脳梗塞後遺症による右片麻痺がある利用者では、転倒への不安から家族が常に付き添い、本人が持つ移動能力を使う機会が減ることがあります。
歩ける距離だけでなく、立ち上がり、杖と手すりの使い方、方向転換、疲労、本人が移動したい場所を具体的に評価することが重要です。
ここでは、左手で杖と手すりを使い、居間から仏壇まで自分で移動して毎朝の供養を続けたい利用者を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 農業を営み、亡父母への朝の焼香を長年続けてきた
- 左手で四点杖を操作できる
- 肘掛け椅子から左手で押して立ち上がれる
- 廊下の手すりを使い十メートル程度歩ける
- 右方向への方向転換時に足が遅れやすい
- 本人は仏壇まで自分で行きたい
- 妻は後方から見守り、急かさず待ちたい
麻痺側だけでなく、非麻痺側の操作、立ち上がり、方向転換、動線、疲労、本人が移動したい目的を確認してください。
※急な麻痺の悪化、言葉の出にくさ、強い頭痛、意識の変化等がある場合は、速やかに医療機関へ相談してください。
利用者像の例
- 78歳・男性・要介護2
- 妻と二人暮らし
- 脳梗塞後遺症による右片麻痺がある
- 農業を営み、亡父母への朝の焼香を長年続けてきた
- 左手で四点杖を操作できる
- 肘掛け椅子から左手で押して立ち上がれる
- 廊下の手すりを使い十メートル程度歩ける
- 右方向への方向転換時に足が遅れやすい
- 本人は仏壇まで自分で行きたい
- 妻は後方から見守り、急かさず待ちたい
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
左手で杖と手すりを使えば仏壇まで行けるので、朝の焼香は自分で続けたい。
家族の意向
おすすめ文例
転ぶのが心配でも先に支えず、本人の足の運びを待ちながら後ろから見守りたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は妻と自宅で暮らし、長年続けてきた朝の焼香を自分で行うため、居間から仏壇まで移動したいと希望している。
右片麻痺があるが、左手で四点杖を操作し、肘掛け椅子から立ち上がり、廊下の手すりを使って十メートル程度歩ける。
右方向への方向転換では右足が遅れやすい一方、いったん止まって足元を確認すると向きを変えられる。
動線上の敷物と障害物を減らし、本人の停止・確認を待ち、妻は後方から必要時のみ支援する必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が左手、四点杖、手すりを使う力を活かし、仏壇までの移動と朝の供養を継続できるよう支援する。居間から仏壇までの動線を整え、方向転換時はいったん止まり、右足の位置を確認する手順を共有する。妻は本人の速度を尊重して後方から見守り、ふらつきや疲労時のみ必要な部分を支える。
別の表現|短めにまとめたい場合
本人が杖や手すりを活用し、仏壇への移動を安全に続けられるよう支援する。動線と足運びを整え、妻は必要な場面のみ介助して本人のペースを守る。
第2表の文例
歩行距離を伸ばすことだけでなく、本人が安全な手順で仏壇まで移動し、大切な習慣を続けられることを目標にします。
課題① 杖と手すりを使い、居間から仏壇まで自分で移動したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
杖と手すりを使い、居間から仏壇まで自分で移動したい。
長期目標
転倒なく自宅内の必要な場所へ移動できる。
短期目標
四点杖と廊下手すりを使い、十メートル先の仏壇まで歩ける。
サービス内容
杖先と手すりを確認し、妻は後方から見守り、本人の歩行速度を待つ。
課題② 方向転換時に足元を確認し、安全に向きを変えたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
方向転換時に足元を確認し、安全に向きを変えたい。
長期目標
本人が右足の遅れに応じた方法で方向転換できる。
短期目標
右へ向く際はいったん止まり、右足をそろえてから向きを変えられる。
サービス内容
床に目印を置き、止まる、足を見る、向きを変える手順を本人と共有する。
課題③ 毎朝、自分で仏壇へ行き焼香を続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
毎朝、自分で仏壇へ行き焼香を続けたい。
長期目標
本人らしい朝の習慣を継続できる。
短期目標
体調のよい朝に仏壇前の椅子へ座り、焼香できる。
サービス内容
仏壇前に安定した椅子を置き、火の扱いは本人・妻で安全な方法を確認する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 杖と手すりを使い、居間から仏壇まで自分で移動したい。 | 転倒なく自宅内の必要な場所へ移動できる。 | 四点杖と廊下手すりを使い、十メートル先の仏壇まで歩ける。 | 杖先と手すりを確認し、妻は後方から見守り、本人の歩行速度を待つ。 |
| 方向転換時に足元を確認し、安全に向きを変えたい。 | 本人が右足の遅れに応じた方法で方向転換できる。 | 右へ向く際はいったん止まり、右足をそろえてから向きを変えられる。 | 床に目印を置き、止まる、足を見る、向きを変える手順を本人と共有する。 |
| 毎朝、自分で仏壇へ行き焼香を続けたい。 | 本人らしい朝の習慣を継続できる。 | 体調のよい朝に仏壇前の椅子へ座り、焼香できる。 | 仏壇前に安定した椅子を置き、火の扱いは本人・妻で安全な方法を確認する。 |
脳梗塞後遺症・右片麻痺のケアプランで意識したいポイント
非麻痺側の力を具体的に見る
左手で使える杖、手すり、立ち上がり方法を生活場面で確認します。
方向転換を独立して評価する
直線歩行ができても向きを変える際に足が遅れる場合があるため、停止と確認の手順を整えます。
歩く目的を明確にする
移動訓練ではなく、仏壇へ行き焼香する本人の生活習慣へ結びつけます。
文例を使うときのポイント
- 立ち上がりから着座まで確認する
- 杖と手すりの位置を確認する
- 左右の方向転換を分けて見る
- 動線の敷物と障害物を減らす
- 本人が行きたい場所を目標にする
まとめ
右片麻痺の屋内歩行では、非麻痺側の操作、方向転換、動線、疲労を具体的に評価します。
本人の安全確認を待ち、必要な部分だけ見守ることで、朝の供養という大切な習慣を続けられる計画になります。
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