福祉用具は導入すること自体が目的ではなく、本人が望む動作を安全に行えるかを評価します。使用後の変化と本人の受け入れも確認します。
本記事では、歩行器を使い続けたい本人と車いすを勧める家族の意向を調整するケアプランを紹介します。独居時の操作・移乗・動線を確認し、用具の使い分けを第1表・第2表で示します。
この記事が参考になるケース
- 80代女性。下肢筋力低下があり一人暮らし。家族は車いすを勧めるが、本人は歩行器を使って室内を歩き続けたい。
- 本人は「できる間は歩行器で家の中を歩き、自分で台所へ行きたい。」と希望している。
- 家族は「転倒が心配なので、安全な用具を選んでほしい。」と考えている。
訪問リハビリテーションは主治医の指示に基づき、本人の状態と生活目標に合わせて事業所・関係職種と内容を確認します。
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
できる間は歩行器で家の中を歩き、自分で台所へ行きたい。
家族の意向
おすすめ文例
転倒が心配なので、安全な用具を選んでほしい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
80代女性。下肢筋力低下があり一人暮らし。家族は車いすを勧めるが、本人は歩行器を使って室内を歩き続けたい。
本人には「できる間は歩行器で家の中を歩き、自分で台所へ行きたい。」という希望があり、現在行えていることと生活上の役割を生かす必要がある。
筋力、バランス、握力、歩行器操作、動線幅を評価し、複数の用具を実際の自宅で比較する。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が歩行器で台所へ移動したい意思を尊重しながら安全を確保できるよう、訪問リハビリテーションが身体機能・動線・用具操作を評価し、家族と福祉用具事業所で歩行器と車いすの使い分けを調整します。
別の表現|短めにまとめたい場合
自宅の動線ごとに歩行器と車いすを使い分け、本人の移動希望と安全を両立します。
第2表の文例
サービスを利用すること自体ではなく、本人が望む生活を続けられることを目標にします。
課題① 歩行器で家の中を歩きたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
歩行器で家の中を歩きたい。
長期目標
安全な用具を使い、必要な場所へ自分で移動できる。
短期目標
ブレーキと方向転換を確認して台所まで歩ける。
サービス内容
筋力、バランス、握力、歩行器操作、動線幅を評価し、複数の用具を実際の自宅で比較する。
課題② 疲れた時は別の移動方法を選びたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
疲れた時は別の移動方法を選びたい。
長期目標
体調に応じて安全な移動手段を使い分けられる。
短期目標
疲労やふらつきがある時は移動を控え、決めた方法で支援を求められる。
サービス内容
車いすへの移乗と操作を一人で行えるか、台所まで通れるかを評価し、使える場面と支援が必要な場面を本人・家族・福祉用具事業所と共有する。
課題③ 家族に本人の希望も理解してほしい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
家族に本人の希望も理解してほしい。
長期目標
安全と本人の自己決定を両立した生活ができる。
短期目標
用具ごとの利点とリスクを本人・家族が確認できる。
サービス内容
評価結果を分かりやすく説明し、本人の希望と家族の不安を踏まえて試用・見直しの時期を決める。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 歩行器で家の中を歩きたい。 | 安全な用具を使い、必要な場所へ自分で移動できる。 | ブレーキと方向転換を確認して台所まで歩ける。 | 筋力、バランス、握力、歩行器操作、動線幅を評価し、複数の用具を実際の自宅で比較する。 |
| 疲れた時は別の移動方法を選びたい。 | 体調に応じて安全な移動手段を使い分けられる。 | 疲労やふらつきがある時は移動を控え、決めた方法で支援を求められる。 | 車いすへの移乗と操作を一人で行えるか、台所まで通れるかを評価し、使える場面と支援が必要な場面を本人・家族・福祉用具事業所と共有する。 |
| 家族に本人の希望も理解してほしい。 | 安全と本人の自己決定を両立した生活ができる。 | 用具ごとの利点とリスクを本人・家族が確認できる。 | 評価結果を分かりやすく説明し、本人の希望と家族の不安を踏まえて試用・見直しの時期を決める。 |
訪問リハビリテーションのケアプラン作成ポイント
本人の生活目標から位置づける
訓練の実施自体を目標にせず、本人が自宅で続けたい動作や役割を確認します。
訓練と生活をつなぐ
歩行器と車いすを安全・危険の二択にせず、同じ台所動線で操作と疲労を比較します。本人が行えるブレーキ操作や移動は任せ、調整・点検を支援します。車いすへ移れない、通路を通れない場合は独居時の代替手段にならないため、用具を置くだけで終えず環境と支援体制を見直します。
変化と連絡方法を共有する
用具ごとの移動・移乗の介助量、つまずき、操作忘れ、活動後の疲労を試用前後で比較します。本人が実際に選んだ用具と使わなかった理由を尋ね、独居の時間にも計画どおり利用できるかを確認します。本人の希望と安全性を基に、試用後の見直し日を家族・事業所と決めます。
文例を使うときのポイント
- 支援者の安全判断だけで用具を固定せず、本人の生活目標と実際の操作能力を試用により確認します。
- 本人と家族の意向を分けて確認します。
- 病状・生活・サービス提供状況の変化に応じて見直します。
まとめ
用具は名称で決めず、台所までの幅、方向転換、ブレーキ操作で比較します。本人の希望と転倒リスクを基に使い分けを見直します。


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