通所介護計画書を評価するとき、「目標達成度をどう書けばよいか」「効果・満足度には何を書けばよいか」「変化がほとんどない場合はどう表現するか」と迷うことがあります。
評価では、単に「達成」「未達成」と判定するだけではなく、計画した支援が実際に行われたか、その結果として生活や動作にどのような変化があったか、本人・家族がどう受け止めているか、今後も継続するのか見直すのかまで整理することが大切です。
この記事では、通所介護計画書の評価、目標達成度、効果・満足度、実施後の変化について、現場で使いやすい記入例を場面別に紹介します。
・通所介護計画書の評価で確認するポイント
・「達成・一部達成・未達成」の書き分け方
・効果・満足度の具体的な記入例
・歩行、入浴、排泄、食事、認知症などの評価文例
・評価結果を次回計画へつなげる書き方
通所介護計画書の評価では何を書く?
厚生労働省が示している通所介護計画書の様式例では、長期目標・短期目標の「目標達成度」に加えて、サービス提供内容について「実施」「達成」「効果、満足度など」を評価し、さらに「実施後の変化」をまとめる構成となっています。
実際の様式は事業所によって異なりますが、評価するときの基本的な考え方は共通しています。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 実施状況 | 計画したサービスや支援を実際に実施できたか |
| 目標達成度 | 長期目標・短期目標がどの程度達成されたか |
| 効果 | 支援によって動作・生活・体調・参加状況などにどのような変化があったか |
| 満足度 | 本人・家族が支援内容や変化をどのように受け止めているか |
| 今後の方針 | 継続・変更・終了など、次回計画へどうつなげるか |
「計画どおり実施した」で評価を終わらせず、実施した結果、利用者の生活に何が起きたかまで確認することが重要です。
評価文は「実施状況→変化→達成度→今後」の順で書く
評価文章に迷ったときは、次の順番で整理すると書きやすくなります。
計画した支援をどの程度実施できたか
② 利用者の変化
動作、体調、生活、参加状況などにどのような変化があったか
③ 目標達成度
達成、一部達成、未達成のどこにあたるか
④ 今後の方針
現在の支援を継続するか、目標やサービス内容を見直すか
例えば、短期目標が「手すりを使用して安定して立ち上がることができる」であれば、次のように評価できます。
立ち上がり練習および下肢機能訓練を継続して実施した。手すりを使用することで見守りにて立ち上がれる場面が増えており、動作の安定性にも改善がみられている。短期目標は概ね達成しているため、現在の支援を継続しながら自宅での移動動作につなげていく。
「訓練を実施した」だけではなく、その結果どうなったのかを書くことがポイントです。
目標達成度の記入例|達成・一部達成・未達成
目標を達成した場合
計画した支援を継続した結果、手すりを使用して安定して立ち上がれるようになり、目標としていた動作が継続して行えている。短期目標は達成と評価する。
通所利用時の歩行状態は安定しており、見守りのもと安全に施設内を移動できている。転倒なく経過しており、設定した目標は達成している。
一部達成した場合
立ち上がり動作は以前より安定しているが、疲労時には一部介助を要することがある。改善はみられているものの安定した実施には至っていないため、一部達成と評価する。
声かけにより活動へ参加できる機会は増えているが、自発的な参加には日によって差がみられる。一定の改善が認められるため、目標は一部達成とする。
目標を達成できなかった場合
体調不良や利用休止が重なり、計画していた機能訓練を十分に実施できなかった。目標とした動作能力の改善には至っておらず、今回は未達成と評価する。現在の体調を踏まえ、目標設定および支援内容を再検討する。
歩行状態に大きな改善はみられず、引き続き移動時には介助を要している。現在の身体状況を踏まえると目標設定が高かった可能性もあるため、達成可能な目標へ見直す必要がある。
変化がない場合の評価文例
高齢者の支援では、「改善していない=効果がない」とは限りません。加齢や疾患の進行がある中で、現在の生活機能を維持できていること自体が重要な成果となるケースもあります。
身体機能に大きな変化はみられていないが、現在の移動能力を維持し、通所利用時も転倒なく経過している。現状維持が図れていることから、現在の支援を継続する。
日常生活動作に明らかな改善はみられていないものの、大きな機能低下なく現在の生活を継続できている。本人も現在の生活を続けることを希望しており、引き続き状態維持を目標として支援する。
認知機能について大きな改善はみられないが、慣れた環境では落ち着いて過ごすことができている。著しい生活上の混乱はみられていないため、現在の関わり方を継続する。
状態が低下した場合の評価文例
状態が低下した場合は、「未達成」とするだけではなく、低下した内容や考えられる要因を整理し、次の計画へつなげます。
期間中に下肢筋力の低下がみられ、立ち上がり時の介助量が増えている。設定していた目標の達成には至らなかったため、現在の身体状況に合わせて目標および支援内容を見直す。
体調変動により活動量が低下し、歩行時のふらつきが以前より増えている。転倒リスクを踏まえ、安全性を優先した移動方法と訓練内容について再検討する。
認知機能の低下に伴い、活動内容の理解や予定の把握が難しくなる場面が増えている。本人が安心して参加できるよう、説明方法や環境設定を含めた支援方法の見直しが必要である。
歩行・転倒予防の評価記入例
下肢機能訓練と歩行練習を継続した。歩行器使用時のふらつきは減少し、施設内では見守りにて安全に移動できる場面が増えている。期間中の転倒はなく、短期目標は概ね達成している。
歩行能力に大きな変化はないが、職員の声かけにより安全確認を行いながら移動できている。転倒なく現在の移動能力を維持できているため、引き続き安全な歩行の継続を支援する。
疲労時に足の運びが不安定となることがあり、歩行時には継続して見守りを要している。目標達成には至っていないため、体調や疲労状態を確認しながら安全を優先して支援する。
入浴の評価記入例
入浴時は手すりを使用しながら安定して浴室内を移動できている。洗身についても上半身は自身で行えており、自分でできる動作が維持されている。本人からも入浴後は気持ちがよいとの発言があり、現在の支援方法を継続する。
浴槽出入りでは一部介助を要するものの、手すりを使用した立ち上がりは以前より安定している。安全に入浴できているため、残存能力を活かしながら現在の介助方法を継続する。
体調への不安から入浴を希望しない日がみられ、計画どおり実施できないことがあった。本人の体調と意向を確認しながら、無理のない方法で清潔保持を図る。
排泄・トイレ動作の評価記入例
トイレまでの移動は歩行器を使用し、見守りにて行えている。立ち座りも手すりを使用することで安定しており、排泄動作に必要な能力を維持できている。
衣服の上げ下げには一部介助を要するが、便座への立ち座りは自身で行える場面が増えている。可能な動作は本人に行ってもらい、自立した排泄動作の継続につなげる。
尿意を職員へ伝えることが難しい場面があり、失禁がみられている。排泄状況や時間帯を確認し、適切なタイミングで声かけ・誘導を行う支援を継続する。
食事・栄養の評価記入例
食事摂取量は概ね安定しており、むせ込みなく安全に食事を摂取できている。体重にも大きな変化はなく、現在の食事形態および見守りを継続する。
食事に時間を要するものの、自力摂取を継続できている。疲労時には摂取量が低下することがあるため、休憩を取りながら本人のペースで食事できるよう支援する。
食欲低下がみられ、以前と比較して食事摂取量が減少している。体重や体調の変化を確認するとともに、家族や関係職種と情報共有しながら支援内容を検討する。
認知症・交流・活動参加の評価記入例
来所時に不安そうな様子がみられることはあるが、職員が声をかけることで落ち着いて過ごせている。慣れた活動には継続して参加できており、安心して通所利用を継続できている。
集団活動への自発的な参加は少ないものの、職員から個別に声をかけることで参加できる場面が増えている。本人が負担を感じない範囲で他者との交流機会を継続する。
予定の理解が難しくなる場面が増えているが、一つずつ分かりやすく説明することで活動へ参加できている。本人が混乱しにくい環境や声かけ方法を継続する。
機能訓練の評価記入例
個別機能訓練を継続して実施し、立ち上がり動作や歩行能力は概ね維持できている。自宅での生活動作にも大きな低下はみられておらず、現在の訓練内容を継続する。
訓練には意欲的に参加しており、以前より連続して歩ける距離が延びている。本人からも歩きやすくなったとの発言があり、訓練による効果がみられている。
体調により訓練への参加状況にばらつきがみられる。無理に運動量を増やさず、その日の体調を確認しながら現在の身体機能を維持できる内容へ調整する。
家族の介護負担に関する評価記入例
定期的な通所利用を継続できており、利用中は家族が休息時間を確保できている。家族からも在宅介護を継続するうえで助かっているとの意向が確認されているため、現在の利用を継続する。
本人の移動や排泄動作に必要な介助量は大きく変化していないが、通所利用により家族が介護から離れる時間を確保できている。本人の生活機能維持と家族支援の両面から継続した支援が必要である。
「効果・満足度など」の記入例
効果・満足度の欄では、職員側の評価だけでなく、本人や家族の反応を確認できている場合は具体的に記載すると、支援の結果が分かりやすくなります。
| 場面 | 記入例 |
|---|---|
| 歩行 | 歩行時の安定性が向上しており、本人からも以前より歩きやすくなったとの発言が聞かれている。 |
| 入浴 | 安全に入浴を継続できており、本人からも定期的に入浴できることへの満足感が聞かれている。 |
| 活動 | 興味のある活動への参加機会が増え、利用中に笑顔や他利用者との会話がみられるようになっている。 |
| 機能訓練 | 訓練を継続することで現在の身体機能が維持されており、本人も継続を希望している。 |
| 家族支援 | 定期的な通所利用により家族の休息時間が確保され、家族からも現在の利用継続を希望する意向が聞かれている。 |
本人・家族から直接確認できていない内容を、推測で「満足している」と記載することは避けます。「表情が穏やか」「継続を希望している」「○○との発言があった」など、確認できた事実をもとに記載すると自然です。
実施後の変化・総括の記入例
状態が改善している場合
計画期間を通して体調は概ね安定しており、機能訓練や日常生活動作への支援を継続した。立ち上がりや歩行時の安定性が向上し、自分で行える動作が増えている。本人も現在の活動継続を希望していることから、今後も生活機能の維持・向上につながる支援を継続する。
状態を維持している場合
身体機能および日常生活動作に大きな変化はみられていない。通所利用を継続することで活動機会や他者との交流が保たれ、現在の生活機能を維持できている。今後も体調変化に注意しながら、本人が現在の生活を継続できるよう支援する。
状態低下がみられる場合
計画期間中に身体機能の低下がみられ、移動や日常生活動作に必要な介助量が増えている。現在の身体状況と本人・家族の意向を改めて確認し、安全性を優先した目標およびサービス内容へ見直す必要がある。
評価を書くときに避けたい表現
| 避けたい書き方 | 改善例 |
|---|---|
| 変わりなし | 歩行能力に大きな変化はなく、見守りにて安全に移動できている。 |
| 問題なし | 体調は概ね安定しており、予定していたサービスを継続して利用できている。 |
| 訓練を実施した | 訓練を継続し、手すりを使用した立ち上がり動作を見守りにて行えている。 |
| 目標未達成 | 体調変動により十分な活動機会を確保できず、目標達成には至らなかった。現在の状態に合わせて目標を見直す。 |
評価欄は「良かった・悪かった」を判定する場所ではありません。現在の状態を整理し、次の支援をどうするか判断するための記録として書くことが重要です。
目標未達成でも、すぐに同じ目標を継続しない
目標が達成できなかった場合には、「引き続き同じ目標を継続する」と機械的に処理するのではなく、未達成となった理由を確認します。
本人の状態が変化したのか、目標設定が高すぎたのか、サービス内容が合っていなかったのか、利用回数や体調の影響があったのかなどを整理し、必要に応じて目標や支援内容を変更します。
目標そのものが現在の本人の生活に合っているか、本人・家族の意向に変化がないか、実際の生活場面で変化があったかまで確認しましょう。評価結果を次の計画へ反映することで、計画書と実際の支援がつながります。
評価とモニタリングの違い
モニタリングでは、利用者の状態やサービスの実施状況、本人・家族の意向などを継続的に確認します。一方、計画書の評価では、それらの情報をもとに目標達成度や支援の効果を整理し、計画を継続するのか見直すのかを判断します。
別々の作業として考えるより、日頃のモニタリングで得た情報を計画書の評価へつなげると、記録の重複を減らしやすくなります。
評価しやすい通所介護計画書は、目標設定の段階で決まる
「安全に過ごす」「元気になる」「筋力を維持する」だけでは、評価時に達成したか判断しにくくなります。
例えば「手すりを使用して見守りで立ち上がる」「歩行器を使用してトイレまで移動する」「洗身のうち上半身を自分で行う」など、実際の生活場面や介助量が分かる目標にしておくと、評価がしやすくなります。
まとめ|評価は次の計画につなげるために行う
通所介護計画書の評価では、目標を「達成・未達成」と判定するだけでは十分ではありません。
計画した支援を実施した結果、利用者の生活や動作にどのような変化があったのか、本人・家族はどう受け止めているのかを確認し、その結果を次の目標やサービス内容へ反映することが重要です。
改善だけでなく、現在の機能や生活を維持できていることも重要な成果です。文例をそのまま当てはめるのではなく、本人の実際の状態、生活状況、本人・家族の意向に合わせて調整して活用してください。


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