パーキンソン病のある利用者では、立位保持や手指操作の難しさから、食器洗いなど長く担ってきた家事を家族が代行しやすくなります。
家事全体をできる・できないで判断せず、座位、道具、食器の量、時間帯を調整して本人が担える工程を確認することが重要です。
ここでは、朝は動きやすく、椅子に座れば茶碗と湯のみを洗える力を活かし、夫婦の朝食後の片付けを続けたい利用者を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 午前中は手の動きが比較的よい
- 流し台の前に高椅子を置くと十分程度座位を保てる
- 軽い茶碗と湯のみは両手で扱える
- 滑り止めマット上なら食器を安定させて洗える
- 重い鍋や高い棚への収納は夫へ頼める
- 本人は少量でも朝の片付けを続けたい
- 夫は準備と重い物だけを担当したい
立位・座位、扱える食器、蛇口や洗剤の操作、疲労、床の濡れ、本人が続けたい工程を実際の台所で確認してください。
※ふらつきや痛みが強い場合は作業を中止し、環境調整や福祉用具について必要に応じて専門職へ相談してください。
利用者像の例
- 74歳・女性・要介護1
- 夫と二人暮らし
- 結婚後から家族の食事を整え、朝食後の台所を片付けることを自分の役割としてきた
- 午前中は手の動きが比較的よい
- 流し台の前に高椅子を置くと十分程度座位を保てる
- 軽い茶碗と湯のみは両手で扱える
- 滑り止めマット上なら食器を安定させて洗える
- 重い鍋や高い棚への収納は夫へ頼める
- 本人は少量でも朝の片付けを続けたい
- 夫は準備と重い物だけを担当したい
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
椅子に座れば茶碗と湯のみは洗えるので、夫に全部任せず朝の片付けを続けたい。
家族の意向
おすすめ文例
重い鍋と棚への収納は私が行い、本人が洗える食器は急かさず任せたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は夫と自宅で暮らし、長年担ってきた朝食後の台所片付けを今後も自分の役割として続けたいと希望している。
午前中は手の動きが比較的よく、流し台前の高椅子で十分程度座位を保ち、軽い茶碗と湯のみを両手で扱える。
滑り止めマット上では食器を安定させて洗い、重い鍋や高い棚への収納は夫へ依頼できる。
本人が担える洗浄工程を残し、椅子の高さ、食器量、床の濡れ、疲労を確認しながら夫と役割分担する必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が座位で軽い食器を扱う力を活かし、朝食後の片付けを継続できるよう支援する。
流し台前に安定した椅子と滑り止めマットを整え、一回の食器量を本人と決める。
夫は重い物と高所収納を担い、本人の動作を待って依頼された部分のみ補助する。
第2表の文例
食器洗いを全て行うことではなく、本人が安全に担える工程を続け、家庭内の役割を実感できることを目標にします。
課題① 椅子に座り、自分で洗える食器を洗って朝の役割を続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
椅子に座り、自分で洗える食器を洗って朝の役割を続けたい。
長期目標
本人に合う環境で朝食後の食器洗いを継続できる。
短期目標
高椅子に座り、茶碗と湯のみを十分以内で洗える。
サービス内容
椅子と滑り止めマットを準備し、軽い食器を二点ずつ渡して本人の手順を見守る。
課題② 疲れる前に休み、無理のない量を自分で選びたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
疲れる前に休み、無理のない量を自分で選びたい。
長期目標
体調に応じて作業量を調整できる。
短期目標
開始前に手の動きと疲れを確認し、途中で休むか夫へ頼むかを伝えられる。
サービス内容
本人へ作業量の希望を確認し、疲れの訴えや動作の変化があれば椅子で休憩できるようにする。
課題③ 夫と役割を分け、台所を安全に片付けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
夫と役割を分け、台所を安全に片付けたい。
長期目標
夫婦が互いの役割を理解し、安全に家事を続けられる。
短期目標
本人は食器洗い、夫は重い鍋・収納・床拭きを担当できる。
サービス内容
夫婦で工程表を確認し、床の水滴と動線を整え、役割を定期的に見直す。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 椅子に座り、自分で洗える食器を洗って朝の役割を続けたい。 | 本人に合う環境で朝食後の食器洗いを継続できる。 | 高椅子に座り、茶碗と湯のみを十分以内で洗える。 | 椅子と滑り止めマットを準備し、軽い食器を二点ずつ渡して本人の手順を見守る。 |
| 疲れる前に休み、無理のない量を自分で選びたい。 | 体調に応じて作業量を調整できる。 | 開始前に手の動きと疲れを確認し、途中で休むか夫へ頼むかを伝えられる。 | 本人へ作業量の希望を確認し、疲れの訴えや動作の変化があれば椅子で休憩できるようにする。 |
| 夫と役割を分け、台所を安全に片付けたい。 | 夫婦が互いの役割を理解し、安全に家事を続けられる。 | 本人は食器洗い、夫は重い鍋・収納・床拭きを担当できる。 | 夫婦で工程表を確認し、床の水滴と動線を整え、役割を定期的に見直す。 |
パーキンソン病・食器洗いのケアプランで意識したいポイント
家事を工程に分ける
洗う、すすぐ、拭く、収納する工程ごとに、本人が安全に担える部分を確認します。
台所環境を実測する
椅子の高さ、流し台との距離、足底の接地、道具の位置を実際の動作で確かめます。
役割を奪わない分担にする
家族が全部代行せず、本人が選んだ工程を残し、難しい部分のみ補います。
文例を使うときのポイント
- 動きやすい時間帯を確認する
- 座位で扱える食器量を確認する
- 滑り止めと床の濡れを確認する
- 休憩と中止の合図を決める
- 本人と夫の役割を明確にする
まとめ
食器洗いが難しくなった場合は、姿勢、道具、食器量、時間帯を調整して本人が担える工程を探します。
できる家事を残し、夫と具体的に分担することで、本人が家庭での役割を続けられる計画になります。
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