ケアプラン文例【パーキンソン病・更衣・入浴動作】|ADLに時間がかかる場合の第1表・第2表の記入例

パーキンソン病のある利用者では、動作緩慢や筋固縮などにより、更衣、入浴、整容などの日常生活動作に以前より時間がかかることがあります。

時間がかかるため家族がすべて介助してしまうと、本人が持っている能力を使う機会が少なくなる場合があります。一方で、浴室など安全面への配慮が必要な場面では、適切な見守りや介助も必要です。

ここでは、パーキンソン病により更衣や入浴に時間を要するようになったものの、自分でできる生活動作を続けたいと希望している利用者を例に、第1表・第2表のケアプラン文例を紹介します。

この記事が参考になるケース

  • 更衣や身支度に時間がかかる
  • ボタンやファスナー操作が難しくなっている
  • 入浴時のまたぎ動作や立ち座りが不安定
  • 家族が待てずに介助してしまうことが多い
  • 本人は自分でできることを続けたい
  • 動作が遅い時間と比較的動きやすい時間がある
  • 安全と自立の両方をケアプランに反映したい

担当ケースに近い部分を選び、更衣・入浴等のどの工程に時間がかかっているのか、本人が自分で行える範囲、身体機能、住環境、本人・家族の希望などに合わせて調整してください。

※急に更衣や入浴動作が難しくなった場合には、パーキンソン病だけでなく、痛み、転倒、筋力低下、体調や服薬状況等の変化についても確認し、必要に応じて医療職等へ相談してください。

利用者像の例

  • 76歳・女性・要介護2
  • 長女夫婦と同居
  • パーキンソン病
  • 屋内は手すり等を利用しながら移動している
  • 食事・排泄は概ね自立
  • 更衣は自分で行えるが、以前より時間がかかる
  • ボタン留めや袖を通す動作に時間を要する
  • 家族が急いでいる朝は長女が着替えを手伝うことが増えている
  • 浴室への移動は可能だが、浴槽のまたぎや立ち座りに不安がある
  • 洗身は上半身を中心に自分で行える
  • 本人は「時間がかかっても自分でできることはやりたい」と話している
  • 以前から身だしなみに気を遣い、外出前には自分で服を選んでいた
  • 家族は転倒を心配する一方、介助量が増えていることにも不安を感じている

本人・家族の意向の文例

本人の意向

おすすめ文例|自分で続けたい場合

時間はかかっても、自分で着替えたり身の回りのことをしたりできるうちは、自分で続けたい。

別の表現①|身だしなみを大切にしたい場合

自分で好きな服を選び、きちんと身支度をして外へ出られる生活を続けたい。

別の表現②|入浴を続けたい場合

お風呂が好きなので、できることは自分で行いながら安心して入浴を続けたい。

家族の意向

おすすめ文例|過介助を避けたい場合

時間がかかるとつい手伝ってしまうが、本人ができることはできるだけ自分で続けてもらいたい。

別の表現|入浴の安全を心配している場合

浴槽をまたぐときや立ち上がるときに転ばないか心配している。必要なところだけ支援を受けながら安全に入浴してほしい。

第1表の文例

利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果

おすすめ文例

本人は長女夫婦と住み慣れた自宅で生活し、時間がかかっても身の回りのことはできるだけ自分で続けたいと希望している。食事や排泄は概ね自立しており、更衣についても衣類の着脱は自ら行えているが、パーキンソン病による動作緩慢等から袖を通す、ボタンを留めるなどの動作に時間を要するようになっている。家族は朝など時間に余裕がない場面では本人に代わって更衣を行うことが増えている。入浴についても洗身等には自ら行える部分がある一方、浴槽のまたぎや立ち座りには不安定さがあり安全面への配慮が必要である。動作に時間がかかることを「できない」と捉えず、本人が行える工程には十分な時間を確保し、安全上支援が必要な部分のみ介助することで、本人の生活能力と自尊心を維持する必要がある。

別の表現|自立支援をより重視する場合

本人は更衣や整容等に時間を要するようになっているが、現在も多くの生活動作を自ら行うことができている。家族による介助が増えることで本人が能力を使う機会が減少する可能性があるため、十分な時間を確保し、本人自身による動作を基本とする必要がある。一方、入浴時の移動や浴槽出入り等には転倒リスクがあるため、自立して行える工程と安全確保のため支援が必要な工程を整理し、本人の能力を活かした在宅生活を支援する必要がある。

総合的な援助の方針

おすすめ文例

本人が現在行えている更衣、整容、入浴等の生活動作をできる限り継続できるよう、本人の動作を急かさず十分な時間を確保する。各動作を工程ごとに確認し、自分で行える部分は見守り、安全上必要な場面や困難となった部分のみ支援する。入浴時は移動、立ち座り、浴槽出入り等の安全を確認し、本人が安心して入浴を続けられるよう環境と支援方法を整える。本人の動作能力や体調の変化を家族・関係職種で共有し、過介助を避けながら自立した生活を支援する。

別の表現|短めにまとめたい場合

本人が行える更衣・整容・入浴動作を活かし、十分な時間を確保しながら自立した生活を支援する。安全上必要な部分のみ見守り・介助を行い、家族とも本人のできることを共有して過介助を防ぐ。

第2表の文例

更衣や入浴等に時間がかかる場合も、「早くできるようになること」を目標にせず、本人が自分のペースで現在の能力を使いながら安全に生活できることを目標として考えます。

課題① 時間がかかっても自分で着替えを続けたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

時間がかかっても、自分でできる着替えや身支度は自分で続けたい。

ニーズの別表現|身だしなみを重視する場合

自分で好きな服を選び、自分らしい身だしなみを整えて生活したい。

長期目標

現在の更衣・整容能力を活かし、自分で身支度を行う生活を継続できる。

短期目標

十分な時間を確保することで、衣類の着脱や整容を自分で行うことができる。

サービス内容

更衣や整容に必要な時間を確保し、本人の動作を急かさず見守る。ボタン操作など困難な部分のみ本人の希望を確認して支援する。

課題② 自分でできることを続けながら安全に入浴したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

お風呂を楽しみながら、自分で洗えるところは自分で行い、安全に入浴したい。

長期目標

本人の入浴動作能力を活かしながら、安全に入浴を継続できる。

短期目標

洗身等の自分で行える動作を継続し、浴槽出入り等では必要な支援を受けながら安全に入浴できる。

サービス内容

入浴動作を移動、衣類着脱、洗身、立ち座り、浴槽出入り等に分けて確認する。本人が自分で行える工程は見守り、転倒リスクがある工程のみ必要な介助を行う。

課題③ 急かされず自分のペースで生活したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

動作が遅くても急かされず、自分のペースで身の回りのことを行いたい。

長期目標

本人のペースが尊重され、自分の能力を使いながら落ち着いて生活できる。

短期目標

生活動作に必要な時間を確保し、途中で介助されすぎず自分で動作を完了できる。

サービス内容

本人の動作開始から完了まで十分に待つ時間を確保する。時間がかかることだけを理由に介助へ移らず、安全を確認しながら本人自身の動作を見守る。

課題④ 家族も必要以上に手を出さず本人を支えたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

家族も何でも代わりに行うのではなく、本人ができることを見守りながら無理なく生活を支えたい。

長期目標

本人のできる生活動作が維持され、家族も過度な介助負担を抱えず在宅生活を継続できる。

短期目標

本人が自分で行える工程と介助が必要な工程を家族・関係者で共有できる。

サービス内容

更衣・整容・入浴等について本人ができる工程と支援が必要な工程を整理し、家族と共有する。家族が先回りして介助しすぎない見守り方法について確認する。

第2表の完成イメージ

上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。

※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容
時間がかかっても、自分でできる着替えや身支度を続けたい。 現在の更衣・整容能力を活かし、自分で身支度を行う生活を継続できる。 十分な時間を確保し、衣類の着脱や整容を自分で行える。 本人を急かさず見守り、困難な部分のみ支援する。
自分でできることを続けながら、安全に入浴したい。 本人の入浴動作能力を活かし、安全に入浴を継続できる。 自分で洗える部分は行い、浴槽出入り等では必要な支援を受けられる。 入浴動作を工程ごとに確認し、安全上必要な部分のみ介助する。
動作が遅くても急かされず、自分のペースで生活したい。 本人のペースが尊重され、能力を使いながら生活できる。 必要な時間を確保し、自分で生活動作を完了できる。 動作を急かさず、十分に待つ時間を確保して見守る。
家族も何でも代わりに行わず、本人のできることを見守りたい。 本人の生活能力が維持され、家族も過度な介助負担なく生活できる。 本人ができる工程と介助が必要な工程を共有できる。 本人の能力と必要な支援を整理し、家族と共有する。

パーキンソン病・更衣・入浴のケアプランで意識したいポイント

「時間がかかる」と「できない」を分ける

10分でできなくても30分あれば本人自身で行える場合があります。介護者側の時間を基準にせず、本人が実際にどこまで行えるかを確認します。

生活動作を工程に分ける

更衣なら服を選ぶ、袖を通す、ボタンを留める、衣類を整えるなど複数の工程があります。入浴も移動、脱衣、洗身、浴槽出入り、着衣などに分けて考えます。

全部を介助しない

一つの工程が難しいからといって、一連の動作すべてを介助する必要はありません。本人ができる部分を残し、困難な部分だけを支援します。

入浴は安全性を具体的に確認する

「入浴見守り」とまとめるのではなく、浴室までの移動、床面、立ち座り、浴槽またぎなど、どこに危険があるのかを具体的に確認します。

本人が動きやすい時間帯も活用する

一日の中で動作状態に差がある場合には、可能な範囲で更衣や入浴等を行いやすい時間帯に合わせることで、本人自身で行える動作が増える場合があります。

家族の「待てない」も支援課題になる

家族が本人のためと思って介助していても、「時間がかかるから」という理由で代行が増えている場合があります。本人に必要な時間や見守り方法を家族と共有することが重要です。

身だしなみや入浴の楽しみまで見る

更衣や入浴は単なるADLではありません。好きな服を選ぶことや、湯船につかって気持ちよく過ごすことなど、本人の生活の楽しみにもつながっています。

文例を使うときのポイント

  • 動作が遅いだけなのか、本当に介助が必要なのかを分ける
  • 更衣・入浴等を工程ごとに評価する
  • 本人が自分で行える部分を残す
  • 十分な時間を確保して急かさない
  • 入浴時の転倒リスクを具体的に確認する
  • 本人が動きやすい時間帯も確認する
  • 家族が先回りして介助しすぎていないか確認する
  • 本人の身だしなみや入浴への希望も把握する

まとめ

パーキンソン病によって更衣や入浴等に時間がかかるようになった場合、動作が遅いという理由だけで「介助が必要」と判断しないことが重要です。

生活動作を工程ごとに分け、本人がどの部分まで自分で行えるのかを確認し、十分な時間を確保します。安全面への配慮が必要な場面のみ見守りや介助を行うことで、本人の能力を生活の中で使い続けることができます。

本人の自立と安全、家族の介護負担をバランスよく考えることで、パーキンソン病があっても本人らしい生活を続けられるケアプランにつながります。

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