家族が仕事を続けながら在宅介護を担っている場合、日中の支援だけでなく、残業や出張、休日出勤などによって介護体制を維持できない日が生じることがあります。本人の生活を支えるために家族が仕事を休んだり勤務時間を減らしたりする状況が続くと、家族自身の生活や就労継続にも影響する可能性があります。
ショートステイを計画的に活用することで、本人が必要な生活支援を受けながら安全に過ごし、家族は仕事を継続することができます。ここでは、就労している家族が主介護者となっているケースを想定し、仕事と介護を両立しながら在宅生活を続けるための居宅サービス計画書第1表・第2表の文例を紹介します。
この文例が参考になるケース
- 家族と同居しながら在宅生活を続けている
- 主介護者が仕事をしている
- 家族の帰宅が遅くなる日がある
- 出張や休日出勤がある
- 本人だけで宿泊を伴う留守番をすることが難しい
- 排泄、服薬、入浴等に家族の支援が必要
- 家族が仕事を休んで介護することが増えている
- 家族は仕事を続けながら介護したいと考えている
- 定期的または必要時のショートステイ利用を検討している
※文例はそのまま使用するのではなく、本人のADL・IADL、認知機能、家族の勤務状況、介護できる時間帯、他の家族の支援、利用しているサービス、本人・家族の意向などに合わせて調整してください。
想定する利用者像
家族と同居しながら在宅生活を続けている。屋内移動や食事は概ね自分で行えるが、入浴、服薬管理、外出、夜間の排泄等には一部支援を必要としている。日中は通所サービス等を利用しているが、夜間まで一人で過ごすことは難しい。
主介護者である家族はフルタイムで勤務しており、通常は帰宅後に本人の生活を支援している。繁忙期には残業や休日出勤があり、本人の介護のために勤務を調整することも増えている。本人は家族に仕事を辞めてほしくないと考えており、家族も就労を続けながら在宅介護を継続したいと希望しているため、必要時にショートステイを利用することを検討している。
利用者及び家族の生活に対する意向
本人の意向
おすすめ文例
これからも家族と一緒に自宅で暮らしたい。自分のために家族が仕事を休んだり辞めたりすることは望んでいないので、必要なときにはショートステイを利用したい。
別の表現
家族には今までどおり仕事を続けてもらいたい。家族が仕事で帰れないときには、安心して過ごせる場所を利用しながら自宅での生活を続けたい。
家族の意向
おすすめ文例
本人の在宅生活を支えながら、今の仕事も続けていきたい。残業や出張等で介護ができないときにはショートステイを利用し、仕事と介護のどちらかを諦めることなく生活していきたい。
別の表現
できる限り本人の希望どおり自宅で生活してもらいたいが、仕事を休み続けることは難しい。必要なサービスを利用して介護の負担を調整し、仕事と介護を両立していきたい。
居宅サービス計画書 第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
以上の利用者及び家族の意向を踏まえ、本人は家族とともに住み慣れた自宅で生活を継続することを希望しており、家族についても就労を継続しながら本人の生活を支えたいと考えている。本人は自ら行える生活動作が残されている一方、入浴、服薬、夜間の排泄等には家族の支援を必要としている。家族は通常勤務に加えて残業や休日出勤等があり、本人の介護のために勤務を調整する機会も増えていることから、この状態が継続した場合には就労継続や介護負担への影響が懸念される。家族が介護できない日にはショートステイを活用して本人の安全な生活を確保するとともに、家族が仕事を継続できる支援体制を整える必要がある。本人の残存能力を生かした支援と各種サービスを組み合わせ、本人の在宅生活と家族の就労を両立できる環境を整えることが課題である。
別の表現
以上の利用者及び家族の意向を踏まえ、本人には家族と自宅で暮らし続けたいという希望があり、家族も本人の意向を尊重している。一方、主介護者は就労しており、勤務時間や仕事の都合によって本人の支援が難しい日が生じている。本人の介護を理由として家族が勤務を繰り返し調整することは、家族の生活や今後の就労継続にも影響する可能性がある。ショートステイを計画的または必要時に利用できる体制を整え、本人が安心して過ごせる場所を確保するとともに、家族が仕事に専念できる時間を確保する必要がある。本人の生活機能を維持しながら、在宅生活と家族の就労の双方を継続できる支援が必要である。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が希望する住み慣れた自宅での生活と、家族が大切にしている就労の双方を継続できるよう支援する。本人については、自ら行える移動、食事、整容等の生活動作を継続し、必要以上に家族の介助を必要としない生活を維持できるよう支援する。家族の勤務時間、残業、休日出勤、出張等の状況を把握し、介護が困難となる日を可能な範囲で事前に確認してショートステイを調整する。利用時には、本人の生活リズム、服薬、排泄、入浴、健康管理上の留意点、自宅での介助方法等を事業所と共有し、環境が変わっても安心して生活できるよう配慮する。急な勤務変更等が生じた場合についても、家族だけで対応を抱え込まないよう利用可能なサービスや代替手段をあらかじめ確認する。家族の睡眠、疲労、就労状況、介護負担を継続的に確認し、仕事を休む頻度が増えている場合や介護負担が高まった場合には、ショートステイの利用頻度、通所・訪問系サービス、福祉用具等の活用を見直す。本人と家族それぞれの生活を尊重し、介護離職につながることなく安定した在宅生活を継続できるよう支援する。
別の表現
家族が仕事を続けることを在宅介護の妨げとして捉えるのではなく、本人と家族双方の生活を維持するために必要な要素として支援する。本人が自分で行える生活動作を継続できるよう見守りを中心とした支援を行い、家族の介助量を必要以上に増やさないよう配慮する。ショートステイについては、家族の残業や出張等に対応するためだけでなく、定期的に家族が介護から離れる時間を確保する方法としても活用する。利用中の本人の体調や生活状況を確認し、家族が安心して仕事に専念できるよう必要な情報を共有する。家族の勤務状況が変化した場合や本人の介助量が増加した場合には、現在のサービスだけで対応可能かを再評価し、必要に応じてサービス内容を追加・変更する。本人の在宅生活と家族の社会生活を両立できる支援体制を関係者で継続的に整える。
居宅サービス計画書 第2表の文例
ニーズ1
ニーズ
家族に仕事を続けてもらいながら、これからも自宅で一緒に生活したい。
長期目標
本人の在宅生活と家族の就労を両立し、安定した生活を継続できる。
短期目標
家族が介護できない日にも、必要なサービスを利用して本人が安心して生活できる。
サービス内容
家族の勤務予定を確認し、必要に応じてショートステイを利用する。本人の生活状況や必要な介助内容を事業所と共有し、安全な生活を支援する。
ニーズ2
ニーズ
家族に頼りすぎず、自分でできることはこれからも続けたい。
長期目標
現在行えている生活動作を維持し、必要な支援を受けながら自立した生活を継続できる。
短期目標
ショートステイ利用中も、自分で行える移動、食事、整容等の生活動作を継続できる。
サービス内容
本人が行える生活動作は見守りを基本とし、必要な部分のみ支援する。過度な介助を避け、生活機能や活動性の維持につなげる。
ニーズ3
ニーズ
家族が仕事で帰れないときにも、不安なく過ごしたい。
長期目標
家族の勤務状況にかかわらず、安心して必要な支援を受けられる環境が整う。
短期目標
ショートステイを安心して利用し、自宅以外にも落ち着いて過ごせる場所を持つことができる。
サービス内容
自宅での生活リズム、本人の好み、介助方法等を共有し、ショートステイでも安心して過ごせる環境を整える。
ニーズ4
ニーズ
家族にも仕事や自分の生活を大切にしながら、無理なく介護を続けてほしい。
長期目標
家族が就労と自身の生活を維持しながら、介護を抱え込まずに本人の在宅生活を支えることができる。
短期目標
家族が介護のために勤務を過度に調整することなく、必要なサービスを活用できる。
サービス内容
家族の勤務状況や介護負担を確認し、ショートステイや他サービスを計画的に調整する。仕事を休む頻度や負担が増えた場合にはサービス内容を見直す。
第2表の完成イメージ
| ニーズ | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 家族に仕事を続けてもらいながら、これからも自宅で一緒に生活したい。 | 本人の在宅生活と家族の就労を両立し、安定した生活を継続できる。 | 家族が介護できない日にも、必要なサービスを利用して本人が安心して生活できる。 | 家族の勤務予定を確認し、必要に応じてショートステイを利用する。本人の必要な介助内容を共有する。 |
| 家族に頼りすぎず、自分でできることはこれからも続けたい。 | 現在行えている生活動作を維持し、必要な支援を受けながら自立した生活を継続できる。 | ショートステイ利用中も、自分で行える生活動作を継続できる。 | 自分で行える動作は見守り、必要な部分のみ支援し、生活機能を維持する。 |
| 家族が仕事で帰れないときにも、不安なく過ごしたい。 | 家族の勤務状況にかかわらず、安心して必要な支援を受けられる環境が整う。 | ショートステイを安心して利用し、自宅以外にも落ち着いて過ごせる場所を持つことができる。 | 生活リズムや本人の好み、介助方法等を共有し、安心して過ごせる環境を整える。 |
| 家族にも仕事や自分の生活を大切にしながら、無理なく介護を続けてほしい。 | 家族が就労と自身の生活を維持しながら、介護を抱え込まずに在宅生活を支えることができる。 | 家族が介護のために勤務を過度に調整することなく、必要なサービスを活用できる。 | 勤務状況や介護負担を確認し、ショートステイや他サービスを計画的に調整する。 |
ケアプラン作成時のポイント
仕事と介護を両立している家族のケアプランでは、家族が「介護できるかどうか」だけを見るのではなく、勤務時間、残業、出張、休日出勤、通勤時間等も含めて実際に介護可能な時間を把握することが重要です。
また、家族が仕事を休むことで在宅生活を維持している状態を通常の介護力として評価しないことも大切です。サービスを活用して家族の就労を維持することは、長期的な在宅生活を支えるうえでも重要な視点となります。
文例を使うときのポイント
「家族が働いている」という情報だけでは十分ではありません。勤務形態や帰宅時間、休みの取りやすさ、急な勤務変更の有無などを確認し、どの場面で介護との両立が難しくなっているのかを具体的に整理します。
ショートステイについても、急な残業時だけに利用するのか、繁忙期に定期利用するのか、出張時に利用するのかによって計画の内容は変わります。本人と家族双方の生活に合わせて利用方法を調整することが重要です。
まとめ
家族が仕事をしながら介護を続けている場合、介護のために仕事を犠牲にすることを前提としたケアプランでは長期的な在宅生活を維持することが難しくなります。
ショートステイや他の介護サービスを活用し、本人が安心して生活できる環境と家族が仕事を続けられる環境を両立させることで、本人と家族双方の生活を守るケアプランにつなげます。


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