パーキンソン病のある利用者では、前かがみ姿勢や細かな手の動きが難しくなり、玄関での靴の着脱に時間を要することがあります。
速さだけで介助量を決めず、安定して座れる条件、使える手の動き、本人が選ぶ履物、外出の目的を確認することが重要です。
ここでは、玄関椅子と長柄の靴べらを使えば自分で靴を履け、朝の喫茶店へ歩いて行きたい利用者を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 玄関の上がり框に直接座ると立ち上がりにくい
- 肘掛け付き椅子では座位を保ち、自分で足を前へ出せる
- 長柄の靴べらを右手で操作できる
- 面ファスナーの靴は自分で留められる
- 準備に十五分あれば妻と徒歩で外出できる
- 本人は急かされず自分で靴を履きたい
- 妻は時間を確保し、難しい留め具だけ手伝いたい
玄関の座位、足を持ち上げる力、手指操作、履物の選択、準備時間、外出先までの動線を確認してください。
※履物の変更や福祉用具の利用は、本人の好みと実際の動作を確認し、必要に応じて専門職へ相談してください。
利用者像の例
- 75歳・男性・要介護1
- 妻と二人暮らし
- 定年後から近所の喫茶店で新聞を読むことを朝の日課としている
- 玄関の上がり框に直接座ると立ち上がりにくい
- 肘掛け付き椅子では座位を保ち、自分で足を前へ出せる
- 長柄の靴べらを右手で操作できる
- 面ファスナーの靴は自分で留められる
- 準備に十五分あれば妻と徒歩で外出できる
- 本人は急かされず自分で靴を履きたい
- 妻は時間を確保し、難しい留め具だけ手伝いたい
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
時間はかかるが、椅子と長い靴べらがあれば自分で履けるので、朝の喫茶店へ行く準備は自分でしたい。
家族の意向
おすすめ文例
急いで履かせず十五分早く準備し、本人が難しいと伝えた留め具だけ手伝いたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は妻と自宅で暮らし、近所の喫茶店で新聞を読む朝の日課を続けたいと希望している。
上がり框へ直接座ると立ち上がりにくいが、肘掛け付き椅子では座位を保ち、足を前へ出すことができる。
右手で長柄の靴べらを操作し、面ファスナーを自分で留められ、十五分の準備時間があれば妻と徒歩で外出できる。
本人が好む履物と道具を選び、自分の手順で着脱する時間を確保し、できない部分のみ支援する必要がある。
玄関椅子、杖、靴べらの位置を一定にし、立ち上がりから屋外歩行まで安全につなげる必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が安定した座位で靴べらと面ファスナーを操作する力を活かし、外出準備を自分で続けられるよう支援する。
玄関に肘掛け付き椅子を置き、杖・靴・靴べらの位置を本人と決め、十五分の準備時間を確保する。
妻は本人の手順と意思表示を待ち、依頼があった留め具や姿勢保持のみ支援する。
第2表の文例
靴を早く履くことではなく、本人が安定した姿勢と使い慣れた道具で準備し、行きたい場所へ出かけられることを目標にします。
課題① 安定した姿勢で、自分の靴をできるだけ自分で履きたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
安定した姿勢で、自分の靴をできるだけ自分で履きたい。
長期目標
本人に合う環境で靴の着脱を継続できる。
短期目標
肘掛け付き椅子に座り、長柄の靴べらで右足・左足の順に靴を履ける。
サービス内容
椅子、靴、靴べらを本人が使いやすい位置へ置き、動作を見守り、依頼時のみ介助する。
課題② 急かされず、自分の手順で外出準備をしたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
急かされず、自分の手順で外出準備をしたい。
長期目標
本人が必要な時間を使い、落ち着いて玄関動作を行える。
短期目標
外出十五分前から準備を始め、面ファスナーを自分で留められる。
サービス内容
外出予定を本人と前日に確認し、準備開始時刻を決め、家族は次の動作を急がせず待つ。
課題③ 自分で準備して、妻と朝の喫茶店へ行きたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
自分で準備して、妻と朝の喫茶店へ行きたい。
長期目標
週二回、本人の希望する時間に喫茶店への外出を継続できる。
短期目標
靴を履いた後に杖で立ち上がり、妻と玄関から屋外へ移動できる。
サービス内容
立ち上がり時の椅子と手すりを確認し、屋外の路面と体調に応じて妻が付き添う。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 安定した姿勢で、自分の靴をできるだけ自分で履きたい。 | 本人に合う環境で靴の着脱を継続できる。 | 肘掛け付き椅子に座り、長柄の靴べらで右足・左足の順に靴を履ける。 | 椅子、靴、靴べらを本人が使いやすい位置へ置き、動作を見守り、依頼時のみ介助する。 |
| 急かされず、自分の手順で外出準備をしたい。 | 本人が必要な時間を使い、落ち着いて玄関動作を行える。 | 外出十五分前から準備を始め、面ファスナーを自分で留められる。 | 外出予定を本人と前日に確認し、準備開始時刻を決め、家族は次の動作を急がせず待つ。 |
| 自分で準備して、妻と朝の喫茶店へ行きたい。 | 週二回、本人の希望する時間に喫茶店への外出を継続できる。 | 靴を履いた後に杖で立ち上がり、妻と玄関から屋外へ移動できる。 | 立ち上がり時の椅子と手すりを確認し、屋外の路面と体調に応じて妻が付き添う。 |
パーキンソン病・靴の着脱のケアプランで意識したいポイント
玄関で実際の手順を見る
ベッド上の更衣能力だけでなく、玄関の高さ、狭さ、道具の位置を含めて評価します。
時間を支援資源として考える
急かすと動きにくくなる場合があるため、介助を増やす前に準備開始を早める工夫を検討します。
外出目的までつなげる
靴を履く動作だけで終わらせず、喫茶店など本人が出かけたい理由を目標に反映します。
文例を使うときのポイント
- 安定して座れる椅子の高さを確認する
- 左右の足と手指の動きを確認する
- 本人が好む履物と道具を選ぶ
- 外出準備に必要な時間を確保する
- 立ち上がりから屋外まで連続して確認する
まとめ
靴の着脱が難しい場合は、玄関環境、使える手足の動き、必要な時間、本人が選ぶ履物を具体的に評価します。
できる操作を待ち、必要な部分だけ支えることで、本人が自分で外出準備をし、朝の日課を続けられる計画になります。
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