通所介護計画書の「サービス内容」は、単に「入浴介助」「機能訓練」「レクリエーション」とサービス名を並べる欄ではありません。設定した目標に対して、デイサービスが何を確認し、どのような方法で支援し、本人のどの能力を生かすのかまで具体化することが重要です。
例えば「入浴介助を行う」だけでは、本人がどこまで自分で洗えるのか、どの動作に危険があるのか、職員がどこを見守り、どこを介助するのかが分かりません。質の高い通所介護計画書では、利用者の生活目標とデイサービスでの支援内容がつながり、実施後に「支援が適切だったか」「目標に近づいたか」を評価できる内容になっています。
通所介護計画書のサービス内容とは
通所介護計画は、利用者の心身の状況、希望、置かれている環境を踏まえ、機能訓練等の目標と、その目標を達成するための具体的なサービス内容を記載して作成します。居宅サービス計画が作成されている場合は、その内容に沿って作成する必要があります。
そのため、サービス内容を考えるときは、次の順番で整理すると実務に落とし込みやすくなります。
- 本人はどのような生活を続けたいのか
- 現在、その生活を妨げている課題は何か
- 長期目標・短期目標は何か
- その目標に対してデイサービスが担う役割は何か
- 職員は何を観察・支援するのか
- 本人が自分で行う部分はどこか
- どの状態になれば支援が有効だったと評価できるか
サービス内容を書くときの5つの基本
1.サービス名だけで終わらせない
「入浴」「機能訓練」「食事介助」だけでは、具体的な支援方法が分かりません。
例えば機能訓練であれば、「立ち上がり時のふらつきを確認し、自宅でのトイレ移動を継続できるよう、下肢機能、立位バランス、歩行能力に応じた訓練を行う」とすると、生活目標とのつながりが明確になります。
2.本人ができることを明確にする
「必要な介助を行う」だけでは、過介助につながる場合があります。本人が自分で行える工程、見守りが必要な工程、直接介助が必要な工程を分けて記載すると、職員間でも支援方法を統一しやすくなります。
3.観察内容を入れる
通所介護では、その日の体調によって支援方法を調整する場面があります。血圧や体温だけでなく、表情、食欲、疼痛、呼吸状態、疲労、歩行状態、排泄状況など、支援に必要な観察内容を計画に反映すると実施につながりやすくなります。
4.目標との因果関係を確認する
短期目標が「自宅でトイレまで歩く」であるにもかかわらず、サービス内容が「レクリエーション参加」のみでは、目標とのつながりが弱くなります。サービス内容が短期目標の達成にどう貢献するのかを確認します。
5.評価できる内容にする
計画書は作成して終わりではありません。サービスの実施状況と目標の達成状況を確認し、必要に応じて見直します。そのため「丁寧に支援する」といった抽象表現だけではなく、実際の変化を確認できる内容にしておくことが重要です。
避けたい書き方と改善例
| 抽象的な記載 | 具体的な記載例 |
|---|---|
| 健康管理を行う | 来所時に体調、血圧、体温、食欲、疼痛等を確認し、普段との変化がある場合は家族・関係職種へ共有する。 |
| 機能訓練を行う | 自宅内歩行の継続に向け、立ち上がり、立位保持、方向転換、歩行状態を確認し、身体状況に応じた機能訓練を行う。 |
| 入浴介助を行う | 脱衣、移動、洗身、立ち座りを工程ごとに確認し、本人ができる部分は見守り、困難な部分のみ介助する。 |
| 食事介助を行う | 食事姿勢、摂取量、むせ、疲労を確認し、本人が自分で摂取できるよう環境を整え、必要な部分のみ介助する。 |
| 交流を促す | 本人の好みや生活歴に合った活動を提示し、本人が選択できるよう支援する。無理に集団参加を求めない。 |
| 認知症対応を行う | 不安や混乱がみられた際は理由を確認し、なじみの職員による短く分かりやすい声かけと落ち着ける環境を整える。 |
通所介護計画書のサービス内容 文例集
1.健康状態の確認
基本文例
来所時に本人から体調を確認し、血圧・体温等の測定に加え、表情、食欲、疼痛、睡眠、排泄状況など普段との変化を確認する。異常や著しい変化がみられた場合は家族・ケアマネジャー・医療職等と情報共有する。
慢性疾患がある場合
既往疾患と主治医からの留意事項を踏まえ、来所時および活動中の体調変化を確認する。本人からの訴えだけでなく、呼吸状態、浮腫、食欲、疲労、活動耐容等にも注意し、変化がある場合は無理に活動を継続せず関係職種へ共有する。
2.送迎
自宅玄関から送迎車までの移動状態を確認し、本人が行える歩行・立ち上がり・乗降動作を生かしながら必要な部分のみ介助する。段差や天候等による転倒リスクに配慮し、安全に乗降できるよう支援する。
歩行器を使用している場合
歩行器を使用した玄関から送迎車までの移動と乗降動作を見守り、急がせず本人の動作開始を待って介助する。送迎車内では安全に座位を保持できる座席を確認し、歩行器を適切に収納する。
3.立ち上がり・移乗
椅子やトイレ等からの立ち上がり時に、足部位置、前方への重心移動、支持物の使用状況を確認する。本人が自力で行える部分は見守り、ふらつきや疲労がある場合のみ必要な介助を行う。
4.歩行・移動
施設内移動時の歩行状態、ふらつき、方向転換、歩行補助具の使用状況を確認する。本人の能力に応じて見守りまたは介助を行い、安全を確保しながら自ら移動する機会を保つ。
転倒歴がある場合
過去の転倒状況を踏まえ、立ち上がり直後、方向転換、疲労時等のふらつきに注意する。本人が慣れている歩行補助具を使用し、必要以上に介助することなく、安全な移動方法を繰り返し確認する。
5.機能訓練
自宅での生活動作を継続するため、本人の身体機能と生活上の課題を踏まえ、立ち上がり、立位保持、バランス、歩行等の訓練を実施する。訓練時の疼痛、疲労、ふらつきを確認し、その日の状態に応じて負荷を調整する。
生活行為につなげる場合
本人が希望する自宅でのトイレ移動や外出の継続につなげるため、必要な立ち上がり、方向転換、歩行、持久力等を確認し、実際の生活動作を意識した機能訓練を行う。
6.入浴
入浴前に体調を確認し、脱衣、浴室内移動、洗身、洗髪、立ち座り、更衣を工程ごとに確認する。本人が行える動作は自身で行えるよう見守り、転倒や疲労に注意しながら困難な部分のみ介助する。
入浴拒否がある場合
入浴を拒否する場合は無理に誘導せず、本人の言葉や表情から拒否の理由を確認する。時間帯、職員、声かけ方法、入浴方法等を調整し、本人が納得して清潔保持の方法を選べるよう支援する。
7.排泄
本人の排泄間隔や訴えを尊重し、可能な限り本人のタイミングでトイレを利用できるよう支援する。移動、方向転換、下衣操作、便座への立ち座り等を確認し、本人ができる工程を生かしながら必要な部分のみ介助する。
失禁がある場合
排泄間隔、失禁が生じやすい時間帯、尿意・便意の訴え、移動に要する時間等を確認する。本人の尊厳に配慮しながら、必要に応じて適切なタイミングでトイレへの声かけを行う。
8.食事
食事時の姿勢、食欲、摂取量、食べる速さ、咀嚼・嚥下状態、疲労等を確認する。本人が自分で食べられるよう食器配置や姿勢を整え、必要な部分のみ介助する。
食欲低下がある場合
食事摂取量だけでなく、食欲、体重変化、口腔状態、便通、体調等を確認する。摂取量の低下が継続する場合は家族、ケアマネジャー、看護職、医療職等と情報を共有する。
9.水分摂取
本人の好みや生活習慣を確認し、食事時だけでなく活動や入浴の前後にも水分を摂る機会を設ける。摂取量、尿量、発汗、体調等を確認し、必要に応じて飲みやすい方法を検討する。
10.口腔ケア
食後に本人が行える歯磨き、うがい、義歯の着脱・管理を継続できるよう環境を整える。口腔内の汚れ、痛み、乾燥、義歯の不具合等がみられた場合は家族・関係職種へ共有する。
11.認知症のある利用者への支援
本人の生活歴、習慣、好み、得意な活動を把握し、なじみのある職員による短く分かりやすい声かけを行う。不安や混乱がみられた際は行動だけを止めるのではなく、本人が何を求めているのかを確認し、安心できる環境や活動へつなげる。
帰宅願望がある場合
帰宅したいという訴えを否定せず理由を聞き取り、家族のこと、時間の見通し、疲労、不安等の背景を確認する。本人に伝わりやすい方法で帰宅予定を説明し、必要に応じて休息やなじみの活動へ誘う。
12.レクリエーション・余暇活動
本人の生活歴、趣味、得意なことを確認し、複数の活動から本人が選択できるよう支援する。集団活動への参加を目的とせず、本人が楽しみや役割を感じられる活動を取り入れる。
13.他者交流・社会参加
本人が負担を感じない距離で他利用者や職員と関われる環境を整える。会話、趣味活動、役割活動等を通して本人が自然に交流できる機会を設け、参加を強制しない。
14.生活リズム
通所利用を通して日中の離床、食事、入浴、活動、休息の機会を確保し、昼夜の生活リズムを整えられるよう支援する。利用中の傾眠や活動状況を確認し、必要に応じて家族へ共有する。
15.家族介護負担への支援
本人が安心して通所利用できる環境を整え、利用中の様子や体調、できている生活動作を家族へ伝える。家族の介護負担や不安に変化がある場合は内容を確認し、ケアマネジャー等と情報共有する。
16.独居利用者への支援
送迎時の自宅での様子、服装、食事状況、体調、生活環境等について普段との変化を確認する。本人の同意を踏まえ、生活上の変化や支援が必要と考えられる状況がみられた場合はケアマネジャー・家族等と共有する。
17.休息・疲労への対応
活動中の表情、息切れ、疼痛、傾眠、疲労等を確認し、本人が疲れる前に休息を選べるよう声をかける。休息後の回復状況を確認し、その日の体調に合わせて活動内容や量を調整する。
18.欠席・体調不良時の連携
予定外の欠席や体調不良がみられた場合は、本人・家族から状況を確認する。継続的な体調変化や生活状況の変化が疑われる場合は、本人の同意や連絡体制を踏まえてケアマネジャー・関係職種へ共有する。
目標別にサービス内容をつなげる記入例
| 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|
| 歩行器を使用してトイレまで安全に移動できる。 | 立ち上がり、歩行、方向転換の状態を確認し、生活動作に必要な下肢機能・バランス・歩行訓練を行う。施設内移動でも本人が歩く機会を確保する。 |
| 上半身は自分で洗い、必要な部分のみ介助を受けて入浴できる。 | 入浴動作を工程ごとに評価し、上半身の洗身は見守る。下肢や背部等の困難な部分のみ介助し、立ち座り時は転倒に注意する。 |
| 自分のペースで食事を摂り、必要量を確保できる。 | 姿勢、食欲、摂取量、むせ等を確認し、食器配置を調整する。本人の動作を待ち、必要時のみ介助する。 |
| 安心してデイサービスで過ごし、好きな活動に参加できる。 | 生活歴と好みを確認し、本人が選べる活動を提示する。不安時にはなじみの職員が対応し、無理に集団参加を求めない。 |
| 家族が休息時間を持ちながら在宅介護を継続できる。 | 本人が安心して通所できるよう支援し、利用中の様子や体調を家族へ共有する。介護負担の変化について必要に応じてケアマネジャーと共有する。 |
サービス内容を専門的にするための視点
心身機能だけでなく活動・参加まで見る
「下肢筋力低下があるため筋力訓練を行う」で終えると、訓練の目的が生活から離れてしまいます。下肢筋力を何に使うのかを確認し、「トイレへ行く」「玄関を出る」「家族と買い物へ行く」など、活動や社会参加までつなげて考えます。
過介助を防ぐ視点を入れる
高齢者の能力は、介助量によっても変化します。時間がかかることを理由に職員がすべて行えば、本人が能力を使う機会が減ります。安全性を確保したうえで「本人が行う」「職員が見守る」「必要な部分のみ介助する」を使い分けることが重要です。
利用時間全体を支援として捉える
機能訓練の20分だけが自立支援ではありません。送迎車への乗降、玄関からの歩行、椅子からの立ち上がり、トイレ移動、食事、更衣、レクリエーションなど、デイサービスで過ごすすべての生活場面が活動の機会になります。
計画書では、訓練時間と日常生活場面を切り離さず、本人が能力を使える環境を事業所全体で整える視点が重要です。
「できなかった理由」まで評価する
計画したサービスが実施できなかった場合や目標が達成できなかった場合は、本人の努力不足として捉えません。疼痛、体調、疲労、認知機能、環境、介助方法、目標設定そのものなどを振り返ります。
サービスの実施状況と目標達成状況を記録し、その結果を次の計画に反映させることで、通所介護計画が実際の支援につながる書類になります。
モニタリングにつながるサービス内容を書く
サービス内容を具体的にすると、モニタリング時にも評価しやすくなります。
- 計画したサービスは実施できているか
- 本人はどこまで自分で行えているか
- 介助量は増えていないか、減っているか
- 疼痛や疲労等で実施できないことが増えていないか
- 本人がサービス内容を希望しているか
- 短期目標に近づいているか
- 家族から見た自宅での変化はあるか
- サービス内容を継続・変更・終了する必要があるか
「サービスを提供したか」だけでなく、そのサービスによって本人の生活がどう変化したのかを見ることが重要です。
通所介護計画書で避けたいサービス内容
- 全利用者に同じ文章を使用している
- 「見守り」「必要時介助」だけで具体性がない
- 本人ができる動作が記載されていない
- 短期目標とサービス内容がつながっていない
- マシン名やプログラム名だけが並んでいる
- 本人の希望より事業所側の都合が中心になっている
- 医療的判断を介護職だけで決める内容になっている
- 評価方法を考えず抽象的な内容になっている
まとめ
通所介護計画書のサービス内容では、「入浴」「機能訓練」「食事」といったサービス名を書くことが目的ではありません。本人の生活目標に対して、デイサービスが何を観察し、本人のどの能力を生かし、職員がどこを支援するのかを具体的に示すことが重要です。
本人が行える動作を残し、必要な部分のみ支援すること、日常生活場面そのものを活動機会として捉えること、そしてサービス実施後の変化を評価して計画へ反映することによって、通所介護計画書は単なる書類ではなく、職員間で支援方針を共有する実務上のツールになります。


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