移乗介助では、家族の力だけに頼らず、本人が使える動作、ベッドや車いすの高さ、補助具を組み合わせます。毎日続けられる方法を選びます。
本記事では、右片麻痺がある方のベッド・車いす移乗と、妻の介助負担を見直すケアプランを紹介します。本人が担える動作と用具の適否を第1表・第2表へつなげます。
この記事が参考になるケース
- 80代男性。脳出血後の右片麻痺があり妻と二人暮らし。妻がベッドから車いすへ抱えるため腰痛があり、本人も動作へ参加したい。
- 本人は「自分の足と左手を使い、妻に無理をさせず車いすへ移りたい。」と希望している。
- 家族は「腰を痛めず、安全に夫の移乗を手伝いたい。」と考えている。
訪問リハビリテーションは主治医の指示に基づき、本人の状態と生活目標に合わせて事業所・関係職種と内容を確認します。
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
自分の足と左手を使い、妻に無理をさせず車いすへ移りたい。
家族の意向
おすすめ文例
腰を痛めず、安全に夫の移乗を手伝いたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
80代男性。脳出血後の右片麻痺があり妻と二人暮らし。妻がベッドから車いすへ抱えるため腰痛があり、本人も動作へ参加したい。
本人には「自分の足と左手を使い、妻に無理をさせず車いすへ移りたい。」という希望があり、現在行えていることと生活上の役割を生かす必要がある。
起立、支持、方向転換、麻痺を評価し、本人が担える工程を生かした移乗方法を練習する。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が左手と下肢の力を使って移乗へ参加し妻の腰痛を減らせるよう、訪問リハビリテーションがベッド・車いす・動作能力を評価し、福祉用具と二人に合う介助方法を実際の生活場面で整えます。
別の表現|短めにまとめたい場合
本人の左手と下肢の力を生かし、妻の腰に負担をかけない移乗方法を整えます。
第2表の文例
サービスを利用すること自体ではなく、本人が望む生活を続けられることを目標にします。
課題① 自分の力を使って車いすへ移りたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
自分の力を使って車いすへ移りたい。
長期目標
本人が移乗へ参加し、日中の離床を続けられる。
短期目標
左手で手すりを持ち、合図に合わせて立ち上がれる。
サービス内容
起立、支持、方向転換、麻痺を評価し、本人が担える工程を生かした移乗方法を練習する。
課題② 妻が腰を痛めず介助したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
妻が腰を痛めず介助したい。
長期目標
家族の身体負担を抑え、安全な移乗を継続できる。
短期目標
妻が抱えず重心移動と補助具を使える。
サービス内容
介助姿勢、立ち位置、声かけを妻へ助言し、スライディングボード等の適否を評価する。
課題③ ベッドと車いすを使いやすくしたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
ベッドと車いすを使いやすくしたい。
長期目標
環境と用具が適合し、移乗事故を予防できる。
短期目標
高さ、角度、ブレーキ、足台を毎回確認できる。
サービス内容
ベッド・車いす・手すりの配置を福祉用具事業所と調整し、本人・妻・介護職で同じ手順を共有する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 自分の力を使って車いすへ移りたい。 | 本人が移乗へ参加し、日中の離床を続けられる。 | 左手で手すりを持ち、合図に合わせて立ち上がれる。 | 起立、支持、方向転換、麻痺を評価し、本人が担える工程を生かした移乗方法を練習する。 |
| 妻が腰を痛めず介助したい。 | 家族の身体負担を抑え、安全な移乗を継続できる。 | 妻が抱えず重心移動と補助具を使える。 | 介助姿勢、立ち位置、声かけを妻へ助言し、スライディングボード等の適否を評価する。 |
| ベッドと車いすを使いやすくしたい。 | 環境と用具が適合し、移乗事故を予防できる。 | 高さ、角度、ブレーキ、足台を毎回確認できる。 | ベッド・車いす・手すりの配置を福祉用具事業所と調整し、本人・妻・介護職で同じ手順を共有する。 |
訪問リハビリテーションのケアプラン作成ポイント
本人の生活目標から位置づける
訓練の実施自体を目標にせず、本人が自宅で続けたい動作や役割を確認します。
訓練と生活をつなぐ
左手で支持する、体を起こすなど本人が安定して行える工程を生かし、妻の抱え上げを前提にしません。立位保持が難しい場合は立つ練習だけに固執せず、座位保持や用具の適合を確認して移乗方法を選びます。用具は実際のベッドと車いすで試し、妻が一人で安全に扱えない場合は介助体制も調整します。
変化と連絡方法を共有する
本人が行えた工程、妻が抱えた回数、移乗時の不安定さ、妻の腰痛・疲労を方法変更前後で比較します。訪問時にできただけで終えず、普段の時間帯も同じ手順で移れたかを確認します。本人の参加度が増えても妻の痛みが続く場合は、用具と介助人数を再検討します。
文例を使うときのポイント
- 家族の体格や痛みも評価し、抱える介助を前提にせず本人の力と福祉用具を組み合わせます。
- 本人と家族の意向を分けて確認します。
- 病状・生活・サービス提供状況の変化に応じて見直します。
まとめ
立ち上がりなど本人が担える工程を残し、妻の介助位置と福祉用具を調整します。二人の負担と移乗の安定性を確認します。


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