経管栄養の訪問看護では、安全な注入手順だけでなく、姿勢、口腔、排便、本人の楽しみ、介護者の負担を確認します。医療的管理と生活の質を両立させます。
本記事では、胃ろうによる栄養注入を家族が担い、姿勢や嘔吐時の対応に不安がある方を想定します。本人の苦痛の伝え方と、家族の実施手順・連絡体制を訪問看護の第1表・第2表に整理します。
この記事が参考になるケース
- 80代女性。脳梗塞後の嚥下障害で胃ろうを使用し、長男夫婦と同居。家族が注入を担っているが、姿勢や嘔吐時の対応に不安がある。
- 本人は「苦しくない姿勢で過ごし、家族との時間を穏やかに楽しみたい。」と希望している。
- 家族は「安全に栄養を入れ、異常時に迷わず看護師へ相談したい。」と考えている。
医療的支援は主治医の指示に基づき、状態に応じて訪問看護事業所・関係職種と確認します。
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
苦しくない姿勢で過ごし、家族との時間を穏やかに楽しみたい。
家族の意向
おすすめ文例
安全に栄養を入れ、異常時に迷わず看護師へ相談したい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
80代女性。脳梗塞後の嚥下障害で胃ろうを使用し、長男夫婦と同居。家族が注入を担っているが、姿勢や嘔吐時の対応に不安がある。
本人には「苦しくない姿勢で過ごし、家族との時間を穏やかに楽しみたい。」という希望があり、現在行えていることと生活上の役割を生かす必要がある。
訪問看護師が主治医の指示に基づき注入内容、速度、姿勢、腹部症状、呼吸状態を確認し、安全な手順を家族と共有する。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が苦痛の少ない姿勢で家族との時間を穏やかに過ごせるよう、訪問看護が主治医の指示に基づく経管栄養と胃ろう部の管理を行い、家族が安全な手順と異常時対応を身につけられるよう支援します。
別の表現|短めにまとめたい場合
本人が苦痛を伝えられる姿勢を整え、主治医の指示に沿って経管栄養を管理します。家族と安全な手順・異常時対応を確認します。
第2表の文例
サービスを利用すること自体ではなく、本人が望む生活を続けられることを目標にします。
課題① 苦痛なく安全に必要な栄養を受けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
苦痛なく安全に必要な栄養を受けたい。
長期目標
必要な栄養と水分を確保し、体調を安定させられる。
短期目標
注入中に楽な姿勢を保ち、苦痛を表情やしぐさで伝えられる。
サービス内容
訪問看護師が主治医の指示に基づき注入内容、速度、姿勢、腹部症状、呼吸状態を確認し、安全な手順を家族と共有する。
課題② 胃ろう部と口の清潔を保ちたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
胃ろう部と口の清潔を保ちたい。
長期目標
皮膚・口腔トラブルを予防し、快適に過ごせる。
短期目標
発赤、漏れ、痛み、口腔内の変化を家族が確認できる。
サービス内容
胃ろう部、固定、漏れ、皮膚、口腔を観察し、清潔ケアを行う。異常時は主治医へ報告する。
課題③ 家族が無理なく注入と見守りを続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
家族が無理なく注入と見守りを続けたい。
長期目標
家族が不安と負担を抱え込まず、在宅療養を支えられる。
短期目標
手順と緊急連絡先を確認し、困った時に相談できる。
サービス内容
家族の手技と理解、睡眠、介護負担を確認し、訪問介護・短期入所・ケアマネジャー等と役割や休息方法を調整する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 苦痛なく安全に必要な栄養を受けたい。 | 必要な栄養と水分を確保し、体調を安定させられる。 | 注入中に楽な姿勢を保ち、苦痛を表情やしぐさで伝えられる。 | 訪問看護師が主治医の指示に基づき注入内容、速度、姿勢、腹部症状、呼吸状態を確認し、安全な手順を家族と共有する。 |
| 胃ろう部と口の清潔を保ちたい。 | 皮膚・口腔トラブルを予防し、快適に過ごせる。 | 発赤、漏れ、痛み、口腔内の変化を家族が確認できる。 | 胃ろう部、固定、漏れ、皮膚、口腔を観察し、清潔ケアを行う。異常時は主治医へ報告する。 |
| 家族が無理なく注入と見守りを続けたい。 | 家族が不安と負担を抱え込まず、在宅療養を支えられる。 | 手順と緊急連絡先を確認し、困った時に相談できる。 | 家族の手技と理解、睡眠、介護負担を確認し、訪問介護・短期入所・ケアマネジャー等と役割や休息方法を調整する。 |
訪問看護のケアプラン作成ポイント
本人の生活目標から位置づける
看護の実施自体を目標にせず、本人が自宅で続けたい暮らしや役割を確認します。
医療と生活をつなぐ
家族が説明を聞いたかだけでなく、自宅の物品と寝具を使って手順を実施できるか確認します。本人には姿勢の好みや苦痛を伝えられる役割を残し、表情やしぐさによる合図を共有します。嘔吐等が生じた時に慌てず連絡できるよう、個別に指示された中止・連絡の手順を家族自身の言葉で確認します。
本人の苦痛と家族が実施できる範囲を評価する
注入状況、体重、腹部症状、呼吸、排便、胃ろう部、口腔、本人の苦痛、家族の手技と負担を確認します。
文例を使うときのポイント
- 注入内容・速度・水分量は主治医の指示を確認し、嚥下評価や経口摂取の可否を独自に判断しません。
- 本人と家族の意向を分けて確認します。
- 病状・生活・サービス提供状況の変化に応じて見直します。
まとめ
注入中の姿勢と本人の苦痛の伝え方を確認し、家族の手順や嘔吐時の対応への不安を整理します。安全な管理と家族との穏やかな時間を両立させます。


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