パーキンソン病の進行や動作状態の変化により、移動、更衣、入浴、服薬管理など家族が支援する場面が少しずつ増えることがあります。
家族が本人を大切に思うほど、「自分がやらなければ」と介護を抱え込みやすくなる一方、本人自身が行える動作まで家族が代行することで、本人の自立する機会が減ることもあります。
ここでは、パーキンソン病があり介助量が増えてきた夫を妻が支えているケースを例に、本人の自立と家族の負担軽減を両立する第1表・第2表のケアプラン文例を紹介します。
この記事が参考になるケース
- パーキンソン病により家族の介助量が増えている
- 配偶者が日常生活の多くを支えている
- 家族が転倒を心配して常に付き添っている
- 夜間や朝の介助で家族が疲れている
- 本人は家族に迷惑をかけたくないと思っている
- 家族が自分の外出や休息を控えている
- 本人にできることは今後も続けてもらいたい
担当ケースに近い部分を選び、本人の身体状況、介助が必要な時間帯、家族の健康状態、本人・家族それぞれの希望などに合わせて調整してください。
※家族の疲労が強い、睡眠が取れていない、介護の継続が難しいと感じている場合には、本人への支援だけでなく家族の健康状態や休息状況についても早めに確認し、支援体制を見直すことが重要です。
利用者像の例
- 78歳・男性・要介護3
- 76歳の妻と二人暮らし
- パーキンソン病
- 食事は自立している
- 排泄は日中概ね自立している
- 更衣・入浴には一部介助が必要
- 歩行器等を使用して屋内移動している
- 朝や夕方に動作が遅くなることがある
- 夜間にトイレへ起きることがあり妻が付き添っている
- 妻が入浴、更衣、外出などの介助を行っている
- 妻は腰痛があり、最近疲れを感じることが増えている
- 妻は友人との外出を控えるようになっている
- 本人は「妻に迷惑をかけたくない」と話している
- 妻は「できるだけ家で一緒に暮らしたい」と希望している
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例|妻への負担を心配している場合
できるだけ妻に負担をかけず、自分でできることは自分で続けながら二人で家で暮らしたい。
別の表現①|自立を続けたい場合
時間がかかっても、自分でできることまで妻にしてもらわず、自分のことはできるだけ自分で行いたい。
別の表現②|夫婦生活を大切にしたい場合
妻に介護ばかりさせるのではなく、これからも夫婦として普通に生活していきたい。
家族の意向
おすすめ文例|在宅生活を続けたい場合
できるだけ自宅で一緒に暮らしていきたいが、最近は介助することが増え、私自身も疲れることがあるので無理なく続けられるようにしたい。
別の表現|本人の自立を残したい場合
心配で何でも手伝ってしまうが、本人ができることはできるだけ自分で続けてもらいたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は妻と住み慣れた自宅で生活を続けたいと希望しており、妻への負担を増やさないためにも自分で行える生活動作は今後も自分で続けたいと考えている。現在、食事や日中の排泄は概ね自立している一方、更衣、入浴、外出、夜間の移動等では妻による支援が増えている。妻は本人の転倒等を心配し、本人が自ら行える場面でも先回りして介助することがある。また夜間の付き添い等により睡眠不足や疲労がみられ、腰痛もあることから今後介護負担がさらに増加する可能性がある。本人が現在持っている能力を生活の中で活かし、必要な部分のみ支援することで本人の自立を維持するとともに、妻が介護を抱え込みすぎず休息や自身の生活を確保できる支援体制を整える必要がある。
別の表現|家族負担を重視する場合
本人はパーキンソン病により日常生活で支援を要する場面が増えているが、自ら行える動作も多く残されている。妻は在宅生活を継続したいという思いから介助を担っているものの、夜間対応や入浴介助等により身体的・精神的な負担が増えている。本人の自立して行える部分と介助が必要な部分を整理し、妻だけが介護を抱え込まない支援体制を整えることで、夫婦双方が無理なく在宅生活を継続できるよう支援する必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が現在行えている移動、食事、排泄、身の回りの動作をできる限り継続できるよう、本人の能力を確認しながら必要な部分のみ支援する。妻が本人の安全を心配して過度に介助することのないよう、自立して行える動作と見守り・介助が必要な場面を共有する。妻の身体状況、睡眠、疲労、外出や休息の状況についても継続して確認し、介護を一人で抱え込まない支援体制を整える。本人と妻双方の生活や希望を尊重し、夫婦として無理なく在宅生活を継続できるよう支援する。
別の表現|短めにまとめたい場合
本人のできる生活動作を活かして自立を支援するとともに、妻の身体的・精神的負担を継続して確認する。必要な支援を関係者で分担し、夫婦双方が無理なく在宅生活を続けられる支援体制を整える。
第2表の文例
家族の介護負担が大きくなっている場合には、本人の支援だけではなく、介護者自身の生活や健康も含めてケアプランを考えることが重要です。
課題① 自分でできることは自分で続けたい
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
妻に何でもしてもらわず、自分でできる身の回りのことは自分で続けたい。
ニーズの別表現|妻への負担を減らしたい場合
自分の力を使って生活し、妻にかかる介助の負担をできるだけ増やさないようにしたい。
長期目標
本人が現在の生活能力を活かし、自分で行える生活動作を継続できる。
短期目標
移動、食事、排泄、更衣等について、自分で行える部分を継続して行うことができる。
サービス内容
本人の生活動作を工程ごとに確認し、自分で行える部分は見守る。安全面等から支援が必要な部分のみ介助し、過介助にならないよう支援する。
課題② 妻も無理をしすぎず介護を続けたい
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
妻も自分の体調を保ち、無理をしすぎず本人との生活を続けたい。
長期目標
妻が心身の健康を保ちながら、過度な負担を抱えず介護を継続できる。
短期目標
妻が自分の疲労や困っていることを関係者へ伝え、必要な支援について相談することができる。
サービス内容
妻の睡眠、疲労、腰痛等の体調や介護負担を継続して確認し、負担が増えている場合には支援内容や役割分担を見直す。
課題③ 妻も自分の時間や外出を続けたい
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
妻も介護だけの生活にならず、自分の外出や楽しみの時間を持ちながら生活したい。
長期目標
妻が自分の生活や楽しみを持ちながら、本人との在宅生活を継続できる。
短期目標
妻が定期的に休息や自分のための時間を確保できる。
サービス内容
妻が外出や休息を確保できているか確認し、本人の支援が妻一人に集中しないよう支援体制や介護方法を検討する。
課題④ 夫婦として一緒に暮らす時間を大切にしたい
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
介護する人とされる人だけの関係にならず、これからも夫婦として一緒に暮らしていきたい。
長期目標
本人・妻双方が生活に無理を抱えず、夫婦として安心して在宅生活を継続できる。
短期目標
本人と妻それぞれの希望や困りごとを確認し、二人が無理なく生活できる支援方法を共有できる。
サービス内容
本人と妻それぞれから生活への希望や負担を確認し、一方だけに負担が偏らないよう必要な支援方法を関係者で共有する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 妻に何でもしてもらわず、自分でできることを続けたい。 | 現在の生活能力を活かし、自分で行える生活動作を継続できる。 | 移動・食事・排泄・更衣等で自分で行える部分を継続できる。 | 生活動作を確認し、本人が行える部分は見守り、必要な部分のみ支援する。 |
| 妻も自分の体調を保ち、無理をしすぎず介護を続けたい。 | 妻が心身の健康を保ち、過度な負担なく介護を継続できる。 | 疲労や困りごとを関係者へ相談できる。 | 睡眠・疲労・腰痛等を確認し、必要に応じて支援内容を見直す。 |
| 妻も介護だけの生活にならず、自分の時間を持ちたい。 | 自分の生活や楽しみを持ちながら在宅生活を支えられる。 | 定期的に休息や外出の時間を確保できる。 | 介護が妻一人に集中しないよう支援体制を検討する。 |
| これからも夫婦として一緒に暮らしていきたい。 | 夫婦双方が無理を抱えず安心して在宅生活を継続できる。 | 双方の希望や困りごとを共有し、支援方法を検討できる。 | 本人・妻双方の意向を確認し、負担が偏らない支援方法を共有する。 |
パーキンソン病・家族介護負担のケアプランで意識したいポイント
本人と家族を一つにまとめて考えない
本人には本人の生活や希望があり、家族にも家族自身の生活や健康があります。双方の意向を別々に確認することが重要です。
介護時間だけで負担を判断しない
介助時間が短くても、夜間に何度も起きる、転倒が心配で常に気を張るなど、精神的な負担が大きい場合があります。
本人のできることまで家族が代行しない
家族が良かれと思って行っている介助が、本人の活動機会を減らしている場合があります。本人の能力を具体的に確認し、必要な支援だけを行えるよう整理します。
家族の睡眠と身体状態を見る
夜間介助、移乗、入浴介助等が続くと、腰痛や睡眠不足につながることがあります。本人だけでなく介護者の身体状況も継続的に確認します。
家族の外出や楽しみを残す
介護者が自分の予定をすべて諦める状態が続くと、長期的な介護継続が難しくなる場合があります。家族自身の生活を守ることも在宅生活を支える重要な視点です。
「まだ大丈夫」という言葉だけで判断しない
家族が「まだ大丈夫です」と話していても、睡眠、食事、体調、外出、仕事や趣味など具体的な生活状況を確認することで、負担が見えてくることがあります。
介護が限界になる前に支援を調整する
家族が「もう無理」となってから対応するのではなく、疲労や負担が増え始めた段階から今後の支援方法を検討することが重要です。
文例を使うときのポイント
- 本人が自分でできる生活動作を具体的に確認する
- 家族が実際に行っている介助内容を整理する
- 夜間介助や見守りによる負担も確認する
- 家族の睡眠・疲労・腰痛等を見る
- 家族自身の外出や楽しみが保てているか確認する
- 本人と家族の意向をそれぞれ確認する
- 介助を家族だけに集中させない
- 家族が限界になる前に支援方法を見直す
まとめ
パーキンソン病によって介助量が増えてきた場合には、本人の身体機能だけでなく、家族がどのような生活を送りながら介護しているのかを確認することが重要です。
本人が現在行える生活動作を活かして過介助を防ぎ、家族には必要な休息や自分の時間を確保できる支援体制を整えます。
本人の自立と家族の生活の両方を守り、「介護する人・される人」だけではなく、夫婦や家族としての生活を続けられるケアプランを考えることが大切です。
関連するケアプラン文例
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