薬時の本人の反応と娘の負担を共有し、受け入れやすい方法を見直します。


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