パーキンソン病のある利用者では、夜間に寝返りがしにくく、同じ姿勢による痛みや家族への遠慮から睡眠が妨げられることがあります。
寝返りの可否だけでなく、動きやすい方向、手すりや寝具の条件、本人が援助を求める方法を具体的に評価することが重要です。
ここでは、右手でベッド柵を握れば左向きへ寝返ることができ、必要時は呼び鈴で夫へ伝えながら自宅で眠りたい利用者を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 仰向けから左向きは右手でベッド柵を握ると自分で寝返れる
- 右向きは下肢を動かしにくく、夜間に一回程度介助を求める
- 膝を軽く曲げると身体を動かしやすいと本人が分かっている
- 枕元の呼び鈴を右手で押せる
- 本人は夫を起こさないよう我慢せず必要時は頼みたい
- 夫は本人がまず試す動きを待ち、難しいときだけ手伝いたい
動きやすい方向、手足の使い方、寝具、痛み、援助要請の方法、家族の睡眠状況を夜間の実態に沿って確認してください。
※急な強い痛み、息苦しさ、意識の変化、皮膚の異常などがある場合は、本人の意向を確認し医療職へ相談してください。
利用者像の例
- 77歳・女性・要介護2
- 夫と二人暮らし
- 長年茶道を続け、朝に茶器を眺めながら一服する時間を大切にしている
- 仰向けから左向きは右手でベッド柵を握ると自分で寝返れる
- 右向きは下肢を動かしにくく、夜間に一回程度介助を求める
- 膝を軽く曲げると身体を動かしやすいと本人が分かっている
- 枕元の呼び鈴を右手で押せる
- 本人は夫を起こさないよう我慢せず必要時は頼みたい
- 夫は本人がまず試す動きを待ち、難しいときだけ手伝いたい
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
左向きなら柵を持って自分で動けるので、まず自分でやってみて、右向きが難しいときは呼び鈴で夫に頼みたい。
家族の意向
おすすめ文例
先に身体を動かすのではなく本人のやり方を待ち、呼ばれたときに必要な分だけ手伝いたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は夫と自宅で暮らし、夜間に休息を取り、朝に茶器を眺めて一服する習慣を続けたいと希望している。
仰向けから左向きは右手でベッド柵を握り、膝を軽く曲げると自分で寝返ることができる。
右向きは下肢を動かしにくいが、枕元の呼び鈴を右手で押し、夫へ必要な介助を頼める。
本人ができる方向と手順を活かし、寝具と柵の位置を整えたうえで、自力動作を待つ支援が必要である。
本人が遠慮して我慢せず援助を求められるよう、夫婦で介助の合図と範囲を決め、双方の睡眠を確認する必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が右手とベッド柵を使って寝返る力を活かし、夜間に自分で楽な姿勢を選べるよう支援する。
柵、呼び鈴、掛物の位置を本人と確認し、まず本人の動作を待ち、右向きなど難しい場合のみ必要な介助を行う。
痛み、覚醒回数、介助回数、夫婦の睡眠状況を確認し、変化時は本人と相談して専門職へ共有する。
第2表の文例
介助回数を減らすことだけでなく、本人ができる寝返りを行い、必要時に遠慮なく援助を求めて休息できることを目標にします。
課題① 右手とベッド柵を使い、自分で楽な姿勢へ寝返りたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
右手とベッド柵を使い、自分で楽な姿勢へ寝返りたい。
長期目標
本人が可能な方向へ自力で寝返り、安楽に休める。
短期目標
膝を曲げ、右手で柵を握って左向きへ寝返る動作を行える。
サービス内容
柵と掛物の位置を本人と整え、本人の手順を待ち、動作後の痛みと姿勢を確認する。
課題② 右向きが難しいときは、我慢せず夫へ頼みたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
右向きが難しいときは、我慢せず夫へ頼みたい。
長期目標
必要時に援助を求め、過度な痛みや不快感なく夜間を過ごせる。
短期目標
枕元の呼び鈴を押し、希望する向きと介助内容を伝えられる。
サービス内容
呼び鈴を右手側へ固定し、夫は本人の希望を確認して下肢の移動など必要な部分のみ介助する。
課題③ 夜に休息を取り、朝の一服の時間を続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
夜に休息を取り、朝の一服の時間を続けたい。
長期目標
本人と夫が休息を確保し、朝の日課を継続できる。
短期目標
一週間、覚醒回数と介助回数を本人・夫が簡単に記録できる。
サービス内容
睡眠と介助の記録を訪問時に確認し、寝具や介助方法を本人・夫・関係職種で調整する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 右手とベッド柵を使い、自分で楽な姿勢へ寝返りたい。 | 本人が可能な方向へ自力で寝返り、安楽に休める。 | 膝を曲げ、右手で柵を握って左向きへ寝返る動作を行える。 | 柵と掛物の位置を本人と整え、本人の手順を待ち、動作後の痛みと姿勢を確認する。 |
| 右向きが難しいときは、我慢せず夫へ頼みたい。 | 必要時に援助を求め、過度な痛みや不快感なく夜間を過ごせる。 | 枕元の呼び鈴を押し、希望する向きと介助内容を伝えられる。 | 呼び鈴を右手側へ固定し、夫は本人の希望を確認して下肢の移動など必要な部分のみ介助する。 |
| 夜に休息を取り、朝の一服の時間を続けたい。 | 本人と夫が休息を確保し、朝の日課を継続できる。 | 一週間、覚醒回数と介助回数を本人・夫が簡単に記録できる。 | 睡眠と介助の記録を訪問時に確認し、寝具や介助方法を本人・夫・関係職種で調整する。 |
パーキンソン病・寝返りのケアプランで意識したいポイント
方向ごとの能力を分けて見る
左右を一括して寝返り不可とせず、手の位置、膝の曲げ方、柵の使用でできる方向を確認します。
援助を求める力を計画にする
呼び鈴を押す、希望する向きを伝えることも重要な残存能力として位置づけます。
本人と家族の睡眠を両方確認する
本人の我慢や家族の先回りを防ぐため、介助の合図と範囲を夫婦で共有します。
文例を使うときのポイント
- 左右それぞれの寝返り方法を確認する
- 柵と寝具の位置を本人と決める
- 痛みと皮膚状態を確認する
- 援助要請の手段を手の届く位置に置く
- 本人と家族の覚醒回数を記録する
まとめ
夜間の寝返りが難しい場合は、できる方向、使える手足、寝具の条件、援助を求める力を具体的に評価します。
本人の自力動作と必要時の部分介助を組み合わせ、夫婦が休息を取りながら本人らしい朝の日課を続けられる計画が大切です。
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