脳梗塞後遺症により感情が表に出やすくなった利用者では、本人の意思とは別に涙や笑いが出て、恥ずかしさから人との交流を避けることがあります。
涙を止めることだけを目標にせず、本人の受け止め、落ち着く方法、周囲への説明、続けたい交流を確認することが重要です。
ここでは、歌を聞くと涙が出ることはあるものの、深呼吸と短い休憩を選び、地域の合唱会へ参加したい利用者を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 若い頃から地域の合唱団に所属してきた
- 会話内容を理解し、自分の希望を言葉で伝えられる
- 歌や家族の話題で涙が出ることがある
- 涙が出ても数分で落ち着く
- 深呼吸と廊下の椅子での休憩を自分で選べる
- 仲間へ病後の変化を説明することを了承している
- 本人は合唱を辞めたくない
- 妻は涙を責めず本人の合図で休憩したい
感情表出が起こる場面、本人の苦痛、落ち着く方法、周囲への説明の希望、続けたい交流を本人中心に確認してください。
※気分の落ち込みが続く、生活意欲が低下する、自傷を示唆する言動等がある場合は、速やかに医療職へ相談してください。
利用者像の例
- 70歳・男性・要介護1
- 妻と二人暮らし
- 脳梗塞後遺症後、感情が高ぶると涙が出やすい
- 若い頃から地域の合唱団に所属してきた
- 会話内容を理解し、自分の希望を言葉で伝えられる
- 歌や家族の話題で涙が出ることがある
- 涙が出ても数分で落ち着く
- 深呼吸と廊下の椅子での休憩を自分で選べる
- 仲間へ病後の変化を説明することを了承している
- 本人は合唱を辞めたくない
- 妻は涙を責めず本人の合図で休憩したい
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
歌うと涙が出ることはあるが、悲しいとは限らないので、少し休みながら合唱を続けたい。
家族の意向
おすすめ文例
涙を止めるよう言わず、本人が休む合図を出したら静かな場所へ一緒に移りたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は妻と暮らし、長年所属する地域合唱団で仲間と歌う活動を続けたいと希望している。
病後、歌や家族の話題で涙が出やすいが、会話を理解し、悲しさとは限らないことや休みたい希望を言葉で伝えられる。
深呼吸と廊下の椅子で数分休むことで落ち着き、自分から活動へ戻れる。
本人の了承のもと周囲へ病後の変化を簡潔に共有し、涙を責めず、本人が休憩と再参加を選べる環境が必要である。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人の意思と感情表出を分けて理解し、合唱団での交流を継続できるよう支援する。涙が出た際は深呼吸と静かな椅子での休憩を本人へ提案し、返答を待つ。本人の同意を得た範囲で仲間へ対応方法を共有し、本人が休憩・継続・退出を選べるようにする。
別の表現|短めにまとめたい場合
感情が表れやすいことを周囲が理解し、本人が安心して人と交流できるよう支援する。急かしたり否定したりせず、気持ちを受け止めて落ち着ける環境を整える。
第2表の文例
涙を完全になくすことではなく、本人が落ち着く方法を選び、周囲の理解を得ながら大切な交流を続けられることを目標にします。
課題① 涙が出たときに、自分の状態と希望を伝えたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
涙が出たときに、自分の状態と希望を伝えたい。
長期目標
本人の感情表出が尊重され、必要な支援を選べる。
短期目標
涙が出た際に、悲しい、違う、休むのいずれかを言葉やカードで示せる。
サービス内容
支援者は理由を決めつけず一つずつ確認し、本人の返答を待つ。
課題② 深呼吸と短い休憩で落ち着きたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
深呼吸と短い休憩で落ち着きたい。
長期目標
本人が自分に合う方法で活動へ戻れる。
短期目標
廊下の椅子へ移り、深呼吸して五分程度休める。
サービス内容
休憩場所を本人と決め、妻や仲間は話しかけすぎず、戻る時期を本人に尋ねる。
課題③ 地域の合唱会へ参加し、仲間と歌い続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
地域の合唱会へ参加し、仲間と歌い続けたい。
長期目標
本人が周囲の理解を得て社会参加を継続できる。
短期目標
月二回、途中休憩を選びながら一時間の練習へ参加できる。
サービス内容
本人の了承範囲で仲間へ涙が出やすいことと対応を共有し、出入口近くの席を確保する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 涙が出たときに、自分の状態と希望を伝えたい。 | 本人の感情表出が尊重され、必要な支援を選べる。 | 涙が出た際に、悲しい、違う、休むのいずれかを言葉やカードで示せる。 | 支援者は理由を決めつけず一つずつ確認し、本人の返答を待つ。 |
| 深呼吸と短い休憩で落ち着きたい。 | 本人が自分に合う方法で活動へ戻れる。 | 廊下の椅子へ移り、深呼吸して五分程度休める。 | 休憩場所を本人と決め、妻や仲間は話しかけすぎず、戻る時期を本人に尋ねる。 |
| 地域の合唱会へ参加し、仲間と歌い続けたい。 | 本人が周囲の理解を得て社会参加を継続できる。 | 月二回、途中休憩を選びながら一時間の練習へ参加できる。 | 本人の了承範囲で仲間へ涙が出やすいことと対応を共有し、出入口近くの席を確保する。 |
脳梗塞後遺症・感情失禁のケアプランで意識したいポイント
表情と本人の気持ちを分ける
涙が出ていることだけで悲しいと決めつけず、本人へ直接確認します。
止めるより選べる対応を作る
深呼吸、休憩、継続、退出から本人が選べるようにします。
説明範囲は本人が決める
周囲へ病状を共有する際は、本人の同意と希望する範囲を確認します。
文例を使うときのポイント
- 起こりやすい場面を確認する
- 本人の気持ちを直接尋ねる
- 落ち着く方法を決める
- 周囲への説明は同意を得る
- 再参加を本人が選べるようにする
まとめ
感情失禁がある場合は、外に表れた涙と本人の気持ちを分け、本人の言葉で確認します。
休憩と周囲の理解を整えることで、長年大切にしてきた合唱活動を続けられる計画になります。
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