デイサービス、デイケア、介護施設、ご自宅で使える高齢者向け脳トレプリント5種類を無料で掲載しています。
今回の資料16〜20は、料理、道順、電話、買い物の条件、天気と服装など、実際の生活に近い場面を使った課題です。漢字、計算、クイズを解くだけではなく、順番を決める、必要な情報を探す、条件を確認する、状況に合わせて選ぶ、自分の経験を使って答えるという過程を大切にしています。
課題を通して、遂行機能、順序立て、視空間認知、位置関係、注意、読解、情報抽出、ワーキングメモリ、条件保持、抑制、生活判断、意思決定、自己管理などを意識できます。ただし、正解数だけで利用者さんの力を評価するための資料ではありません。どのような提示や声かけなら参加しやすいかを見るきっかけとしてご活用ください。
※本資料は認知症の治療や改善・予防効果、生活機能の改善を保証するものではありません。日中活動、認知刺激、会話、意思表出、参加機会をつくるための資料として使用することを想定しています。
実際の生活で使う認知機能を意識した脳トレ
日常生活では、一つの認知機能だけを使うわけではありません。例えばみそ汁を作るときは、工程を思い出し、順番を決め、火加減や入れ忘れに対応します。外出するときは、地図や目印を確認し、目的地までの道順を考えます。電話を受けたときは、相手、日時、用件など必要な情報を選び出して覚えておく必要があります。
今回のプリントでは、こうした生活に近い場面を取り入れています。正しい答えを早く出すことだけでなく、本人がどのように考えたか、普段はどのような方法を使っているか、どのような支援があれば参加できるかを大切にします。
イラストや図も、紙面を華やかにするためではなく、料理の工程、場所、商品、天気、服装を理解しやすくする視覚的な手がかりとして使っています。イラストだけで答える構成にはせず、文字、数字、条件、状況の理解と組み合わせて考えられるようにしています。
今回掲載する高齢者向け無料プリント5種類
16.料理の手順を並べる
みそ汁を作る「具材を切る」「鍋にだしを入れて火にかける」「具材を煮る」「火を弱めてみそを溶く」「お椀によそう」という工程を並べます。豆腐を入れ忘れた場合の対応や、自分がよく作った料理、その料理で最初にすることも考える課題です。
主に意識する認知機能:遂行機能、順序立て、生活記憶、問題解決
料理では、必要な材料や道具を準備し、工程を順番に進めながら、途中の変化にも対応します。この課題は、料理の正解手順を暗記しているかを確かめるものではありません。家庭や地域、本人の経験によって、具材を入れる順番や下ごしらえの方法が多少違うこともあります。
イラストを使った理由:工程の場面を理解しやすくし、文字を読むことが負担になる方も順序を考えやすくするためです。イラストは答えを決めるものではなく、本人の料理経験を思い出す手がかりとして使います。
職員さんへのポイント:職員の想定と違う順番でも、すぐに訂正せず、「普段はどのように作っていましたか」「この次に何をしていましたか」と尋ねてください。入れ忘れに気づいたときの対応も、一つの正解に限定せず理由を聞きます。
難しい場合:工程数を5つから3つに減らす、最初の工程を一緒に決める、イラストを手がかりとして使う方法があります。本人がよく作った料理について、口頭で順番を話してもらうだけでも構いません。
17.地図を見て道順を考える
簡単な地図を見ながら、家から病院へ行く、途中で公園に寄る、病院の近くにある場所を探すなど、目的に合った道順を考える課題です。
主に意識する認知機能:視空間認知、位置関係、注意、遂行機能
外出時には、現在地と目的地を確認し、道のつながりや目印を見ながら進みます。地図上で道順を考えることは、左右を正確に言えるかだけを見る課題ではありません。「公園のところで曲がる」「店を過ぎたら右へ進む」など、本人が使いやすい目印で説明して構いません。
地図を使った理由:道、建物、目印の位置関係を一枚の紙面で確認できるようにするためです。視覚的な配置と文字情報を組み合わせ、目的地までの経路を考えます。
職員さんへのポイント:答えだけを聞くのではなく、地図のどこを見ているか、どの目印を使っているかも確認します。地図を指でたどる、紙を回転させる、出発地点に印をつける方法も許容してください。
難しい場合:出発地と目的地を一緒に確認する、見る範囲を小さくする、曲がる場所を一つずつ尋ねる方法があります。左右の言葉が出にくい場合は、指差しや目印を使った説明で参加できます。
18.電話メモから必要な情報を探す
電話メモを読み、誰からの電話か、いつ来る予定か、何を持ってくるか、いつまでに連絡する必要があるかなど、必要な情報を探す課題です。
主に意識する認知機能:読解、注意、情報抽出、ワーキングメモリ
生活の中では、文章を最初から最後まで読むだけでなく、その中から自分に必要な情報を選び出す場面があります。電話メモも、相手、日時、用件、持ち物、連絡期限などを整理し、次に何をするか判断するための情報です。
メモ形式にしている理由:実生活に近い情報のまとまりから、質問に関係する部分を探せるようにするためです。人物名や日時など、情報の種類によって注目する場所を変える練習にもなります。
職員さんへのポイント:読み間違いだけを指摘するのではなく、「誰から、いつ、何のために」という項目ごとに整理します。どの言葉に注目すると見つけやすかったかも一緒に確認してください。
難しい場合:1文ずつ読む、重要語に線を引く、日時や人物名だけを囲む、職員が読み上げる方法があります。質問を一つずつ提示し、該当箇所を指差してもらっても構いません。
19.条件に合うものを選ぶ
「200円以下」「食べ物」という二つの条件を確認しながら、該当する商品を選びます。その後、「150円以下ならどうなるか」「条件を一つ追加するとしたら何にするか」も考える課題です。
主に意識する認知機能:選択性注意、条件保持、抑制、判断
買い物や日用品選びでは、価格だけでなく、用途、量、好み、必要性など複数の条件を同時に確認することがあります。この課題では、一つの条件だけに当てはまる商品を選ぶのではなく、二つの条件を保ちながら候補を絞ります。
商品イラストを使った理由:品物を認識しやすくし、文字と価格だけの表よりも選択肢を比較しやすくするためです。ただし、イラストの印象だけで選ぶのではなく、価格と商品分類の両方を確認します。
職員さんへのポイント:一つ目の条件には合うものの、二つ目には合わない商品を選んだ場合は、「値段は合っています。もう一つの条件は何でしたか」と、できている部分を確認してから条件へ戻ります。
難しい場合:まず「200円以下」など条件を一つに減らし、慣れてから「食べ物」を加えます。条件文を見える位置に置く、該当する商品へ一つずつ印をつける、選択肢を減らす方法もあります。
20.天気と服装を考える
「春、18℃、晴れ」「冬、5℃、風が強い」などの状況を見ながら、外出時の服装を考えます。雨の日に追加する持ち物や、暑さ・寒さを感じにくい方への確認についても考える課題です。
主に意識する認知機能:生活判断、状況理解、意思決定、自己管理
外出時の服装は、季節や気温だけで一律に決まるものではありません。本人の体調、活動量、暑さ寒さの感じ方、屋内外で過ごす時間、移動方法などによって選び方が変わります。「この気温ならこの服が絶対に正解」とする課題ではありません。
天気と服装のイラストを使った理由:状況をイメージしやすくし、文字だけでは分かりにくい服装の違いを比較するためです。イラストを見て即答するのではなく、気温、風、雨、活動内容などの条件と合わせて考えます。
職員さんへのポイント:本人が選んだ服装について、「どこへ出かけますか」「外にはどのくらいいますか」「普段は寒がりですか」と理由を尋ねてください。本人の感覚を尊重しつつ、体調や環境を確認する視点につなげます。
難しい場合:二つの服装から選ぶ、晴れと雨の違いだけを考える、本人が実際に着ている服を見ながら話す方法があります。言葉で説明しにくい場合は、指差しや表情も意思表示として受け止めます。
無料PDF
用途に合わせて、利用者用、職員向け解説・答え、両方をまとめた完全版を用意しています。いずれもA4で印刷して使えるPDFです。
利用者用プリント16〜20
A4・印刷用PDF。料理手順、地図、電話メモ、条件判断、天気と服装の5種類を収録しています。
職員向け解説・答え
A4・印刷用PDF。各課題の見方、答え、声かけ、難易度調整の考え方を職員向けにまとめています。
利用者用+職員向け完全版
A4・印刷用PDF。利用者用プリント16〜20と職員向け解説・答えを一つにまとめています。
イラスト・図は理解と参加を助けるために使っています
今回の資料では、料理、商品、地図、天気、服装などに必要な範囲でイラストや図を使用しています。これは、見た目を華やかにするためではなく、場面を理解し、課題へ参加するための視覚的な手がかりにするためです。
一方、イラストだけを見れば答えられる構成にはしていません。文字、数字、条件、位置関係、状況の理解と組み合わせて考えます。課題の目的に不要な装飾は増やさず、確認すべき情報が埋もれないようにしています。
難しすぎるときの調整方法
課題が難しいときは、できないと判断する前に、提示方法や支援量を調整します。
- 問題数を減らす
- 工程数を減らす
- 1問ずつ提示する
- 見る範囲を小さくする
- 条件を1つに減らす
- 職員が読み上げる
- 重要な情報を囲む
- 地図を指でたどる
- イラストを手がかりにする
- 最初の1問を一緒に行う
- 選択肢を減らす
- 指差しで回答できるようにする
- 疲れたら休憩する
同じ方でも、体調、時間帯、周囲の音、座る位置によって取り組みやすさは変わります。難易度を下げることは、本人の力を低く見ることではありません。「できる問題を探す」のではなく「できる方法を探す」という視点を大切にしています。
生活場面に近い脳トレを取り入れる理由
今回の課題では、料理をする、道を確認する、電話内容を理解する、条件に合わせて商品を選ぶ、天候に合わせて服装を考えるなど、日常生活に近い場面を扱っています。
生活経験のある場面であれば、問題文だけでは分かりにくい方も、自分のやり方や過去の経験を手がかりに考えられることがあります。「昔はどんな料理を作りましたか」「外出するときは何を目印にしますか」と会話を加えることで、正誤だけでは分からない本人の考え方や工夫も見えてきます。
ただし、これらの課題によって認知症の改善・予防や生活機能の改善を断定するものではありません。本人が無理なく考え、選び、話し、活動へ参加する機会として活用してください。
介護文例ナビの脳トレ資料について
介護文例ナビでは、高齢者を子ども扱いせず、大人が自然に取り組める落ち着いた資料を目指しています。子ども向け教材のような装飾にはせず、文字は大きく太く、余白を十分に取り、色は課題の邪魔にならない程度に使用します。
イラストは、理解や参加を助ける目的がある場合に使います。学歴や計算能力だけに依存せず、読む、選ぶ、指差す、話すなど、本人に合った方法へ調整できることも大切にしています。軽度から重度まで一律の課題を求めるのではなく、問題数、情報量、選択肢、職員の支援量を変えます。
職員にも「何のための課題か」が分かり、単なる暇つぶしプリントにならないよう、介護・リハビリテーションの視点を取り入れています。利用者用プリントには認知症の病名を直接表示せず、一つの活動として自然に取り組めるようにしています。
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※本記事と掲載資料は、医師による診断・治療や、所属事業所で定められた評価を置き換えるものではありません。体調や疲労、視力・聴力、本人の希望に配慮し、無理のない範囲で使用してください。


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