ケアプラン文例【パーキンソン病・コミュニケーション低下】|会話や意思確認が難しくなった場合の第1表・第2表の記入例

パーキンソン病のある利用者では、返答までに時間がかかる、表情が乏しく見える、自分から話す機会が減るなど、周囲とのコミュニケーションに変化がみられることがあります。

会話に時間がかかるようになると、家族や支援者が本人の代わりに答えることが増え、本人自身の希望や意思を確認する機会が少なくなる場合があります。

ここでは、パーキンソン病によって会話の機会が減っているものの、自分の考えや希望を伝えながら生活を続けたい利用者を例に、第1表・第2表のケアプラン文例を紹介します。

この記事が参考になるケース

  • 質問してから返答までに時間がかかる
  • 自分から話す機会が以前より減っている
  • 表情が乏しく本人の気持ちが分かりにくいと家族が感じている
  • 家族が本人の代わりに答えることが増えている
  • サービス利用について本人の意思確認が十分に行えていない
  • 会話が減り人との交流機会も少なくなっている
  • 本人の意思を尊重した生活を続けたい

担当ケースに近い部分を選び、本人の発語、理解力、返答に必要な時間、表情や身振り、家族との関係、本人が話しやすい場面などに合わせて調整してください。

※急に言葉が出なくなった、言葉の理解が難しくなった、左右の手足に力が入りにくいなど急激な変化がみられる場合には、パーキンソン病による変化だけと考えず、速やかに医療機関等へ相談してください。

利用者像の例

  • 79歳・男性・要介護2
  • 妻と二人暮らし
  • パーキンソン病
  • 日常生活動作は一部見守りで行えている
  • 質問内容は理解しており、自分の希望を話すことができる
  • 返答までに時間がかかることが増えている
  • 以前に比べ自分から話題を出すことが少なくなっている
  • 表情の変化が少なく、妻は「何を考えているか分からない」と感じることがある
  • 妻が本人の返答を待たず代わりに答える場面が増えている
  • 本人は囲碁や野球の話題になると比較的よく話す
  • 以前は近所の知人と話すことを楽しみにしていた
  • 本人は「ちゃんと自分にも聞いてほしい」と話している
  • 妻は「本人が話しやすい方法が分かれば待ってあげたい」と考えている

本人・家族の意向の文例

本人の意向

おすすめ文例|自分の意思を伝えたい場合

話すまでに少し時間はかかるが、自分のことはできるだけ自分で考えて伝えたい。

別の表現①|返答を待ってほしい場合

すぐには言葉が出ないことがあるので、急かさず少し待って話を聞いてほしい。

別の表現②|人との交流を続けたい場合

話すことが少なくなっても、人と話したり好きな話題を楽しんだりする時間は続けたい。

家族の意向

おすすめ文例|本人の気持ちを確認したい場合

返事を待てず私が答えてしまうことがあるので、本人自身の気持ちを確認できるようにしたい。

別の表現|会話を続けたい場合

以前のようにたくさん話さなくても、夫婦で会話できる時間を大切にしたい。

第1表の文例

利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果

おすすめ文例

本人は妻と住み慣れた自宅で生活し、自分に関することは今後も自分の考えや希望を伝えながら決めていきたいと希望している。

質問内容の理解や意思表示は可能であるが、パーキンソン病による動作や反応の遅さ等から返答までに時間を要し、自分から話す機会も以前より減っている。

妻は本人の気持ちを理解したいと考えている一方、返答を待つ前に本人の代わりに答えてしまう場面が増えている。

本人は囲碁や野球など興味のある話題では自ら話すこともあり、コミュニケーション能力は保たれている。

本人が話し始めるまでの時間を確保し、言葉だけでなく表情や身振り等も含めて意思を確認することで、本人自身が生活やサービスについて選択・決定できるよう支援する必要がある。

別の表現|意思決定支援を重視する場合

本人は返答に時間を要するものの、自ら希望や考えを伝える力を有している。

周囲が本人の返答を待たずに判断すると、本人の意思が生活やサービスに反映されにくくなるため、本人が理解しやすい方法で説明し、十分な時間を確保して意思を確認する必要がある。

総合的な援助の方針

おすすめ文例

本人が自分の考えや希望を伝えながら生活できるよう、本人の返答を急かさず十分な時間を確保して意思を確認する。

言葉だけでなく、表情、うなずき、身振り等も含めて本人の意思を確認し、本人が伝えやすい方法を本人・家族・関係者で共有する。

本人が興味を持つ話題や人との交流機会を取り入れ、自ら話したり意思を表現したりする機会を維持する。

家族や支援者が本人の代わりに判断しすぎず、生活やサービスに関する選択では可能な限り本人自身の意向を確認する。

別の表現|短めにまとめたい場合

本人が伝えやすい方法と十分な時間を確保し、本人自身の意思を確認しながら生活やサービスを選択できるよう支援する。

本人の興味や交流機会を活かし、人とのコミュニケーションを継続できるよう支援する。

第2表の文例

コミュニケーションが減っている場合には、「たくさん話せるようになること」だけを目標にせず、本人が自分の希望や気持ちを伝え、生活上の選択に参加できることを目標として考えます。

課題① 自分の気持ちや希望を自分で伝えたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

時間がかかっても、自分の気持ちや希望を自分の言葉や方法で伝えたい。

ニーズの別表現|意思決定を重視する場合

自分の生活に関することは、周囲に決めてもらうのではなく自分の希望を伝えて決めたい。

長期目標

本人が自分に合った方法で意思を表現し、生活上の選択や決定に参加できる。

短期目標

返答に必要な時間を確保することで、本人自身が希望や意向を伝えることができる。

サービス内容

本人への質問後は返答を急かさず十分な時間を確保し、本人自身の言葉や表情、身振り等から意思を確認する。

課題② 伝えやすい方法で周囲とやり取りしたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

言葉だけに頼らず、自分が伝えやすい方法で家族や支援者とやり取りしたい。

長期目標

本人と周囲が互いに意思を確認できる方法が整い、安心してコミュニケーションを取ることができる。

短期目標

本人が伝えやすい言葉、表情、うなずき、身振り等の方法を本人・家族・関係者で共有できる。

サービス内容

本人が普段どのような方法で意思を伝えているかを確認し、分かりやすい質問方法や意思確認方法を関係者で共有する。

課題③ 好きな話題や人との交流を続けたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

話すことが少なくなっても、好きな話題や人との交流を楽しみたい。

長期目標

本人が興味のあることを通して人との交流を継続し、自分から気持ちや考えを表現する機会を持つことができる。

短期目標

本人が興味を持つ話題や活動の中で、人と会話や意思表示をする機会を持つことができる。

サービス内容

本人が好きな囲碁、スポーツ、過去の仕事等の話題を取り入れ、本人が自ら話したり反応したりできる交流機会を作る。

課題④ 妻も本人の返答を待って気持ちを確認したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

妻も本人の代わりに答えすぎず、本人の返答を待ちながら気持ちを確認したい。

長期目標

本人の意思が家庭生活の中でも尊重され、夫婦で意思を確認しながら生活できる。

短期目標

妻が本人の返答を待つ時間を意識し、本人自身の意向を確認することができる。

サービス内容

本人が返答するまでに必要な時間や意思表示の特徴を家族と共有し、本人が答える前に周囲が代弁しすぎないよう支援する。

第2表の完成イメージ

上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。

※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容
時間がかかっても、自分の気持ちや希望を自分で伝えたい。 本人が自分に合った方法で意思を表現し、生活上の選択に参加できる。 十分な時間を確保することで、本人自身が希望を伝えることができる。 返答を急かさず、本人自身の言葉や表情、身振り等から意思を確認する。
自分が伝えやすい方法で家族や支援者とやり取りしたい。 本人と周囲が互いに意思を確認でき、安心してやり取りできる。 本人が伝えやすい方法を本人・家族・関係者で共有できる。 本人の意思表示方法を確認し、分かりやすい質問・確認方法を共有する。
好きな話題や人との交流を楽しみたい。 興味のあることを通して人との交流を継続できる。 好きな話題や活動の中で会話・意思表示の機会を持てる。 本人の興味を活かした会話や交流機会を作る。
妻も本人の返答を待ち、本人の気持ちを確認したい。 本人の意思が尊重され、夫婦で意思を確認しながら生活できる。 本人の返答を待ち、本人自身の意向を確認できる。 本人に必要な返答時間や意思表示の特徴を家族と共有する。

パーキンソン病・コミュニケーション低下のケアプランで意識したいポイント

「話さない=意思がない」と考えない

自発的な発言が少なくなっていても、本人には希望や考えがある場合があります。発言量だけで本人の意思決定能力を判断しないことが重要です。

返答するまで待つ

質問を理解していても、考えを整理して言葉にするまで時間が必要な場合があります。質問を繰り返したり、すぐ別の質問に変えたりせず、本人の返答を待ちます。

家族の代弁だけで意思を判断しない

家族は本人をよく理解している大切な存在ですが、生活やサービスの選択では可能な限り本人自身にも確認します。

表情や身振りも意思表示として見る

言葉による返答だけではなく、うなずき、視線、表情、身振りなどにも本人の意思が表れることがあります。

本人が話しやすい話題を知る

趣味、仕事、家族、スポーツなど、本人の生活歴に関係する話題では自然に発言が増える場合があります。本人らしさを知ることがコミュニケーション支援につながります。

質問を分かりやすくする

一度に複数の内容を尋ねるより、一つずつ確認する方が本人が答えやすい場合があります。必要に応じて選択肢を示しながら意思を確認します。

会話の量だけを評価しない

たくさん話すことだけがコミュニケーションではありません。本人が必要な場面で自分の希望を伝え、周囲がそれを受け止められているかを確認します。

文例を使うときのポイント

  • 本人が質問内容を理解できているか確認する
  • 返答までに必要な時間を把握する
  • 本人の言葉だけでなく表情や身振りを見る
  • 家族が本人の代わりに答えすぎていないか確認する
  • 本人が話しやすい話題や環境を把握する
  • 質問は一度に一つずつ行う
  • 生活やサービスの選択では本人自身の意向を確認する
  • 本人が人と関わる機会を残す

まとめ

パーキンソン病によって会話が減った場合には、「本人は話さないから家族に聞けばよい」と考えず、本人自身がどのような方法なら意思を伝えられるのかを確認することが重要です。

返答を待つ時間を確保し、言葉だけでなく表情や身振りも含めて本人の意思を受け取ります。

本人の生活歴や興味を活かして交流機会を残し、本人自身が生活やサービスの選択に参加できることが、その人らしい生活を支えるケアプランにつながります。

関連するケアプラン文例

  • ケアプラン文例【パーキンソン病・構音障害・声が小さい】
  • ケアプラン文例【パーキンソン病・外出減少・閉じこもり】
  • ケアプラン文例【パーキンソン病・家族介護負担】

パーキンソン病のケアプラン文例一覧へ戻る

コメント

タイトルとURLをコピーしました