ケアプラン文例【認知症・ゴミ出し・片付け】|物をため込む場合の第1表・第2表の記入例

認知症のある利用者では、ゴミを出す曜日が分からなくなったり、使用済みの容器や新聞などを「まだ使える」と保管したりすることで、家の中に物が増えていくことがあります。家族から見ると不要な物でも、本人にとっては大切な物や、捨てることに不安を感じる物である場合があります。

ここでは、認知症によりゴミ出しや片付けが難しくなり、家の中に物が増えている利用者を例に、本人の思いを尊重しながら、安全で清潔な住環境につなげる第1表・第2表のケアプラン文例を紹介します。

この記事が参考になるケース

  • ゴミを出す曜日が分からなくなることがある
  • ゴミ袋を準備しても出し忘れることがある
  • 空き箱や食品容器、新聞などをため込む
  • 家族が片付けようとすると「勝手に捨てるな」と怒る
  • 床に物が増え、歩きにくくなっている
  • 冷蔵庫に古い食品が残っている
  • 本人の気持ちを尊重しながら住環境を整えたい

担当ケースに近い部分を選び、本人がためている物、その理由、生活歴、住環境、家族の支援状況などに合わせて調整してください。

※文例はそのまま使用するのではなく、本人の認知機能、歩行状態、衛生状況、住環境、本人が物を保管する理由、家族関係などに合わせて調整してください。

利用者像の例

  • 85歳・女性・要介護1
  • 一人暮らし
  • 長女が車で20分程度の場所に住み、週2回程度訪問
  • アルツハイマー型認知症
  • 屋内歩行、食事、更衣、排泄は概ね自立
  • 簡単な掃除や洗濯は現在も行っている
  • ゴミ収集日が分からなくなり、ゴミを出し忘れることがある
  • 空き箱や食品容器を「まだ使える」と保管している
  • 新聞やチラシが床や机の周囲に積まれている
  • 家族が片付けると「必要な物まで捨てられた」と怒ることがある
  • 本人は「自分の家だから自分でやりたい」と話している
  • 訪問介護週2回、通所介護週2回利用

本人・家族の意向の文例

本人の意向

おすすめ文例|自分で家のことを続けたい場合

自分の家のことはできるだけ自分でやりたい。必要な物まで勝手に捨てず、自分に確認してから片付けてほしい。

別の表現①|物を大切にする生活歴がある場合

まだ使える物を捨てるのはもったいない。使える物は残しながら、家の中をきれいにして暮らしたい。

別の表現②|片付けに困り始めている場合

物が増えてどこに何があるか分からなくなることがあるので、自分でも分かりやすいように一緒に整理してほしい。

家族の意向

おすすめ文例|安全を心配している場合

本人が自分の家で暮らしたいという気持ちは大切にしたいが、床に物が増えて転倒しないか心配している。本人が嫌な思いをしない方法で少しずつ片付けたい。

別の表現|親子で言い争いになっている場合

良かれと思って片付けると本人が怒るため、家族だけではどうすればよいか分からない。本人と相談しながら無理なく環境を整えてほしい。

第1表の文例

利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果

おすすめ文例

本人は長年、自宅の家事や物の管理を自身で行ってきており、現在も「自分の家のことは自分で行いたい」という思いが強い。認知症による記憶力や判断力の低下からゴミ収集日を忘れることがあり、空き箱、食品容器、新聞等についても「まだ使える」「必要な物」と考えて保管することで、室内に物が増えている。一方、本人は洗濯や簡単な掃除など現在も行えている家事があり、生活を管理する力がすべて失われているわけではない。家族が本人に確認せず片付けると「勝手に捨てられた」という不信感や怒りにつながるため、本人の所有物や価値観を尊重した関わりが必要である。本人と一緒に必要な物と処分できる物を確認し、ゴミ出しや整理を分かりやすい方法で支援するとともに、歩行動線や食品の衛生状態等を整え、安全に在宅生活を継続できる環境を作る必要がある。

別の表現|転倒・衛生面を重視する場合

本人は自宅で一人暮らしを続けたいと希望しており、基本的な生活動作や一部の家事は現在も自立している。一方、ゴミ出し忘れや物の整理が難しくなり、室内の通路に新聞や箱等が置かれることが増えている。また、冷蔵庫内に期限の過ぎた食品が残ることもあり、転倒や衛生面への配慮が必要となっている。本人の物を一方的に処分するのではなく、本人の納得を得ながら生活上の安全に必要な範囲を優先して整理し、訪問介護や家族等の支援を活用して住環境を維持する必要がある。

総合的な援助の方針

おすすめ文例

本人が自分の家や持ち物を大切にしたいという思いを尊重し、本人に確認せず物を処分することを避ける。本人と一緒に必要な物と処分可能な物を確認し、本人が納得できる範囲から少しずつ整理を行う。ゴミ収集日やゴミを置く場所を分かりやすくし、訪問介護や家族等と協力してゴミ出しを支援する。特に歩行動線、火気周囲、食品管理等の安全・衛生面を優先して確認し、本人が現在行えている掃除や家事は継続できるよう見守る。住環境の変化を家族・関係職種で共有し、本人が安心して在宅生活を続けられるよう支援する。

別の表現|短めにまとめたい場合

本人の物を大切にしたい気持ちを尊重し、本人と相談しながら必要な範囲の整理・ゴミ出しを支援する。本人が行える家事は継続しながら、歩行動線や食品等の安全・衛生環境を整え、安心して自宅生活を継続できるよう支援する。

第2表の文例

片付けが難しくなっているケースでも、「家をきれいにすること」自体を生活目標にするのではなく、本人が自分の持ち物や生活を大切にしながら、安全で過ごしやすい住環境を保つことを目標として考えます。

課題① 自分の大切な物を残しながら暮らしたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

自分の大切な物を勝手に捨てられず、必要な物を自分で選びながら自宅で暮らしたい。

ニーズの別表現|本人の自己決定を重視する場合

自分の持ち物は自分で確認し、納得しながら少しずつ整理したい。

長期目標

本人の大切な物が尊重され、必要な物を確認しながら安心して自宅生活を継続できる。

短期目標

本人と支援者が一緒に持ち物を確認し、本人が納得できる物から整理することができる。

サービス内容

本人の許可なく物を処分せず、一緒に確認しながら整理する。本人が迷う物についてはその場で無理に処分せず、保管場所を決めるなど本人が安心できる方法を検討する。

課題② ゴミをため込まず気持ちよく生活したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

ゴミを出す日が分からなくなって困らず、家の中を清潔にして気持ちよく暮らしたい。

長期目標

本人に分かりやすい方法でゴミ出しが行われ、清潔な住環境を維持できる。

短期目標

ゴミを置く場所や収集日が分かりやすくなり、支援を受けながら定期的にゴミを出すことができる。

サービス内容

本人が分かりやすい場所にゴミをまとめる場所を設け、必要に応じて収集日が確認できる表示等を活用する。訪問介護や家族等がゴミの状況を確認し、本人と一緒に必要なゴミ出しを行う。

課題③ 家の中を安全に歩いて生活したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

家の中で物につまずくことなく、自分で歩いて安全に生活したい。

長期目標

室内の主要な移動経路が確保され、転倒せず自分で移動しながら生活できる。

短期目標

玄関、居室、トイレ等の移動経路に物を置かない状態を本人と一緒に保つことができる。

サービス内容

本人と相談しながら、日常的に使用する歩行経路を優先して整理する。床に置かれた物によるつまずきの危険を確認し、本人が必要と考える物は別の置き場所を一緒に検討する。

課題④ 家族と争わず一緒に家の環境を整えたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

物を捨てることで家族と言い争いにならず、自分の気持ちを分かってもらいながら生活したい。

長期目標

本人の価値観と家族の安全への思いの両方が尊重され、穏やかな関係を保ちながら住環境を維持できる。

短期目標

本人に確認してから片付けるなど、本人が受け入れやすい整理方法を家族・関係職種で共有できる。

サービス内容

本人に無断で大量に物を処分することを避け、本人が納得しやすい整理方法を家族・関係職種で共有する。家族の負担や衛生面、安全面への不安についても定期的に確認する。

第2表の完成イメージ

上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。

※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容
大切な物を勝手に捨てられず、自分で選びながら自宅で暮らしたい。 本人の持ち物が尊重され、必要な物を確認しながら安心して生活できる。 本人と支援者が一緒に確認し、納得できる物から整理できる。 本人の許可なく処分せず、本人と一緒に持ち物を整理する。
ゴミをため込まず、家の中を清潔にして気持ちよく暮らしたい。 分かりやすい方法でゴミ出しが行われ、清潔な住環境を維持できる。 支援を受けながら定期的にゴミを出すことができる。 ゴミ置き場や収集日を分かりやすくし、必要なゴミ出しを支援する。
家の中で物につまずかず、自分で安全に歩いて生活したい。 主要な移動経路が確保され、転倒せず生活できる。 玄関・居室・トイレ等への通路に物を置かない状態を保てる。 本人と相談しながら歩行経路を優先して整理する。
物を捨てることで家族と言い争わず、気持ちを分かってもらいながら暮らしたい。 本人と家族の思いの両方が尊重され、穏やかな関係で住環境を維持できる。 本人が受け入れやすい整理方法を家族・支援者で共有できる。 無断での処分を避け、本人の納得を得ながら整理する方法を共有する。

認知症・ゴミ出し・片付けのケアプランで意識したいポイント

「なぜ捨てないのか」を考える

本人が物を残す背景には、「まだ使える」「もったいない」「後で必要になる」など本人なりの理由がある場合があります。単に片付けができないと考えるのではなく、本人がその物をどのように捉えているのかを確認します。

本人がいない間に大量に捨てない

家族が本人の不在中に一気に片付けると、本人にとっては「大切な物を盗られた」「勝手に捨てられた」と感じる可能性があります。緊急性が高い場合を除き、本人が納得できる範囲から少しずつ整理します。

全部ではなく優先順位をつける

部屋全体を完璧に片付けることを最初の目標にする必要はありません。玄関からトイレまでの動線、暖房器具や調理器具の周囲、傷んだ食品など、安全や衛生に直結する場所から優先して整えます。

ゴミ出しという一連の動作を分けて見る

ゴミ出しには、不要な物を判断する、分別する、袋に入れる、収集日を覚える、集積所まで運ぶなど複数の工程があります。本人がどこまででき、どこから支援が必要なのかを整理します。

本人ができている家事を残す

片付けが難しくなったからといって、掃除や洗濯など本人が現在も行える家事まですべて支援者が行う必要はありません。本人ができる家事を役割として残し、困難な部分を補う考え方が重要です。

家族の「片付けたい気持ち」と本人の価値観を調整する

家族には転倒や衛生面への心配があり、本人には自分の物を守りたいという思いがあります。どちらか一方を否定せず、安全上必要なことと本人が譲れないことを整理し、現実的な折り合いを探します。

文例を使うときのポイント

  • 本人が何をためているのか確認する
  • 本人がその物を残す理由を聞く
  • ゴミ出しのどの工程が難しいのか整理する
  • 歩行動線や火気周囲など安全面を優先する
  • 冷蔵庫や食品の衛生状態も確認する
  • 本人に無断で物を大量に処分しない
  • 本人ができている掃除や家事は継続する
  • 本人が納得できた片付け方法を家族・関係職種で共有する

まとめ

認知症によってゴミ出しや片付けが難しくなった場合、家の中をきれいにすることだけを目的にすると、本人との関係が悪化することがあります。本人にとって物を残す理由や、自分の家を自分で管理したいという思いを理解することが重要です。

本人が大切にしている物を尊重しながら、転倒につながる歩行動線や傷んだ食品など安全・衛生面から優先順位をつけて整理します。本人が行える家事は生活の役割として残し、難しくなった部分のみ家族や介護サービスが補うことで、本人らしい在宅生活を支えるケアプランにつながります。

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