通所介護計画書の文例【入浴支援】長期・短期目標・サービス内容の記入例

通所介護計画書の入浴支援では、本人ができる洗身・更衣・浴槽出入りと、見守りや介助が必要な工程を分け、長期目標・短期目標・サービス内容をつなげて記載します。

この記事では、見守り中心、一部介助、転倒予防、入浴拒否、家族負担など10ケースの文例と、評価・見直しの視点をまとめています。

まず使える入浴支援の文例

利用者の状態や事業所の書式に合わせて調整してご使用ください。

長期目標

必要な支援を受けながら安全に入浴を継続し、清潔を保ちながら在宅生活を続けられる。

短期目標

体調確認と見守りを受けながら、できる洗身・更衣動作を続け、安全に入浴できる。

サービス内容

入浴前に体調と皮膚状態を確認する。本人ができる工程は見守り、浴室内移動、洗身、浴槽出入り、更衣のうち困難な工程のみ介助する。ふらつきや疲労がみられる場合は安全を確保し、介助範囲を調整する。

通所介護計画書で入浴支援を考える基本

通所介護計画は、利用者の心身の状況、希望、生活環境を踏まえ、目標と具体的なサービス内容を設定して作成します。

したがって、入浴サービスを利用しているからといって、すべての利用者に「安全に入浴し清潔を保持する」という同じ目標を設定するのでは十分とはいえません。

例えば同じ入浴介助を利用している人でも、支援の目的は異なります。

  • 自宅浴が難しく、デイサービスで清潔を保つことが目的の人
  • 自宅での入浴再開を目指している人
  • 認知症により入浴を拒否することがある人
  • 立位保持や浴槽またぎに不安がある人
  • 片麻痺があり、片手で洗身・更衣を行っている人
  • 家族による入浴介助の負担軽減が必要な人
  • 本人が可能な部分まで家族や職員が介助している人

「なぜデイサービスで入浴する必要があるのか」を明確にすることが、質の高い通所介護計画書の出発点になります。

入浴動作は工程に分けてアセスメントする

入浴を「自立・一部介助・全介助」の3段階だけで評価すると、本人の能力を十分に把握できません。以下のように工程ごとに確認します。

工程確認したいポイント
脱衣衣類の選択、ボタン操作、上衣・下衣の着脱、座位保持
浴室までの移動歩行、歩行補助具、段差、方向転換、移乗
浴室への出入り段差、手すり、滑りやすさ、足の上げ下げ
洗身上肢可動域、体幹前屈、足部や背部へ手が届くか
洗髪両上肢動作、肩関節可動域、疲労
立ち座りシャワーチェア等からの立ち上がり、ふらつき
浴槽出入りまたぎ動作、片脚立位、手すり使用、介助量
浴槽内姿勢保持、立ち上がり、疲労、体調変化
更衣身体を拭く、更衣、下衣操作、疲労
入浴後疲労、疼痛、ふらつき、呼吸状態、水分摂取等

このように整理すると、「背中と足だけ介助が必要」「浴槽またぎだけ不安定」「更衣は時間をかければ自立」など、本人の能力を具体的に把握できます。

避けたい入浴目標と改善例

抽象的な目標改善例
安全に入浴する手すりとシャワーチェアを使用し、見守りで浴室内の立ち座りができる。
清潔を保持する週2回の入浴機会を確保し、自分で洗える部分は自分で洗って清潔を保つ。
入浴介助を受ける上半身は自分で洗い、背部・足部のみ介助を受けながら入浴できる。
転倒しない手すりを使用して浴室内を安全に移動し、シャワーチェアへ着座できる。
入浴拒否をなくす本人が納得できる声かけと方法で、安心して清潔保持の機会を持つことができる。

通所介護計画書の入浴支援 文例集

1.見守り中心で入浴できるケース

長期目標

現在の身体機能を維持し、自分で行える入浴動作を続けながら清潔を保つことができる。

短期目標

手すりやシャワーチェアを使用し、見守りのもとで洗身・立ち座りを行うことができる。

サービス内容

入浴前に体調を確認し、脱衣、浴室内移動、洗身、立ち座り、更衣の状態を確認する。本人が安全に行える動作は見守りを基本とし、必要以上の介助を行わない。ふらつきや疲労がみられる場合は安全を確保しながら必要な介助を行う。

2.一部介助が必要なケース

長期目標

必要な部分のみ介助を受けながら、自分でできる入浴動作を継続できる。

短期目標

上半身や洗える範囲は自分で洗い、背部や足部等の難しい部分のみ介助を受けることができる。

サービス内容

本人が届く範囲や洗身方法を確認し、自分で行える部分は十分な時間を確保して見守る。背部、足部等の困難な部位のみ介助する。身体機能や疼痛の変化に応じて介助範囲を定期的に見直す。

3.浴槽またぎに不安があるケース

長期目標

本人の身体状況に合った方法で安全に入浴し、入浴習慣を継続できる。

短期目標

手すり等を使用し、職員の見守りまたは一部介助で浴槽への出入りができる。

サービス内容

浴槽出入り時の足の上げ下げ、支持物の使用、立位バランス、方向転換を確認する。本人の能力に合った手すりや福祉用具を使用し、安全な動作方法を統一する。状態によって浴槽入浴が困難な場合は、本人と相談しシャワー浴等も選択する。

4.歩行・立位が不安定なケース

長期目標

必要な介助を受けながら安全に入浴し、清潔保持と入浴の楽しみを継続できる。

短期目標

浴室内で支持物を使用し、職員の介助を受けながら安全に移動・立ち座りができる。

サービス内容

歩行、方向転換、立ち座り時のふらつきを確認する。浴室内では手すり、シャワーチェア等を活用し、本人が行える動作を生かしながら必要な介助を行う。疲労時には無理に立位動作を継続しない。

5.片麻痺があるケース

長期目標

麻痺側に配慮した方法で入浴し、自分でできる洗身や更衣動作を継続できる。

短期目標

非麻痺側を活用しながら、自分で洗える部位を洗い、安定した座位で入浴できる。

サービス内容

麻痺側の支持性、感覚、関節可動域等を確認し、安全な座位姿勢と移乗方法を整える。本人が非麻痺側で行える洗身・更衣動作を継続し、困難な工程のみ介助する。

6.腰痛・関節痛があるケース

長期目標

疼痛に配慮した方法で入浴を継続し、清潔で快適な生活を送ることができる。

短期目標

疼痛が強くなる動作を避けながら、自分で行える洗身や更衣を継続できる。

サービス内容

疼痛の部位、程度、痛みが生じる動作を確認する。椅子の高さ、洗身方法、福祉用具等を調整し、身体への負担を減らす。入浴後の疼痛や疲労にも注意し、必要に応じて関係職種と情報共有する。

7.認知症があり入浴を拒否するケース

長期目標

本人が安心できる方法で清潔保持の機会を持ち、気持ちよく生活できる。

短期目標

なじみの職員による声かけを受け、本人が納得したうえで入浴または清潔保持を行うことができる。

サービス内容

入浴を拒否した場合は無理に誘導せず、本人の言葉や表情から理由を確認する。時間帯、職員、誘い方、浴室環境、体調等を検討し、本人が安心しやすい条件を整理する。入浴が難しい場合は清拭等の代替方法も本人と相談する。

8.自宅での入浴再開を目指すケース

長期目標

自宅の浴室環境に合った方法で、本人または家族の支援により自宅での入浴を継続できる。

短期目標

自宅の浴槽出入りを想定した手順で、手すりを使用して立ち座りやまたぎ動作を行うことができる。

サービス内容

本人の居宅における浴室環境、浴槽の高さ・深さ、手すり、段差等を踏まえ、可能な範囲で自宅浴を想定した動作方法を確認する。本人・家族が実施可能な介助方法を関係職種と共有する。

9.家族の入浴介助負担が大きいケース

長期目標

本人が定期的な入浴機会を確保しながら、家族にも無理のない在宅生活を継続できる。

短期目標

通所介護利用日に安全に入浴し、家族が自宅で行う入浴介助の負担を軽減できる。

サービス内容

デイサービスで定期的に入浴機会を確保する。本人の入浴動作や介助量の変化を家族へ共有し、自宅での介助負担や困りごとについて必要に応じてケアマネジャーと情報共有する。

10.全介助に近いケース

長期目標

身体状況に合った方法で安全に入浴し、皮膚状態と清潔を保ちながら快適に過ごすことができる。

短期目標

体調に合わせて無理なく入浴し、入浴後も安定した状態で過ごすことができる。

サービス内容

入浴前後の体調を確認し、安全な移乗・移動方法で介助する。洗身時に皮膚状態を確認し、発赤、傷、浮腫等の変化がみられた場合は看護職等へ共有する。本人の表情や訴えを確認し、苦痛や疲労に配慮して実施する。

入浴前に確認したいポイント

  • 本人の体調と入浴希望
  • 発熱や体調不良の有無
  • 血圧等、事業所で定めている健康確認項目
  • 疼痛、息切れ、倦怠感等の有無
  • 食事・水分摂取状況
  • 睡眠や前日の体調
  • 転倒や外傷の有無
  • 皮膚状態の変化
  • 本人が普段と違う様子を示していないか

数値だけで機械的に入浴可否を判断するのではなく、本人の普段の状態、疾患、主治医等からの指示、事業所の対応基準を踏まえて総合的に確認します。判断が必要な場合は看護職等と連携します。

入浴介助加算(Ⅱ)を算定する場合の専門的な視点

入浴介助加算(Ⅱ)では、単に事業所で入浴を提供するだけではなく、利用者が自身で、または家族・訪問介護員等の介助を受けながら居宅で入浴できるようになることを意識した支援が求められます。

多職種が連携し、利用者の身体状況だけでなく、自宅浴室の環境も踏まえて個別の入浴計画を作成します。個別の入浴計画に相当する内容を通所介護計画に記載することで代えることもできます。

そのため、該当する利用者では次のような内容を具体化すると、計画と実際の支援がつながりやすくなります。

  • 自宅浴室の入口段差
  • 浴槽の高さ・深さ
  • 手すりの位置
  • シャワーチェア等の使用
  • 脱衣所から浴室までの移動
  • 本人が行える工程
  • 家族が介助可能な工程
  • 本人・家族に必要な介助方法の共有

加算の有無にかかわらず、この「自宅での生活につなげる」という視点は、通所介護の入浴支援を考えるうえで重要です。

入浴支援のモニタリングで見るポイント

  • 入浴を継続できているか
  • 本人の入浴に対する希望は変化していないか
  • 自分で行える洗身範囲は維持・拡大しているか
  • 立ち上がりや浴槽またぎの介助量に変化がないか
  • 入浴時のふらつきが増えていないか
  • 疼痛や疲労が増えていないか
  • 皮膚状態に変化がないか
  • 本人が気持ちよく入浴できているか
  • 入浴拒否の頻度や理由に変化がないか
  • 家族の介護負担はどう変化しているか
  • 自宅での入浴状況に変化がないか

「安全だった」で評価を終わらせない

入浴事故がなかったことは重要ですが、それだけでは計画の評価として十分ではありません。

例えば、以前は全身洗身を介助していた利用者が、現在は上半身を自分で洗えるようになったのであれば、本人の生活機能が改善しています。反対に、以前は見守りで浴槽へ入れていた人が介助を必要とするようになった場合は、身体機能や体調の変化を再評価する必要があります。

事故の有無だけでなく「本人の能力がどう変化したか」を評価することが、通所介護計画の見直しにつながります。

専門職として押さえたい入浴支援の考え方

質の高い入浴支援は、職員がすべて洗って安全に入浴させることではありません。安全を確保しながら、本人ができる動作を見極め、その能力を使う機会を残すことが重要です。

入浴には、立位、座位、移乗、歩行、上肢活動、体幹運動、更衣など多くの生活機能が含まれています。そのため入浴場面は、利用者のADL変化を把握する重要な機会でもあります。

介護職だけで完結させるのではなく、必要に応じて看護職、機能訓練指導員、ケアマネジャー、福祉用具専門相談員等と情報を共有し、「本人がどの生活を続けたいのか」という共通目標のもとで支援方法を整えることが大切です。

まとめ

通所介護計画書の入浴支援では、「入浴介助を行う」「清潔を保持する」と記載するだけでなく、入浴動作を工程ごとに評価し、本人ができることと支援が必要なことを明確にすることが重要です。

脱衣、移動、洗身、立ち座り、浴槽出入り、更衣などを具体的に確認すると、過介助を防ぎ、本人の残存能力を生活の中で活用できます。

そして、入浴を単なる清潔保持サービスとして捉えるのではなく、自宅での生活、自尊心、家族負担、本人の楽しみまで含めて計画することで、通所介護ならではの自立支援につながります。

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参考

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