脳梗塞後遺症による片麻痺がある利用者では、転倒や失敗への不安から、排泄動作を家族が全面的に介助しやすくなります。
移動、方向転換、下衣操作、着座、後始末、援助要請を工程ごとに評価し、本人ができる部分を残すことが重要です。
ここでは、右手すりと左手を使って便座へ移り、前開き下衣を片手で下ろして日中のトイレを続けたい利用者を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 排泄はできるだけトイレで行いたいと希望している
- 昼間は尿意を感じて呼び鈴で伝えられる
- 左手で四点杖を使いトイレ前まで歩ける
- 右手すりを左手で持ち替え、便座へ向きを変えられる
- 前開きの下衣は左手で膝まで下ろせる
- 腰まで上げる操作には一部介助を要する
- 本人はできる工程を自分で行いたい
- 長男の妻は合図後に必要な部分だけ支えたい
尿意・便意、移動、方向転換、手すり、下衣操作、着座、後始末、援助要請を工程ごとに確認してください。
※急な排泄状態の変化、痛み、血尿、発熱等がある場合は、本人の意向を確認して医療職へ相談してください。
利用者像の例
- 81歳・女性・要介護3
- 長男夫婦と同居
- 脳梗塞後遺症による右片麻痺がある
- 排泄はできるだけトイレで行いたいと希望している
- 昼間は尿意を感じて呼び鈴で伝えられる
- 左手で四点杖を使いトイレ前まで歩ける
- 右手すりを左手で持ち替え、便座へ向きを変えられる
- 前開きの下衣は左手で膝まで下ろせる
- 腰まで上げる操作には一部介助を要する
- 本人はできる工程を自分で行いたい
- 長男の妻は合図後に必要な部分だけ支えたい
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
尿意は分かり、下衣も膝までは下ろせるので、日中はできるだけトイレで自分の動作を続けたい。
家族の意向
おすすめ文例
呼ばれたらそばへ行き、本人ができる移動と下衣操作を待って、上げる部分だけ手伝いたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は長男夫婦と暮らし、尿意を感じて援助を求め、日中の排泄をできるだけトイレで行いたいと希望している。
右片麻痺があるが、左手で四点杖を使ってトイレ前まで歩き、手すりを持ち替えて便座へ方向転換できる。
前開き下衣は左手で膝まで下ろせるが、排泄後に腰まで上げる工程へ一部介助を要する。
尿意の訴えを受けたら時間を確保し、本人の移動と下衣操作を待ち、家族は必要な最終工程のみ支援する必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が尿意を伝え、杖・手すり・左手を使って排泄動作へ参加する力を活かす。日中は呼び鈴を手の届く位置へ置き、トイレまでの動線と右手すりを整える。家族は本人の合図後に見守り、下衣を腰まで上げる操作など依頼された部分のみ支援する。
別の表現|短めにまとめたい場合
本人が行える立ち上がりや衣類操作を活かし、安全に排泄を続けられるよう支援する。動線と設備を整え、家族は転倒に注意しながら必要時のみ介助する。
第2表の文例
介助時間を短くすることではなく、本人が尿意を伝え、できる工程を自分で行い、必要な部分だけ支援を受けられることを目標にします。
課題① 尿意を感じたら早めに伝え、トイレへ行きたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
尿意を感じたら早めに伝え、トイレへ行きたい。
長期目標
本人の訴えに応じて日中のトイレ排泄を継続できる。
短期目標
尿意時に呼び鈴を押し、トイレへ行きたいと伝えられる。
サービス内容
呼び鈴を左手側へ固定し、家族は合図後に本人の準備を待って移動を見守る。
課題② 杖と手すりを使い、安全に便座へ移りたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
杖と手すりを使い、安全に便座へ移りたい。
長期目標
転倒なくトイレ移動と着座を行える。
短期目標
四点杖で入口まで歩き、右手すりを左手で持って便座へ方向転換できる。
サービス内容
動線を整理し、手すりと便座位置を確認し、家族はふらつき時のみ体幹を支える。
課題③ できる下衣操作は自分で行い、必要な部分だけ頼みたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
できる下衣操作は自分で行い、必要な部分だけ頼みたい。
長期目標
本人の自立動作と尊厳が保たれた排泄支援を受けられる。
短期目標
前開き下衣を膝まで下ろし、排泄後は腰まで上げる介助を依頼できる。
サービス内容
扱いやすい下衣を本人と選び、家族は本人の動作終了と依頼を待って最終操作を補助する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 尿意を感じたら早めに伝え、トイレへ行きたい。 | 本人の訴えに応じて日中のトイレ排泄を継続できる。 | 尿意時に呼び鈴を押し、トイレへ行きたいと伝えられる。 | 呼び鈴を左手側へ固定し、家族は合図後に本人の準備を待って移動を見守る。 |
| 杖と手すりを使い、安全に便座へ移りたい。 | 転倒なくトイレ移動と着座を行える。 | 四点杖で入口まで歩き、右手すりを左手で持って便座へ方向転換できる。 | 動線を整理し、手すりと便座位置を確認し、家族はふらつき時のみ体幹を支える。 |
| できる下衣操作は自分で行い、必要な部分だけ頼みたい。 | 本人の自立動作と尊厳が保たれた排泄支援を受けられる。 | 前開き下衣を膝まで下ろし、排泄後は腰まで上げる介助を依頼できる。 | 扱いやすい下衣を本人と選び、家族は本人の動作終了と依頼を待って最終操作を補助する。 |
脳梗塞後遺症・片麻痺の排泄ケアプランで意識したいポイント
排泄を工程で評価する
移動だけでなく、下衣操作、着座、後始末、援助要請を分けてできることを確認します。
尿意の訴えを活かす
定時誘導だけにせず、本人が感じて伝える力をケアプランへ残します。
プライバシーと待つ支援を両立する
安全を確認しつつ、できる工程では距離を取り、本人の合図後に介助します。
文例を使うときのポイント
- 尿意と援助要請を確認する
- 動線と手すりを確認する
- 下衣を片手で扱えるかを見る
- 着座後の安定を確認する
- 介助範囲を本人と決める
まとめ
片麻痺の排泄動作では、尿意、移動、下衣操作、着座、援助要請を工程ごとに評価します。
本人ができる動作を待ち、最終操作だけ家族が補うことで、尊厳と安全を両立する計画になります。
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