訪問介護の調理支援では、完成した食事を用意するだけでなく、本人が献立を決める、食材を洗う、味を確認する等の役割を続けられるよう共同で行います。
本記事では、座って下ごしらえや味付けはできる一方、長時間の立位と鍋の運搬が難しい方の調理支援を扱います。共同調理の分担と本人の役割を、第1表・第2表の文例で示します。
この記事が参考になるケース
- 70代女性。長時間立位と鍋の運搬は難しいが、座って包丁を使い味付けを決められる。料理が家族との会話と生活の張りになっている。
- 本人は「自分の味を大切にし、介護員と一緒に料理を続けたい。」と希望している。
- 家族は「火と重い鍋は支援を受け、本人の得意な調理を続けてほしい。」と考えている。
サービスの利用可否・提供範囲・医療的支援は、保険者、事業所、主治医等へ確認します。
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
自分の味を大切にし、介護員と一緒に料理を続けたい。
家族の意向
おすすめ文例
火と重い鍋は支援を受け、本人の得意な調理を続けてほしい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
70代女性。長時間立位と鍋の運搬は難しいが、座って包丁を使い味付けを決められる。料理が家族との会話と生活の張りになっている。
本人は献立や味付けを決め、座位で下ごしらえを行える。立位の継続と重い鍋の運搬は難しいため、その工程を補い、調理を全面的に代行せず料理の経験と役割を生かす必要がある。
訪問介護員が本人と献立・食材・分担を確認し、食材運搬、火、重い鍋等を支援する。本人ができる工程を待ち、共同で調理する。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が献立・下ごしらえ・味付けを行える経験を生かし、訪問介護員が食材運搬・加熱・重い鍋等の難しい工程を補って共同調理を行い、安全な食事確保と本人の家庭内役割を支援します。
別の表現|短めにまとめたい場合
献立や味付けは本人が決め、訪問介護員が加熱と重い鍋の運搬を補って、共同調理の役割を支えます。
第2表の文例
サービスを利用すること自体ではなく、本人が望む生活を続けられることを目標にします。
課題① 自分の経験を生かし、介護員と一緒に食事を作りたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
自分の経験を生かし、介護員と一緒に食事を作りたい。
長期目標
安全な分担で調理を継続し、本人らしい食生活と役割を保てる。
短期目標
献立と手順を決め、座位で下ごしらえと味付けに参加できる。
サービス内容
訪問介護員が本人と献立・食材・分担を確認し、食材運搬、火、重い鍋等を支援する。本人ができる工程を待ち、共同で調理する。
課題② 安全で食べやすい食事を継続して取りたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
安全で食べやすい食事を継続して取りたい。
長期目標
体調と専門職の助言に合う食事を取り、健康状態を維持できる。
短期目標
食べにくさや食欲を伝え、調理方法を相談できる。
サービス内容
本人の好みと医師・管理栄養士等の助言を確認し、計画上の範囲で切り方や量を調整する。独自の栄養制限を行わない。
課題③ 食品と台所を安全に管理したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
食品と台所を安全に管理したい。
長期目標
食中毒や火傷を防ぎ、台所を使い続けられる。
短期目標
期限、加熱、火元、調理後の片付けを介護員と確認できる。
サービス内容
食材の期限・保管、火元、調理器具、衛生を確認し、本人の同意を得て片付ける。気づきを関係者へ共有する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 自分の経験を生かし、介護員と一緒に食事を作りたい。 | 安全な分担で調理を継続し、本人らしい食生活と役割を保てる。 | 献立と手順を決め、座位で下ごしらえと味付けに参加できる。 | 訪問介護員が本人と献立・食材・分担を確認し、食材運搬、火、重い鍋等を支援する。本人ができる工程を待ち、共同で調理する。 |
| 安全で食べやすい食事を継続して取りたい。 | 体調と専門職の助言に合う食事を取り、健康状態を維持できる。 | 食べにくさや食欲を伝え、調理方法を相談できる。 | 本人の好みと医師・管理栄養士等の助言を確認し、計画上の範囲で切り方や量を調整する。独自の栄養制限を行わない。 |
| 食品と台所を安全に管理したい。 | 食中毒や火傷を防ぎ、台所を使い続けられる。 | 期限、加熱、火元、調理後の片付けを介護員と確認できる。 | 食材の期限・保管、火元、調理器具、衛生を確認し、本人の同意を得て片付ける。気づきを関係者へ共有する。 |
訪問介護のケアプラン作成ポイント
本人の生活目標から位置づける
サービス利用自体を目標にせず、本人が続けたい暮らし、役割、参加を確認します。
本人ができることを生かす
献立の選択、食材を切る作業、加熱、盛付けを分け、本人と分担を決めます。座って作業できても途中で疲れる場合があるため、参加できた工程、休憩の必要性、調理後の疲れを確認し、次回の献立や作業量を調整します。
共同調理の参加と負担を評価する
本人が参加した工程、立位・疲労、食欲・摂取量、食材、火元・衛生、役割の満足感を確認します。
文例を使うときのポイント
- 調理を全面代行せず、本人の経験とできる工程を評価し、共同調理と安全確保をケアプランへ具体的に記載します。
- 本人と家族の意向を分けて確認します。
- 体調・生活・サービス提供状況の変化に応じて見直します。
まとめ
献立や下ごしらえ、味付けは本人の経験を生かし、加熱や重い鍋の運搬を介護員が補います。共同調理で続けられた役割を確認します。


コメント