認知症の方が訪問介護を拒む場合、拒否を問題行動と決めつけず、訪問時間、声かけ、介護員との関係、本人が守りたい生活を確認します。本人の安心を優先して関係を築きます。
本記事では、知らない訪問者は断る一方、顔馴染みの介護員とは台所を片付けられる独居の方を想定します。支援拒否を一律に捉えず、納得できる関わり方を第1表・第2表の文例に整理します。
この記事が参考になるケース
- 80代男性。一人暮らし。知らない人を家に入れたくないと訪問介護を断ることがあるが、顔馴染みの介護員とは一緒にお茶を飲み、台所を片付けられる。
- 本人は「自分の家では自分のやり方で暮らし、嫌なことを無理にされたくない。」と希望している。
- 家族は「本人の気持ちを尊重しながら、食事と住環境を見守ってほしい。」と考えている。
サービスの利用可否・提供範囲・医療的支援は、保険者、事業所、主治医等へ確認します。
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
自分の家では自分のやり方で暮らし、嫌なことを無理にされたくない。
家族の意向
おすすめ文例
本人の気持ちを尊重しながら、食事と住環境を見守ってほしい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
80代男性。一人暮らし。知らない人を家に入れたくないと訪問介護を断ることがあるが、顔馴染みの介護員とは一緒にお茶を飲み、台所を片付けられる。
本人は相手や作業内容によって支援を選んでおり、顔馴染みの介護員とは共同で片付けができる。訪問介護全体を拒否していると判断せず、本人が納得できる相手・説明・作業範囲を確かめる必要がある。
可能な範囲で担当者と訪問時間を調整し、本人の呼び方・会話・日課を共有する。許可を得てから入室・作業し、拒否時に強要しない。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が自宅で自分のやり方を守りたい気持ちを受け止め、顔馴染みの訪問介護員が本人の生活リズムに合わせて挨拶と会話から関係を築き、一緒に選べる家事から始めて食事と住環境を支援します。
別の表現|短めにまとめたい場合
本人が安心できる挨拶や会話から始め、その日に手伝ってほしいことを確認します。納得を得られた家事を一緒に行い、断られた際は強要せず、理由と生活上の困り事を関係者で共有します。
第2表の文例
サービスを利用すること自体ではなく、本人が望む生活を続けられることを目標にします。
課題① 安心できる人から、自分が納得した支援を受けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
安心できる人から、自分が納得した支援を受けたい。
長期目標
馴染みの関係の中で本人が必要な支援を選び、自宅生活を継続できる。
短期目標
顔馴染みの介護員と挨拶・会話を行い、その日に行うことを一つ選べる。
サービス内容
可能な範囲で担当者と訪問時間を調整し、本人の呼び方・会話・日課を共有する。許可を得てから入室・作業し、拒否時に強要しない。
課題② 食事と住環境を本人の方法で整えたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
食事と住環境を本人の方法で整えたい。
長期目標
本人が受け入れられる支援で食事・衛生・安全を保てる。
短期目標
介護員と一緒に飲み物、食事、片付けのいずれかを選べる。
サービス内容
お茶等の馴染みの活動から始め、本人と共同で調理・片付けを行う。勝手な処分や配置変更を避ける。
課題③ 状態変化を家族や支援者と共有したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
状態変化を家族や支援者と共有したい。
長期目標
認知症や生活の変化へ早期に対応し、危険と不安を減らせる。
短期目標
訪問時の反応、食事、服薬、火元等が記録され、関係者で確認できる。
サービス内容
本人の言動だけでなく拒否の前後状況と有効だった対応を記録し、家族・ケアマネジャー・医療職で支援方法を統一する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 安心できる人から、自分が納得した支援を受けたい。 | 馴染みの関係の中で本人が必要な支援を選び、自宅生活を継続できる。 | 顔馴染みの介護員と挨拶・会話を行い、その日に行うことを一つ選べる。 | 可能な範囲で担当者と訪問時間を調整し、本人の呼び方・会話・日課を共有する。許可を得てから入室・作業し、拒否時に強要しない。 |
| 食事と住環境を本人の方法で整えたい。 | 本人が受け入れられる支援で食事・衛生・安全を保てる。 | 介護員と一緒に飲み物、食事、片付けのいずれかを選べる。 | お茶等の馴染みの活動から始め、本人と共同で調理・片付けを行う。勝手な処分や配置変更を避ける。 |
| 状態変化を家族や支援者と共有したい。 | 認知症や生活の変化へ早期に対応し、危険と不安を減らせる。 | 訪問時の反応、食事、服薬、火元等が記録され、関係者で確認できる。 | 本人の言動だけでなく拒否の前後状況と有効だった対応を記録し、家族・ケアマネジャー・医療職で支援方法を統一する。 |
訪問介護のケアプラン作成ポイント
本人の生活目標から位置づける
サービス利用自体を目標にせず、本人が続けたい暮らし、役割、参加を確認します。
本人ができることを生かす
断った対象が入室、片付け、物の移動のどれかを分けて記録します。会話ができたことを全ての作業への同意とせず、作業ごとに意向を確認します。実施できなかった支援が食事や安全に及ぼす影響も共有し、次回までの対応を相談します。
断った内容と受け入れられた対応を評価する
拒否の場面と理由、受け入れられた声かけ、担当者との関係、食事・衛生・火元、本人の表情、家族不安を確認します。
文例を使うときのポイント
- 拒否を本人の症状だけに帰さず、訪問者・時間・説明・作業内容・環境を振り返り、本人の同意を取り直します。
- 本人と家族の意向を分けて確認します。
- 体調・生活・サービス提供状況の変化に応じて見直します。
まとめ
断られた相手や作業を分けて捉え、本人が納得した家事から共同で進めます。会話ができたことを、すべての作業への同意とは扱いません。


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